バーンアウト(燃え尽き症候群)とは?症状と回復手順、予防法

最終更新日: 2024/06/21 公開日: 2024/06/21

バーンアウトとは、長期的なストレスを受けて活発に働いていた人が燃え尽きたように仕事へのやる気を失う状態のことです。

今回はバーンアウトの概要や症状、バーンアウト前に見られる兆候やなりやすい人の特徴を紹介します。

予防策や個人や職場の人がバーンアウトになったときの対処方法を解説しますので、参考にしてください。

バーンアウトとは?

バーンアウト(燃え尽き症候群)は、過度な仕事のプレッシャーや長期にわたるストレスが続くことで一生懸命働いていた人が急にやる気や活力をなくす状態を指します。

仕事に対する情熱が枯れ果てた状態で誰にでも起こり得る問題です。特に完璧主義や献身的な性格の人がなりやすいといわれています。

バーンアウトは、自分自身の限界を知り休息や適切なワークライフバランスを保つことが予防につながります。また、ストレスが溜まっていることに気付いたら専門家に相談するのも良い方法です。

バーンアウトが起きると仕事や生活の質に大きな影響を及ぼします。バーンアウトの症状や原因、対処法を理解することは、毎日を生き生きと過ごしながら仕事でも生産性を保つために大切です。

バーンアウトの症状

Maslach Burnout Inventory(MBI)は、バーンアウトの尺度のことで社会心理学者であるクリスティーナ・マスラークが開発しました。

ここでは、MBIで示されている3つのバーンアウトの症状を紹介します。

情緒的消耗感

情緒的消耗感は、仕事に感情を注ぎ過ぎて精神的に疲れた状態です。

特にサービス業や営業職など人と深く関わる仕事で起きやすいです。これらの仕事では常に心を込めて接する必要があり、感情的なエネルギーが使い果たされることがあります。

顧客や同僚と良い関係を築こうと努力することが感情的な負担となることもあるのです。

情緒的消耗感は肉体的疲労とは異なり心の疲れは見えにくいものですが、仕事の質や日常生活に大きな影響を与えます。

脱人格化

脱人格化は、感情が疲れ果てて人との関わりに心を閉ざしてしまう状態です。情緒的消耗感の後に見られる症状であり、長期間の情緒的な消耗が人を無感動や無関心にさせます。

脱人格化が起こると人とのつながりが希薄になり、冷たい態度が目立つようになるのです。

例えば精神的な疲れから自分を守るために同僚と距離を置くことがあります。自己防衛のために問題を他人のせいにすることが増え他人に対する否定的な感情が強くなるのです。

個人的達成感の低下

個人的達成感の低下は、自分の業績や仕事に対する満足度が減り、自分の働きに価値を見いだせなくなる感覚のことです。

個人的達成感が低下すると労働に対する満足感や仕事を成し遂げたという感覚が得られなくなります。

また、仕事へのやりがいがなくなり成果が思うように出ないと自分のスキルや価値に疑問を持ち始め自己評価が低下します。

自己肯定感が下がり達成感ややりがいを見いだせないと、仕事をする目的が感じられなくなり離職してしまうこともあるのです。

バーンアウト前の兆候やなりやすい人

バーンアウト前に見られる兆候には個人要因と環境要因の二つがあるといいます。

それぞれについて詳しく解説します。

個人要因

バーンアウトになりやすい個人的な特徴には、以下のものがあります。

  • 非常に高い目標を掲げて常に期待以上を目指そうとする
  • 周囲との良好な関係を重視して深い人間関係を築こうとする
  • 物事を完璧にこなそうとする姿勢があり、完璧主義である
  • 他人を喜ばせるために自分を犠牲にしすぎる献身的な性格である

これらに当てはまる人は、自分を追い込みやすく精神的な疲れに気付きにくいです。仕事でやる気を失ったり、イライラしたりすることが増えたら早期のバーンアウトに陥っていないか注意することが必要です。

