ピアボーナスは従業員同士で評価し合うシステムとして現在注目されています。
職場環境の改善に役立つシステムですが、新しい言葉のため内容がよくわからない人もいるのではないでしょうか。
「ピアボーナスについて詳しく知りたい」
「ピアボーナスにはどのようなメリットがあるのか」
「ピアボーナス導入に役立つツールはあるか」
このような悩みを持っている人事担当者や経営者の方のために、この記事では以下の内容を説明します。
- ピアボーナス導入が増えている背景
- ピアボーナスのメリット・デメリット
- ピアボーナスのおすすめツール
- ピアボーナスの導入事例
ぜひこの記事を読んでピアボーナス導入の検討に役立ててください。
ピアボーナスとは
ピアボーナスは「peer(仲間)」と「bonus(ボーナス)」を合わせた造語です。ボーナスは会社が従業員を評価し与えるものですが、ピアボーナスは従業員同士で贈り合うボーナスです。
大変な仕事を手伝っている人やすすんでオフィスを掃除している人など、一緒に働いている人の言動を見て感謝の気持ちを持ったときに報酬を贈ります。
日常のちょっとした助け合いや善行に対して感謝の気持ちを良い評価として表し、ボーナスという形になって本人に届きます。
一般的には目標達成度や上司が見た業務姿勢をもとにボーナスが決められていますが、一方向からの視点での評価でしかなく、目標達成に関わらない部分での良い行動が見過ごされがちです。
ピアボーナスは多方向からの視点で評価できるため、仕事に対するモチベーションアップにも役立ちます。
ピアボーナスの導入が増えている理由
ピアボーナスが注目されるに伴い、導入しようという企業が増えてきています。主な理由として以下の2点が挙げられます。
- リモートワークでもコミュニケーションを活発にしたいため
- 数字では表せない従業員の言動を評価するため
働きやすい環境を作り従業員の満足度を上げるために、ピアボーナスの重要性が増しているのです。
1. リモートワークでもコミュニケーションを活発にしたいため
現在は働き方が多様化し、リモートワークで働く人も増えてきています。リモートワークでは同僚や上司とのコミュニケーションが取りづらい欠点がありますが、その解消にピアボーナスが役立つと考えられています。
ピアボーナスを導入することで、感謝を伝える機会が増えるため良好な人間関係を構築できるのです。
2. 数字では表せない従業員の言動を評価するため
従業員の会社に対する貢献度は数字で測れるものだけで評価できません。人事評価は定量的に行われますが、人事部や上司の目に留まっていない価値を持つ人もいます。
そのような従業員の行動を評価するには毎日注意深く観察する必要がありますが、すべての従業員を見続けることは困難です。
ピアボーナスを使えば従業員同士で評価し合えるため、人事部や上司の目の届かない言動に対しても適切な評価ができます。
ピアボーナスを実施するメリット
ピアボーナスの主なメリットは以下の3点です。ピアボーナスを導入することで、職場環境をポジティブな雰囲気へと改善が見込めます。
- 従業員の離職を防ぐ
- コミュニケーションが活発化する
- 従業員エンゲージメントが向上する
自社への帰属意識が低下していると感じられる場合は、ピアボーナスの導入を検討してみましょう。
1. 従業員の離職を防ぐ
ピアボーナスは様々な業務を評価することができます。会社の給料やボーナスとは異なり定性的に評価した結果ピアボーナスがもらえるため、従業員の満足度が上がるでしょう。
人は感謝したりされたりすると、脳内から幸せホルモンのセロトニンが分泌されます。その結果、ポジティブになり良好な人間関係を構築できます。
職場環境が良くなると従業員の離職が減り、優秀な人材の流出を防げるのです。
2. コミュニケーションが活発化する
ピアボーナスの取り組みにより、直接業務で関わりのない従業員同士のコミュニケーションが生まれます。
お互いを褒め合うためには、人に関心を持ち認識しなければなりません。他の部署の仕事を知ることもできるため、コミュニケーションが図りやすくなります。
人を褒めることで業務外の会話も増えるでしょう。結果的に部署を超えた従業員の協力が活発化し、会社全体の団結力も高まります。
3. 社内の良い言動が可視化される
従業員同士がピアボーナスを使い賞賛し合っていると、どんな言動が褒められるのか、周りから褒められる人はどんな人なのかが可視化されます。
