FFS理論とは?5タイプで自分を変革するそのメリットや活用方法

最終更新日: 2024/11/15 公開日: 2024/09/13

FFS(Five Factors and Stress)理論とは、人の思考行動特性を5つの因子に分けることで強みやストレスを受けたときの反応などを把握するための理論です。

FFS理論を理解して自分が属するタイプやその特徴を把握することで自己理解を深められます。

それによりストレスを未然に防いだり上手く対処したりすることが可能です。他者理解にも役立ちます。

本記事ではFFS理論とは何かについて、各因子の詳細や活用することで得られる効果、実際の活用方法を解説します。

FFS理論とは

FFS理論(Five Factors & Stress)とは、人の思考行動特性を5つに分け、それぞれのタイプがどのようなときにストレスを感じるかというパターンを明らかにした理論です。

具体的には凝縮性・受容性・弁別性・拡散性・保全性の5つに分けられます。これらの側面は、人それぞれが持ち合わせている性質です。

状況によってポジティブな影響を発揮したり、ストレス下でネガティブな行動や思考を引き起こしたりします。

5つの因子のどれかが突出して強かったり、2〜3個の因子が強く出ていたり、個人によって5つの因子の強さは異なります。

当てはまる因子から行動特性を知ることで自己理解が深まり、ストレスを感じるケースを察知して事前にその事態になることを避けたり、強みを発揮したりすることが可能です。

また、自分の上司や部下がFFS理論においてどの因子に当てはまるかを把握することで、よりよい関わり方やチームワークを推進するきっかけになります。

FFS理論の開発者

FFS理論は、株式会社ヒューマンロジック研究所の相談役である小林惠智氏によって開発されました。

小林氏はモントリオール大学国際ストレス研究所で「ストレスと性格特性」の研究を行った経歴を持ち、マネジメントやリーダーシップに関する様々な書籍を執筆しています。

FFS理論を取り入れている企業

FFS理論は今までに1000社以上の企業への導入実績があります。

例えば以下のような企業です。

  • アクセンチュア株式会社
  • 本田技研工業株式会社
  • 医療法人有愛会 一枝クリニック
  • 株式会社ポーラ・オルビスホールディングス

コンサルタントやメーカー、医療など様々な業種の企業で運用されていることが分かります。

FFS理論の診断を受けられるサイト

FFS理論の診断を受けてみたい方は、小林惠智が相談役を務めている株式会社ヒューマンロジック研究所で企業単位で運用の相談を行っています。

また、宇宙兄弟×FFS診断は無料で簡易診断を行えるサイトです。気になる方は試してみるのもよいでしょう。

次の事項では、FFS理論の5つの因子の詳細について解説します。これらの説明を読むだけでも自身がどの因子に当てはまるか、ある程度推測できるはずです。

FFS理論は5つのタイプに分けられる

次に、FFS理論における5つの因子の詳細について解説していきます。

凝縮性

凝縮性は自分の中で確固とした価値観や信念を持っており、その価値観にしたがって行動する性質があります。

ポジティブな面に作用すれば、明確な意思を持って力強くチームを引っ張り物事を前に進められ、責任感を持って根気強く進められるのが特徴です。

ネガティブに作用すれば、周囲を支配しようとしたり自分と価値観や意見が異なる人を排除しようとしたりしてしまいます。

自分の中にある明確な価値観を一方的に否定されることにストレスを感じます。

受容性

受容性とは物事を良いか悪いかで判断し、面倒見がよく相手を無条件に受け入れるという性質があります。

ポジティブに作用する場合、物事を肯定的にとらえ変わりゆく事象にも柔軟に対応して物事を前に進められるのが特徴です。

