「クレーム(claim)」は「(正当な権利などを)主張する・要求する」という意味です。
クレーム対応をしていて、逆にお客様を怒らせてしまった経験はありませんか。
クレームをうまく収めて、最後にはお客様と笑い合っているスタッフを見ると、どうやって上手く対応しているのか気になりますよね。
クレーム対応が上手い人と苦手な人には、決定的な違いがあります。
この記事では、クレーム対応が上手い人と苦手な人の特徴、クレーム対応を身につけるための方法について説明します。
クレームの本来の意味とは?
「クレーム」の意味は、苦情を言うことや、言いがかりや無理難題を言うことと捉えている人が多いように思います。
しかし、「クレーム」の意味が「苦情」であるのは日本だけで、本来の英語の「claim」は、「(正当な権利などを)主張する・要求する」という意味です。
英語の「claim」にはネガティブな意味はありません。
「主張・要求」という言葉だけ見ると、日本語ではきついイメージにつながりやすいです。
そのイメージが拡大して、「クレーム=苦情」となったと考えられます。
本来のクレームは苦情ではなく、主張だと受け止めることで、クレーム対応に対する不安感が軽減されることでしょう。
クレーム対応が上手い人の特徴
会社や部署の中に、クレームを受けてもそつなくこなして解決できる人が1人はいるのではないでしょうか。
クレーム対応がうまい人は基本業務をしっかり行っていることが多いですが、それ以外の特徴として以下の6点があげられます。
- 冷静沈着に対応する
- お客様の話をさえぎらない
- お客様の話に共感する
- 迅速に対応する
- お客様の話をメモにとる
- 論理的に話をする
それでは詳しく見ていきましょう。
1. 冷静沈着に対応する
クレームは怒りや悲しみを感情的にぶつけられることが多いです。
相手から負の感情をぶつけられると、ストレスが高まってイライラしたり、同じようにヒートアップしてしまいそうになりますが、クレーム対応を適切に対処するには冷静沈着に対応することが大切です。
「売り言葉に買い言葉」という諺がありますが、お客様と一緒に感情的になってしまっては、クレームがどんどん大きくなり、最終的には問題解決に費やす時間や労力が何倍にも膨れ上がってしまうでしょう。
お客様の話の要点は何か、どんな提案が良いかなどを、俯瞰して考えることを意識すれば、あまり感情を動かされずに済みます。
2. お客様の話をさえぎらない
クレーム対応でありがちなミスは、お客様の話をさえぎって自分の話をしてしまうことです。
話をさえぎってしまうと、こちらがお客様にとって最適の提案をしていたとしても、話をさえぎったことに対する不満も追加され、余計にクレームが大きくなってしまいます。
まずは不満を全部話してもらい、何が不満なのかを明確にしてから、こちらの話を始めましょう。
クレームの熱量は電話をかけたときが一番高く、話しているうちに落ち着いてくる人も多いです。
全部話を聞いてあげると、電話が終わるころには、「話を聞いてくれてありがとう」と感謝されることもあります。
3. お客様の話に共感する
誰しも自分の話に共感や肯定をしてもらえると嬉しいものです。
まずは、お客様の話をしっかり聞いているという姿勢を見せ、共感を示しましょう。
共感の示し方には、相槌があります。
「はい」「その通りですね」「そう思います」「わかります」などの相槌を挟むことで、お客様は「自分の話を理解しようとしてくれている」と感じ、クレームの熱が引いていくでしょう。
4. 迅速に対応する
クレーム対応は最優先に処理すべき業務です。
忙しいからと言って放置してはいけません。待たされたお客様の怒りがより大きくなるのは想像に難くないものです。
もし自分では判断できず時間がほしい場合は、必ず何時までに回答を差し上げるとお客様に了解を取り、結果が出なくても途中経緯の連絡をいれることが大切です。
5. お客様の話をメモにとる
通常の電話対応や接客でもメモをとるのは基本とされています。
しかし、クレーム対応になると焦ってメモすることを忘れてしまうことが多々あります。
クレーム内容を把握し、適切な解決策を提案するためにメモは欠かせません。
お客様の話を忘れずに聞き続けたり、上司への引継ぎで正確にクレーム内容を伝えたりするときに、メモが役立ちます。
メモに書くポイントは、主に以下の4つです。
- お客様の不満の原因
- お客様が求めているもの
- お客様が間違っている事実
- 確認事項
