「挫折経験のある人を採用したのに、すぐに心が折れて退職してしまった」
「挫折経験のある社員の適材適所はどこだろう?」
「部下が挫折してしまったらどうすればいいだろう?」
少子化で労働人口が減り続けている現在、多くの企業では仕事でつらいことがあっても辞めない人材を求めています。しかし、過去の挫折経験をもとに判断しても、期待通りにならないことも多いのではないでしょうか。
従業員の挫折に関して悩みを持っている経営者や管理職の方のために、この記事では以下の内容について説明します。
- 時代による挫折経験の必要性の変化
- 挫折経験の有無による適職
- 挫折経験の種類
- 挫折した従業員のフォロー方法
採用した従業員を社内の挫折で退職させてしまうことのないように、今回の記事をぜひ参考にしてください。
時代による挫折経験の必要性の変化
企業は挫折経験のある人を途中で諦めず、気持ちが折れない人材だと考える傾向にありますが、必ずしも挫折経験があるからと言って気持ちが折れないとは限りません。
時代の変遷によって挫折経験の必要性が変化しています。ここでは、挫折経験が必要だった高度経済成長期と、挫折経験のない人が増えている現代を比較します。
挫折経験が必要だった高度経済成長期
高度経済成長期は欧米諸国という大きな目標があった時代です。欧米の企業よりも品質の良いものを生み出し、勝つことが重要でした。すでに業務方法が確立されており、従業員は確実に速く遂行することに価値がありました。
高度経済成長期はゴールが明確にあったため、目標達成のためにひたすら頑張って結果を出すスポーツ精神や根性のある人が求められたのです。
挫折経験のある人は、挫折して負けたという経験から反骨精神が生まれ、「負けたくない」「次こそは勝ってやる」という気持ちがモチベーションになっていました。
現代は挫折経験で心が折れる可能性がある
現代は変化の激しいVUCA時代です。VUCAとは次の単語を集めたフレームワークの一つです。
- Volatility(変動性)
- Uncertainty(不確実性)
- Complexity(複雑性)
- Ambiguity(あいまいさ)
環境の変化するスピードが速いため、1つの目標のためにひたすら頑張るという働き方よりも、試行錯誤を繰り返して柔軟に変化に対応することが求められています。根性や反骨精神だけでは目標達成が難しくなってきているのです。
確実なゴールがないため、試行錯誤して挑戦しても失敗が続きます。成果がなかなか出ないことから、上司や顧客から認められないことがあるかもしれません。
高度経済成長期のような挫折経験から這い上がって成長するような人材では、何度も失敗してゴールが見えないことに耐えられなくなってしまう場合があります。
挫折から抜け出そうと頑張っているのに、試行錯誤をしても再び挫折を繰り返してしまい心が折れてしまうのです。
挫折経験の少ないZ世代
Z世代は挫折経験の少ない人が多いと言われています。
Z世代は1990年半ばから2010年代生まれの人を指し、非競争化で勝ち負けがつかない安心・安全な環境で教育を受けてきました。SNSやオンラインサービスを気軽に使い、多様性を認める人が多いです。
Z世代には、挫折経験から生まれる「負けたくない」「誰かに勝ちたい」という気持ちがほとんどありません。自分らしくあることに意識を向ける傾向にあり、知的好奇心や社会的意義を感じることに力を注ぐことが多いです。
自分の欲求に従って行動しているので、失敗してもあまり気にしません。他人にどのように思われるかを気にするよりも、自分らしさを大事にしています。失敗しても心が折れにくく、しなやかな強さがあると言えます。
挫折経験の有無による適職
新卒や中途入社の採用面接で挫折経験を質問することがありますが、挫折経験がある人の方が優秀というわけではなく、適した業界や職種が異なります。
自社に合った人材かどうか見極めや適材適所の配属をするためにも、挫折経験の有無による適職の違いを知っておきましょう。なお、ここでの適職はすべての人材に当てはまるものではなく、一般論として認識してください。
挫折経験のある人が有利な業界・職種
挫折経験から生まれる負けん気が必要な仕事としてよくピックアップされるのは、セールス職や企画職などです。
何度も断られることがあっても「次こそは!」と思い、成果を出すまでトライし続けられるため、挫折経験のある人の方が適しています。
不動産業界や金融業界、カーディーラーなどは挫折経験のある人が向いています。
挫折経験のない人の方が適している業界・職種
挫折経験のない人は、変化が多い環境でも対応できる柔軟性を持ち、競争心があまりないという特徴を持っています。
試行錯誤をして、より良い成果を目指すことに強みがあるため、IT業界や技術開発・商品開発などの新しいものを生み出す仕事が適しています。マーケターやコンサルタント、ディレクターなども適職です。
勝ち負けにこだわるよりも柔軟性や適応力を活かす仕事で活躍できます。
従業員の挫折経験の有無と理由
エン・ジャパン株式会社が実施したアンケートによると、仕事において挫折経験がある人は全体の87%で、年代別でも80%以上の人が挫折を経験しています。
挫折とは、意気込んで取り組んでいる仕事や計画が途中で失敗したりしたために意欲や気力をなくすことです。失敗が自分の考え方や行動に悪い影響を及ぼしている状態です。
