「従業員に企業理念がなかなか浸透しない」
「組織内でギスギスした雰囲気がある」
「なかなか人材が育たない」
このように悩んでいる経営者は、組織活性化を目指すことが重要です。組織活性化とは、企業理念に基づいて従業員が自律して業務を行う状態のことです。
この記事では、組織活性化の実現に悩む経営者のために以下の内容について説明します。
- 組織活性化の意味
- 組織活性化が必要な背景
- 組織活性化が実現している組織の特徴
- 組織活性化のための取り組み・フレームワーク
自律した人材を育てるなら組織活性化は必須です。ぜひこの記事を参考に組織活性化に取り組んでください。
組織活性化の意味
組織活性化とは、経営学者の伊丹敬之氏と加護野忠男氏が提唱した経営戦略における理論のことです。
従業員全員が自社の企業理念に共感し、やらされて働くのではなく、目標達成に向けて自らの意識や判断をもとに主体的に業務を行っている状態を組織活性化と言います。
組織活性化が実現できると、従業員はモチベーション高くやりがいを持って働いているので、従業員エンゲージメントの向上や離職率の低下が期待できます。
組織活性化が必要な背景
現在は様々な業務にITツールが使われています。ITツールの導入は便利で効率的に業務ができる反面、従業員同士のコミュニケーションが希薄になるのがデメリットです。
テレワークによって個人で仕事ができるようになると、ますます組織への帰属意識が薄らぎます。従業員同士での連携が取りにくくなることで、生産性の低下や目標未達を防ぐために、組織活性化が重要視されています。
組織活性化ができている組織の特徴3つ
組織活性化ができている組織の主な特徴は、以下の3種類です。
- 企業理念などが従業員に共有されている
- 従業員が主体的に業務に取り組んでいる
- 円滑にコミュニケーションがとれている
これらの特徴がある組織は従業員エンゲージメントが高く、離職率が低いことが多いです。
1. 企業理念などが従業員に共有されている
企業理念とは、会社の根幹を成す考え方や価値観のことです。自社で働く誰もが企業理念を理解していることが必要ですが、経営陣は知っていても従業員まで浸透していないことが多々あります。
従業員には経営理念を繰り返し伝え、企業が目指すべきゴールを明確にすることが重要です。企業理念が従業員にまで浸透し共感されていると、経営層と従業員との間で価値観のずれが少なくなり、同じ方向性に向かえます。
自分が組織のために何をすればいいかが明確になり、生産性や従業員エンゲージメントの向上を期待できます。
2. 従業員が主体的に業務に取り組んでいる
主体性とは、物事に自ら進んで取り組む力のことです。主体性のある人は自分の判断で業務の優先順位を決めて、目標に向かって行動できます。
自社のビジョンや目標を達成するためには、従業員が主体的に業務に取り組むことが必要です。上からの命令がなくても、自分でやるべきことを見つけて取り組むことも可能です。
何事にも積極的で自発的な行動を起こせる従業員が多いと、意見交換が活発になりお互いに協力し合える環境が生まれます。企業が成長するだけでなく、従業員一人ひとりも成長できるようになります。
3. 円滑にコミュニケーションがとれている
組織内では、部署や上下関係でコミュニケーションが分断されてしまうことがあります。自然なコミュニケーションがとれる風通しの良い組織は、正しい情報をスピード感をもって共有できるため生産性を高めやすいです。
組織全体で円滑にコミュニケーションがとれていると、経営層から従業員へ経営理念の共有や、個人や部署が持っているノウハウや情報の共有がしやすくなります。
他部署で起きた失敗事例なども共有することで、同じミスを繰り返さず今後に活かすこともできます。問題が発生しても迅速な対応ができるでしょう。
組織活性化に役立つ取り組み5選
組織活性化を実現させるために役立つ取り組みを5種類紹介します。
- 定期的な個別ミーティング
- ななめ面談
- マルチ担当制
- オフィスのフリーアドレス化
- ピアボーナス制度
組織活性化にはコミュニケーションの活発化がキーポイントとなります。役職や部署を横断したコミュニケーションをとれるように、自社でも工夫してみましょう。
