起業したくてもお金がないから諦めるという人は多いです。
実際に自己資金なしで起業をする人もいますが、どのように資金を調達しているのでしょうか。
この記事では「自己資金なしで起業する際にリスクはないのか」や「自己資金がなくても資金を調達できる方法はないか」と考えている人のために、以下の3つの内容に関して説明します。
- 起業のための資金を調達する方法
- 自己資金なしで起業するデメリット
- 自己資金なしでも起業が成功するポイント
自己資金が少ないけれども起業しようと考えている人は、ぜひ最後までお読みください。
起業のための資金を調達する8つの方法
自己資金なしで起業する際にも開業のための設備投資をするなら、開業資金と運転資金が必要です。
貯金がなく自己資金を捻出できない場合に、資金を調達する方法を8種類説明します。
- 融資を受ける
- 補助金や助成金を受給する
- クラウドファンディングで出資を募る
- 家族・親戚から贈与を受ける
- 現物資産を申告する
- 共同経営者に資金援助をしてもらう
- ビジネスプランコンテストに出場する
- 副業を始める
1. 融資を受ける
銀行から融資を受ける際は、一般的に自己資金が必要です。
開業時にはこれまでの実績がないため、余計に審査が厳しくなり、融資を受けるハードルは高くなります。
自己資金がなくても融資が受けられる主な機関は、日本政策金融公庫や信用保証協会、地方自治体などがあります。
代表的な融資制度を紹介します。
日本政策金融公庫 | ・新創業融資制度 ・中小企業経営力強化資金 ・挑戦支援資本強化特例制度 |
信用保証協会 | 制度融資 |
新創業融資制度
新創業融資制度は、日本政策金融公庫の制度です。
新創業融資制度を利用できる対象者には自己資金の要件があり、創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要です。しかし、自己資金が足りない場合は以下の条件に当てはまれば要件に該当します。
- 現在勤務している企業と同じ業種の事業を始める人
- 産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める人
融資限度額は最大3,000万円で、うち1,500万円は運転資金です。
無担保、無保証人の融資制度ですが、担保の有無で利率が異なるため注意しましょう。
参考:新創業融資制度
中小企業経営力強化資金
中小企業経営力強化資金は、日本政策金融公庫の融資制度です。
融資対象者は新たに事業を始める人、もしくは7年以内の事業者ですが、事業計画書の策定などの要件を満たす必要があります。
融資限度額は7,200万円で、うち運転資金が4,800万円です。
これから事業を始める人で、無担保、無保証人を希望する場合、新創業融資制度を併用することができます。
参考:中小企業経営力強化資金
挑戦支援資本強化特例制度
挑戦支援資本強化特例制度は「資本性ローン」とも呼ばれる、日本政策金融公庫の融資制度です。
資本性ローンとは負債ではありますが、自己資本とみなせるため、民間の金融機関から融資を受けやすくなります。
挑戦支援資本強化特例制度で新規開業資金の融資を受ける場合、技術やノウハウが新しく成長が見込まれる事業や、地域経済活性化に関わる事業をする必要があるなどの条件に注意してください。
融資限度額は7,200万円で、無担保、無保証人で融資を受けられます。
参考:挑戦支援資本強化特例制度
制度融資
制度融資は、自治体と信用保証協会が取り扱っています。
利用する場合は信用保証協会の利用が要件となっていることが多く、入金までの時間が長くなります。
金利が固定されており、金利の一部が補助されているので比較的利用しやすい制度です。
要件は自治体によって異なるため、開業する場所の制度融資を確認しましょう。
2. 補助金や助成金を受給する
補助金は主に経済産業省が管轄し、助成金は厚生労働省が取り扱っていることが多いです。
補助金や助成金は融資と違って返済しなくてもよいため人気が高いですが、審査の期間が長く、後払いであることに注意しましょう。
ここで紹介する補助金や助成金は、以下の種類です。
