- トータルエクスペリエンスの実践の仕方
- トータルエクスペリエンスを実践するメリットや成功させるための方法
- トータルエクスペリエンスに成功している企業はどのようなものがあるか
この記事は上記の項目に興味のある方におすすめします。
トータルエクスペリエンス(TX)とは、CX、EX、UX、MXの4つの要素を統合したビジネス戦略です。
顧客と従業員など企業に関わる関係者すべてによりよい価値を提供することを特徴とします。
今回は、トータルエクスペリエンスの4つの構成要素の意味と向上させる方法、実施するメリットや企業事例まで幅広くご紹介しましょう。
この記事を読めば、トータルエクスペリエンスに関する基本的な情報を網羅でき、ビジネスで実践するための知識をつけられます。ぜひご覧ください。
トータルエクスペリエンス(TX)とは?
トータルエクスペリエンス(TX:Total eXperience)とは、CX、EX、UX、MXの要素を用いて、顧客や従業員、取引先、社会など関わる人全てに総合的な価値を提供するためのビジネス戦略のことです。
4つの要素を独立したシステムと捉えるのではなく、相互に連携させることで企業の総合的な価値を高めることを目的とします。
TXを実践すると、顧客の満足度向上はもちろんのこと従業員の満足度も向上させることが可能です。競合他社との差別化につながり、市場において優位性を保つことができます。
また、企業と顧客、従業員間の結びつきが強固となり、企業価値が高まり業績の向上にもつながるのです。
TXは、2022年にGartner社がトレンド用語して発表したことで、IT業界を中心に広く浸透するようになりました。
トータルエクスペリエンス(TX)を構成する4つの要素
TXを構成する以下の4つの要素について詳細を解説します。
- CX(カスタマーエクスペリエンス)
- EX(エンプロイーエクスペリエンス)
- UX(ユーザーエクスペリエンス)
- MX(マルチエクスペリエンス)
それぞれの概要と、要素を向上させる方法とその具体例について見ていきましょう。
CX(カスタマーエクスペリエンス)
カスタマーエクスペリエンス(CX:Customer eXperience)とは、顧客が商品やサービスを購入または使用する際に体験するすべてのことです。
顧客は商品を探すことから始まり、それを手に取り購入するかどうか吟味した後に会計して使用に至ります。顧客が行う商品購入までの一つ一つの行動は、すべてCXに含まれるのです。
CXを向上させる方法と具体例
CXを向上させるためには、顧客のニーズや要望をよく把握することが大切です。
また、顧客さえも気付いていない潜在的なニーズを汲み取りCXに反映させることができれば、顧客の満足度は一層上昇します。
購買プロセスの改善点を常に探したり、顧客から集められた要望を真摯に受け止めたりして改善を繰り返しましょう。
例えばCXの向上には、具体的に以下のように実践できます。
- 顧客の購買データを分析して需要のある商品を開発する
- 継続的に利用している顧客に特別サービスを提供する
- 顧客の商品購入がスムーズになるように決済方法を増やす
企業は顧客の期待を大きく超えるCX体験を提供することで、顧客のロイヤリティを獲得できます。
EX(エンプロイーエクスペリエンス)
エンプロイーエクスペリエンス(EX:Employee eXperience)とは、従業員が働くことを通じて得る体験のことです。
業務内容や企業内の人間関係、福利厚生、就業規則など従業員に関連する事象はすべてEXに影響します。
様々な項目の改善に務めることで、従業員の就業に対する満足度やスキル向上、良好な健康状態につながっていくのです。
EXを向上させる方法と具体例
EXを向上させるためには、日ごろから従業員の声に耳を傾けることが大切です。
風通しのよい職場環境を作ることで従業員が現状で感じている要望や不満を吐き出しやすい状況を作りましょう。
吸い上げた意見は実践可能かどうかを様々な側面から吟味しながら適宜取り入れてください。
例えば、EXの向上には具体的に以下のように実践できます。
- 勉強会やスキル向上などのプログラムなど、キャリアアップの機会を提供する
