経営組織論とは?組織を成立させるための3つの要素を解説

最終更新日: 2024/09/02 公開日: 2024/08/21

本記事では、経営組織論の6つの種類や、組織を成立・存続させるための要素などについて解説します。

経営組織論を理解しておくことで、合理的かつ効率的、機能的な組織の在り方や作り方がわかるようになるため重要だからです。

  • 「経営組織論って何?」
  • 「どのような組織を作ればいいの?」

このような課題を持つ会社の経営者は、事業の業績を上げるための理想の組織が、どのようなものか気になりますよね。

その悩みは経営組織論を学ぶと解決につながります。

会社の経営者でどのような組織を作ればよいかわからない方や、経営組織論について知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

経営組織論とは

経営組織論とは、企業や公共機関などの組織の運営や構成方法などについて論じている社会科学の分野です。

英名では「Management Organization Theory」といいます。経営組織論では、さまざまな理論が提唱されています。

たとえば、会社の生産性を上げるためには、組織の構造や機能にフォーカスして最適化させればいいという理論です。

また、組織の構造や機能だけでなく、人間の感情や心理にフォーカスしなければ組織は成長しないという理論もあり、複数の経営組織論を理解して、経営者の価値観や自社の組織構造にあった理論を取り入れることが重要です。

経営組織論の6つの種類

経営組織論では、組織の業績が向上する要因を明らかにして、実現させるために多くの理論が提唱されました。

本章では、そのなかでも代表的な経営組織論を6つ解説します。

  1. 古典的組織論
  2. 新古典的組織論
  3. 人間関係論
  4. オープンシステム理論
  5. コンティンジェンシー理論
  6. モチベーション理論