感情労働

「感情労働」とは、顧客に良いサービスを届けるために自分の感情を抑圧して振る舞う仕事での感情の使い方のことです。接客業や医療職など人と深く接する仕事で見られます。

感情労働を行う人は、特定の個人要因がバーンアウトのリスクを上げることがあります。

特に、感情労働を行う人で以下の項目に当てはまる人はバーンアウトに陥りやすいです。

  • 職業上演じる役割と自分自身の感情が混ざってしまう人
  • 批判や苦情を自分の人格が否定されたと思い、攻撃と感じ取ってしまう人
  • 仕事での感情表現が本当の自分の感情とは違っていると感じることがストレスになり、感情の切り離しが苦手な人

感情労働を行う人は、仕事での振る舞いと内面の感情を冷静に俯瞰して見ることで自分を守りつつ、プロとして適切に対応する能力が必要です。

出典:
・独立行政法人 労働政策研究・研修機構「バーンアウト (燃え尽き症候群)」
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2007/01/pdf/054-064.pdf (参照 2024-04-05)

環境要因

バーンアウトの前兆として現れる環境要因には、以下のものがあります。

  • 高いノルマがあり常に厳しい目標に追われている
  • 時間外労働が多く、ゆっくりと休む時間が少ない
  • 人手不足の職場で社員の業務の負担が大きい
  • リモートワークで境界線が引けず、仕事とプライベートの境目が曖昧

これらの環境要因で疲れやストレスが蓄積すると、バーンアウトの危険が高まります。特に過重労働やリモートワークによる仕事とプライベートの境界線の曖昧さは、バーンアウトへとつながりやすい環境要因です。

バーンアウトの予防策

次にバーンアウトにならないために、個人と職場でできる予防策を紹介します。

自分自身でできること

バーンアウトを防ぐためには心と体を第一に考え、日頃からセルフケアを行い、仕事と休みのバランスを上手く取りましょう。

まずは、健康的な生活習慣を整えます。バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な休息を取り心身の健康を保つのが基本です。

また、ストレス管理も大切です。ストレスを感じたら一息ついて落ちつく方法を見つけ、感情をコントロールしましょう。例えば、今の気持ちを書いてみたり深呼吸をしたり、散歩に出かけて軽く体を動かしたりして気持ちを落ちつけましょう。

他にも、仕事とプライベートの区別も大切です。自宅で仕事をするときは仕事場所とリラックスする場所を分けて、しっかりと休む時間を作りましょう。リモートワークをする際は、リビングとは別に小さな机を置いて仕事専用のスペースを作ってください。

出典:
・厚生労働省「こころと体のセルフケア」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/index.html (参照 2024-04-05)

職場の社員がならないようにできること

職場でバーンアウトを防ぐためには、新しいメンバーや職場環境に慣れていない社員への配慮とサポートが重要です。

勤務時間や仕事の進捗を見守り、勤務管理を徹底することで働きすぎを防止しましょう。チーム内での役割がはっきりしていて情報がしっかり共有されると、無駄なストレスが減り過重労働がなくなります。

社員のバーンアウトの兆候に気付くための対策も行ってください。具体的には、新入社員や異動した社員が一人で不安を抱えないようにメンターをつけ、先輩社員がサポート役を務めます。

