推し活とは、好きなことに夢中になって活動したり応援したりすることを意味します。
推し活をしているのは10代から20代のZ世代が多いです。SNSの発達や多様性を尊重する社会になったことで、推し活は一般的なものとなりました。
なぜ推し活にのめりこむのか、経験していなければ理解できないこともあるでしょう。この記事では以下の内容を説明します。
- 推し活とは何か
- 推し活をしている人の心理
- 推し活のメリット
- 推し活をする際の注意点
- 推し活で生まれる経済活動
推し活をしている人の心理を知れば、自分が何かを推していなくても夢中になる理由がわかるでしょう。
推し活とは
推し活は自分の好きな人やものなどの対象を応援する活動のことです。
1980年代からオタクという言葉が流行りました。オタクはアイドルやアニメのキャラクターなどを、自分や同じ趣味を持つ人だけで楽しむ限定的なものでした。
推し活の場合、好きになる対象はアイドルやキャラクターだけでなく鉄道やお城など多岐にわたり、「推す」という言葉の通り知人にも自分の好きなものを推薦する行動もしています。
推し活の行動には以下のようなものがあります。
- 公式グッズを購入する
- コンサートや聖地巡礼をする
- グッズを自分で作成する
- 推しのイメージカラーのものを収集する
- マスメディアやオンラインから情報を収集する
- SNSで情報を発信・共有する
- 友人に魅力を教える
推し活といえばアイドルの追っかけをすることを考えることが多いですが、自分の好きなキャラクターのぬいぐるみを持参して旅行先でぬいぐるみの写真を撮る「ぬい撮り」なども推し活の一種です。
推し活が広がった理由
2011年に「推しメン」という言葉が新語・流行語大賞にノミネートされました。推しメンはAKB48などのアイドルグループの中の誰を推しているかを指す言葉です。
「推し」という言葉は2020年に宇佐見りん氏が芥川賞を受賞した『推し、燃ゆ』でさらに注目を浴びるようになりました。推し活は2021年に新語・流行語大賞にノミネートされるほど一般化しています。
推し活が広がった背景にはSNSの普及とコロナ禍があります。
1. SNSの普及
昔のオタクは自分だけで好きな対象を楽しんでいましたが、現在はSNSで自分の好きなことを不特定多数の人と共有できます。
特にZ世代はSNSに慣れており、自分の日常や写真を投稿することに抵抗がありません。気軽に自分の好きな対象を共有できるのです。好きな対象が同じ人同士でSNSをフォローし合い、緩く繋がれます。
自分と相手の好きな対象が異なっていてもそれを認められる多様性も浸透し、自分は何が好きなのかを言いやすい社会となっています。
ネオマーケティングが実施した調査によると、Z世代が多い20代では推し活の話をすることに抵抗がない人が64.5%であるのに対し、30代では46.5%、40代では49.5%となり、Z世代との意識の違いがわかります。(参考:ネオマーケティング『推し活に関する調査』)
2. コロナ禍の孤独感
コロナ禍による外出自粛のため、友人や知り合いに気軽に会えなかったり、会社にも行けなかったりして、他人とコミュニケーションをとる時間がなくなりました。
突然人と会えなくなったために孤独感を感じる人が増えたのです。
ぽっかりと穴が開いたような心に、自分が好きでのめりこめる推しの存在が心の支えとなりました。
コロナ禍で推し活を始めた人たちは、外出自粛が終わった今でも続けている方々がたくさんいます。
コロナ禍により時間やお金に余裕ができたZ世代も多く、SHIBUYA109.Labの調査によると、コロナ禍の推し活にかける時間が増えた人は39.1%、お金が増えた人は32.2%、熱量が増えた人は41.3%でした。
(参考:SHIBUYA109.Lab『コロナ禍によるZ世代のヲタ活実態調査』)
推し活をしている人の3つの心理
推し活をしたいと思う理由は、対象が好きだからというだけではありません。推し活をすると、推しからの心地よい刺激がプラスに響きます。