メモをとるのに必死になるあまり、コミュニケーションが疎かにならないように気をつけましょう。
6. 論理的に話をする
クレームは、こちらが感情論で話をしても収まりません。
お客様の話をしっかりと聞いた後、論理的に解決策を提示しましょう。
また、クレームを言うお客様の中には、言われる覚えのない理不尽な言いがかりを言われることもあります。
そのような人を相手にする場合は、会話に矛盾なく、理路整然と話をする必要があります。
付け入る隙を与えないように話すためにも、論理的な思考を持つことが重要です。
クレーム対応がうまくいかない人の特徴
クレーム対応が上手になるには、どのような価値観をもっているのでしょうか。
お客様のためを思ってとった行動が、逆にお客様の怒りを買ってしまうこともあります。
問題が大きくなってしまわないように気をつけましょう。
今回、クレーム対応がうまくいかない人の特徴として5つのポイントを説明します。
- ひたすら謝り続ける
- 気持ちがこもっていない態度
- 話の途中で反論する
- 長時間お客様を待たせる
- お客様の話を理解していない
自分の行動に当てはまっていないか思い返してみましょう。
1. ひたすら謝り続ける
お客様からクレームを受けると、お客様の怒りを鎮めようと謝ってばかりの人がいます。
しかし、謝罪してばかりでは、お客様は話を聞いていないと思ってしまいます。
お客様がクレームを言うのは、謝ってほしいからではなく、問題を解決してほしいからなのです。
まず「お客様を不安にさせてしまったこと」に対して謝罪し、その後はお客様の話を真摯に聞き、次にとるべき行動を考えるようにしましょう。
2. 気持ちがこもっていない態度
謝罪の言葉を述べていても、棒読みだったり、無表情であったりすれば、お客様に謝罪の気持ちが伝わりません。
現代社会は電話よりもメールやLINEでやりとりすることが増え、会話のコミュニケーションが希薄になってきています。
そのため、自分では気持ちを込めていると思っていても、棒読みに感じる人が増えているようです。
相手に謝罪の気持ちを素直に伝える思いを持って、真摯に向き合いましょう。
3. 話の途中で反論する
クレーム対応のミスでありがちなのが、焦ってお客様の話を最後まで聞かずに反論してしまうことです。
お客様の勘違いでクレームされている場合は、話をさえぎって訂正したくなりますが、お客様が間違っていようと話は最後まで聞きましょう。
お客様は言いたいことを受け止めてもらえたと思うことができれば、落ち着きを取り戻します。
お客様の話が終ってから、「実は…」と訂正すれば良いのです。
4. 長時間お客様を待たせる
クレームを解決しようと上司に相談しているうちに、長時間電話を保留にしてしまったり、何時間も待たせたりすると、お客様は放置されたと感じてしまいます。
クレームに対処するために上司の許可や相談が必要なことは多々あります。
自分では判断できないときなどは、必ず「何時までに連絡をする」という旨をお客様に伝えましょう。
もし指定した時間に解決策を提示できないようであれば、お客様に正直に伝え、途中経過を報告します。
時間までに解決されなくても、きちんと対応しているとわかればお客様は安心するはずです。
5. お客様の話を理解していない
お客様の話をメモせずに聞いたために、用件を忘れてしまうことは通常の業務でもよく起こります。
クレームではお客様の話しが長くなることが多く、感情的に話す人もいるので、支離滅裂になってしまうことも少なくありません。
通常よりもメモをとらないと間違った理解をしてしまったり、論点がずれてしまったり、話を忘れてしまったりします。
クレーム内容を正しく理解していないと、適切な解決策を提示できません。
日ごろからどんな内容でもメモをする習慣をつけましょう。
クレーム対応が上手くなる方法
クレーム対応をそつなくこなしたいと誰もが思うことですが、どのようにクレーム対応のノウハウを身につければよいのでしょうか。
クレーム対応のスキルアップを目指すには、自分1人だけではなかなか伸びません。
先輩や上司に教えを乞うことや、部署内で協力し合うなど、積極的にノウハウを得ていきましょう。
具体的にどのようなことをすれば良いのかを3点にわけて説明します。
1. クレーム対応が上手い人を真似る
クレーム対応が上手い人は、話す時の言い回しや相槌を打つタイミング、声色などに細かく注意を払っています。
クレーム対応のノウハウを学ぶには、実際にクレーム対応をしているところを見て、真似ることが最も効果的です。
