- ChatGPTを業務利用したいが、ライセンスはどうなるのか?
- ChatGPTで生成したコンテンツは商用利用できる?
- 著作権関連などで想定されるトラブルは?
上記のような疑問を抱えていませんか?
今回は、ChatGPTで生成した文章のライセンスは誰に帰属するのか、注意が必要なケースと併せて解説します。
ライセンス問題が生じる理由やトラブルを回避する方法にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。
OpenAIの基本方針
ChatGPTの開発元は、非営利団体のOpenAIです。
OpenAIでは、ChatGPTのライセンスについてどのように規定しているのでしょうか。
公表されている情報を元に、OpenAIの基本方針を確認しておきましょう。
コンテンツの権利・権限・利益はユーザーに譲渡される
OpenAIでは、インプット情報(プロンプト)およびアウトプット情報を「コンテンツ」と定義しています。
ユーザーによる質問文・ChatGPTの回答文は、すべてコンテンツとして扱われると捉えてください。
OpenAI公式サイトの利用規約では、コンテンツの取り扱いについて次のように記載されています。
【和訳】インプットおよびアウトプットは、総称して "コンテンツ"です。当事者間において、また適用される法律で許可される範囲において、お客様はすべてのインプットを所有します。お客様が本規約を遵守することを条件として、OpenAIは、ここに、Outputに関するすべての権利、権限および権益をお客様に譲渡します。つまり、お客様は、本規約を遵守すれば、販売や出版などの商業目的を含め、いかなる目的にもコンテンツを使用することができます。
出典:OpenAI「Term of use」
ChatGPTを活用して生成されたコンテンツは、全てユーザーに譲渡すると明記されています。
生成されたコンテンツのライセンスはユーザー側にあるというのが、OpenAIの基本的な方針ですが、このような規約は予告なく変更になることがありますので、生成されたコンテンツはリライトする意識でいれば間違いありません。
利用プランに関わらず商用利用が可能
ChatGPTは無料で利用できる一方で、有料プランも提供されています。
有料プランは次の2種類です。
- ChatGPT Plus:GPT-4、混雑時の優先アクセスなどが利用可能
- ChatGPT API:外部アプリ等からChatGPTを利用するための仕組み
コンテンツに関する権利譲渡が適用される点について、無料プラン・有料プランに違いはありません。
利用プランに関わらず、商用利用が認められています。
2023年5月時点では法人契約プランは提供されていないため、全てのユーザーに商用利用が認められていると考えてください。
ライセンスの取り扱いに注意が必要なケース
ライセンスがユーザーに帰属するのであれば、ChatGPTで生成したコンテンツは無制限に利用できるのでしょうか。
実は、ChatGPTで生成したコンテンツにも取り扱いに注意すべきケースがあります。
次に挙げる3つのパターンでは、法的な問題が生じるケースが想定されることを押さえておきましょう。
インプットがオリジナルではない場合
著作物などから引用してプロンプト(質問文)を作成した場合、アウトプットにも著作物の一部が含まれている可能性があります。
ChatGPTはインプットがオリジナルの文章かどうかを判別していないからです。
生成されたコンテンツに著作物の一部が含まれていた場合、著作権を侵害する恐れがあります。
代表的なケースとして、海外メディア等の記事を日本語に翻訳した場合などが想定されるでしょう。
原文の著作権は著作者に帰属するため、引用・翻訳した文章を無断で掲載・発表することは認められません。
インプットがオリジナルの文章ではない場合、ライセンスの取り扱いに注意する必要があります。
アウトプットに著作物が含まれる場合
ChatGPTが生成したアウトプットに著作物が含まれていることも想定されます。
ChatGPTは必ずしも引用元を明示しないため、意図せず著作物を無断利用してしまうリスクを孕んでいるのです。
仮にアウトプットに著作物が含まれていた場合、無断で掲載・発表すれば著作権の侵害にあたります。
インプットがオリジナルであっても、アウトプットに著作物が含まれている可能性がゼロとは言い切れません。
インプットに機密情報が含まれる場合
ChatGPTに入力するプロンプトに機密情報が含まれている場合、自社のライセンスが侵害される恐れがあります。
未公開の企画や顧客・取引先の個人情報に関わる内容などは、プロンプトとして入力すべきではありません。
ChatGPTが生成するコンテンツの権利がユーザーに譲渡される以上、入力した情報がどこで利用されるか予測できないからです。
OpenAIのライセンスではなく、自社のライセンスを侵害するリスクもあることを十分に理解しておく必要があるでしょう。
なぜライセンス問題が生じるのか?