エン・ジャパン株式会社のアンケートによると、挫折の理由として「会社から評価されない」と感じたことが20代以外で1位となっています。
従業員が正しいと思ってやってきたことが会社から評価されないのは、従業員と会社の評価基準にずれがあることが考えられます。個別面談の際に上司と部下で目標を共有し、適宜進捗の報告や相談をさせることで挫折を防げるでしょう。
20代の1位回答は「要求されている仕事の水準を満たせない」です。自分自身に対する能力認識と、実際の成果に差異があることで挫折してしまいます。
20代は社会人になったばかりなので、要求された仕事ができなくてもこれから覚えていけば良いと安心させ、能力向上の研修や指導を十分に行うことが必要です。
挫折を経験した従業員を成長させる5つの方法
社内で大きな失敗やミスをしてしまって挫折を感じた従業員をフォローし、成長させる方法を5ポイント説明します。
- 改善策を自分で考えさせる
- 仕組みや制度を見直す
- あいまいな表現を使わない
- 日常的にコミュニケーションを心がける
- 1on1ミーティングを実施する
日頃からどのように従業員に接し指導しているかが、従業員が挫折したときに大きく関わります。上司に頼りたくなる信頼関係を構築することが大切です。
1. 改善策を自分で考えさせる
大きな失敗やミスをした際には、本人にどうすれば次に同じ失敗をしなくて済むのかを考えさせます。他人に一方的に言われて改善しても他人事になりがちですが、自分で考えることで改善策を自分事にしやすくなります。
部下が考えた改善策を上司が確認し、現状に即した修正を提案しましょう。部下に知識や経験が少ない場合は、ヒントを与えたり、複数の改善策を提示して部下に選ばせることでも、改善策を自分事にできます。
部下が自分の意志で決めた改善策は前向きな行動を生むため、自ら考え行動する従業員へと育ちます。
2. 仕組みや制度を見直す
大きな失敗やミスの原因が本人ではなく仕組みや制度にある場合は、早急に改善が必要です。失敗やミスが少ない環境で働けることは安心感につながります。
失敗やミスをなくしたり、ミスが起きても大きな問題とならない仕組みや制度を構築する方法として挙げられるのが、エラープルーフ化です。エラープルーフ化には5つの要素があります。
排除 | ・失敗・ミスの原因を取り除くこと ・失敗のリスクが高いルールを排除すること |
代替化 | ・今まで人が行っていた作業を機械に代替させること |
容易化 | ・業務に取り組みやすくすること ・判断しやすくすること |
異常検出 | ・異常を速く検出し知らせること ・被害を拡大させないこと |
影響緩和 | ・エラーによる問題が他の部署に影響させないようにすること |
仕組みや制度を整えても、ルールを守らないことで発生する失敗やミスは防げません。エラープルーフ化を徹底するとともに、従業員教育やマネジメントをしっかりと行うことが重要です。
3. あいまいな表現を使わない
あいまいな表現を使うと相手によって受け取り方が異なるため、失敗やミスにつながります。あいまいな表現とは期日や量などを具体的に示さない表現のことです。
- 「なるべく早く提出してください」→「3日後までに提出してください」
- 「駅までそこそこ遠いです」→「駅まで30分かかります」
- 「もっと大きくしてください」→「あと10cm大きくしてください」
- 「かなりの人数が参加します」→「100人が参加します」
- 「いつもより多めに用意してください」→「10部増やして用意してください」
あいまいな言葉を数字で表すだけで、相手へ明確に伝わります。あいまいな表現を無意識に使ってしまうことがあるため、自分の言葉が正確に相手に伝わるかを意識するとともに、相互に内容確認を行いましょう。
余計な失敗やミスを生まないためにも、具体的な数字で伝えたり、参考となる資料を用意したりして話をすることが大切です。
4. 日常的にコミュニケーションを心がける
従業員にとって失敗したときや挫折して落ち込んでいるときに、社内に頼れる相手がいることは心強く感じます。日常的に短い会話でもコミュニケーションを取ることが大事です。
継続的にコミュニケーションを取り従業員の様子を見ることで、失敗した後に気持ちの沈みに気づきやすくなり適切にフォローを入れられます。
5. 1on1ミーティングを実施する
短いスパンで1on1ミーティングを行い、従業員が抱えている悩みなどをヒアリングしアドバイスによって成長を促すことも有効です。1on1ミーティングの際は上司が一方的に話すのではなく、部下との対話を行います。
上司と部下が相互に理解し合い信頼関係を構築でき、部下のモチベーションがアップするなどの効果があります。
挫折経験を通して従業員を成長に導こう
この記事では、挫折経験のある人とない人の特徴や適職、挫折を経験した従業員へのフォロー方法などを説明しました。
挫折することで短期的には落ち込んでも、自分の至らなさや課題を発見できれば成長につながります。会社で働く中で失敗やミスは付き物ですが、挫折した従業員に適切にフォローすることで、挫折経験が価値あるものとなります。
失敗やミスをしても客観的になぜ発生したのかを把握し、従業員に自ら行動させることで自己成長につながるので、管理者はその邪魔をしないことを意識してください。
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