執筆者:鉾立由紀(ほこたて ゆき)
ビジネス自動化のためのUSPプロデューサー
400名以上の個人起業家のビジネスをプロデュースし月商7桁・8桁達成者の成果を生み出した実績を持つ女性起業コンサルタントの第一人者。
「起業に専念したいから、会社を辞めようと思っている…」
「サラリーマンをしながら、起業家として成果を出せるの?」
「サラリーマンの間に起業準備をしたいけど、何をしておけばいい?」
このように会社に勤めながら起業(副業)を考えてはいるものの、これから何をどう準備していけばいい分からない…
こんな風に途方に暮れているのではありませんか?
会社に勤めながらこれから起業しようと考える方の多くは、深く考えず「起業するなら会社を辞めた方が仕事に専念できる」と、退職することを選択しがち。
この記事を読まれるあなたがすでに会社を退職してしまっているのならば仕方がありません。起業家デビューに向けて、邁進していただきましょう!
もしまだあなたが会社に在籍していて、これから個人起業家として活動していく予定であれば、徹底的に周到な用意をして起業家として独り立ちすることを考えた方が圧倒的な成果を生み出しやすい、ということを私はこの記事でお伝えしていきます。
私自身も、最初は会社員としての仕事と起業家としての仕事、これら2つを掛け持ちするパラレルワークからのスタートでした。
今回の記事では、私や、同じくパラレルワークからスタートした起業家が、会社員時代に起業前に準備してきたことや、サラリーマン時代に準備しておいた方がよかったと思うことをまとめています。
この記事を読んで、これから起業を考えるサラリーマンのあなたが、起業に向けて、あなたがやれる準備を充分に行ってくれることを期待します。
サラリーマンを継続しながら起業準備を行うべき理由5選
私が起業して12年が経ちました。
この12年の間、USPプロデューサーとして、5,000名を超える圧倒的な成果を創りたい個人起業家の方々、そして会社に勤めながら起業準備を考える起業志望者の相談に乗ってきました。
そして、その中で起業準備をされる方によく相談されるのが、以下の質問です。
「起業に集中したいので、会社を辞めようと思うのですが、どう思われますか?」
私も元々は会社に勤めていましたので、この気持ちはよくわかります。
- 煩わしい会社の業務に煩わされることなく、起業準備に集中したい
- 会社の仕事も、起業準備もでは、絶対に手が回らない
- 会社に隠れて起業準備をするのも気が引けるし……
などなど。
思うところは色々あるかもしれません。
私も起業する前は「私が会社を辞めて起業準備に専念すべき100の理由」という本が書けるというくらいの理由を考えて会社を辞めて、起業準備に専念しようとしていました。
しかし、今、はっきりと断言することができます。
「自分の新規ビジネスが安定するまで、会社を辞めないでいてよかった!」と。
多くの会社員の方が、自分の起業準備が進まないのは会社の業務があるせいだと人のせいにしがち。
しかし、以下の5つの理由から、私はサラリーマンを継続しながら起業準備を行うことを絶対にお勧めします。
- 辞めた途端、恐怖にすくんで動けなくなる
- 会社を辞めた途端に現れる数々のコストに対応できない
- 会社を辞めないとできないレベルの起業準備であるのなら、会社を辞めてもやらない
- 安易に会社を辞めてしまうと、起業を諦めた場合、再び企業に戻れない(戻れても、条件が悪くなる)
- 会社からの収入があるから、起業に対する不安を減らすことができる
1. 辞めた途端、恐怖にすくんで動けなくなるから
会社を辞めていざ起業準備となると、様々な不安が押し寄せて来て、動けなくなるパターンがとても多いのです。
たくさんの成功している起業家が
「なんの準備もせずに会社を辞め、最悪の状態から這い上がった」
「会社を突然リストラされ、血反吐を吐くような想いでなんとか起業家として売上をあげられるようになった」
などという話をされています。
そして確かに、彼らはそのような体験をされていると思います。
しかし、これらの起業家の方のようになんとか道を拓きぬく気合と根性のある方は、会社を辞めて起業準備をしようとするサラリーマン全体の1割もいません。
ほとんどは辞めた途端、いかに会社の看板に守られていたかを思い知らされて恐怖と不安にすくんで思考停止してしまい、結果身動きが取れなくなります。
