組織論とは、個人が集まって形成される組織で起こる、構造やその行動パターンを分析する学問です。
本記事では、組織論を学びたい方のために、入門書から実践的な書籍まで、7冊のおすすめ本を紹介します。
理論を深く学びたい方から今すぐ組織の課題を解決したい方まで、様々なニーズに応える書籍を理論と実践の両面から厳選しました。ぜひ、参考にしてみてください。
組織論を学びたい人におすすめの本7選
組織論を学べる本を7つご紹介します。組織論を学ぼうと思っても、どこから手をつけて良いか分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回の選定では大きく分けて理論を学びたい方と実践を学びたい方の2つの視点で本を厳選しました。
また、実践的な書籍を2つの観点から紹介しています。一つは、優れた組織構造や機能のあり方を学べ、参考事例を豊富に紹介している書籍です。
もう一つは組織を変革させる方法を細かく分析し、成功させるための具体的な方法が書かれている書籍です。
後者の書籍では、変革における様々な課題やそれらを克服するための方法が事例を交えて解説されています。
書籍名 | 著者 | 出版社 | 出版年 |
はじめての経営組織論 | 高尾 義明 | 有斐閣 | 2019/9/30 |
図解 組織開発入門 組織づくりの基礎をイチから学びたい人のための「理論と実践」100のツボ | 坪谷 邦生 | ディスカヴァー・トゥエンティワン | 2022/2/18 |
だから僕たちは、組織を変えていける ――やる気に満ちた「やさしいチーム」のつくりかた | 斉藤 徹 | クロスメディア・パブリッシング(インプレス) | 2021/11/29 |
ミンツバーグの組織論――7つの類型と力学、そしてその先へ | 著者:ヘンリー・ミンツ 翻訳:池村千秋 |
ダイヤモンド社 | 2024/6/12 |
CHANGE 組織はなぜ変われないのか | 著者:ジョン・P・コッター、バネッサ・アクタル、ガウラブ・グプタ 翻訳:池村千秋 |
ダイヤモンド社 | 2022/9/21 |
企業変革のジレンマ 「構造的無能化」はなぜ起きるのか | 宇田川元一 | 日経BP 日本経済新聞出版 | 2024/6/22 |
組織が変われない3つの理由 「元気」と「成果」を同時に実現する組織のつくりかた | 著者:西田 徹、山碕 学 監修:松村 憲 |
日本能率協会マネジメントセンター | 2023/12/27 |
理論重視で学びたい人におすすめ
組織論の基礎を体系的に学びたい方におすすめの2冊を紹介します。
はじめての経営組織論
本書は、組織論を初めて学ぶ人に適した入門書です。著者自身も本書を入門的な教科書として位置付けていますが、一般的な入門書とは異なる点がいくつかあります。
従来の入門書では、理論の説明に際して歴史的背景や学説の説明に多くの説明をすることが一般的でした。
しかし、本書は現在の視点から組織論を解説することに重点を置いています。組織戦略やイノベーションなど現代のビジネスパーソンが知っておくべき概念も網羅しているのです。
また、本書は理論の説明だけでなく事例も随所に設けられています。その理論が実践にどのように結びつくのかといったところまで想像しやすいのが特徴です。
本書は組織論の理論を体系的に学びながらも、その理論が現実の組織でどのように機能するのかを具体的にイメージできる入門書となっています。
図解 組織開発入門 組織づくりの基礎をイチから学びたい人のための「理論と実践」100のツボ
本書は組織開発を体系的に学べる入門書として、経営者だけでなく組織の中で働く人にも向けて書かれた本です。
著書は20年以上の人事業務に従事し、人事マネージャーとしての業務や様々な企業で人事コンサルタントとしての組織開発支援を行ってきました。
人事として組織を作る実践者としての経験から組織開発について全部で100のポイントについて明快で分かりやすく説明した本です。
具体的には「組織開発のあり方・やり方」と「組織モデル」の二つのテーマを取り上げていて、見開きで1つのポイントを説明していきます。
左ページにポイントについて文章で詳しく説明し、その文章を右ページで図表を用いて分かりやすく整理しているのが特徴です。
図表を見てテーマの概要を把握し文章を読んで詳細を把握することで、より知識が頭に入りやすくなります。
実践重視で優れた組織構造や機能の形を学びたい人におすすめ
次に、実践重視で学びたい人におすすめの書籍を紹介します。その中でも優れた組織構造や機能の形を学びたい人におすすめの2冊を解説していますので、参考にしてください。
だから僕たちは、組織を変えていける ――やる気に満ちた「やさしいチーム」のつくりかた
本書は現代の組織が抱える課題を解決し、より良いチームを作るためのヒントが満載の一冊です。
私たちの社会はテクノロジーの発展によって大きく変化しています。
それに伴い組織のあり方も従来のトップダウン型から、一人ひとりが主体的に行動する自律型の組織へと変わってきているのです。
本書では、なぜ今、組織を変えなければならないのか、その理由を歴史的な視点から丁寧に解説しています。
そして、より良い組織を作るためにリーダーがどのような役割を果たすべきか、チームメンバー一人ひとりがどう行動すべきかといった具体的な方法が書かれています。
この本を読むことであなたは自分の所属する組織の課題を客観的に捉え、より良いチームづくりに貢献できるでしょう。
