ノーコードとは、プログラムの専門的な知識がなくても、直感的にプログラムを作成できる技術のことです。
ノーコードの需要は年々高まっていて、将来性があります。
今回は、ノーコードに将来性がある理由や日本での普及における課題について解説します。
ノーコードの普及によるITエンジニアの働き方の変化についても解説しますので、参考にしてください。
ノーコードとは?
ノーコードとは、プログラミングの専門知識が不要で誰でも簡単にプログラムを作成できる手法のことです。
コンピュータの言語を理解していなくても、画面上でパーツをドラッグ&ドロップするだけでプログラムを作成できます。
複雑なコードを一から書く必要がないため、開発にかかる時間やコストを大幅に削減できるのが特徴です。
例えば、ウェブサイト作成やアプリ開発、アプリ間の業務の自動化に役立ちます。
ノーコードを活用すれば、専門的なスキルがなくても、アイデアを形にすることが可能です。
ノーコードに将来性がある理由
ノーコードは今後さらに需要が高まると考えられ、将来性がある技術といえます。具体的な理由は以下の通りです。
- ノーコード開発市場規模が拡大し続けているから
- 日本のIT人材不足により内製化が必要になるから
- ノーコード×AIの市場規模が拡大し続けているから
ノーコードに将来性がある理由について、各項目を解説します。
ノーコード開発の市場規模が拡大しているから
ノーコード開発の市場規模は、世界的に拡大が期待されています。
Market Resarchはアジア太平洋、西ヨーロッパ、東ヨーロッパ、北米などでローコード開発に関する調査を行いました。
本調査によると世界のローコード開発プラットフォームの市場規模は、2023年の315.4億ドルから2024年には404.1億ドルへの上昇が予想されています。
2028年には、1169.1億ドルまで成長する見込みです。
2023年から2028年の5年間で約850億ドルの市場拡大が期待されています。
日本のノーコード市場規模は年々上昇している
国内でも世界と同様、市場規模は上昇すると予測されていて、2020年以降市場規模は年々上昇しています。
ITRが行った調査によると、国内におけるローコード/ノーコード売り上げは、2020年以降、次のように推移しています。
- 2020年度 515億8,000万円(前年度比24.3%増)※1
- 2021年度 611億6,000万円(前年度比18.6%増)※2
- 2022年度 709億4,000万円(前年度比16.0%増)※3
年々上昇が続き、毎年15%以上の伸び率です。
また、ローコード/ノーコードの国内の市場規模は、次のように成長を予想しています。※2
- 2024年 1,010億円
- 2025年 1,166億円
- 2026年 1,330億円
国外、国内とともにノーコード開発市場規模は増加すると予測されているため、ノーコードの将来性は高いです。
日本のIT人材不足により内製化が必要になるから
日本の多くの企業が直面している問題は、IT分野での人手不足です。ノーコードツールは、誰でも手軽にアプリやウェブサイトを作れるため、ITスキルが不足している状況を補うのに役立ちます。
Recruit Holdings Co., Ltd.は、人口動態統計を活用して2040年までの労働需給の軌跡を予想した「働き方の未来予測」を発表しました。
本研究結果によると、2030年には日本で約341万人、2040年には約1100万人の労働力が不足すると予測されています。
日本の人材不足はただの一時的な問題ではなく、長期的な対策が求められる状況です。
日本でのIT人材不足は、内製化を進める上で大きな課題です。ノーコードツールは、この課題を解決する強力な味方になるでしょう。
専門のITスタッフがいなくても企業内でIT問題を解決するのに役立つため、ノーコードツールへの注目は高まる一方といえます。
ノーコード×AIの市場規模が拡大し続けているから
AIは、年々技術が進歩して様々なツールが生まれています。
特にノーコードAIツール分野は市場の急成長を見せていて、ノーコード技術の将来性を強く示しています。
ノーコードAIツールとは、プログラミング不要でAIモデルの作成やデータ処理、予測分析ができるサービスです。
Grand View Researchによると、2023年におけるノーコードAIツールの市場規模は約3.83億ドルで、2030年の収益予測は24.42億ドルです。
ノーコードAIツールにより、誰でもAIを駆使できることで企業はDX化を進められます。
ノーコード技術は多くの可能性を秘めていて、将来性は明るいです。
ノーコードを活用するメリット
ノーコードの使用には様々なメリットがあります。
株式会社ヤプリが行った調査では、ノーコードツールを導入している企業で、導入により効果を感じた項目をアンケートしました。結果は図の通りです。
出典:PR TIMES『ノーコード認知率は23%、導入メリットの訴求が課題 株式会社ヤプリのプレスリリース』
社内で内製化・運用できるようになった(36.8%)、業務効率が上がった(36.8%)が同率で1位、費用を抑えることができた(28.1%)が2位と続きます。
本調査で示された上位3つのメリットについて、詳しく解説します。
社内で内製化・運用できる
ノーコード技術を使用すると、社内で内製化・運用が可能です。
企業はITエンジニアがいなくても、他の社員がノーコードを使用して簡単にプログラムを作成できます。
業務が属人化せず、目的や必要に応じて誰でも自由にカスタマイズできるのがメリットです。
例えば、顧客情報を管理するアプリが必要な場合、営業部門の社員がノーコードツールを利用して直接アプリを作成できます。
顧客のフィードバックを迅速に取り入れ、営業部門の社員が一貫してアプリの更新作業を行うことも簡単です。
業務効率が上がる