上司と社員の定期的な1on1ミーティングを設定することも問題を早期に発見するのに効果的です。

バーンアウトになったときの対処法

バーンアウトに一度陥ってしまった場合、どのような段階を経て回復していくのでしょうか。

ここでは、バーンアウトを治すための対処法・ステップを解説します。

問題を認識する

最初のステップは、仕事へのやる気がわかない気持ちが心理的な問題であることに気付くことです。

例えば、自分の気持ちや体調の変化を見つめて毎日記録を取ることは自分の心を見つめるきっかけになります。

同僚や上司と定期的にコミュニケーションを取り、自分の気持ちを話すことで自分の心の状態を冷静に見つめられます。

職場と距離を置く

第二段階は、職場から心理的・物理的に距離を置くことです。

休職を利用して十分な休息を取り、心身の健康を回復させましょう。回復までにかかる休職期間は人それぞれです。

必要に応じて数週間から数ヶ月の休職を取り自分に合ったペースで進めましょう。ここでは、休職に対する罪悪感をなくし心身の回復を優先させてください。

健康を回復する

第三段階は、自分の健康を回復することです。

十分な睡眠や栄養のある食事、適度な運動は、基本的な要素です。夜は早めにベッドに入り十分な睡眠を取り、質の良い睡眠を確保しましょう。


また、日々の小さな喜びを見つけ出し心身をリラックスさせましょう。忘れがちだった趣味や好きな活動に時間を割き、自分の喜びを再発見するのも良い方法です。

価値観を見つめ直す

第四段階は、自分の価値観を見つめ直すことです。自分の過去の行動を見つめ直し、何が本当に大切かを発見してください。自己を見つめるのにかかる期間は人それぞれ異なるので、自分にとって必要な時間をかけることが重要です。

具体的には毎日の感情や考えを書き留めたり、日記をつけたりすることが自己理解を深めるきっかけになります。キャリアカウンセリングを受け専門家の助けを借りて、自分のキャリアの方向性を考えるのも良いです。

価値観に合った職場を探す

第五段階は、自分の新しい価値観に合った仕事を見つけることです。この段階では自分の内面に寄り添いながらも、社会と再びつながるために行動しましょう。

自分が大切にしたい価値観に基づいて、現在の職業と新しい価値観を比較し仕事を選ぶことが大切です。


今の仕事を続ける場合は、雇用形態や仕事内容、業務量や時間など新しい価値観に基づいて健やかに働ける選択肢を検討しましょう。

新しい職場の選び方は、あなたが望むライフスタイルや経済状況で異なると思います。しかし、最終的には自分や家族の幸せを支える職場を見つけることが目標です。

新しい価値観に基づいて選ばれた職場は、長期的な満足感をもたらします。

断ち切り、変化する

第六段階では、今までの状況を断ち切り再スタートを切ることです。バーンアウトは、人生の既存のパターンを見直し、新しい方向へ進むきっかけを提供します。

この過程では自分の適性や情熱に合った仕事を見つけることで、より充実した職業生活を送る可能性が広がるのです。

結果としてバーンアウトは行き詰まりではなく、新しいスタートを切って自己実現するための機会になります。

出典:
・独立行政法人 労働政策研究・研修機構「バーンアウト (燃え尽き症候群)」
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2007/01/pdf/054-064.pdf (参照 2024-04-05)

職場の人がバーンアウトになったときのサポート方法

職場でバーンアウトが発生した場合、その原因を探り必要な休息を与えることで再発を防ぐ対策を取ることが重要です。

まずは、バーンアウトの根本原因を理解することで職場の問題点を特定しましょう。それが起きないように対策を取ることでバーンアウトの予防につながります。

取り急ぎ、職員には心身を回復させるため休職を与えましょう。必要な休みを与えることで社員は心身を回復させられます。その際、休職中の社員には社員が適切なサポートを受けられるようメンターやコーチを配置してください。

他にも社員の健康や幸せを優先する文化を作り、福利厚生を充実させましょう。

バーンアウトを経験した社員には一時的に仕事から離れる時間を提供し回復をサポートすることが必要です。

バーンアウトは日頃の対策が重要

今回は、バーンアウト(燃え尽き症候群)について、症状やバーンアウト前に見られる兆候、予防策と対策方法まで解説しました。

バーンアウトとは、精力的に仕事をしていた人が長期的なストレスなどにより仕事への意欲がなくなる状態のことです。

予防するためには、日頃から意識的にセルフケアを取り入れましょう。また職場では日頃からメンター制度や1on1ミーティングを取り入れながら兆候に気付ける体制を整えてください。

この記事が、あなたや職場の人のバーンアウトを防ぎ、豊かな生活を送るための一助となれば幸いです。

セミナーズ通信

年商5億円を超えさらなるスケールアップを目指す経営者必見!
あなたのビジネスをスケールアップさせる集客と組織作り、
さらに、成功事例やここだけのお得な内容をお届け致します。

最終更新日: 2024/06/21 公開日: 2024/06/21