補助金 | ・IT導入補助金 ・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 ・小規模事業者持続化補助金 |
助成金 | ・両立支援等助成金 ・創業助成事業(地方自治体の取り扱い) |
IT導入補助金
IT導入補助金は会計ソフトやクラウド、パソコンやスキャナーなどのITツールを導入する際の経費の一部を補助するものです。
通常枠A類型の場合は補助率は2分の1以内で、5万円~150万円未満の間で補助されます。
申請の要件に「gBizIDプライム」アカウントを取得し、独立行政法人情報処理推進機構の「SECURITY ACTION」を宣言する必要があります。
参考:IT導入補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業が経営を改善するための設備投資などに使える補助金です。
経費の2分の1または3分の2の補助率で、補助上限額は750万円~5,000万円という大型の補助金です。申請する枠や従業員の人数によって上限額や補助率が異なるため、公式サイトで確認してください。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、商工会議所の管轄地域で事業を営む小規模事業者を対象にした制度です。
小規模事業者が経営改善のために作成した経営計画に基づいて、販路拡大や生産性向上を行った場合に補助されます。
通常枠の補助上限額は50万円で、補助率は3分の2です。
参考:小規模事業者持続化補助金
両立支援等助成金
両立支援等助成金は仕事と出産・育児や介護を両立させるために、雇用環境を整備する事業者を対象に4つのコースがあります。
- 出生時両立支援コース
- 介護離職防止支援コース
- 育児休業等支援コース
- 不妊治療両立支援コース
出産する女性だけでなく、男性も育児休業を取得できるように取り組んだり、介護休業や育児休業を取得しやすくしたりすることでかかった経費の一部が助成されます。
参考:両立支援等助成金
創業助成事業
地方自治体が実施している創業助成事業では、創業のために必要な資金の一部が助成されます。
東京都の創業助成事業では、都内で創業する人や5年未満の中小企業者を対象に、賃借料や設備費、人件費、広告費などの経費の3分の2までを300万円まで助成されます。
申請要件や対象者、対象経費が自治体によって異なるため、開業を計画している地域の創業助成事業を確認してください。
3. クラウドファンディングで出資を募る
クラウドファンディングは、オンラインで不特定多数の人から出資を募る方法です。
公益性が高い事業であれば多くの出資が集まる可能性もありますが、自己満足な開業理由では失敗しかねないので気をつけなければなりません。
以下のようなクラウドファンディングサイトを見て、どのような事業で多くの出資を集めているのかを確認しておくと、ある程度の成功感覚をつかめます。
クラウドファンディングで資金を集めるなら、事業理念やビジョン、社会に役立つ事業や軌道に乗るまでの計画性などをしっかりとアピールし、強い印象を与えることが重要です。
4. 家族・親戚から贈与を受ける
家族や親せきから贈与を受け、贈与契約書を作成すれば自己資金として認められます。
贈与契約書はどんなに少額でも必要です。少なくとも以下の内容を書面にしてください。
- 贈与日
- 贈与者の氏名
- 贈与を受けた人の氏名
- 贈与金額
なお、自己資金として認められるのは贈与金だけです。
借入金は返済しなければならないため、自己資金にはなりません。
贈与金も贈与であると証明できなければ自己資金にならないため、しっかりと証拠を残しておきましょう。
5. 現物資産を申告する
現物資産とは、それ自体に価値があり、売却することで現金にできる現物のことです。
現物資産には、以下のようなものがあります。
- 土地・家屋
- 貴金属
- 車
- パソコン
- ワインや時計などのコレクション
現物資産は売却することでお金になります。査定金額と同じ金額を自己資金にできるため、融資の際に有利となります。
6. 共同経営者に資金援助をしてもらう
共同経営者がいる場合、共同経営者に資金援助をしてもらい、自己資金にすることができます。