何をすればピアボーナスに繋がるのかがわかれば他の従業員が参考にできるため、より多くの良い言動が生まれるでしょう。
一人の善行が他の従業員に伝染し、社内環境の改善につながります。
ピアボーナスを実施するデメリット
社内のコミュニケーションを活発化しポジティブな雰囲気を醸成するピアボーナスですが、デメリットもあります。主なデメリットは以下の2点です。
- ピアボーナスを導入するコストがかかる
- 公平な運用が難しい
ピアボーナスの運用目的を明確にすることで、ある程度のデメリットは解消できます。
1. ピアボーナスを導入するコストがかかる
ピアボーナスは給料やボーナスとは別の報酬となるため、金銭的コストが発生します。ピアボーナスの報酬には現金や物品、旅行などがありますが、どの報酬にしても予算が必要です。
ピアボーナスツールを使う場合、初期費用や利用料などの運用コストもかかります。
予算をかけてまでピアボーナスが必要なのか、コストをかけた分以上の成果が出るのかを見極めることが重要です。
2. 公平な運用が難しい
ピアボーナスは従業員同士で報酬を贈り合うため、特定の従業員に報酬が集中する可能性があります。目立つ従業員だけが報酬を得続けると不公平感が増し、職場環境の改善に繋がりません。
一部の従業員が使い続けるのではなく全社で使う文化をつくり、目立たない従業員にも光を当てるような公平性を保つことが重要です。
ピアボーナスの導入ツール5選
サービス名 | 料金 | 特徴 |
---|---|---|
Unipos | 見積り要 | ・メッセージとポイント送信 ・リアクション返信 ・拍手 ・タイムライン ・アナリティクス機能 ・外部連携 |
OH!KIMOCHI | 初期費用無料 5,000円/月 | ・メッセージやスタンプ送信 ・匿名送信 ・タイムライン ・お知らせ機能 ・ポイント交換(別料金) ・管理機能 ・外部連携 |
RECOG | 見積り要 | ・レター機能 ・投稿フィード ・ハッシュタグ検索 ・トーク機能 ・データ分析 ・外部連携 |
TeamSticker | 見積り要 | ・サンクスカードやデジタルギフトの送信 ・VisionCast機能(全社配信) ・オリジナルステッカーの作成 ・Microsoft Teamsとの連携 |
TUNAG | 見積り要 | ・サンクスカード ・チャット ・タイムライン ・日報 ・社内ポイント付与・表彰 ・依頼タスク・カレンダー管理 ・エンゲージメント診断 ・組織図・プロフィール ・ダッシュボード |
現在、様々なピアボーナスのツールが出ています。メッセージやボーナスの送受信以外の機能を含んでいるツールもあるので、自社に必要な機能があるかを確認してください。
料金は組織課題や人数に合わせて見積りが出されることが多いです。ツールによっては無料お試し期間があります。
1. Unipos
Uniposは、Unipos株式会社が運営しています。感謝のメッセージと報酬をチャットやスマホから簡単に送信でき、感謝のメッセージをもらった従業員は簡単なリアクションでお礼を言えるツールです。
投稿は全従業員が見られるタイムラインに表示され、そのメッセージを見た他の従業員が拍手を贈ることで、メッセージと報酬を送った人もインセンティブがもらえます。
スマホアプリやビジネスチャットツールを使って気軽にメッセージやリアクションができるため、ピアボーナスを使うために業務を圧迫することがありません。SNSのような感覚で使えるでしょう。
参考:Unipos
2. OH!KIMOCHI
OH!KIMOCHIは、株式会社インサイトが運営しているメッセージカードとともに報酬を送れるツールです。メッセージの他にスタンプ機能もあるため、気軽に自分の気持ちを伝えられます。
もらった報酬をデジコポイントに交換すると、Amazon・Appleなどのギフトカードや現金などに交換が可能です。(別料金)
OH!KIMOCHI上での従業員のやり取り数を集計管理できるため、使用頻度が低い従業員に対して使用を促せます。
料金は1ワークスペースごとで人数制限がありません。1か月間の無料期間があるため、自社に適したツールかを確認できるのもメリットです。
参考:OH!KIMOCHI
3. RECOG
株式会社シンクスマイルのRECOGは、感謝のメッセージをレターとして送信できるコミュニケーションアプリです。
