中古市場が急拡大している理由とは?ビジネスチャンスを掴む最新トレンドと課題

最終更新日: 2024/12/04 公開日: 2023/01/24

中古市場が近年急成長を遂げている背景として挙げられるのがSDGsの取り組みやフリマアプリ、まだ使えるものを処分してしまうことの非合理性などがあります。

この記事では、そんな中古市場、リユース市場においての現状と将来の予測をします。

次のような疑問をお持ちの方は、ぜひ最後までご覧ください。中古市場を読み解くキーワードや業界が抱える課題も紹介します

  • 中古市場が伸びていると聞くが、今なぜ伸びているのだろう?
  • 中古市場は今後も将来性が期待できるのか?
  • 今から中古市場に参入する場合、何が課題となるのか?

加えて、もしも売上をより大きくするための施策として中古市場への参入を考えているという方や、ニーズを広げる取り組みを模索している方は、こちらの資料もおすすめです。

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中古市場規模の現状と将来予測

はじめに、中古市場規模の現状と将来予測を見ていきましょう。

現状、中古市場がどのくらい拡大しているのか、今後数年間でどの程度の成長が見込まれているのかを把握しておくことが大切です。

2020年の中古市場規模は2.4兆円

環境省の調査によれば、2020年時点で中古市場規模は2.4兆円に達しています。

2011年時点での市場規模が1.2兆円だったことを踏まえると、わずか9年間で2倍に成長を遂げているのです。

一例として、インポートブランドの小売市場規模が2兆円強であることから、巨大な市場に成長していることが分かります

ジャンル別に見た中古市場規模

リサイクル通信の調査では、2021年時点での中古市場規模におけるジャンルごとの内訳は下記の通りです。

【2021年 ジャンル別 中古市場規模(前年比)】
・衣料・服飾品:4,587億円(+14.4%)
・ブランド品:2,947億円(+19.6%)
・家具・家電:2,518億円(+6.2%)
・バイク・原付:1,990億円(+10.5%)
・玩具・模型:1,803億円(+19.7%)
・スポーツ・レジャー用品:1,172億円(+10.8%)
・ゲーム・メディア:1,041億円(−1.3%)

出典:リサイクル通信「リユース業界の市場規模推計2022(2021年版)」

とくに衣料・服飾品やブランド品、玩具・模型の中古市場規模が急拡大していることが分かります。

中古市場が拡大している実態から、次の2つの傾向が読み取れるでしょう。

  • 不用品を捨てずに売却する人が増えた
  • 新品ではなく中古品を購入する人が増えた

売り手と買い手が明確に分かれておらず、同じ人が買い手にも売り手にもなり得ることが中古市場の大きな特徴といえます

衣料品やブランド品、玩具といった身近な不用品を売買するのが当たり前になりつつある実態が顕在化してきたということです。

2025年には3.5兆円規模に成長する見込み

環境省による前出の発表では、中古市場は2025年に3.5兆円規模に達すると予想されています。

2020年から5年間で140%以上の成長が見込まれていることから、さらに成長し続ける業界であることは明らかです

今後成長する可能性の高い市場を探している方にとって、注目しておくべき市場の1つといえるでしょう。

中古市場が急拡大している理由

中古市場はなぜ今、急拡大しているのでしょうか。

主な理由として、次の3点が挙げられます。

理由1:フリマアプリの利用者増

中古市場が急拡大している要因の1つとして、売買できる場が増えたことが挙げられます。

メルカリなどのフリマアプリに対する認知度が高まり、中古品を売買することへの抵抗感が薄れているのです。

オンラインで個人がモノを売買する仕組みは、フリマアプリ以前から存在していました。

代表的なサービスがネットオークションです。

中古品を売買できる点はフリマアプリと共通していますが、ネットオークションとフリマアプリには下記の違いがあります。

フリマアプリネットオークション
購入価格定額(=出品者が決定)最高落札価格
購入方式先着順入札
取引終了購入決定時入札終了時(即決あり)

