コンフリクトマネジメントとは?実践する手順を5ステップで解説

最終更新日: 2024/06/28 公開日: 2024/06/28
  • 従業員間で意見の対立が起きており、険悪な雰囲気になっている
  • 部門間で軋轢が生じたことで、業務が円滑に進まなくなっている
  • チーム内で意見がまとまらず、お互いの主張が平行線をたどっている

上記のような状況が社内で発生していませんか?

今回は、組織内の対立解消に役立つ「コンフリクトマネジメント」について解説します。

対立が生じやすいパターンや解消方法への理解を深めて、組織が抱える問題の解決に役立ててください。

コンフリクトマネジメントとは

はじめに、組織におけるコンフリクトの意味やコンフリクトマネジメントの定義について押さえておきましょう。

コンフリクトマネジメントがなぜ重要なのかを把握しておくことが大切です。

組織におけるコンフリクト(対立)とは

コンフリクト(conflict)とは、対立や争い・論争・意見の衝突などを意味する言葉です。

暴力などの直接的な争いだけでなく、意見の不一致などによって生じる対立や緊迫した状態などもコンフリクトに含まれます。

ビジネスシーンでは、見解や主張の相違などによってコンフリクトが発生するケースが少なくありません。

コンフリクトはあらゆる職場で発生し得る問題といえるでしょう。

コンフリクトマネジメントとは何をすること?

コンフリクトマネジメントとは、組織内で生じた諍いや対立を放置せず、適切に対処して解決を図ることを指します。

単に対立を丸く収めるだけでなく、対立をきっかけに相互理解を深めるなど、より良い方向へと向かわせる点が大きなポイントです

コンフリクト自体はネガティブな状態ですが、対立状態が解消されたことを契機に組織がいっそう活性化することもあり得ます。

組織内における対立や意見の食い違いを前向きに捉える考え方が、コンフリクトマネジメントの根底にあるのです。

コンフリクトマネジメントが重要な理由

近年、コンフリクトマネジメントが重視されつつある背景には2つの要因があります。

1つは、コンフリクトを放置することが組織にとってリスクとなり得ることです。

不平や不満を抱えたまま仕事に取り組み続ければ、従業員がストレスを抱える原因にもなりかねません。

正常な業務遂行に支障をきたしたり、適切な意思決定を下せなくなったりするおそれがあります。

もう1つの要因は、コンフリクトマネジメントが組織の創造性を高める可能性を秘めていることです。

意見や主張の対立を解消していく過程で相互理解が深まり、いっそう意見を言いやすい組織になっていくでしょう。

組織においてコンフリクトが生じる3つのパターン

組織内で対立や諍いが発生しやすいパターンとして、次の3つが挙げられます。

  • 条件の対立
  • 認知の対立
  • 感情の対立

それぞれ詳しく見ていきましょう。

条件の対立

条件の対立とは、各々が置かれた状況や立場の違いによって生じる条件の違いがコンフリクトの原因となるパターンのことです。

組織は所属する各自が役割を担うことによって成り立っています。

担っている役割の違いが、意見や主張の違いとなって表面化することもめずらしくないでしょう。

例えば、売上目標の達成を重視する営業部門と、品質の担保を優先したい開発部門との間で見解の相違が生じるようなケースです。

双方とも自身が担うべき役割にもとづいて意見を述べるため、どちらも主張を譲れない状況に陥りかねません

条件の違いは、コンフリクトが生じる大きな要因の1つです。

認知の対立

認知の対立とは、物事の感じ方や捉え方の違いがコンフリクトの原因となるパターンのことです。

典型的な例として「事実」と「印象」が異なるケースが挙げられます。

開発部門としては最大限に譲歩した現実的なスケジュールを提示していても、他部門が同じ受け止め方をするとは限りません。

営業担当者から見た場合、「顧客の視点に立っていない」といった捉え方をする可能性は十分にあります。

伝え方やニュアンスだけでなく、個々人の感覚価値観なども認知に影響を与えるのが難しいところです

一人ひとり認知に違いがあることは、コンフリクトが生じる要因となり得ます。

感情の対立

人間は感情の生き物と称されることがあるように、感情の対立もコンフリクトが生じる大きな要因となり得ます。

例えば、優越感・劣等感といった感情は対立の原因となりがちです。

チーム内に突出して優秀なメンバーがいることを「頼もしい」と感じる人もいれば、「妬ましい」と感じる人もいます。

優秀なメンバーをサポートするほうがチーム全体のためになると頭では理解していても、誰もが素直に実践できるとは限りません。

各々が自分の意思で感情をコントロールできるとは限らないため、根深い対立を生みやすい面があります

コンフリクトに対する5パターンの反応

組織内でコンフリクトが生じた際、従業員には主に5パターンの反応や態度が現れます。

  • 競争的(Competing)
  • 受容的(Accommodating)
  • 回避的(Avoiding)
  • 協力的(Collaborating)
  • 妥協的(Compromising)

具体的にどのような反応・態度であるのかを解説します。

競争的(Competing)

