「社長の右腕となる社員をどのように見つけていいか分からない…」
「社長の右腕になる人物はどのような人がいいの?育て方は?」
幹部を育てることは、社長にとってとても大変なプロセスです。
清水氏自身、絆徳の経営セミナーやMBSといったセミナーを実施していますが、幹部の育成については61個の確認項目があるのです。
それほど、実際に右腕を見つけたり、幹部を育成したりするのは大変なことです。セミナーズに多くの方からこのことについて相談を受けるため、今回はポイントをしぼってお伝えさせていただきます。
この記事ではセミナーズの YouTube チャンネル「セミナーズ経営大学」の「社長の右腕(ナンバー2)の見つけ方、育て方5選」 を解説したものです。
社長の右腕(ナンバー2)の見つけ方、育て方5選
多くの会社は右腕を見つけようとするときに、採用方法を模索したり、紹介会社を調べて質の高い人材確保を目指したりします。
実は、大切なことは採用より別のところにあります。今回は社長の右腕(ナンバー2)の見つけ方や、育てるうえで大事なことを5つ紹介します。
組織図を作り、責任範囲を言語化すること
1つ目は、組織図を作って責任範囲を言語化することです。
最初のステップとして大事なことは、人を見つけようとして人材に目を向けるのではなく、組織に目を向けることです。
なぜなら、組織図を作って責任範囲を言語化しない限り 、ナンバー2にどの部分を担ってもらうかが明らかにならないからです。
責任範囲の言語化の重要性を、多くの失敗事例から感じています。
やってもらうことがよくわからないまま、期待が曖昧なまま優秀そうな人をナンバー2にしようとして、失敗するケースです。
どこの責任を担わせるのかが はっきりしない限り、優秀なナンバー2は育たないということです。
右腕が社長と同じような仕事をする弊害
社長の代わりに同じような仕事をする人を採用したとしましょう。しかし、社長と右腕の人のやることが重複するため、社長にとって邪魔になってしまうことがあるのです。
結果として、右腕になってもらうはずであった人に、出てもらわないといけなくなってしまいます。
他にも、社長の代わりになる副社長が同じようなことを担当していたら、社員はどちらの話を聞くべきか分からないでしょう。これにより、派閥争いが勃発することもあります。
そのため、組織図を作り右腕の人にどの部分を担い、責任を持ってもらうかを明らかにすることが重要です。この部分がとても大切な大前提であると清水はいいます。
ナンバー2の人に商品開発、マーケティング、営業、管理系など、どの部分を担当してもらうのかを考えましょう。
自分と違うタイプから選ぶ
2つ目は、社長と違うタイプから選ぶことです。
多くの社長は右腕に自分と同じような特性の人を見つけようとします。しかし、これが問題の元となってしまうのです。
別のタイプの人がいれば、社長の意思決定やミッション、理念などの基本的な戦略にズレが生じたときに気づくことができます。そして、スムーズに軌道修正できるのです。
同じタイプは経営の間違いに気付けない
一方、同じタイプの人はその間違いに気づけず破滅の道に一気に進んでしまうのです。
会社の経営が大変になると、良い人材を手元に置いていくことができなくなってしまいます。このような危機にあるときは、大抵人が離れていってしまうものです。
人材が次々辞めていってしまったり、部署ごと抜けていってしまったりしてしまうのです。
同じタイプであると、問題が起きたときにより大きな問題を起こす方向に向かって一気に進んでしまうことがあります。この問題をよく認識しておかなければなりません。
ナンバー2の人は会社を良くするためにいてもらうため、自分と違うタイプから選ばない限り会社が良くなりません。
会社の経営上の盲点をなくすために入ってもらっているのに、同じ特性の人では盲点がより一層見えなくなってしまうのです。
気づかぬうちに、内側から会社が崩れてしまうケースが多くあります。だからこそ、自分と違う部分に気づける人で自分と異なるタイプから選ぶことが重要です。
苦言を受け入れる
3つ目は、ナンバー2の苦言を受け入れることです。社長と違うタイプであるからこそ物事を違う側面から見られるため、苦言を呈してくれます。
例えば、社長が大胆過ぎるのであれば、右腕の人はブレーキとなるような助言ができるでしょう。
反対に社長が慎重すぎるのであれば、右腕の人は行動を後押しする助言ができます。
同じ考え方でないからこそバランスが取れて、経営を安定させることができるのです。
苦言を呈することができるのは責任範囲が重複していないから
「組織を作って言語化すること」でも触れましたが、同じタイプの人であると、責任範囲の重複が出てしまうことがあります。
右腕の人が苦言を呈することができるのは、責任範囲が重複していないからこそです。
社長と右腕の人が同じ箇所に取り組もうとすると、ある面では無責任な状態や免責状態ができてしまいます。行う場所が明確で社長とやるべき場所が重複していなければ、このような事態は起こりません。
例えば、右腕の人が営業部門に責任をもつとしましょう。