- リモートワークの推進や育児制度の取り入れ等、ワークライフバランスを整える
- 成果を出した分の報酬が受け取れるような給与体系を作る
EXは従業員の意見を適宜反映させることに対して、継続的な取り組みを実施することで向上が可能です。
UX(ユーザーエクスペリエンス)
ユーザーエクスペリエンス(UX: User eXperience)とは、商品やサービスの使用を通して得られる体験のことです。
CXは、商品やサービスの購入前後に経験するすべての体験のことを指すうえでUXとは意味が異なります。
UXには例えば商品を使う際に簡単かつ直感的に使用できるか、使用後の満足感などが評価の対象です。
UXを向上させる方法と具体例
UXを向上させるためには、まず使用ユーザーのペルソナを設定しましょう。改めて見直したり曖昧である場合は細かく設定したりして顧客像を明らかにします。
そして、ペルソナに基づいた顧客視点に立ちながら、ユーザーの気持ちになって操作することで常に改善できる場所を探しましょう。
例えば、UXの向上には具体的に以下のように実践できます。
- ユーザーがサービスを使用する際に、さらに直感的に操作できるUXデザインに変更する
- 商品の説明書について簡単で直感的に理解できるように、図や写真を取り入れる
- 様々なデジタルデバイスに最適化された表示ができるようWebサイトのデザインを改良する
UXは実際に顧客から届いたフィードバックを反映させることで、向上を繰り返すことも可能です。
MX(マルチエクスペリエンス)
マルチエクスペリエンス(MX:Multi eXperience)とは、顧客がデジタルの世界を通じて受け取る体験のことです。
具体的には、様々なデジタルデバイスと設計や音声、タッチなどのインタラクションを通じて、Webサイトやアプリなどでの仮想世界での体験価値を指します。
MXを向上させる方法と具体例
MXを向上させるためには、より個人が使いやすいようにカスタマイズ性を持たせることができます。また集めたデータを用いて顧客の行動や嗜好を分析することで、よりよいデジタル体験を提供することが可能です。
例えば、MXの向上には具体的に以下のように実践できます。
- 顧客がよりパーソナルな嗜好に基づいた使用ができるように、カスタマイズ機能を追加する
- 音声やタッチでの操作など、ユーザーの好みにあわせて操作方法を選べるようにする
MXでは現実で体験できない価値をデジタルで提供することで、使用する人の生活を一層豊かにすることが可能となります。
トータルエクスペリエンス(TX)を実施するメリット
TXは、4つの要素を絡めながら複合的に向上させることで大きなメリットを生みます。
具体的なメリットは以下の通りです。
- 顧客ロイヤリティの獲得
- 商品・サービスの質や価値の向上
- 従業員満足度の向上
- 企業ブランド力の向上
一つずつ項目を確認していきましょう。
顧客ロイヤリティの獲得
TXで4つの要素を包括的に高めることで、顧客は他の商品やサービスでは得られないような体験を享受できます。
それにより顧客の企業に対する満足度は大きく向上して、ロイヤリティを獲得できるのです。
しかしながら、企業にとって4つの要素全てを包括的に高めることは容易ではありません。
経営理念やビジョンに基づく施策を4つの要素に反映させて、それらに一貫性を保ちながらTXを底上げさせる必要があるからです。
ある要素が競合他社の水準を大きく上回っていてもその他との要素の施策と一貫性がなければ、ちぐはぐな印象を受けてしまいます。顧客に感動的な体験を与えることはできません。
これらの4つの要素を相互的に連携させて価値を高められる企業は少ないため、顧客が感動する価値を与えられるのです。
商品・サービスの質や価値の向上
4つの要素の向上に包括的に取り組むことで、商品やサービスの質、市場における価値が向上します。
TXでは1つの要素を向上させるだけでなく、4つの要素を包括的に伸ばした結果として商品・サービスの質を大きく上げられるのです。
例えば、デジタルとともに暮らす現代で顧客にデジタルを用いた体験を提供することは重要な指標です。
一方でMXの向上のみに注力してもCXやUXがよいものでなければ、商品・サービスに魅力を感じないでしょう。