私も「自分はぐうたらだから、会社を辞めて『やらなきゃ!』という焦りがあるくらいの方がやるでしょ?」と考えたことがあります。
が、私のような臆病者が本当に無計画に会社を辞めていたならば、すぐに怖気づいてすぐに会社員に戻っていたと思います。
会社は不用意に辞めてしまうと、今度は再就職すら難しくなるご時世です。
ぜひ、不用意に会社を辞めることのないようにお願いします。
2. 会社を辞めた途端に現れる数々のコストに対応できなくなるから
会社を辞めて初めて、会社が負担してくれていた目に見ないコストの実態を知ることになり、数々のコストに対応できなくなります。
国民健康保険、厚生年金に始まり、所々の税金の支払いに……と。
会社から安定的に収入が入ってきている時はまだ文句を言いながらも、平常心で支払いができます。
しかし、自分の新規ビジネスからの収入が入っていない状態で貯金を切り崩しながら、それらのコストを支払い続けるのはあなたの不安を煽ることになります。
サラリーマンでいる間に、自分の思う「充分な貯蓄金額」の最低でも2倍は貯めること。
そして、会社勤めと起業準備を両立させて起業家デビューを目指していく。
それくらいの覚悟で挑まれることをお勧めします。
3. 会社を辞めないとできないレベルの起業準備であるのなら、会社を辞めてもやらないから
会社員の方から「会社に勤めていると、なかなか時間を取れなくてやらないのです……」という相談を受けることがあります。
そんなときに私は以下のようにお答えします。
「どんなに忙しかろうと、大切な人との電話やデートのためには時間を創りますよね? もしあなたの新しいビジネスに、それくらいの気持ちで時間を創ろうとしないなら、例え会社を辞めても、あなたが自分のビジネスを起業することはないですよ」
本気で準備される方の場合、朝6時〜夜12時まで会社で働き、その後自分の起業デビューの準備を進める、なんて言うことを普通にや“れ”ます(私もパラレルワーク時代、毎日夜中の3時位まで起業準備に充てていました)。
最近の風潮で「起業は自由にやれるもの」「起業家は自由を謳歌している」という“ライフスタイル”だけを追い求める方が多くなっている気がします。
あなたが趣味起業(稼げても稼げなくてもいい起業)をしたいのならばそれでいいのですが、自分の生活がかかっているのであるならば、自由の前に責任を果たせる状態を創り上げること。
それが起業前の確かな準備の有無にかかってきます。
これらの準備は、会社員として少しでも精神的・財政的に守られている状態で進めていくことを私はおすすめしています。
4. 安易に会社を辞めてしまうと、起業を諦めた場合再び企業に戻りにくくなるから
私は起業以前、人材紹介の会社にてヘッドハンティングを行っていました。
その経験からお話すると、企業側は起業しようとする人を敬遠する傾向があります。
理由はとても簡単。会社は起業しようとする人を会社の指示に従わない人と判断するため。
起業をするのがよくないと言っているのではありません。
一度組織という“群れ”を離れてしまった場合、またそこで迎合するのは大変で、企業側もそれをよく理解しています(ですので、出戻ることができても条件が悪くなってしまうケースが多いという訳です)。
意気込みいっぱいのあなたのやる気を削ぐようで申し訳ないとは思います。
しかし、あなたの人生と、あなたが支える家族の人生がある。
だからこそ、不用意に飛び出してにっちもさっちもいかないという状態になってしまうのだけはできるだけ避けること。
起業家としての収入源が安定するまでは、会社員としての自分の“席”を、保険として確保しておくことをお勧めしています。
5. 会社からの収入があることで、起業に対する不安を減らせるから
実は会社からの収入がコンスタントに入ってくる状態というのは、とてもありがたい状態なのです。
会社を辞めて、安定収入がなくなって初めてそのありがたさがわかります。
会社からの収入があるから、起業家としての活動を大胆にやることができるのです。
そして、最悪の状態になっても会社員の肩書があればローンだって組みやすい(借金することを推奨している訳ではありません)。
何もない状態で裸一貫になってしまうより、会社員というステータスはキープしているから、起業初心者としてのチャレンジに思い切り挑むことができるのでえす。
ぜひそれを忘れないでください!