オークションは購入者や購入価格が決定するまでに時間を要するのが特徴です。

一方、フリマアプリはECサイトでのショッピングと似た感覚で、待ち時間なく購入できます。

個人間でモノを手軽に売買できる仕組みが浸透したことが、中古市場の急拡大へとつながったのです

理由2:経済合理性を重視する消費者の増加

経済合理性を重視し、新品以外に中古品も視野に入れて商品を選ぶ消費者が増えたことも一因と考えられます。

近年はコロナ禍を通じて在宅時間が増大し、身のまわりの不用品を整理しておきたいというニーズが高まりました。

追い打ちをかけるように物価上昇の波が押し寄せたことで、経済合理性を重んじる消費者の志向はさらに強まったといえます。

実際、中古品といっても未開封の商品や、ほとんど使われていない状態の商品も少なくありません。

状態の良い中古品を入手できる機会が多くなったことで、あえて新品ではなく中古品を買い求める消費者が増えているのです

理由3:環境に対する意識の高まり

市場にモノが溢れている昨今、大量生産・大量消費のあり方に疑問を投げかける人も少なくありません。

まだ使える製品を不用だからという理由で捨ててしまうのは「もったいない」「環境に良くない」といった意識が芽生えています。

中古品の売買は、物品が不用と感じる人と欲しい人をつなげるだけでなく、環境負荷の軽減にも結びつくはずです。

売り手と買い手、世の中がいずれも得をする、まさに「三方よし」の仕組みといえるでしょう

中古品の売買は、環境に対する意識の高まりと親和性の高い市場という点でも注目を集めているのです。

中古市場の将来を読み解くキーワード4選

今後の中古市場がどのように発展していくのかを予測するにあたって、押さえておきたいキーワードを紹介します。

次に挙げる4つのキーワードが、中古市場の将来を読み解く際に役立つでしょう。

3R

中古市場を象徴する言葉の1つに「3R」があります。

3Rとは、Reduce・Reuse・Recycleの頭文字を取った言葉です。

【3Rとは】
・Reduce(リデュース):原材料に使う資源の削減、廃棄物の減量
・Reuse(リユース):再使用・再利用
・Recycle(リサイクル):廃棄物の再利用、使用済み製品の回収

3Rのうち、中古品の売買が直接的に関わるのは「リユース」です

ある人にとっては不用品でも、別の人にとっては十分に使える・むしろ使いたい製品の可能性は十分にあるでしょう。

中古市場はリデュースにも間接的に貢献しています。

不用品の再利用が広がっていけば、結果として廃棄物の減量にもつながるからです。

限られた資源をできる限り効率よく活用する3Rの実現に、中古市場は今後も貢献し続けていくことになるでしょう。

SDGs

SDGsとは、持続可能な開発目標のことです。

2030年までに持続可能でよりよい世界を実現するための目標として、国際社会で標榜されています。

SDGsには17の目標が掲げられていますが、中でも中古市場に深く関わっているのは次の5つです。

【中古市場と関わりの深いSDGsの目標】
・エネルギーをみんなに そしてクリーンに
・つくる責任 つかう責任
・気候変動に具体的な対策を
・海の豊かさを守ろう
・陸の豊かさを守ろう