一方、ネガティブに作用する場合、過剰に物事に介入したり相手に世話を焼きすぎたり自虐的になったりします。

自分の存在を認められていないと感じるときに大きなストレスを感じます。

弁別性

弁別性は、物事について適性があるか、そうでないかで判断します。曖昧さを嫌い物事を白黒つけることを好み、合理的に判断するのが特徴です。

ポジティブな面に作用すれば、物事を最大限に活かしてどうすれば効率的に進められるかを考え最短で合理的な方法にたどりつけます。

ネガティブに作用すれば、物事を早く処理するために詭弁的になったり機械的な対応になったりします。

曖昧な状況であることや物事に整合性がなく、理不尽な状態に陥ったときにストレスを感じるのが特徴です。

拡散性

拡張性は、好みで物事を判断し、好奇心に基づき思い立ったらすぐに行動に移す活動的な性質があります。

ポジティブに作用すれば、挑戦的で誰もしようとしないことにも果敢に行動し、既成概念にとらわれず大胆な発想で物事を変革していきます。

ネガティブに作用すれば、情動的で反抗的になったり、破壊行動に走ろうとしたりするのが特徴です。行動を制限されたり精神的な縛りを感じたりしたときにストレスを感じます。

保全性

保全性は好みで物事を判断し、物事を維持しながら計画的に進めコツコツと物事を遂行していくのが特徴です。

ポジティブに作用すれば、几帳面で周囲に気を配り状況を的確に察知しながらチームワークを大切にして業務に取り組めます。

ネガティブに作用すれば、慎重すぎて一歩が踏み出せず挑戦することを拒み、消極的・保守的になりやすいです。

予期せぬ事態や臨機応変に対応を求められる状況に置かれると、強いストレスを感じます。

FFS理論の活用で期待できる効果

次に、FFS理論の活用で期待できる効果を解説します。

他者とのコミュニケーションが円滑に進む

FFS理論を活用することで、他者とのコミュニケーションが円滑に進みます。

相手の性格特性を知ることで相手がどのような軸で物事を判断するのかが分かります。また、ポジティブやネガティブなときなど様々な状況でどのような行動を取るのかを理解することが可能です。

特に自分の性格特性と相手の性格特性の違いを知ることで「この場合は、私はストレスを感じやすいな」とか、「相手はこういう風に考えているのか」といった、自分と相手の共通点や相違点をはっきりと確かめられます。

そのため、コミュニケーションにおいて相手がストレスを感じそうな振る舞いを避けられるのです。自他ともにそれぞれの特性を理解することで、お互いの強みを活かし、弱みを補い合うような関係性を築けます。

ストレスに上手く対処できるようになる

FFS理論を活用することでストレスを感じる事態を未然に防げるようになり、仮に起こったとしても上手く対処ができます。

なぜなら自分の特性が分かることでネガティブなときにどのような反応をするか、ストレスを感じたときに取る行動が分かるからです。

事前にストレスについての知識を得られると、ストレスになりそうな場面を事前に想定して対策を立てられます。

例えば拡張性因子が強い場合、上司から働く時間や場所、業務内容を細かく決められることに強いストレスを感じるかもしれません。

もし自分が拡張性因子が高いと自覚していれば、事前に上司に相談できます。自由度の高い働き方や業務遂行の仕方を提案することで、このストレスを防ぐことが可能です。

多角的な視点から物事を判断できるようになる

FFS理論を活用することで、多角的な視点から物事を判断できるようになります。

なぜならFFS理論における5タイプの物の考え方を理解することで、一つの事象をとっても人によりまったく違う解釈をすることを意識しやすくなるからです。

自分の視点に執着することなく、常に異なる角度から物事を捉えようと考えられるようになります。「自分の視点にとらわれていないか」と自問自答することで、より客観的な判断を下せるようになるのです。