サラリーマン時代に絶対に準備しておくべきこと7選
ここからは、
- 私がサラリーマン時代に起業準備としてやってきたこと
- USPプロデューサーとして起業志望者に伝えていること
をまとめていきます。
サラリーマンとして会社に勤務している間にできることは山程あります。ぜひその特権期間を全力で有効活用していきましょう。
①事業計画を立てておく
「会社を辞めてから、今後のことは考える」
そんなふうに会社を辞めてしまう方がいますが、会社はいつでも辞められます。
会社に勤務できている間に、今後の事業計画をしっかりと立てるようにしておきましょう。
「事業計画なんて、どうすればいいのかワカラナイ…」
もし今、あなたがそんなふうに思ったとすれば、なおさら会社を辞めるべきではありません。
会社に籍がある状態で「売るモノを創り」「売る場所を創り」「お客様を創ること」と言ったビジネスの基本原則を学び、自分のビジネスの事業計画を完成させておきましょう。
もしあなたが「会社を辞めてから考える」と思っているのならば、それははっきり言って間違いです。
会社員の内に計画を立てることができないのならば、会社を辞めた後も計画を完成することはできません。
会社に守られている間に、何度も繰り返し、自分の事業計画を練り尽くす。
それがサラリーマンから起業する際の絶対法則です。
②できるだけ多くの見込み顧客のリストを集める
私がサラリーマンだったとき、MBA(経営修士号)も取得しているというのに「いいモノを売れば、お客様は自然とやってくる」と何の疑問もなく信じていました。
しかし、USPプロデューサーとしてここに断言します。
ビジネスにおいて、最も大切なことは「売るモノを創ること」より「お客様を創ること」!
「お客様を創ること」それは「見込み顧客のリスト」を集めることを意味します。
あなたの商品に関する情報をメールマガジンで配信することで、実際に起業する前から、あなたの商品に興味のある方のリストをできるだけたくさん集めておいてほしいのです。
では、どれくらいの見込み顧客のリストを集めればいいのか?
私の友人は、会社に勤務していた5年の間に、20,000件の見込み顧客リストを集めました。
また、別の友人は6ヶ月で4,000件の見込み顧客リストを集めましたが、起業した後「4,000件では全くたりなかった」と後に語っていました。
私も、もし会社員時代の2011年に戻ることができるなら、絶対に見込み顧客のリストをもっともっと真剣に集めることを考えるでしょう。
サラリーマンの間に見込み顧客リストを集めておくことで、起業家デビュー後のあなたの活動は圧倒的に安定したモノになるということをここにお約束します。
③組むべきローンはサラリーマンの間に組む
あなたが住宅ローンや教育ローンなど、なにか組むべきローンがあるのなら会社を辞める前に組んでおくほうが圧倒的に有利です。
クレジットカードをお持ちでないのなら、会社員の内に1枚位は作っておくことをお勧めします。
起業しようとするあなたに散財しなさいとお伝えしているのではありません。
起業した後に「いざローンを組みたい」「いざクレジットカードを作りたい」となっても、なかなか思い通りにいかない可能性が圧倒的に高いです。
理由は、あなたには信頼がないから。
サラリーマンである間は、会社に勤めている、ただそれだけで、銀行やクレジットカード会社はあなたのことを信頼します。
それはなぜか? あなたが会社に勤めているならば、返済が滞るリスクは少ないとみなされるためです。
しかし、一旦会社を辞めてからそれらを組もうとすると、裸一貫の“あなた”という存在を信頼する会社は激減するため、“借金”をすることがかなりむずかしくなるのです。
必要なローンなどがあれば(いいですか? 必要なものだけですよ!)、サラリーマンの間に、工面するように調整すること。これ、絶対にお勧めします。
④最低半年分から1年は生き残ることができる貯蓄を用意する
起業してすぐに売上があがるということは、まずありません。
あなたが独身であるのであれば、アルバイトでもなんでもして、稼ぎなさいとお伝えしますが、おそらくこの記事を読まれる方にはご家族がいらっしゃる方も大勢いると思います。
あなたの起業を許し、あなたを応援してくれる家族のためにも、家族を絶対に奈落の底に落とさないための準備をするようにしましょう。