消費者にとって中古品の売買は「高い売りたい・安く買いたい」といった個人的な欲求を満たすためだけの行為ではありません。

中古品を売買すること自体が、国際的に掲げられている環境保全・持続可能な社会の実現につながっているのです

大量生産・大量消費に歯止めをかけるために個人ができる取り組みとして、中古市場のニーズは今後も拡大していくと予想されます。

CtoC

中古市場には、大きく分けてBtoCとCtoCの2種類の事業形態があります。

【中古市場の事業形態】
・BtoC:店舗での中古品買取・販売
・CtoC:フリマアプリ、ネットオークションといった個人間取引

BtoC市場は、コロナ禍で休業や時短営業を余儀なくされた店舗も少なくなかったことからやや苦戦を強いられています。

一方、CtoC市場は2018年から2020年までの2年間で市場規模が23.3%増加しているのです(※)。

スマートフォン1つで手軽に個人間取引が可能となった今、買取や中古品購入のためにあえて店舗に出向かない人も増えています。

今後、中古市場を牽引役を担うのはCtoC市場となる可能性が極めて高いでしょう。

※引用元:環境省「令和3年度リユース市場規模調査報告書」より

シェアリングエコノミー

中古市場をより大枠で捉えると、シェアリングエコノミーの一翼を担っていることいえます。

シェアリングエコノミーとは、モノや場所、スキルなどを人に提供したり、人と共有したりすることで成り立つ経済圏のことです。

シェアリングエコノミーには、次に挙げる5分野があります。

【シェアリングエコノミーの5分野】
・空間のシェア:民泊、駐車場シェア、ホームシェアなど
・移動手段のシェア:カーシェアリング、ライドシェアリングなど
・モノのシェア:フリマアプリ、レンタルサービスなど
・スキルのシェア:クラウドソーシング、家事代行など
・お金のシェア:クラウドファンディングなど

中古市場が関わるのは「モノのシェア」です。

シェアリングエコノミーに関連するサービスの大きな特徴として、事業者は商品を直接提供しない点が挙げられます。

フリマアプリのサービス提供事業者は、ユーザーがモノを売買するためのプラットフォームを提供するのみです。

商品の仕入や製造、加工といった工程を必要としない点で、従来の事業とはビジネスモデルが大きく異なっています。

中古市場に参入する際には、中古品の売買がシェアリングエコノミーの一部であることを意識しておく必要があるでしょう

中古市場が抱える課題

将来性が期待できる中古市場ですが、業界特有の課題も抱えています。

具体的には、次の3つの課題への対応策を検討しておくことが大切です。

競争激化

中古市場の拡大に伴い、事業者間の競争が激化しています。

フリマアプリなどのオンライン取引では、実店舗のように商品を陳列しておく必要がありません。

取り扱える商品点数は無制限であることから、各サービスが商品ジャンルを拡大した結果、差別化が困難になっています。

消費者は同じ商品を複数のサービス間で比較し、より安く状態の良い商品を手軽に探せるようになりました。

以上の背景から、中古市場はすでに価格競争に突入しつつあり、サービスの特色をいかに打ち出すかが課題となっているのです

隣接業界の参入

中古市場のプレイヤーは、従来から中古品の買取・販売を手がけてきたリユース専門事業者だけではありません。

レンタル事業者リサイクル事業者アプリ・Webサービス事業者など、隣接する業界が続々と中古市場に参入しています。

サービスの利便性を高めるために、従来は実店舗を展開していた事業者もオンライン事業に注力せざるを得なくなっているのです。

資金力のある大手サービスが有利な状況になりつつあり、小規模事業者は新たな事業モデルを構築する必要に迫られています

新規参入する場合は、隣接業界の動向も注視しておく必要があるでしょう。

業界再編

中古市場では、近年M&Aによる事業の譲渡・買収が相次いでいます。

2019年・2020年の2年間においても、3件のM&A案件が見られました。

【中古市場のM&A事例】
・2019年4月:おお蔵(ゲオホールディングスが買収)
・2020年5月:エコプラス(ハードオフコーポ−レーションが買収)
・2020年10月:ピックアップジャパン(トレジャーファクトリーが買収)

今後もM&Aによる業界再編が進む可能性があることから、業界動向が大きく変化することも考えられます

新規参入するのであれば、扱う商材や商圏をよく見極めることが重要です。

まとめ

中古市場は環境負荷への配慮やコロナ禍による外出自粛、物価上昇など複数の要因によって急拡大を続けています。

業界全体としては将来性が期待できる反面、業界動向が大きく変化している点を見落とさないよう注意しましょう。

中古市場が注目されている背景や消費者のニーズを捉えた上で、ビジネスモデルを検討していくことが大切です。

今回紹介したポイントを参考に、ぜひ中古市場での新たなビジネスチャンスを探ってみてください。

最終更新日: 2024/12/04 公開日: 2023/01/24