「起業をしたので事業を成長させる方法を知りたい!」
「社長を引き継いだので経営者としての基本的な知識を網羅したい!」
事業を始めたばかりの経営初心者の方、前任から社長を引き継いだ後継経営者の方向けに経営初心者が必ずおさえておくべき本を紹介します。
経営初心者が絶対に読むべき本とは?
最初にYouTube チャンネル「セミナーズ経営大学」で紹介した、経営初心者や後継経営者の方に知ってほしい知識を学べる本を紹介します。
ビジネスを起こす際の成功の秘訣や、これからの令和時代に有効な経営手法を知ることができるでしょう。
また、起業家としてある程度軌道に乗り始めたころに周囲の人間関係で起こりうる注意すべきことが分かる本も解説します。
ビジネスマンの父より息子への30通の手紙
1冊目は、キングスレイ・ウォードが書いた『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』です。キングスレイ・ウォードは、勤め人として会計事務所で働いた後、製薬関連の経営者となりました。
経営者である父親が、息子に将来事業を引き継ごうとしているときに書かれた本です。将来息子が成功して欲しいと願い、父はその思いを込めて息子へ手紙を送るのです。
書かれている内容は、19世紀半ばから後半にかけてのものです。そのため、表現や細かな中身について、すこし古く感じる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、経営をおこなううえで心にとめておきたい考え方は、現代に置き換えても不変的に学べることが多く、ぜひ読んでいただきたい本です。
内容
主に父のビジネスの失敗談を通して、どのように経営を行うべきかが30個にわたり書かれています。
例えば以下のような項目があります。ここでは、目次部分を引用してご紹介しましょう。
- 「企業家」とは何か?(第7通)
- 共同事業への誘惑(第十通)
- 事業を拡大する上で重要なこと(第十二通)
- 優れた指導者の条件(第二八通)
父は経営についてこのように語ります。「成功というのは、何本も別れて行く道の中の細い一本を辿って、 やっとたどり着くようなものであるのだ」と述べるのです。
「決して簡単なものではないけれど、頑張っていきなさい」という愛にあふれる思いやりをもったメッセージを送ります。
事業をこれから引き継いでいく人や、起業をしたばかりの人はぜひ読んでみてください。最初に何をしたらよいのか、経営についてどのように考えたらよいのかが明らかになります。
一部を紹介
キングスレイ・ウォードは、プロローグのなかで、以下のように述べます。
成功を勝ちとるために努力が欠かせないことは言うまでもない。しかしさらに大切なのはその努力をどのようにして成功に結びつけるかである。ひどく長い時間こつこつと働いているのに、その成果の極めて乏しい人が少なくない。なぜか?たいていは「常識」をうまく使って効果的な方向づけをし、努力を無駄なくまとめて使うことをしなかったからである。
『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』(著者:G.キングスレイ ウォード 翻訳:城山 三郎)P.18より引用
成功するためには、人生の目標を定めなければならない。まず自分の目標を定め、つぎにそこへ直接導く詳しい道順を考える。進路は現実的に計画すること。社長の地位を望まない人もいるだろうが、私たちはみな一生の間に、世間が期待する、あるいは求める、あるいは必要とするよりも、ずっと多くのことができないだろうか?私はきっとできると思う。
成功者の告白
2冊目は、神田昌典氏の『成功者の告白』です。この本は、読んだことのある方も多いかも知れません。
神田氏は、「マーケティングの神様」といわれ、経営コンサルタントであり作家としても活躍しています。
この本では、神田氏が多くの経営者と関わった体験や自身の経験から、5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語として書かれた本です。
> 成功者の告白
内容
神田氏は、事業を始めて独立して、ある程度上手くいき成功者と言えるような段階に入りかけたときに待ち受ける罠があるといいます。
例えば、罠が潜んでいる項目には以下のものがあるのです。
- 夫婦関係
- 親子関係
- お客様との関係
- 社員との関係
この本では、このように様々な人との関係の中で起きる出来事が、この物語を読んでいるだけでシミュレーションができます。
事業が軌道にのった際に、気を付ける項目を事前に抑えることによって周囲との関係を良好に保つ術が学べるでしょう。また、起こりえる問題を事前に把握していることは、さらに飛躍するうえで大事なことです。
一部を紹介
ここで、プロローグに書かれている、この本を端的に表している部分を紹介します。
大きな夢をもち、前向きに頑張れば必ず成功する。
成功者の告白 5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語(著者:神田昌典)P.7,10より引用
このような成功法則を私は信じてきた。そして、それは必ずしも間違いではなかった。