- 楽しいことは繰り返したくなる
- 自分を認めてもらいたい
- 自分のものを分け与えたくなる
推し活は快感や、一体感を感じられます。現代人の欲求を推し活で発散しているとも言えるでしょう。
1. 楽しいことは繰り返したくなる
人は楽しいことや良い刺激を感じるとドーパミンが分泌され、繰り返し経験したくなります。
ドーパミンは報酬系ホルモンと言われており、達成感や満足感をもたらします。一度達成感などを味わうと、また同じ感覚を求めてモチベーションが上がり前向きになる好循環が生まれます。
例えば、コンサート会場で推しメンが自分の方を向いて手を振ってくれるだけで興奮することもドーパミンのおかげです。
好きな対象にのめりこみ、グッズを買ったり追っかけをしたりすることも、推し活で得られる快感をずっと受け取っていたいからと言えます。
2. 自分を認めてもらいたい
自分の好きな対象を周囲に認めてもらうことや、自分の推しが他の人からも注目を集めていることで承認欲求が満たされます。
SNSで推しを発信したときに「いいね」や「スキ」をもらい、好意的なコメントをもらうことも、自分の推しとともに自分自身も承認してもらっている気持ちになります。
SNSには不特定多数の人がいるために、自分と同じ価値観や好みを持っている人に出会いやすいです。自分の推しを言っても大丈夫という安心感がSNSにはあるのです。
3. 自分のものを分け与えたくなる
推し活では自分のお金や時間を費やし、推しを応援します。自分の持つものを推しに分け与える行為に喜びを感じます。
推し活をしている人は、自分が応援することで推しを育てていると感じやすく、実際は自分のものではないにもかかわらず、自分のものと考える心理的所有感を持っています。
自分の時間やお金を使って応援し、推しを育てることは母性にも似ています。
推しにもっと有名になってほしいと考えて行動するため、長期間推し活をすることも苦にはなりません。
推し活をする5つのメリット
推し活をしている人はストレス発散がしやすく、仕事にも一生懸命な人が多いです。推しの存在が精神的に良い影響を与えているからです。
推し活をするために自発的に行動できるようになり、生き生きとした生活ができるでしょう。
1. 気持ちを切り替えられる
推し活をしている人は好きなことに夢中になっています。1つのことに集中できている間は他の苦しみや悲しみを感じないため、ストレスを強く感じたときには推し活をすることで気持ちの切り替えができます。
動画や画像を見たり、SNSで情報を集めたりすることも推し活の1つなので、どこでも好きな対象に集中し楽しむことができるでしょう。
2. ストレスを解消できる
夢中になれるものがあるとネガティブな気持ちから解放されて、彩りのある生活を送れます。楽しいことや好きなことを経験すると、ポジティブで前向きな気持ちになれます。
推しは非日常の存在で憧れです。自分がこうなりたいと想像することは、現状や未来の不安を和らげ、後悔や反省などの苦しみから解放されるため、精神的に良い結果をもたらします。
3. 孤独感を弱められる
推しに対する気持ちをSNSなどで発信することで、同じ趣味を持つ仲間ができます。情報や気持ちをシェアし受け入れられると、孤独感が弱まります。
推しに対する心理的所有感が「私のもの」から「私たちのもの」となったとき、一体感を味わえるのです。
自分が良いと思ったことを他人も良いと言ってくれると安心します。同じ推しを好きでいることを一緒に楽しみ喜べることは、自分はコミュニティに属しているという感覚になり、孤独感や孤立感が薄まるでしょう。
4. 承認欲求を満たせられる
誰しも自分を認めてほしいと思っています。推しを好きなことを肯定してもらえることは自分自身を認めてもらうことと同じです。
自分の好みを伝えることに勇気が必要です。自分の推しを伝えた際、相手に推しを嫌いと言われるかどうかを気にしてしまいます。自分の好きなことを否定されることに恐れを抱きます。