競争的反応とは、自己主張が強く非協力的で、自身の利益を優先する態度のことを指します。

自身が正しいという前提のもと相手を説得しようとしたり、相手の犠牲を顧みずに発言・行動したりする点が特徴です。

主張性が強く協調性が低いため、競争的な態度で問題に向き合う従業員同士は対立が深まりやすい傾向があります

特に日本の組織においては協調や調和が重視されやすいため、競争的態度の従業員は周囲の反感を買うケースが少なくありません。

受容的(Accommodating)

受容的反応とは、自己主張をせず相手の言い分を全面的に受け入れる態度のことを指します。

一見すると協調的なスタンスのようにも映りますが、自身が譲歩すれば場が収まると捉えている可能性も否定できません。

自己犠牲的な問題解決に徹する従業員が増えると、問題の本質を十分に議論できない組織になりかねないため注意が必要です

いわゆる「声の大きい人」の意見が通りやすい組織・チームにならないよう、双方の意見を中立な立場で聞く必要があります。

回避的(Avoiding)

回避的反応とは、コンフリクト自体を「見て見ぬふり」をする態度のことを指します。

波風を立てないようにすることが最善と捉えているため、問題を先送りしたり議論を避けたりする状況に陥りかねません。

回避的反応を示す従業員が増えていくと、自社の問題を自分事として捉えようとしない組織になっていくおそれがあります

当然ながら議論が尽くされることはなく、問題も解説されないため、回避的反応を示す従業員には注意が必要です。

協力的(Collaborating)

協力的反応とは、主張性・協調性ともに強く表れている態度のことを指します。

対立する意見や主張を、どちらも一定の水準まで満たせる解決策を探ろうとする態度のことです。

協力的なスタンスで問題解決にあたる組織にしていくには、すべての従業員にコンフリクトマネジメントの知識が欠かせません

経営層や管理職だけでなく、一般社員に対してもコンフリクトマネジメントへの理解を深めるための場を設ける必要があるでしょう。

妥協的(Compromising)

妥協的反応とは、主張性・協力性がバランスよく表れている態度のことを指します。

双方が完全に納得することよりも、物事を前に進めることを優先したい場合に必要な向き合い方の1つです。

表層的には「大人の対応」のように見えるものの、問題が根本的に解決するとは限らない点に注意する必要があります

妥協的反応がいずれ回避的反応へと移行しないよう、時には議論を交わして双方の主張をぶつけ合うことも大切です。

コンフリクトマネジメントを実践する手順

コンフリクトマネジメントを実践するには、どのような手順で進めればよいのでしょうか。

コンフリクトマネジメントの基本的な進め方について解説します。

1. 原因の把握

組織内の対立を解決へと向かわせるには、まず対立の原因を把握する必要があります。

対立の争点がどこにあるのかを特定し、双方の主張を中立な立場で理解することが大切です。

原因を把握することによって、不足している背景情報行き違いが生じているポイントが明確になります

対立している当事者にそれぞれヒアリングを行い、状況を把握しましょう。

2. コミュニケーションの場を設ける

次にコミュニケーションの場を設け、対立する双方がお互いの主張を把握できるようにします。

当事者同士が直接話し合う方法もありますが、一般的には仲介者が介入するほうが望ましいでしょう。

そもそも主張が対立している従業員同士が話し合った場合、感情的になってしまうとかえって溝を深める原因にもなりかねません。

対立の原因を把握している人が、議論を整理する役割を担うことをおすすめします

3. コンフリクトの原因を特定する

対立している双方がお互いの主張を伝え合う中で、対立の原因を特定していきます。

条件・認知・感情のうちどの要素が解消されればコンフリクトが解決へと向かうのかを見極めることが大切です。

対立する主張のどちらが正しい・間違っているということではなく、双方が現状を客観視できるように持っていく必要があります

どちらから一方的に相手を言い負かすような議論にならないよう注意してください。

4. 双方にとって納得できる着地点を探る

仲介者が先導役となり、双方にとって納得できる着地点を探っていきます。

双方が譲歩できる点・譲れない点を見極めながら、現実的な着地点を見出していくことが大切です。

対立の原因がどちらかの理解不足や情報不足によるものだったとしても、必要な情報を提供するだけでは十分とはいえません。

感情の対立に発展していた場合、理屈では片付けられない部分でしこりが残ることもあり得るからです。

コンフリクトマネジメントは、単に対立構造を解消することだけを目的としているのではありません。

双方が解決に向けて「本心から」「気持ちよく」行動できるよう、コミュニケーションを重ねていくことが重要です

5. 解決に向けた協力体制を構築する

着地点に向かうために必要なアクションを確認した上で、問題を解決するための協力体制を構築します。

対立していた双方が協力し合う体制にしていくのがポイントです。

コンフリクトが解決するだけでなく、解決に向けて協力する過程こそが組織にとって大きな財産となるでしょう。

組織内の対立をポジティブな方法で解決していく過程を共有することは、コンフリクトマネジメントの重要な目的の1つです

まとめ

組織内で生じるコンフリクトには多種多様なパターンが想定されます。

特定のノウハウやテクニックであらゆる状況に対応できるというものではありません。

対立状態を解消するだけでなく、組織にとってプラスになる方向へと持っていくことがコンフリクトマネジメントの本質です。

今回紹介したコンフリクトのパターンや従業員の主な反応を参考に、ぜひコンフリクトマネジメントを実践してみてください。

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最終更新日: 2024/06/28 公開日: 2024/06/28