その結果、私は豊かになった。でもハッピーエンドでは終わらなかった。
今でも心に突き刺さることがある。なぜなら成功を目指す過程で、いくつもの地雷を踏んでしまったからだ。
(中略)
ビジネスで光が当たれば、その他の部分で影となる出来事が噴出するという事実-成功の暗い側面-は、誰もが触れたくないテーマである。その難しいテーマに、本書ではあえて踏み込みたい。
はじめの一歩を踏み出そう
3冊目はマイケル・E・ガーバー氏の『始めの一歩を踏み出そう』という本です。
世界的な大ヒット本であり、海外では「E-Myth」と呼ばれています。アントレプレナー(起業家)にまつわる神話の話です。
この本では、いわゆるモノを作って売る「職人的なタイプの人」がビジネスを始めると、どのような苦労を味わうかを紹介しています。
ありとあらゆるケースで人は職人的な能力を高めていきます。そうすると、足元を見失い「自分でできるのではないか」という誤解が生まれるといいます。「結果を出せてしまうのではないか」という罠にはまってしまうのです。
内容
この本の中では、パイを作るのが得意な女性が起業するという物語から始まります。
女性は、自分で事業ができるのではないかと思いショップを開きますが、 実際上手くいかないのです。
朝から晩まで働いているのに、時間が足りない悩みを繰り返してしまいます。
ここで明らかになるのは、自分のスキルが高く一つの仕事を成し遂げたり、職人として処理をしたりするだけでは、経営として十分でないということです。
この本を読めば、職人的な仕事で起業家として成功するためのポイントが明らかになります。
本書では、経営をおこなううえで「仕組みとして回さなければならない」「チームを作らないといけない」と述べます。つまり、組織を作って部下を持って、メンバーの強みを活かすことの大切さを説くのです。
職人的な人にとっては意味耳が痛い話かもしれません。しかし、上手くいくための希望の光が見出せる本でもあると言えます。
絆得経営のすゝめ
4冊目は、清水康一朗の『絆徳経営のすゝめ』です。
清水が世に伝えたい思いを込めた本です。徳によって絆を結ぶ、つまり相手に良いことをすることによって関係を結ぶことを述べます。
この経営手法は、近江商人から始まった「三方よし」の考え方が基となっています。絆によって関係を結ぶことが、これからの時代に必要になる考え方であるといいます。
世界で貧困などで悩んでいたり、人間関係の苦悩に苦しんでいたりする人を救うためには、この手法を伝える重要性を心から感じています。
特に経営初心者は、資金や人、モノなど無いものづくしです。無いもののなかで経営を進めなければならず、自分が相手に与えて良いことをするという「ゆとり」がなくなってしまうのです。
しかし、「綺麗ごとを言っていては仕事は成り立たない」と考える人もいるでしょう。だからこそ、綺麗ごとこそがこれからの時代に最も経済的な効果があるものであることを伝えるべくしてこの本を書きました。
経営者を助けたい
経営者が苦痛や苦悩など経営で痛い思いをせずに済むために、多くの方に手に取っていただきたい本になります。すでに読んでいただいた方も繰り返し読むことで、気付きが深まるでしょう。
おすすめの活用方法としては、社内で輪読会のような形で読み返して理解を深めてみてください。皆で意見を交わしながら読むことで、企業がよくなっていくのが分かるはずです。
基礎知識をつけたい初心者におすすめの本
経営の基礎知識をつけたい初心者に、おすすめの本を紹介します。
【新版】小さな会社★儲けのルール
『【新版】小さな会社★儲けのルール』は、ランチェスター法則を基に、中小・零細企業が生き残るための戦略を解説する書籍です。
ランチェスター法則とは、競争が激しい市場で差別化を図るための戦略として大企業が注目しない市場の隙間を見つけそこで強みを築くことです。
著者の竹田陽一と栢野克己は、多くの企業を調査・指導し、その経験をもとに商品・客層・エリアの絞り方や小さな部分でトップを獲得する方法を紹介しています。
ビジョナリーカンパニーZERO
『ビジョナリー・カンパニーZERO』は、スタートアップや中小企業が「偉大な企業」になるための要素を解説する書籍です。
企業の成功に大事なことは「何をするか」ではなく「何者であるか」を考え、失敗を成長の一部と捉えることです。
本書を通して企業の成長には適切な人材、リーダーシップ、戦略、ミッション・パーパスの設定と実行が欠かせないことを学べます。
今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「経営学」
『今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「経営学」』は、経営の初心者にもわかるように経営の基礎知識をやさしく解説した本です。
売上や利益を伸ばす方法、コストの抑え方、組織やマネジメントのしくみなどを学べます。
また、吉野家やコカ・コーラなど様々な企業の事例を紹介し、なぜこれほどまでに大きな利益を上げられるのか、その秘密や優れた経営を行っている仕組みを解説しています。