組織の変革に関心のある方やチームをまとめるリーダーの方、そして自分自身の成長を目指している方におすすめです。
ミンツバーグの組織論――7つの類型と力学、そしてその先へ
本書は、1979年に発表した「組織論」を最新の知見に基づき改訂したものです。
著書は実際のマネージャーとしての経験から得た知見を分析し、理論としてまとめています。
本書では組織を構成する要素として、アート・クラフト・サイエンスの3つがあげられています。
アートは直感や斬新さ、可能性を大切にするものです。
クラフトは経験に基づいたプロセスや実践を重視します。
そして、サイエンスはデータに基づいた分析とエビデンスに重きを置く傾向があるのです。
著者は意思決定やマネジメント、戦略を考える際に、3つのアプローチが行われているといいます。
一方で、業界によっては一つの傾向が強い人が多いこともあり、偏りが出ているケースもあるのです。
ミンツバーグはこの3つの要素をもとに組織を7つの類型に分類し、それぞれの特徴を解説しています。
組織の構造や働き方を理解して組織の課題を客観的に分析し、改善策を立案したいと考えている方は読んでみてください。
実践重視で変革の方法を学びたい人におすすめ
次に実践重視で学びたい人で、組織が変われない理由とその状況を打開して変革させる方法が学べる3冊の本を紹介します。
CHANGE 組織はなぜ変われないのか
本書は会社がなぜ新しいことに挑戦するのが難しくなるのか、その理由を科学的に解き明かした本です。
著者のJ.P.コッター氏は、長年の研究から組織が成長するために必要な2つの脳の働きを発見しました。
一つは、危機的な状況に直面したときに働く「生存チャネル」です。
例えば会社の業績が悪化したり競合他社に追い抜かれそうになったりしたとき、私たちは本能的に危機感を覚えて何とか現状を打破しようとします。
もう一つは、新しいことに挑戦したいという気持ちを起こさせる「繁栄チャネル」です。
このチャネルが活性化すると私たちはワクワク感や好奇心を感じ、新しいアイデアを生み出すことができます。
著者は組織が成長するためには、この「繁栄チャネル」を活性化させることが重要だと主張するのです。
本書では脳科学の視点からどのようにすれば組織の変革を成功させることができるのか、具体的な方法を学べます。
企業変革のジレンマ 「構造的無能化」はなぜ起きるのか
本書は現代の日本企業が抱える深刻な問題を浮き彫りにし、その解決策を示した一冊です。
多くの日本企業は部署ごとに分かれて仕事を進める縦割り組織を採用しています。
それぞれの部署が自分の目標達成に追われ、他の部署との連携が不足している状態に陥っている企業も少なくありません。
この状況が長く続くと組織全体が硬直化し、新しいアイデアや変化に対応できなくなってしまうことがあります。
本書ではこのような現象を「構造的無能化」と呼び、その原因と解決策を掘り下げているのです。
具体的には多様性・複雑性・自発性の3つの視点から、組織を変革するためのヒントが得られます。
本書を読むことで、あなたはなぜ会社がなかなか変われないのかその理由を理解し、組織を活性化させる方法を知ることができます。
組織が変われない3つの理由 「元気」と「成果」を同時に実現する組織のつくりかた
本書は、組織論や認知心理学、深層心理学をベースに組織を変革する理論と実践の方法を解説した本です。
エンゲージメント向上と成果は対立するもののように見えますが、本書を読めば、社員の内発的動機を高めることでエンゲージメント向上をさせることが成果につながることが分かります。
人のモチベーションを上げるための動機には2種類があります。それが外発的動機と内発的動機で、外発的動機は、給料や福利厚生の充実といった外から与えられた報酬によって高まる動機のことです。
一方、内発的動機とは、仕事を通して成長したい、企業や社会に貢献したいなど自分の心から沸き起こる気持ちによって高まる動機のことを指します。
本書では、人が本質的には内発的にしか動機づけできないことを組織が変われない理由の一つとしてあげています。つまり、組織の方向性は組織に関わる一人ひとりが主体的に作り出すものなのです。
本書では組織が変われない3つの様々な理由と変化する方法についてやり方が詳しく記載されています。
組織論の本を読み自社の課題を解決しよう
本記事では、組織論が学べるおすすめの本を7冊紹介しました。
今回ご紹介した書籍は、以下の通りです。
- はじめての経営組織論
- 図解 組織開発入門 組織づくりの基礎をイチから学びたい人のための「理論と実践」100のツボ
- だから僕たちは、組織を変えていける ――やる気に満ちた「やさしいチーム」のつくりかた
- ミンツバーグの組織論――7つの類型と力学、そしてその先へ
- CHANGE 組織はなぜ変われないのか
- 企業変革のジレンマ 「構造的無能化」はなぜ起きるのか
- 組織が変われない3つの理由 「元気」と「成果」を同時に実現する組織のつくりかた
組織論を学ぶことで企業の構造や自社の問題点が明らかになり、より生産的に運営するための方法を得ることができるでしょう。
気になった本はぜひ手に取ってみてください。
この記事が自社の組織を俯瞰的に見つめるきっかけとなり、新たな解決策やひらめきの糸口となれば幸いです。
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