バリューチェーン分析とは?手順を知って企業活動の強みを見つける

最終更新日: 2021/12/09 公開日: 2021/10/31

あなたは自社の活動のどの部分で利益を生み出しているのか、逆にどの活動が損失を生んでいるのかわかりますか?

競合の多い市場でライバルと差別化するためには自社の強みと弱みの分析が欠かせません。

自社の状況を知るためのフレームワークには様々な方法がありますが、代表的なものの1つにバリューチェーン分析があります。

ところが「バリューチェーン分析をどのようにすれば良いかわからない」「バリューチェーン分析をした後の活用方法を知らない」と思う人も多いですね。

そこで、この記事ではバリューチェーン分析についての説明と手順の解説、企業の事例をを紹介します。

バリューチェーン分析とは?

chain

バリューチェーン分析は、ハーバードビジネススクールのマイケル・E・ポーター教授が1985年に「競争優位の戦略」という著書の中で提唱しました。

バリューチェーン分析は日本語で言うと、「価値の連鎖」となります。

1つ1つの活動が価値を生み、次の活動へとつないでいくという考え方をもとに、企業の活動を主活動と支援活動に分け、どの活動がどのような価値(利益)を生み出しているのかを分析するためのフレームワークです。

バリューチェーン分析では、主活動を縦軸に、支援活動を横軸に置いて、どの活動(プロセス)で付加価値を生んでいるのかを分析します。

主活動とは製品を販売するための活動

主活動とは、製品やサービスが顧客に渡るまでの活動の中で直接的に関わるものを言います。例を挙げると以下のような活動です。

  • 購買…原材料の仕入れ
  • 物流…商品の出荷・搬入・保管
  • 販売…商品の販売
  • 企画…商品の企画・立案
  • 営業…契約締結など
  • マーケティング…消費者への宣伝、ブランディングなど
  • 製造…商品の制作
  • アフターサービス…購入したお客様へのフォロー、サービス など

支援活動は主活動を支援するための間接的な活動

支援活動は主活動を支援する活動です。直接製品を顧客に販売するための活動ではありませんが、企業活動として必要な活動のことを言います。

例えば以下のような活動です。

  • 経理…予算管理
  • 総務…企業内の管理全般
  • 人事…人材確保
  • 労務…働きやすい環境づくり
  • 技術開発…新商品の開発、既存商品の改善
  • 材料の調達
  • インフラの整備…IT環境の整備

バリューチェーン分析の手順

teamwork

バリューチェーン分析のフレームワークには決まった型がありますが、内容は各企業によって変わります。

ここではバリューチェーン分析の手順を5ステップに分けて説明します。

バリューチェーン分析をするうえでの注意点は1人で分析せず、必ず複数人で行うことです。1人で行うと主観が入りがちですが、様々な部門の担当者が集まり分析することで、お互いを客観視することができます。

1. 自社の活動を把握し、主活動・支援活動に分ける

まず、自社のバリューチェーンを把握するため、企業活動を洗い出します。

企業活動とは、自社で行っている業務のことです。

例えば、技術開発、企画、営業、製造、宣伝、出荷、販売、アフターサービス、採用、経理、などの業務があります。

分析対象の事業に関する活動があればすべてリストアップしましょう。

洗い出しが終われば、それを主活動と支援活動に分け、フレームワークに沿って、時間軸で当てはめていきます。

2. 各活動に対するコストを算出する

フレームワークに沿って当てはめた活動それぞれのコストを算出します。

コストを客観的に見ることができれば、どの活動に収益性があるのか、どの活動はマイナスに転じているのかを確認できます。

算出したコストは担当部署別にリストアップしましょう。

3. 各活動の強みと弱みを書き出す

各活動の強みと弱みを書き出し、どの活動が付加価値が高いのか、費用対効果が悪い活動はどれかを浮き彫りにしていきます。

付加価値が高いものはさらに向上させる施策を行い、コストがかかりすぎている活動の挽回施策を考えます。

4. VRIO分析(ヴェリオ分析)

VRIO分析とは、

  • Value(価値)
  • Rareness(希少性)
  • Imitability(模倣可能性)
  • Organization(組織)

この4つの頭文字を順番に並べて名づけられました。

これら4つの要素を客観的に評価するフレームワークです。Yes/Noで評価するか、5点満点などの点数をつけて評価する方法があります。

この評価が「No」であったり、点数が低ければ自社にとっての弱みとなります。

5. 差別化できる価値を見出し、つくり出す

各ポイントでの強みと弱みが出されていれば、強みを伸ばすことで売り上げを増やし、弱みの部分を改善していきます。

特に強みは競合から差別化するために必要な情報です。

バリューチェーン分析は他社のバリューを調べるときにも役に立つため、自社は他社に負けないバリューがあるとわかれば、それを差別化にブラッシュアップしていきましょう。

バリューチェーン分析の事例

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ここでは、バリューチェーン分析のフレームワークから、スターバックスとZARA、ニトリの強みと成長要因について解説します。