1. 定期的な個別ミーティング
どの企業でも上司と部下との1対1のミーティングは実施していますが、サポートではなく人事評価のために実施している企業がほとんです。
組織活性化を目指すために個別ミーティングをするなら、上司と部下との対話が必要です。仕事上の目標達成度や課題だけでなく、プライベートの悩みなども話せる親密な関係を構築します。
ミーティングをする際、部下が話しやすいように上司は口をあまり挟まず、聞き役に徹することが大事です。自由に話せる関係性を構築できると、コミュニケーション不足による誤解などが減少し、意思疎通が取りやすくなります。
2. ななめ面談
ななめ面談とは、直属の上司ではなく別の部署や職種のリーダーや先輩との面談のことです。ななめ面談によって、直属の上司には話しづらい悩みや不満、上司が関わるトラブルの解決がしやすくなります。
別の部署や職種の人と話すことで、普段とは別の考えに触れられ視野が広がります。「自分を多くの人が見てくれている」と感じられると安心感も生まれるでしょう。
3. マルチ担当制
マルチ担当制は、一人のスタッフが複数の業務を担当する場合と、一つの業務を複数のスタッフで担当する場合の2種類があります。
一人のスタッフが複数の業務を担当する場合は、一つの業務だけしていると見えない課題が他の業務をすることで浮かび上がってきます。他の業務に関わるスタッフや仕事内容などを理解することで視野が広がることがメリットです。
一つの業務を複数のスタッフで担当する場合は、特定のスタッフに仕事が偏って負担が増えすぎるのを防げます。複数人で担当するとメンバー同士で話し合いができ、アイデアが生まれやすいです。
マルチ担当制を導入すると業務の属人性が解消されるため、担当が不在で意思決定ができないという問題や判断が偏ることがなくなります。
ただ、複数人で担当することで責任の所在がわかりにくくなることがあるため、責任や権限を配分することが必要です。
4. オフィスのフリーアドレス化
フリーアドレスとは固定した席を割り当てずに、従業員が自由にその日の席を決められる制度です。
オフィスをフリーアドレス化することで、毎日様々なスタッフと会話ができ、部署や役職に関係なく幅広いコミュニケーションが可能となります。
誰がどの席に座るか決まっていないため、偶然隣同士になった人と課題解決やアイデアの創出ができるかもしれません。
フリーアドレス化が難しい場合は、オフィス内にコミュニケーションスペースを作ることでも従業員同士のコミュニケーションを活発化できます。
他のスタッフとの交流を個人に委ねるだけでなく、コミュニケーションがしやすい職場環境を整備することが重要です。
5. ピアボーナス制度
ピアボーナス制度とは、従業員同士でボーナスを贈り合える仕組みのことです。他のスタッフが善い行いをしたときや何か手伝ってもらったときなどに、感謝の気持ちを込めてメッセージとボーナスを贈ります。
ピアボーナス制度があると部署を越えて感謝を気軽に伝えられるため、幅広いスタッフとコミュニケーションをとれます。人を褒める、もしくは褒められたことをきっかけに仕事以外の会話が増えやすく、信頼関係を築きやすくなることもメリットです。
組織活性化に役立つ3種類のフレームワーク
組織活性化に役立つフレームワークを3種類紹介します。
- マッキンゼーの7S
- ビジョン・ミッション・バリュー
- OKR
フレームワークを活用して自社の分析や情報整理を行い、組織内のコミュニケーションの活性化や従業員エンゲージメント向上を目指しましょう。
1. マッキンゼーの7S
マッキンゼーの7Sはアメリカのコンサルティングファームである「マッキンゼー・アンド・カンパニー」が提唱したフレームワークです。組織マネジメントで必要な要素を「ハードの3S」と「ソフトの4S」の7種類に分けました。
「ハードの3S」は以下の要素で構成されています。
- Structure(組織構造)
- Strategy(戦略)
- System(システム)
「ソフトの4S」の構成要素は以下の通りです。
- Staff(人材)
- Skill(スキル)
- Style(スタイル)