営業の責任はすべてその人にあるので、責任をきちんと果たすためにも苦言を呈することができます。
苦言を言えるは、社長と責任範囲が重複していないからであり、その人しかやる人がいないからです。
苦言は器を広げて聞く
苦言は当たり前のことですが、社長にとって心地良いものではありません。しかし、気持ちを抑えて器を広げて意見を聞くことが大切です。
影響力を発揮して苦言をいわれたとしても、苦々しい表情などをすることなく、論理的に話せるかどうかが重要となります。
また、社長としてはこのようなときにリーダーシップが発揮される場面でもあるでしょう。
内容に賛同できないときは、右腕が納得できるよう説明をして、納得して前に進めるような状態まで持ってくることでもあるのです。つまり、リーダーシップを求められるということです。
苦言を聞くことができると、優秀な人が入ってくる
器を広げられ論理的に話せると、とても優秀な人が入ってくるようになります。
とても優秀な人は、さまざまな論理的なこと、戦略や新しい施策、社長が気付かないことに気付くはずです。
右腕の人は、苦言を呈してもしっかりと受け止めてくれると感じると、安心して本音で意見ができるようになります。
このような状態になれば、本当に優秀な人が入ってきてくれるのです。
反対に違うタイプの意見が聞けないと、社員は言っても無駄だと感じるようになるでしょう。
そうして、優秀な人が何もいわないまま去っていくという結末になるのです。
こちらの記事では、ウィンザー効果、ピグマリオンの法則といったビジネスで人間関係を良好に保つ心理手法を解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
任せたら、任せきる
4つ目は、任せたら任せきることです。優秀な人は裁量を大きく自由に仕事をしたいと考えます。
優秀であるために、さまざまな自分の能力を発揮したいと思うのです。
社長は企業の全てのことに責任を負っています。そのため、報告によって確認をおこなったうえで任せきる必要があります。
報告がないままされてしまったことは、社長に責任は負いようがないのです。
そのため、幹部や他の部下も含めて皆を守るために、すべて報告してもらうよう伝えましょう。一旦内容を聞いたら社長の責任となることを伝えたうえで、しっかり報告するように話すことが重要です。
これを行うことによって、現場の問題が早い段階で察知できるようになります。
任せっきりにするのではなく、しっかりと報告させることによってその手綱を握りましょう。
このような関係性ができると、ナンバー2の人が自由に動けるようになります。
報告をしていれば、もし仮に失敗しても自分を守ってくれることが分かったときに、本当のナンバー2が育ち始めるのです。
失敗から学んでもらう
基本的に社長は失敗を通じて学んでいます。
最終責任者のため、誰かから教えてもらえるということが基本的にあまりないからです。
社長と同じように、ナンバー2の方にも失敗を通じて学んでもらいましょう。「失敗しても社長が責任を取るから」といって、まずはやってみてもらうのです。その代わり、漏れなく報告してもらうようにします。
もちろん、自由に業務に取り組めばたまには失敗するでしょう。
一方で、社長がこのような関わり方をすることにより、「次にどうしたらいいか?」という自主的に考える力を養うことができます。このようにして、優秀な人は自分自身で考え行動する力がつき育っていくのです。
反対に、苦言として受け取ってしまうと、お互いにストレスが溜まってしまいます。ナンバー2の人に「話しても無駄だ」と受け取られてしまい、力を発揮しなくなり育たなくなります。
すべてを話し合って決める
5つ目は、すべてを話し合って決めることです。
社長が思ったことすべてをナンバー2に相談します。
「これどう思う?」「こんな風にしてみたい」「何か感じることはない?」など、毎回話し合って決めるのです。社長の独断と偏見で決めてしまうと、他の人はどのように思うでしょうか。
「社長が勝手にやってしまうから、無駄だ」「前提を覆す人だ」などと思われ、優秀な人は残りたくなくなってしまうのです。
相談の無いまま仕事を進められると責任の負いようがなくなります。そして、「自分は大切にされている」という感情も失ってしまいます。
必ずナンバー2や幹部を育てようと思ったら、常に話し合うことが大切です。
まとめ
今回は、ナンバー2の育て方について5つご紹介しました。要点は以下の通りです。
- 組織図を作り、誰が何を担当しているのか確認した後、ナンバー2の責任範囲を言語化する
- 自分と違うタイプから選ぶことによって、経営上の盲点を見つけたり、責任範囲の重複を防いだりできる
- 苦言を受け入れることによって、優秀な人が入ってきやすくなる
- 社長への報告は細かくしてもらいながら、ナンバー2に任せきる
- すべてを話し合って決めることによって、メンバーの気持ちを大事にする
ナンバー2の選定の仕方や育て方を知って、よりよい企業経営をおこないましょう。
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