その準備の中には、最低半年から1年は家族全員が通常通り生活できる貯蓄を含みます。
貯蓄がなければ不安の方が先に立つため、起業家としての活動も、なかなか大胆に進めることができません。
貯蓄がなければ、家族があなたに会社員に戻るようにせっついてくるでしょう。貯蓄がなければ……、貯蓄があれば考えなくてすんだありとあらゆる問題が一挙に押し寄せてきます。
私はそんな荒んだ起業家としてのスタートを切ってほしくはありません。
できる準備は予めしっかりと用意しておく。
これ、起業家としてデビューを考えるサラリーマンの鉄則です。
⑤家族とのコミュニケーションをしっかりと取る
会社員が起業するとなると、家族のコミュニケーションの在り方が露呈します。
家族とのコミュニケーションが取れている方は、「起業したい」という希望を家族に伝えた際、圧倒的に応援されるケースがとても多いようです。
一方で「妻は(夫は)起業することを応援してくれている」と思っていたにも関わらず、いざとなると反対されるというケースも多々。
この場合は、よくよく聞いてみると家族からその行動が一切信頼されていないケースが多いのです。
あなたが何を思い、なぜ会社を辞めて、起業しようとしているのか?
それを自分の行動で魅せながら、家族とコミュニケーションをしっかりと取っている人が応援されるのです。
それが私が今まで見てきたサラリーマンから起業して、応援される方の傾向です。
⑥会社の仕事も絶対に手を抜かない
これはとても注意してもらいたい点です。
会社を退職すると決めている方というのは、勤めている会社においてのパフォーマンスが下“が”る、または下“げ”る傾向があります。
私はこのような「どうせ会社を辞めるのだから、手を抜いたって構わない」という態度は絶対にお勧めしません。
勤めている会社は、いずれ辞める会社になるのかもしれません。
しかし、会社を辞めようとしているあなたに安定的な収入をくださっている感謝すべき存在なのです。
もしかすると、サラリーマンである今は、「鉾立さんは一体なにを言っているのだ?」と思うかもしれません。
しかし、今お付き合いしている方々が、いつなんどきあなたの商品に興味を持たれるかしれません。いつなんどき、あなたの活動をSNSなどで見かけるかもしれません。
しかしそんなとき、あなたの現職での業務態度が悪かったなら……、未来のあなたの売上も信頼も、現在のあなたの態度ですべて失われてしまうかもしれないのです。
サラリーマンとは違い、起業というのは人と人とのご縁がなくては成り立ちません。
どんなに今の仕事が嫌いでも、会社はあなたに給料を払ってくれる大切な存在です。
「立つ鳥跡を濁さず」とも申します。人生において、パラレルワークでがんばる時期はそれほど長くはありません。
ぜひ、全力で今の会社にご恩返しをいたしましょう。
⑦自社の売上が安定してから退職する
「いつ今の会社を辞めればいいのでしょう?」
私の回答は、以下の通りです。
「自分と家族の生活を守るために一体いくら必要なのかを計算し、その金額を自分のビジネスから安定的にいただけるようになったら」とお伝えしています。
いいですか?
自分の新規ビジネスで売上があがったら会社を辞めていいのではありません。
あなたとあなたの家族の生活を守るために必要な収入を安定的に、そして継続的に(せめて3ヶ月くらいは)いただけるようになったら、会社を辞めることを現実的に検討してもいい時期と私は判断します。
まとめ
サラリーマンの間にできる起業準備がたくさんあるということ、ご理解いただけましたか?
私が出会う起業志望者の多くは、起業するために会社を即辞めようとする方がとても多いです(もちろん、全員に辞めないようにお話しますが)。
しかし、サラリーマンでいるというこの好機を安定した起業準備のために活かさない手はありません。
起業をするということは、質素倹約の中で慎ましやかに小さな活動をすることではありません。
あなたが安定した財政状況の中、誰より大胆にお客様のお役に立つための活動を、しっかりとした準備の上に実行するために必要な戦略です。
ぜひそれをサラリーマンの間に理解して、起業前の準備に全勢力をかけるようにしてください。
鉾立さまから売上げに直結するポイントを学びませんか?