ノーコードを社内で運用すると、業務の時間短縮や作業の自動化が可能になり、業務効率が向上します。
複雑なプログラムを入力する必要がなく、直感的に操作して作成できるため、プログラミングにかける時間を削減可能です。
余った時間をより重要なタスクに割くことができます。
また、ノーコードツールには報告書生成、データ収集、顧客管理など様々なテンプレートが用意されています。
テンプレートを活用することで、日常業務を自動化するアプリを迅速に作成可能です。
費用を抑えられる
ノーコードは、システム開発にかかる費用を大幅に抑えられます。
自社でシステムを作成できるため、外部の専門家やプロの開発者を雇う必要がありません。
例えば、レストランを経営していて予約システムのアプリが必要な場合、従来なら専門の開発者に依頼する必要がありました。
ノーコードならレストランのスタッフが簡単な操作でアプリを作成できます。
ノーコードツールを使えば、開発費用を大幅に節約でき、その分を他のビジネス強化に資金を投入できます。
ノーコードの課題|日本で広まらない理由
ノーコードの市場規模は上昇しているものの、「日本で普及していない」と感じる人も多いのではないでしょうか。
ノーコードには以下の課題があり、これらが日本での普及を妨げています。
- 日本語に対応していないツールが多い
- セキュリティリスクがある
- 使用できる機能に限界がある
各項目を確認していきましょう。
日本語に対応していないツールが多い
ノーコードツールは世界中で使われていますが、多くが海外製で日本語に完全に対応しているツールは限定的です。
海外製のツールは日本で使用するのに不便さを感じるため、使用者は少なくなるでしょう。
例えば海外製のツールは、日本語でのサポートが不十分であったり、使用者や学習資料も限られていたりします。そのため、トラブルが起きたときに早急に解決策を見つけることが難しいです。
ノーコードが日本で普及するためには、日本語対応はもちろん、国内のサポート体制を十分に整えたツールの開発が重要となります。
セキュリティリスクがある
日本でノーコードツールが広く受け入れられていない理由には、セキュリティのリスクが関係しています。
ノーコードはプログラミングの知識なしにアプリを作れる便利さがありますが、セキュリティ面での細かいチェックが難しいです。
自分でプログラミングを行う際はセキュリティを自身で強化できます。一方、ノーコードではプラットフォームが用意した安全策に依存するしかありません。
実際にMicrosoftのノーコードツール「PowerApp」では、2021年8月に個人情報が漏れた事例がありました。原因は、開発側の設定ミスにより起こったものです。
ツールの使用にはリスクを最小限に抑えるため、プライバシーポリシーや利用規約を確認し、信頼できるツールを選びましょう。
使用できる機能に限界がある
ノーコードは、機能が限定的で複雑なニーズに応えるのが難しいです。
ノーコードツールは基本的なテンプレートを提供していて、初心者は使いやすいと感じるでしょう。しかし、必要な機能を追加したいときは、プログラミングの知識がないと実装が難しいです。
例えば、特定の計算処理や請求処理を必要とするアプリの開発では、ノーコードツールの機能では不十分な場合があります。独自の動きや検索機能が必要なアプリには、ノーコードでは対応しきれないことがあるのです。
ノーコードでアプリを開発する際には、ツールの機能を事前に確認することが重要です。
ノーコードの普及によるキャリアへの影響
ノーコードの普及により、ITエンジニアの働き方は変わる可能性があります。
最後に、ITエンジニアへの働き方の影響と需要が減るITエンジニアの特徴を紹介します。
ITエンジニアへの働き方の影響
ノーコードの技術が広がることで、ITエンジニアの仕事の進め方に変化が生じるかもしれません。
しかし、エンジニアの持つ高度な知識や技術力は、大切な価値を持ち続けます。
ノーコードツールは、シンプルなプログラムなら誰でも作れるようになりますが、複雑な問題解決には専門のスキルが必須です。
例えば大規模なシステムでは、ユーザーのニーズに応じたカスタマイズや拡張が求められます。
一方、システムトラブルが起きたときの対応やデータの安全を守るための対策は、専門知識があるITエンジニアでないと困難です。
ノーコードは日々の仕事を楽にする便利な道具ですが、ビジネスが成長するにつれてITエンジニアの重要性はますます高まります。
将来ITエンジニアは、単純な作業はノーコードツールに任せるようになるでしょう。
より専門的で創造的な作業に集中する働き方にシフトすると考えられます。
需要が減るITエンジニアの特徴
ノーコードツールの広がりに伴い、特に単純なコーディング作業に従事しているITエンジニアの需要は減少する可能性があります。
ノーコードツールの目的は、プログラミングの知識がない人でも基本的なアプリケーションを簡単に作れるようにすることです。
今後ウェブサイトや簡易アプリの構築などの基本的なコーディング作業は自動化されるでしょう。
このようなタスクに特化したエンジニアの役割は、小さくなると考えられます。
反復的な仕事に留まっている人は、新しい技術を学んだり複雑なシステム開発に関わったりしてスキルを広げることが求められます。
自分の専門性を高めることで、変化する市場の中で価値ある仕事をしていきましょう。
ノーコードの将来性は明るい
今回はノーコードに将来性がある3つの理由を中心に、活用するメリットや課題などを紹介しました。
世界のノーコード開発の市場規模は拡大すると予測されていて、今後日本でもさらに普及すると考えられます。
ノーコードのメリットや課題を確認し、個人のキャリアデザインや企業成長のツールとして活用してみてください。
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