さらに自身の判断の限界を自覚することで、周りの人の意見を率先して取り入れられるようになります。様々な意見を比べて検討することでより良い判断ができるのです。

FFS理論の活用方法

FFS理論を実際にビジネスで取り入れる際の活用方法とその実践例について紹介します。

部下の強みを発揮できるマネジメントができる

上司は部下の特性の理解により、部下の強みを発揮させるマネジメントができます。

ポジティブな部分を最大限に伸ばし、ストレスを感じる場面を避けるための関わり方を考えられるのです。

例として上司が保全性、部下が拡散性が強ければ、上司は事前準備を怠らず細部まで気を配りながら作業を進めます。

例えば新しいITツールを導入した際、まずはマニュアルをじっくり読んでから使い始めるでしょう。

一方、部下は「習うより慣れろ」の精神でマニュアルを読まずに興味のあるところからツールを操作し始めるかもしれません。

二人は正反対の性質を持つため、なかなかお互いの性質を理解できないでしょう。

そこでFFS理論を活用すると上司は部下の特性を活かした働き方を促せます。

拡散性の強い部下は、興味のある仕事であれば自ら進んで取り組む傾向があります。

そのため、上司は部下に興味のある仕事を与えることで高いモチベーションを引き出すことができ自主性を育めるのです。

具体的には上司が仕事の方向性を決めたうえで部下に興味のありそうな業務と裁量を与えることで、部下のモチベーションを高めて能力を最大限に引き出せます。

FFS理論により上司は部下の特性を理解し、それぞれの強みを活かせるマネジメントを行えます。

多様性を持ちバランス感のあるチーム作りを行える

多様性のあるバランス感のあるチーム作りに活用できます。

社員それぞれの因子を把握することで、判断軸や個性に偏りのない人員配置ができるからです。

例えばプロジェクトを立ち上げたチームリーダーがFFS理論を活用すれば、データに基づいて多様性のあるメンバーを構成できます。

自分の目でメンバーを選ぶとどうしても主観が混じり、無意識のうちに自分と同じ特性を持つ人で固めようとしてしまうかもしれません。

しかしFFS理論を用いれば、異なる強みの特性をもつメンバーを意識的に選べます。

客観的な意思決定をしたり、様々な観点のアイデア創出を促せたりします。

例えば凝固性因子の強いリーダーがチームメンバーを選ぶときのことを考えてください。

凝固性因子は、自分の価値観に当てはまるかどうかを判断軸とします。つまり独自の価値観を持ってそれに当てはまる人材を選ぼうとするでしょう。

例えば「楽観的で前向きな人は、不安で前に進めない人より行動回数が多くなるので結果仕事で高い成果が出せる」という価値観を持っていたとします。

そうするとこの価値観に当てはまるメンバーを選ぶでしょう。

しかしこの価値観はその人の経験に基づいたもので、必ずしも正しくないことは明らかです。

楽観的で前向きな人はリスクを取れる一方で突っ走りやすく、時間をかけて考えるべき問題について考えずに決定してしまうこともあります。

楽観的な姿勢が常に高い成果につながるとは限りません。

FFS理論を学び社員の特性を知ることで、リーダーは自分が凝固性であることを自覚し、より柔軟な判断軸の視点を持てます。

強みを活かしたリーダーシップを発揮できる

FFS理論は自身の強みを活かしたリーダーシップを発揮できます。

リーダーはFFS理論で自分の特性を知ることで、強みを整理して見つめ直し、それを活かしたリーダーシップを発揮できるのです。

例えば受容性の高いリーダーは思い切った決断をすることに躊躇する一方で、物事を計画的に進められ他者への共感力に優れています。

この特性を活かしてリーダーは部下の悩みや相談を聞いて気持ちに寄り添ったり、メンバーから多様な意見を聞いて尊重したりすることでリーダーシップを発揮できます。

さらに、共感力を発揮して顧客の感情的なニーズをつかむのにも長けています。

もし弁別性のリーダーとタッグを組めば、データに基づいた論理的な分析を加え、顧客の感情的なニーズと利益を両立させる合理的な選択ができるのです。

自分の強みを補強する因子を持つリーダーと連携するのも個々の強みを活かしたリーダーシップを発揮する良い方法です。

FFS診断を受けることで自分と組織を変えられる

今回はFFS理論について、5つの因子の概要や活用により期待できる効果や活用方法例などを解説しました。

FFS診断は自己や他者への理解を深め、自己コントロール能力を高めるだけでなく、組織においては社員一人ひとりの強みを活かした生産性の高いチーム作りに役立ちます。

興味のある方はFFS理論を受けることで、自分や他社員の特性を知ることから始めてみてください。

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最終更新日: 2024/11/15 公開日: 2024/09/13