それぞれの経営組織論を理解して、自社に落とし込むと、より理想的な組織を形成できるでしょう。

1. 古典的組織論

古典的組織論は、組織の構造(業務プロセスや命令系統など)に着目し、生産性を上げる方法を明確にした理論です。

英名では「Classical Organization Theory」といいます。その名称の通り、経営組織論の黎明期に登場しました。

古典的組織論は、以下のような要素で主に構成されています。

  • 分業
  • 組織形成
  • 統制範囲
  • 命令系統
  • プロセス

上記のような組織の構造・機能面にフォーカスしているため、従業員の心理状態や感情には配慮されていません。

社員の心理や感情が成果に反映しにくい組織構造には、古典的組織論が適用されやすいでしょう。

しかし、組織の生産性が社員のモチベーションに大きく影響する場合は、使いにくいといえます。

2. 新古典的組織論

新古典的組織論は、前述した古典的組織論の従業員の感情的な側面を考慮しない点をカバーした組織論です。

この組織論では、以下のような組織の従業員の感情や心理的側面にフォーカスしています。

  • ニーズ
  • モチベーション
  • チームワーク
  • リーダーシップ

組織の業務プロセスや命令系統などの構造的な部分だけでなく、従業員の心理も事業の業績を上げる重要な要因となるためです。

新古典的組織論を組織に取り入れるならば、従業員の士気を高めたり、会話を促進させたりする体制を整えるのがよいでしょう。

カフェスペースの設置や社員旅行の実施などにより、社内の人間関係が良好になると、事業の成果の向上につながるとされています。

3. 人間関係論

人間関係論は、企業の生産性を高めるには、従業員のモラルや人間関係を改善することが重要とした経営組織論です。

休憩時間や出社時間の変更などの物理的な条件よりも、従業員の感情や態度にフォーカスしたほうが生産性が高まるというのです。

1920年代に心理学者「エルトン・メイヨー」や経営学者「フリッツ.J.レスリスバーガー」などによって提唱されました。

この理論は、電話機製造会社のホーエン工場で行われた実験が基になっています。

人間関係論を組織に落とし込むならば、まず組織の経営者は従業員としっかりコミュニケーションをとり、感情を把握します。

そして、従業員の理想を叶えられたり、欲求を満たせたりするような体制を整えることが重要です。

4. オープンシステム理論

オープンシステム理論とは、組織は外部の環境的要因の影響を受け、それによって活動が制限されるとした理論です。

環境的要因には、経済情勢や顧客の消費行動、法律、競合他社、文化的価値観などがあります。

組織はこれらの環境的要因に従うものとします。

そして不確定要素を前提として経営を考えると、効果的な戦略立案につなげられるのです。

たとえば、文化的な価値観の違いにより自社の商品・サービスが海外で売れなかったとします。

事業の成果が著しく低下する前に、その地域の文化的価値観に対応することで、スムーズに生産性を向上できます。

このように、環境的要因によって生産性が下がる可能性が考えられるときに、オープンシステム理論は活用可能です。

5. コンティンジェンシー理論

コンティンジェンシー理論とは、組織を構成しリードするにおいて、唯一絶対に正しい意思決定はないとする考え方です。

これはリーダーシップ理論のひとつです。

コンティンジェンシー理論が提唱される前は、組織を牽引するリーダーには「生まれながらの資質」が必要とされてきました。

しかし、コンティンジェンシー理論では、理想的な意思決定は、外的要因や内的要因によって異なるとしています。

そのため、状況に応じて役割を柔軟に変化させる必要があるのです。

コンティンジェンシー理論はどのような組織にも取り入れやすいといえます。

経営で意思決定が求められる段階で、従業員の意見を参考にすると、企業にとってより良い選択ができるようになるでしょう。

6. モチベーション理論

モチベーション理論とは、従業員のモチベーションを引き出し、組織の生産性の向上につなげるという考え方です。

従業員のモチベーションを引き出すためには、リーダーがその動機を理解しておく必要があります。

また、従業員の考え方や行動パターンを把握し、適切なアプローチをすることが求められます。

上記を理解した上で、労働条件の変化やインセンティブの導入など、従業員のモチベーションの向上につながる制度を用意しましょう。

従業員の士気が高まると、業務を効率的に遂行することを後押しし、自社の生産性や収益性のアップが狙えます。

モチベーション理論は、どのような組織にも取り入れやすい考え方だといえるでしょう。

組織を成立させるための3つの要素

経営組織論を語るには、米国の経営学者「チェスター・I・バーナード」が提唱した組織を成立させるための3つの要素を知っておきましょう。

  1. 共通の目的
  2. 組織への貢献意欲
  3. コミュニケーション

これらの要素のうち、ひとつでも不足すると組織は適切に機能しなくなります。

そのため、会社の経営者は「共通の目標」と「組織への貢献意欲」「コミュニケーション」の重要性を理解し、組織を牽引しましょう。

1. 共通の目的

組織を成立させるための3つの要素のひとつ目は「共通の目的」です。

組織の経営陣やスタッフ、関係者のすべてが共通の目的を持つことで、社内に協調性が生まれ一体感が増す可能性があります。

また、目的を共有して業務を進めると、社員のモチベーションが向上し、主体的に行動できるようになることが考えられるでしょう。

共通の意識を持ってプロジェクトを進めることで、仕事の効率性や合理性、生産性がアップし、売上の増加につながります。

2. 組織への貢献意欲

「組織への貢献意欲」も、組織を成立させるために必要な要素です。

従業員の「組織に貢献したい」という思いがないと、自分の利益だけを求めることになり、組織として成立しません。

組織の役に立ちたい意識があると、企業の利益が最大化される行動ができます。

組織への貢献意欲を高めるには、インセンティブを設けて、社員の努力が適切に反映されるようにするのが効果的です。

貢献意欲はモチベーションとも呼ばれるため、組織体制を整えるときはモチベーション理論を参考にしましょう。

3. コミュニケーション

最後の要素は「コミュニケーション」です。

社内のコミュニケーションがないと、組織は衰退するとされています。

従業員同士で意思疎通ができなければ、トラブルにつながり、業績の低下を招く可能性があるためです。

また「チェスター・I・バーナード」によると、コミュニケーションは短く直接的である必要があるとしています。

遠回しな表現ではなく、意図が適切に伝わるようにしないと、コミュニケーションが成立しなくなるでしょう。

組織が存続するための2つの条件

ここでは組織を存続させるための条件について解説します。

米国の経営学者「チェスター・I・バーナード」は、組織を存続させるための条件として、以下2つの要素を提唱しています。

  • 内部均衡
  • 外部均衡

それぞれ順番に見ていきましょう。

1. 内部均衡

内部均衡とは、従業員が自身の貢献度に対して、適切なリターンを受け取っていると感じている状態を指します。

「チェスター・I・バーナード」は、組織が継続して維持されるには、従業員の貢献意欲を引き出すことが重要としています。

そして、貢献意欲を引き出すためには、対価を用意する必要があるとも述べています。

成果に対するリターンを渡し、従業員が満足感を得られているならば、組織への貢献意欲が高まり会社を維持できるでしょう。

リターンとしては、貢献度に見合った給与やボーナス、福利厚生などがあります。

2. 外部均衡

外部均衡とは、市場のニーズに答え、価値を提供しているかどうかを指します。

つまり、組織の存在意義や有効性です。

常に変化する市場において、高い価値を提供し続けることが、会社を存続させるために重要です。

たとえば、市場でAIを活かしたシステムが求められているのに、AIでない技術を提供しても、ニーズがなく誰にも購入されないでしょう。

その結果、会社の売上が立たず、存続が困難になります。そのため、外部環境の変化に応じて、組織を柔軟に改革し続ける必要があります。

まとめ

本記事では、経営組織論の概要や6つの種類、組織を成立させるための3つの要素、維持するための2つの条件について解説しました。

経営組織論を自社の経営に落とし込むと、より理想的な組織を作ることに成功するでしょう。

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最終更新日: 2024/09/02 公開日: 2024/08/21