どんなに中の良い共同経営者であっても、将来何があるかわからないため、資金援助の証明書を作成することが大切です。
書類には以下の内容を少なくとも記載しておきましょう。
- 援助の金額
- 援助した日付
- 援助者の氏名
- 援助を受けた人の氏名
- それぞれの住所
7. ビジネスプランコンテストに出場する
ビジネスプランコンテストとは、これから起業する人や新しく事業を展開したい人などが自分の事業計画を発表し、入賞すれば賞金や投資家の支援などを受けられるものです。
事業計画が実現可能であるかどうかだけでなく、新しいアイデアがあるか、既存サービスの改善を見込めるかなどの観点から審査されます。
自らの事業計画の強みを、わかりやすくアピールできるかが入賞のポイントです。
ビジネスプランコンテストは全国で開催されており、J-Net21の起業・創業に関する表彰制度(ビジコン)で検索できます。
8. 副業を始める
本業がある場合、起業する前に副業で小さく始めると、リスクもその分小さく始められます。失敗しても本業があるので生活が困窮してしまう可能性も減ります。
副業で出た利益を自己資金にすれば、融資額も増え、起業や事業の拡大をすることができます。
本業と副業の両方をするため、プライベートの時間が無くなってしまいますが、お金の面でも心の余裕の面でも、リスクを低くして起業できるのが大きなメリットです。
自己資金なしで起業するデメリット
自己資金なしで起業することは可能ではありますが、成功の難易度が高くなってしまうことは否めません。
自己資金がないまま起業する大きなデメリットを説明します。
1. 信用度が低い
自己資金がない人は、お金を貯められない人やお金にルーズな人と見られがちで、信用を勝ち取りにくいです。
自己資金がないことは金融機関から見れば融資しても返済されなくなるリスクが大きいため、審査に通りづらく、融資額は低くなります。金利も高く設定されるため、融資を受ける場合に不利に働きます。
2. 資金繰りが難しい
起業する際には、設備投資や販路開拓などに費用がかかります。
一般的に、事業が軌道に乗るまで最短でも6か月はかかるとされています。
自己資金がなければ、その間の資金を他で賄わなければならず、自己資金がない人には1か月分の運転資金程度しか融資されないことが多いです。
事業を続けるためには資金力は欠かせないため、融資や補助金などを当てにして起業するのは避けるべきです。
自己資金なしでも起業が成功するポイント
自己資金がないまま起業するデメリットは大きく、メリットはありません。しっかりと自己資金を持っている方が融資を受けやすく、事業が成功しやすいです。
それでも自己資金なしで起業する場合は、成功へのポイントは資金の活用方法にあります。
融資などで得た資金をどう使っていくか、ビジネス計画と返済計画をしっかりと立てることが重要です。
1. 綿密なビジネス計画を立てる
起業を成功させるには綿密なビジネス計画が必須です。
勢いで起業したり、資金を人任せに考えたりしていては、課題が絶えないビジネスライフになってしまいかねません。
ビジネス計画を立てるには内部環境と外部環境の強みと弱みを分析し、目標を設定することが重要です。
内部環境と外部環境の分析にはSWOT分析が役立ちます。
2. 融資の返済シミュレーションを立てる
起業時に融資を受けた際、返済期間が定められているため期間内に全額返済しなければなりません。
日本政策金融公庫のWebサイトに返済シミュレーションが簡単に試算できるものがあるので、大まかな目安を確認しましょう。
ある程度の返済計画がわかれば、どのように事業を展開していかなければならないかの予想がつくため、事業計画の作成にも役立ちます。
自己資金なしでも起業はできるが難しい
この記事では、自己資金なしで起業する方法やデメリット、方法について説明しました。
自己資金がなくても起業することは可能ですが、かなりハードルが高いです。
融資を受ける際にも、少しでも自己資金がある方が有利に働きます。
廃業のリスクを減らすためにも、自己資金は最低6か月程度の運転資金を用意しておきましょう。
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