対面でのクレーム対応を見学するのは難しいですが、電話であればどのような応対をしているのか聞きやすいでしょう。
2. クレーム対応後に振り返る
自分がクレーム対応をしたときには、対応後に振り返りの時間をとりましょう。
- クレーム対応で難しかったポイント
- お客様の態度が変わったと感じたときはいつか
- そのときの自分の行動
- 今回の反省点や改善点
電話口でのクレーム対応の場合は、通話を録音し、後から聞き直せば、客観的に対応の良し悪しを判断できます。
できれば、クレーム対応経験の豊富な上司や先輩に同席してもらい、アドバイスをもらうと、より学びが深まります。
3. クレーム対応の本を読む
クレーム対応についての知識を得るなら、本を読むのも学びが深まります。
実際にクレーム対応をしてきた実績のある人が書いた本であれば、実際に起きたクレームの事例や解決策などが多く掲載されております。
今後同じようなクレームを受けたときの参考になることでしょう。
クレーム対応に関するおすすめの本を紹介します。
- 失敗しない!クレーム対応100の法則 失敗しない!クレーム対応100の法則
- 対面・電話・メールまで クレーム対応「完全撃退」マニュアル――100業種・5000件を解決したプロが明かす23の技術
- 仕事がデキると言われている人が必ずおさえている 謝罪・クレーム対応の鉄則
- カルビーお客様相談室 クレーム客をファンに変える仕組み
自分に合う本を1冊持っておくと安心です。
失敗しない!クレーム対応100の法則
著者の谷厚志さんは、日本クレーム対応協会の代表で、クレーム対応のプロ中のプロと言える人物です。
『失敗しない!クレーム対応100の法則 失敗しない!クレーム対応100の法則』では、クレーム対応でやるべきことと、やってはいけないことがわかりやすく解説されています。
100個の法則が書かれていますが、難しいことはなく、初心者でも実践しやすくなっています。
お客様対応がある部署に配属されたら、まず読んでおきたい本です。
対面・電話・メールまで クレーム対応「完全撃退」マニュアル――100業種・5000件を解決したプロが明かす23の技術
『対面・電話・メールまで クレーム対応「完全撃退」マニュアル』には、クレーム対応の事例と行動が詳しく書かれているので、「このような時はこうする」が具体的に学べます。
現代はクレームが多様化してきており、普通に苦情を言う人以外に、モンスタークレーマーと言われる人もいます。
そのような悪質なクレーマーへの対処法も網羅されているので、基本にプラスアルファのノウハウがほしい人におすすめです。
仕事がデキると言われている人が必ずおさえている 謝罪・クレーム対応の鉄則
「仕事がデキると言われている人が必ずおさえている 謝罪・クレーム対応の鉄則」は、クレーム対応のセミナー講師を務めている株式会社スパークスの小川貴之さんと浅井真紀子さんが共同執筆しています。
クレーム対応や謝罪のノウハウがマニュアル化されているため、必要な情報だけを読むことも可能です。
相手に受け入れられる謝罪のコツがわかるので、クレーム対応に及び腰になってしまう人は読んでみてはいかがでしょうか。
カルビーお客様相談室 クレーム客をファンに変える仕組み
『カルビーお客様相談室 クレーム客をファンに変える仕組み』は、カルビーが全国7ヶ所に設置しているお客様相談室でどのような対応を行っているかが書かれています。
マニュアルやQ&Aはなく、お客様の立場に立って、どうすれば最後に喜んでいただけるのかのマインド面が強化されるでしょう。
クレームをした人の95%がカルビーのファンになるというその秘訣がわかる1冊です。
クレーム対応が上手い人からコツを盗んでスキルアップを目指しましょう!
この記事では、クレーム対応が上手い人の特徴や、クレーム対応を身につけるコツについて解説しました。
クレーム対応が上手い人は、たいてい気持ちの切り替えも上手いです。
多くのクレームは、対応した人に対する苦情を言っているのではなく、会社や商品・サービスに対して指摘しているだけだと知っています。
そのため、焦らず冷静に話を聞き、迅速に解決策を提案することができるのです。
クレームは自社商品・サービスを改善できるチャンスだと考えて、落ち着いてお客様の話に耳を傾けましょう。
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