推し活は多様性の上に成り立っており、お互いに異なる推しがいることを認め合っているからこそ推し活ができるのです。
5. モチベーションが向上する
たいていの推し活には、時間やお金が必要です。推しを応援するために資金や、推しメンを応援するためのグッズを作ったり、聖地巡礼したりする時間もかかります。
推し活の資金を稼ぐために仕事を頑張ったり、コンサートに行くために残業せず集中して仕事をしたりするのは、推し活が仕事のモチベーションアップに役立っていると言えます。
海外アーティストが推しであれば、推しが話していることを理解するために語学を勉強し、一人で海外旅行する行動力を養えます。現地に行けばその国の文化などを知ることもできるでしょう。
推しが人間でなくても、推し活をすることを糧にして仕事や勉強を頑張れるのです。推しがいることは毎日の活力となります。
推し活をする際の2つの注意点
推し活は好きな対象に夢中になりすぎるあまり、周りが見えなくなってしまう可能性があります。快感を与えてくれる推し活のために、自分の生活や推しを無下にしてはいけません。
推し活で夢中になっていても、状況を俯瞰して見ることが大事です。
1. 限度を知る
推し活は楽しく幸せな時間ですがドーパミンが分泌されることで、もっと楽しい時間を求めてしまいます。
推しメンと何度も握手したいがために何枚ものCDを購入したり、何度もコンサートを見たりすると幸せは長続きしますがお金が無くなります。追っかけをしすぎて生活に支障が出ては幸せにはなれません。
好きな対象に集中しすぎて我に返ったときに後悔しないためにも、推し活にかける時間や金額は決めておきましょう。推し活のために生活を犠牲にしないことが大事です。
2. 推し対象に依存しない
推しは疑似恋愛(ガチ恋)の対象になることがあります。自分は推しのことが好きでも、相手は自分のことをファンの1人としてしか見ていないことを忘れてはいけません。
推しは非現実の存在ですが、自分は現実の世界で生きていると意識する必要があります。推しに依存すると自分の思い通りにならないことに不満を持ち、攻撃的になりがちです。
特に顔の見えないSNSでは炎上するようなコメントが散見されますが、自分の投稿が誰かを傷つけないかを考えて発言しなければなりません。
自分が応援している推しに迷惑をかける行為は、推しの足を引っ張ってしまいます。
推し活で生まれる経済活動
ネオマーケティングによる推し活の行動に関する調査では、インターネットで情報を集めている人が74.0%です。
続いて、グッズを買う人が55.6%、イベントに参加する人が43.2%、公式ファンクラブ等に入会する人が37.3%など、公式が提供しているサービスを購入する人が多いことがわかります。
推し活をする人は好きな対象を応援するために時間とお金を使うため、そこに経済活動が生まれます。AKB48は推し活の心理をうまく使い売り上げを伸ばした好例です。握手券や総選挙のために何枚ものCDを購入した人が大勢いました。
アーティストのコンサートに行くのに地方から会場まで交通機関を使う人もいます。有名アーティストがコンサートをすると、その町の宿泊施設が満室になることも多く、飲食店なども潤うでしょう。
推しがコラボしている企業の商品を購入したり、推しが訪問した場所に自分も行ったりすることで消費に繋がっています。
ネオマーケティングの調査では、推し活に費やせる金額は年を重ねるほど上がるため、Z世代より前の世代にも推し活が浸透すれば、経済圏も広がっていくでしょう。
推し活は、人生を生き生きとさせてくれるもの
この記事では推し活の心理やメリットなどを解説しました。
推し活は様々な調査で、人にポジティブな影響を与えていることがわかっています。推しに触れることで幸福感や充足感を感じます。
好きという原動力は行動となり、応援のための消費につながります。自分のお金や時間を使うことと推し活が密接に関連しているため、やりすぎに注意が必要です。
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