先代の社長から会社を引き継ぐ人におすすめの本
社長を引き継ぐ方におすすめしたい書籍を紹介します。
感動経営
『感動経営』は、JR九州の経営哲学をもとに感動を生む仕事の重要性が書かれた書籍です。
著者は、感動を提供することが経営の本質であり、それが企業の成功につながると主張しています。
著者が鉄道事業だけでなく、ホテル、不動産、外食など多岐にわたる事業を展開して成功した方法を学べます。
失敗の科学
『失敗の化学』は、オックスフォード大を首席で卒業したジャーナリストが様々な業界を横断し、失敗の構造について説明した本です。
医療ミスが改善されない理由や、航空業界がミスの報告を処罰しないことで事故を未然に防ぐ方法、戦闘機の帰還率を向上させた天才数学者の洞察などが紹介されています。
また「犯人探し」バイアスや「単純化の罠」など人間の判断ミスの根源にせまり、失敗を学びに変えるためのマインドセットを学べます。
リーダーになる人に知っておいてほしいこと
『リーダーになる人に知っておいてほしいこと』は、パナソニックの創業者、松下幸之助により書かれた本です。
成功するために知っておいてほしいこととリーダーとしての心得という2つの側面から48個にわたり、戦略や知識だけではともなわない経営の大切なことを著者のエピソードとともに学べます。
名著やベストセラーを読みたい人におすすめの本
経営初心者が読むべき名著やベストセラーの書籍を紹介します。
ザ・ゴール
『ザ・ゴール』は、エリヤフ・ゴールドラット博士が提唱する制約理論をもとに、企業の目的を徹底的に考え抜くビジネス書です。
企業の最大の目的である「利益を出すこと」を達成するために、組織の成長を拒む課題を洗い出し、正しい順序で改善していく方法を学べます。
経営者の条件
『経営者の条件』では、経営者が持つべき長期的な視野や調整能力、そしてリーダーシップを発揮する方法が解説されています。
経営者の資質を磨く方法や企業を発展させる方法について具体例が多く紹介されていて、経営者としてのスキルを高められるのが特徴です。
最高の戦略教科書孫子
『最高の戦略教科書孫子』は、約2500年前の中国・春秋時代によって書かれた兵法書である「孫氏の兵法」について、その内容からビジネスや経営で活かせるノウハウを初心者向けに解説した本です。
孫氏の兵法は、テスラのCEOであるイーロン・マスクやソフトバンクの経営者である孫正義の愛読書としても知られています。
経営者であれば一度は目を通しておきたい一冊です。
経営初心者がビジネス本を選ぶ際のポイント
経営初心者が本を選ぶ際には、何を重視すべきかを理解することが重要です。
経営に関して学びたい具体的なテーマを明確にしましょう。
例えばマーケティング、マネジメント、財務、戦略など、経営には様々な要素があります。
その中で、自分が最も知識を深めたい領域を特定し、その主題に特化した本を選びましょう。
次に、その本が実践的なアドバイスが書かれているかを確認してください。
理論だけでなく、具体的な事例や行うべきことが書かれている本は、経営の現場で直接役立つ知識を得られます。
経営初心者がビジネス本で勉強する方法
経営初心者が本で効果的に学ぶためには、読むだけでなく、具体的な行動に移すのが大切です。
まずは自分が何を学びたいのか、何が必要なのかを明確にしてそれを基にテーマ別に本を選んだり、経験豊富な経営者が書いた本を選んだりしてください。
そして、本から得た知識を実際の経営に活かすには、読んだ後に自分なりのまとめを作って学んだことを整理し、次に行うべきステップを記載します。それを参照しながら経営に取り組むことが大切です。
また、たくさんの本を読むことも大切ですが一冊の本を深く読むことも重要です。
同じ本を何度も読むことでその都度新たな発見があり、深い理解を得られるでしょう。
最後に本を読むだけでなく、自分が学んだことを他の人と共有してみましょう。
自分の理解を深めるとともに、他の経営者からのフィードバックやアドバイスを得られより理解を深められます。
まとめ
経営初心者に読んでいただきたい本をご紹介しました。
先人たちからの教えを事前に知っておき参考にすることで、企業経営を円滑に進めることができるでしょう。
経営におけるさまざまな困難も乗り越えることができるはずです。
ぜひ、今回ご紹介した本を手に取っていただき、経営を上手く進めるための指南となれば幸いです。
「絆徳(ばんとく)の経営スクール(MBS)」は、中小企業経営者に必要なマーケティングの知識や考え方などが体系的に学べるセミナーです。
「絆徳(ばんとく)」とは「あなたがよいことをするので、ずっと一緒にいられる関係性」という意味です。
自らが顧客にとって「よいこと」をすれば、顧客は自社のファンになってくれるでしょう。
そして自社の売上が上がります。
自社の利益だけを追及するのではなく、社会性・理念と経済合理性を矛盾なく両立させることが絆徳経営です。
セミナーでは実際に自社ビジネスに活用できる実践的スキルや、マーケティングによってビジネスを拡大した成功事例を学べます。
自社だけが良いのではなく、顧客や社会にとっても良いビジネスをするために「三方よしのマーケティング」をぜひ学んでください。