投稿フィードやハッシュタグ検索があるため、SNSと似たような操作性で使いやすく気軽にレターの送受信が可能です。
投稿フィードは社内で共有する掲示板のように使いますが、関係者だけで話がしたい場合は1対1やグループ間でクローズドな会話ができるトーク機能もあります。
RECOGでは月10回以上のレター送信で、世界の子供たちに給食1食分相当の寄付ができます。2022年は52,945食分の寄付がされました。
参考:RECOG
4. TeamSticker
株式会社コミュニティオが運営しているTeamStickerは、Microsoft Teamsと連携に強いツールです。
Microsoft Teamsを社内コミュニケーションツールとして使っている会社であれば今までのコミュニケーション方法を変更する必要がないため、導入しやすいピアボーナスシステムです。
メッセージだけでなくステッカーやデジタルギフトで感謝を伝えることで、サンクスカードを軸にした従業員エンゲージメントとウェルビーイングの向上を目指しています。
VisionCast機能を使い、Microsoft Teamsで全従業員向けにメッセージを配信すればプッシュ通知により開封されやすいです。
オリジナルのアイコンや文章のテンプレートを作成できる機能や予約送信機能なども便利です。
参考:TeamSticker
5. TUNAG
株式会社スタメンのTUNAGは「カスタマイズ可能な社内制度」「業務DX機能」「分析機能」の3つの軸に必要な機能がそろっている社内アプリシステムです。
自社の課題に合わせてカスタマイズが可能で、サンクスカードの送受信だけでなく、タイムラインを活用した表彰や福利厚生の利用促進、キャリア相談などができます。
プロフィール機能を充実させることで、他部署とのコミュニケーションを始めるきっかけ作りだけでなく、人事のデータベースとして緊急連絡網の作成などにも使えます。
様々な機能を使えるため、ピアボーナス導入だけでなく総合的に従業員エンゲージメントの向上を目指している企業におすすめです。
参考:TUNAG
ピアボーナスの導入企業事例
ピアボーナスは従業員のコミュニケーションや部署間の関わりが少ない企業に役立つシステムです。実際にどのように運用していくべきか、Googleとメルカリの事例を紹介します。
1. Google
ピアボーナスはGoogleが導入したことで広がりました。ピアボーナスでお互いを褒め合うことにより、心理的安全性が高められてチームを強くできます。
Googleのピアボーナスには以下のルールがあります。
- 1回150ドルを贈れる
- 自分の直属の上司または部下にピアボーナスを贈れない
- ピアボーナスを贈った場合、6か月間は同じ人に再度贈れない
- ピアボーナスをもらった相手に6か月間はピアボーナスを贈れない
150ドルは換算すると20,000円以上です。(2023年9月時点)従業員が贈る金額としては高額ですが、その分従業員も責任をもってピアボーナスを取り扱うでしょう。
ピアボーナスを贈れない相手を規定することで、特定の従業員にピアボーナスが集まるのを防ぎ、公平な取り組みになっています。
2. 株式会社メルカリ
株式会社メルカリは2017年9月からUniposを導入しています。メルカリは急速に会社が拡大していき、部署や拠点を超えたコミュニケーションを取りづらくなっていたため、ピアボーナスに取り組みました。
メルカリのピアボーナスは「mertip」と言います。毎週月曜日にmertipの数がリセットされるため、贈りたいときに持ち分がないという心配がありません。
また、mertipを最も多く贈った人ともらった人を表彰する制度もあり、ピアボーナスが形骸化するのを防いでいます。
ピアボーナスを導入して職場環境の活性化に役立てましょう
この記事では、ピアボーナスのメリットとデメリット、おすすめツールや成功事例について解説しました。
従業員エンゲージメントを向上させ離職を防ぐのは、どの企業でも喫緊の課題です。ピアボーナスは職場環境の改善や称賛文化の醸成に役立ち、課題解決の一手となるでしょう。
ぜひ自社でもピアボーナスを取り入れてみてはいかがでしょうか。
年商5億円を超えさらなるスケールアップを目指す経営者必見!
あなたのビジネスをスケールアップさせる集客と組織作り、
さらに、成功事例やここだけのお得な内容をお届け致します。