TXを実践すれば4つの要素を包括的に向上させられるため、健全に商品やサービスの質を向上させられます。
従業員満足度の向上
EXやCXなど複合的に改善に取り組むことによって、従業員満足度の向上につながります。
EXの向上に注力するのみでなく、他の要素にも取り組むことが結果として従業員満足度を上げる要因にもなるのです。
例えば、CXやUXの向上に取り組み、商品・サービスの質を上げたり顧客ロイヤリティを獲得できたりすれば、従業員のモチベーションアップにもつながります。
また、それらの要素と共に職場環境の改善や福利厚生の充実などEXの改善に取り組めば、従業員の就業満足度は一層上がるのです。
企業ブランド力の向上
顧客や従業員や社会などすべての人が利益を享受できるTXでは、企業ブランド力の向上を実現します。
従業員、顧客、取引先など企業と関わる全ての人が利益を享受できる経営は、すべての人によい結果をもたらすのです。
このような取り組みを達成できる企業は、その企業と直接関わっていない外部からの評価も高まります。
企業ブランド力が向上すれば、新規顧客や取引先企業の増加にもつながっていくでしょう。
トータルエクスペリエンス(TX)を成功させる方法
TXを成功させるためには、前項で紹介した4つの要素を向上させる方法を参考にして、それぞれの要素向上にバランスよく取り組みましょう。
また最も重要なことは、企業が掲げる理念やビジョン、経営目標をもとにぞれぞれの4つの要素が一貫した取り組みを行うことです。
各要素について連携を行う際には、不透明な箇所や曖昧な部分がないようにします。各要素の取り組み方やポリシーに矛盾がない状態を目指してください。
TXのポイントとは、各要素がサイロ化しないことであり、透明性を持った一貫したビジネス戦略を練ることが重要です。
トータルエクスペリエンス(TX)の実践に成功している企業事例
TXを実現している企業として、世界20か国以上でECサイトの小売業を展開するAmazonを紹介します。
各要素について具体例を記載しますので、参考にしてみてください。
CX
CXの観点について、Amazonでは膨大な商品の取り扱いがなされ多様な配送方法を選択できることで、顧客の購買体験を満足させています。
2020年の1年の間には日本の中小企業が出品した商品の数は5億点以上にのぼったそうです。また、配送方法では日時指定ができたり注文から3日以内に配達する「お急ぎ便」などが利用できたりします。
EX
EXについては「従業員が会社の成功と発展に最も大切である」として、人を大事にしていることが特徴です。社会保険や社内公募制度、従業員アシスタントプログラムなど様々な福利厚生を充実させて従業員の健康を支えています。
UX
UXにおいては、顧客の商品選択や購入の利便性を一層高める工夫がされています。例えば、購入履歴に基づいておすすめの商品が表示されたりワンクリックで購入できたりするなどです。
MX
Amazonが開発したEchoシリーズはMXの取り組みの賜物と言えます。Echoは、投げかけられた声の質問を把握してオンライン上で情報を探り私たちに適切な回答を返します。
このようなデジタル体験は、私たちの現実世界をより便利にするのに役立っています。
まとめ
今回は、トータルエクスペリエンス(TX)の概要や構成する4つの要素や、実施するメリットや方法、注意点まで幅広く解説しました。
TXとは、CX、EX、UX、MXの要素を合わせたビジネス戦略方法です。
TXは、顧客や従業員、社会などその企業と関わる人全てによりよい価値を与えられることが特徴です。
ここで、TXを実践するメリットをまとめます。
- 顧客ロイヤリティの獲得
- 商品・サービスの質や価値の向上
- 従業員満足度の向上
- 企業ブランド力の向上
TXの実践には4つの要素の向上にバランスよく取り組みながら、各要素がサイロ化しないようにしましょう。
常に企業理念や経営目標など実施の目的を明確にしながら、各要素で一貫した取り組みを行ってください。
TXを意識したビジネス戦略を活用していただき、よりよい企業運営のきっかけとなれば幸いです。
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