- Shared value(共通の価値観)
「ハードの3S」は経営者が変更できる要素ですが、「ソフトの4S」は従業員に関わる要素のため表面化しにくく、変更するのも困難です。
7S | 内容 |
---|---|
Structure(組織構造) | ・組織の形態 ・組織の仕組み ・指揮命令系統 ・上司と部下の関係性など |
Strategy(戦略) | ・経営戦略 ・アクションプラン ・事業の方向性など |
System(システム) | ・人事評価制度 ・給与体系 ・予算管理制度 ・目標管理制度など |
Staff(人材) | ・従業員の採用 ・従業員の育成 ・人事制度など |
Skill(スキル) | ・組織全体のスキル ・営業力 ・技術力 ・マーケティング力など |
Style(スタイル) | ・組織文化 ・社風 ・組織の雰囲気など |
Shared value(共通の価値観) | ・ミッション・ビジョン・バリュー ・経営理念 ・経営方針など |
7つの要素を洗い出すことで、自社の現状を細かく分析できます。自社の強みや課題が明確になるので、組織活性化のためにどの課題から改善すれば良いかがわかりやすく、施策の検討に役立ちます。
2. ミッション・ビジョン・バリュー
ミッション・ビジョン・バリューは、経済学者のピーター・F・ドラッカー氏が提唱した企業の価値観を表す手法です。その頭文字を取ってMVVと略されます。
Mission(ミッション) | 経営理念 企業が目指す目的・使命・存在意義 なぜ自社が存在するのか |
Vision(ビジョン) | 中長期的に達成する目標 自社の理想とする姿 ミッションを実現するために何を目指すのか |
Value(バリュー) | 具体的な行動指針・行動基準・価値観 ミッションとビジョンをどのように達成するのか |
ミッションは企業の根幹となるもので、変更されることはありません。ビジョンは環境変化などによって変更が可能です。バリューはミッションとビジョンに合わせて見直します。
ミッション・ビジョン・バリューを策定した後は、従業員に共有します。人事評価・表彰制度に組み込むことで、従業員は自分にも関わることだと考えるようになるでしょう。WebサイトやSNSを活用して社内外に周知することも必要です。
ミッション・ビジョン・バリューが従業員にまで浸透していると、モチベーションアップや従業員エンゲージメントの向上に役立ちます。
3. OKR
OKRは「Objectives and Key Results(目標と主要な結果)」の頭文字を取った目標設定と管理方法です。目標と達成すべき結果を設定し、自社の目標と部署やチームの目標、従業員個人の目標をつなぎ合わせます。
Objectives(目標) | ・定性的な目標 ・シンプルで覚えやすい ・1~3か月で達成できる |
Key Results(主要な結果) | ・定量的な指標 ・自信度50%の難易度 ・60~70%の達成で成功とみなす |
1つの目標に対して、主要な結果は2~5つ設定しましょう。
OKRを設定することで、自社の目標(経営理念)を明確化して従業員に共有しやすくなります。従業員一人ひとりが行うべき業務も明確になるので、モチベーションや従業員エンゲージメントも向上するのがメリットです。
組織活性化により働きやすい職場環境を整備しよう
この記事では、組織活性化ができている組織の特徴や、組織活性化のための取り組みやフレームワークなどについて説明しました。
組織活性化は自然とでき上がるものと考えられがちですが、経営者が活性化した組織を目指して計画的に取り組まなければ実現しません。
組織活性化が実現すると、組織内でコミュニケーションが循環し、従業員まで企業理念を浸透させることが可能です。縦割りや上下関係で分断されずに意見やアイデアを出し合える環境は、従業員にとって働きやすい環境と言えます。
自社が組織活性化を目指す場合、自社の課題を割り出し必要な施策を取ることが必要です。組織の現状や目指すべき組織を明確にして、効果的な施策に取り組みましょう。
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