スターバックスのバリューチェーン分析

スターバックスは日本でも人気が高いコーヒーチェーン店です。スターバックスの強みである原料調達とマーケティングについて解説します。

「原料調達」の強み

スターバックスはコーヒー豆をフェアトレードもしくは良い豆を他社より高額で購入しています。

その分、コーヒー一杯の価格は高くなりますが、お客様はおいしいコーヒーを飲むことができ、それが価値となります。

「マーケティング」の強み

スターバックスでは店内に無料のwifiを整備し、1人用のテーブルが多く、自宅や会社以外で仕事をしたいというお客様から支持を得ています。

うまくマーケティング分析を行い、消費者のニーズにいち早く応えることができた点も大きな強みと言えます。

結果、おしゃれな雰囲気の店内で、ノートパソコンを開いて仕事をすることがステータスであるというブランディングに成功しました。

ZARAのバリューチェーン分析

ZARAはスペインのファストファッションブランドです。ZARAの強みである企画、製造、流通、販売までの流れと、マーケティングについて解説します。

「企画」の強み

ZARAは自社で洋服のデザインを行っており、たくさんのデザイナーを雇用しています。

デザイナーが多いため1ヶ月に1度の新作発表を行い、お客様を飽きさせない工夫ができています。

「製造」の強み

ZARAはもともと製造業者から始まったブランドなので、洋服の製造をヨーロッパの自社工場で行っています。

自社のデザイナーがデザインした洋服を製造するため、新作の製造にも対応しやすい環境です。

「流通」の強み

ZARAは流通用のトラックを何台も保有しており、自社工場で作った洋服を24時間以内にヨーロッパの各店舗に届けられる体制を構築しています。

コストの安いアジアで製造すると流通に時間とコストがかかりますが、ヨーロッパで製造することで製造コストは高くなる半面、新作をすぐに店舗に届けて販売できるメリットがあります。

また、洋服は値札をつけてハンガーにかけられた状態で配送されます。

そのため多くの洋服を一度に運ぶことが難しいですが、商品をアイロンをかけずに販売することができます。

「販売」の強み

店舗は広く、市内の一等地にあるため、お客様は店舗に入りやすいですが、新商品が出ても限られた数しか入荷されません。

陳列されている新商品の数が少ないため、お客様は今買わないと売り切れるという心理状態になり、購買に繋がります。

なお、店員からは売れ行きに関する報告が逐一上がるので、それをもとに顧客ニーズとつかむことができます。

「マーケティング」の強み

店舗が市内中心部に位置しているため、賃借料がかかりますが、月一で新作が登場し品ぞろえが変わるため、店舗自体が広告塔として機能しています。よって、宣伝広告費が安く済みます。

ニトリのバリューチェーン分析

ニトリは家具や生活雑貨の小売店です。ニトリの強みは購買物流、製造、出荷物流、サービス、マーケティングなどに表れています。

「購買物流」の強み

ニトリはすべて企画、原料調達、製造、出荷物流、販売までの流れをすべて自社で行うSPA方式をとっています。

SPAとは「製造小売」ともいい、自社で企画から販売までを自己完結できるビジネスモデルです。SPA方式では消費者のニーズに迅速に対応でき、他社に委託するとかかるコストをカットすることができます。

「製造」の強み

ニトリでは、インドネシアとヴェトナムに自社工場を持っています。

そこでは自社のマニュアルをもとに製造を行い、徹底した品質管理を行っています。他にも協力メーカーの工場があり、大量生産を可能にしています。

「出荷物流」の強み

ニトリにはヴェトナムと中国に海外物流センターがあり、自社で貿易に関する実務なども行っています。

商社が代行している企業も多いですが、自社で行うことでコストカットが可能です。また、ロボットを使用した倉庫管理を行い、人件費の削減にも成功しました。

「サービス」の強み

店舗内の商品の配置をどの店でも同じようにしたことで、お客様はどの店に行っても同じようなサービスを受けられ、商品選びのストレスを減らしています。

「マーケティング」の強み

ニトリの商品は90%以上がプライベートブランドです。

品質管理マニュアルを整備し、製造拠点が海外に移したことで、品質を担保したまま商品の価格を下げ、「お、ねだん以上ニトリ」のキャッチフレーズに適した商品を販売し、ファンを増やしました。

また、ニトリの店舗は日本国内だけで450以上あります。

家具屋というと高級なイメージがありましたが、ニトリはその逆を行く高品質・低価格で気軽に入れる家具屋という立ち位置を取りました。

それが消費者のニーズにマッチしたと言えます。

バリューチェーン分析で自社の強みを差別化していこう

バリューチェーン分析とは、自社の活動のコストを把握し、強みと弱みに分け、他社より優位にあるものは差別化を行い、課題は改善に向けて働きかけるためのフレームワークです。

このフレームワークを使用すると、自社だけでなく競合他社の強みと弱みも把握でき、他社との差別化に大いに役立ちます。

ぜひバリューチェーン分析を行い、今後のビジネス展開を有利にし、新しい商品やサービスの販売に繋げていきましょう。

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最終更新日: 2021/12/09 公開日: 2021/10/31
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