ChatGPTが生成するコンテンツはユーザーに譲渡されるにも関わらず、なぜライセンス問題が生じかねないのでしょうか。
ライセンスの取り扱いについて理解するには、ChatGPTの基本的な仕組みや特性を知っておく必要があります。
ChatGPTの基本的な仕組み
ChatGPTは大規模言語モデル(LLM)を活用して構築されています。
LLMとは、入力された文字列に対して出力すべき文字列を予測するモデルのことです。
ChatGPTはプロンプトに応じて適切な文字列をインターネット上から収集し、自然な文章に整えて回答文を生成しています。
インターネット上から情報を収集していることが、ライセンスの扱いを考える上で重要なポイントといえるでしょう。
生成されるコンテンツの特性
ChatGPTが生成するコンテンツには、インターネット上から収集した情報が含まれています。
出典元がメディアの記事や論文といった著作物の場合、著作権は著作者に帰属するのは言うまでもありません。
生成されたコンテンツを個人利用するのであれば、著作権の侵害にあたるリスクを考慮する必要はないでしょう。
事業目的で商用利用する場合、生成されたコンテンツに著作物が含まれていた場合はトラブルに発展する恐れがあります。
出典が明示されるとは限らない
ChatGPTを利用する際の課題として、出典が明示されるとは限らない点が挙げられます。
生成された回答に著作物が含まれていたとしても、著作物からの引用であることに気づかない恐れがあるのです。
出典元を併記するかどうかは、生成AIによって異なります。
たとえば、生成AIの1つであるMicrosoft Bingは、出典元をできるだけ併記する方針で運営されているようです。
出典元を確認したい場合は、Bingにも同じ質問をした上で、回答に著作物が含まれていないか確認するとよいでしょう。
ライセンスに関するトラブルを避ける方法
ChatGPTを活用するにあたって、ライセンスに関するトラブルを避ける方法を紹介します。
次に挙げる3つのポイントを押さえて、トラブルに発展することのないよう注意しましょう。
プロンプトに無許可の著作物等を含めない
プロンプトに著作物が含まれていると、回答文にも著作物の一節が引用される可能性が高まります。
引用の許諾を得ていない著作物は、プロンプトに含めないようにしましょう。
著作物を引用する必要がある場合は、通常の利用時と同様に許諾申請を行う必要があります。
ChatGPTによって生成された文章が著作権法の適用外にはならない点に注意してください。
出典の記載を依頼する
ChatGPTの回答文には、出典元が併記されていないケースが多々見られます。
データなどを含む回答を求める場合には、「出典を併記して回答してください」などの一言を添えることが大切です。
ChatGPTが回答で示す出典元やURLが誤っているケースも少なくないため、出典元は必ず調査して確認しましょう。
出典の記載の要否に迷う場合には、Bingを併用して出典元の有無を確認しておくのも1つの方法です。
ChatGPTを活用した事実を明示する
ChatGPTで生成した文章に関しては、ChatGPTを活用した事実を明示することをおすすめします。
顧客や取引先が該当箇所を引用する際、ライセンスの取り扱いをどうするべきか判断する必要があるからです。
生成AIによって記述された文章だと分かれば、開発元の規約等を参照してライセンスの取り扱いを判断できます。
ChatGPTで生成したコンテンツは商用利用が認められているとはいえ、活用した事実を通知するのは必要な配慮といえるでしょう。
まとめ
ChatGPTで生成されたコンテンツは、全てのプランで商用利用が認められています。
ライセンスに関して問題になるとすれば、生成されたコンテンツがオリジナルと言えるかどうか、という点でしょう。
ChatGPTがコンテンツを生成する仕組みを理解した上で、適切に活用していくことが求められます。
今回紹介したポイントや注意点を参考に、ChatGPTの適切な活用を心がけてください。
※本記事に掲載した情報は2023年5月時点のものです。今後、OpenAIの規約が変更される可能性があります。
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