大人になると怒られたり指摘されたりする機会が減るため、仕事を評価するフィードバックに対して恐怖を感じる方も少なくないでしょう。
しかしフィードバックの度に落ち込んでしまうと、仕事そのものにストレスを感じる可能性もあります。
そこで今回はフィードバックに落ち込む原因と、フィードバックの上手な受け止め方を紹介します。
生産性の高いフィードバックをするやり方についても解説しているので、フィードバックを受ける側もする側も、ぜひ円滑な人間関係を築きながら業務を進めるための参考にしてみてください。
フィードバックに落ち込む原因とは
大前提として、フィードバックに苦手意識を持つ人は多いということです。
「自分のメンタルが弱いからだ」と落ち込まずに、なぜフィードバックに落ち込む人が多いのか、その原因を知っておきましょう。
自己肯定感が低く自信がない
自己肯定感が低く自信がない人は、フィードバックを受けたときにネガティブな評価として受け止めてしまうことがあります。
たとえ業務をきちんと遂行しても、自分に自信がないと「自分が悪いのかもしれない」と事実ではないことで自分を責めてしまうケースも少なくありません。
フィードバックはある特定の人の一つの意見であって、事実とは限りません。
フィードバックの内容はすべて正面から受け止める必要はないと覚えておきましょう。
「仕事」ではなく「自分自身」でフィードバックを受け止めてしまう
ネガティブな内容の評価を受けたとき、「自分はダメなんだ」「能力が低いせいだ」と自分自身を責めてしまうと、自分に自信がなくなって落ち込んでしまいます。
しかし、フィードバックは業務への評価であり、個人の評価ではありません。
たとえ自分が行った業務に関してネガティブなフィードバックをもらったとしても、自分自身が否定されているわけではないということを意識してみてください。
フィードバックをする側の役職が自分よりも高いから
フィードバックは先輩や上司からもらうことが比較的多くなりがちです。
自分よりキャリアを積んでいたり、役職が高かったりする人からフィードバックをもらうと、「自分には実力が足りないからだ」「自分は劣っている」と比較して落ち込むケースもあるでしょう。
しかし、自分よりも経歴がある人の言っていることがすべて正しいとは限りません。
どんなにスキルやキャリアがあってもミスをすることはあるし、フィードバックをする側が自分より立場やスキルなどが勝っているからといって自分が優れていないということはありません。
フィードバックを受けるときは人と比べるのではなく、フィードバックの内容だけを受け止めるように心がけてみてください。
落ち込むときは無理にフィードバックを受け入れなくてもいい
「泣きっ面に蜂」ということわざがあるように、メンタルが弱っているときにフィードバックを受けると落ち込んでしまうこともあります。
嫌なことがあったり、疲れていると感じたりしたときは、フィードバックを一旦保留しても構いません。
ネガティブな思考はネガティブな思考を増やす
ネガティブな思考になっているときは、新たにネガティブな思考が生まれやすくなります。
落ち込んでいるときにネガティブなフィードバックを受け取ると、「そういえばあんなこともあった」「こんなこともあった」と、頭のなかに次々と嫌な記憶が浮かんでくることも少なくありません。
「嫌なことばかり起こる」「ツイていない」と感じるときは、ネガティブな思考が些細な出来事をネガティブな方向に捉えてしまっているせいかもしれません。
休息をとってエネルギーを回復してから受け止めてもいい
ネガティブな思考は自分自身を苦しめてしまうので、フィードバックを受け止めてさらに苦しい気持ちになるようなら、一旦休息をとって心の回復を待つのがおすすめです。
十分に睡眠を取ったり、好きなことに打ち込んだり、心のリラックスにつながるなら何をしても構いません。
まずは心の健康を第一に考えてみてください。
人生を生きやすくする方法が知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
苦手なフィードバックの受け止め方
フィードバックが苦手な人も、受け止め方を変えるだけで落ち込むのを回避できる可能性があります。
見方を変えたり、フィードバックを有効活用する方法を試したりなど、できることから取り組んでみてください。
やる気を出してパフォーマンスをアップさせたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
自己評価をした上でフィードバックを受け止める
フィードバック＝他者の評価がすべて正しいということはありません。
まずは自己評価をした上で、フィードバックの内容と照らし合わせてみましょう。
自己評価がきちんとできていれば、ネガティブなフィードバックをもらったときでも、できた点とできなかった点を区別することができます。
できた点が分かっていればフィードバックを受けても必要以上にネガティブになることがありません。
また、できなかった点が正確に把握できれば、改善点として今後の行動につなげていくことができます。
リフレーミングしてみる
リフレーミングとは、物事の枠組み（フレーム）を違う視点から見て、捉え方を変えることです。
リフレーミングの例えとしてよく挙げられるのが、コップにジュースが半分入っているときに「もう半分しかない」と捉えるのと「まだ半分もある」と捉えるのでは、印象が180度変わるというケースです。
たとえば自分が行った業務についてフィードバックで1つのマイナス点を指摘されたとします。
そのときに「自分はダメだ」と考えるのではなく、「一つのマイナス点を改善すればいい」と考えると、課題をポジティブに捉えることができます。
リフレーミングは自己評価の向上が期待できると言われているので、自分に自信がなくフィードバックに苦手意識のある方におすすめです。
また、「フィードバックをすべてポジティブに変換しよう」とゲーム感覚で楽しむことによって、フィードバックを客観的に捉えられるでしょう。
フィードバックをする側と信頼関係を築く
フィードバックをする側と普段からコミュニケーションを取るのも、フィードバックに落ち込まないための方法の一つです。
フィードバックに限らず、よく知らない人や信用できない人からの意見は受け止めにくいということは誰でもあります。
信頼関係がない人からの意見は必要以上に痛烈に感じてしまうことも少なくありません。
フィードバックをする側とコミュニケーションを取り、信頼関係を築いておくことでフィードバックを受け入れやすくなります。
また、相手の人柄をよく知っておけば、フィードバックの意図も汲み取りやすくなるでしょう。
フィードバックに慣れる
フィードバックを受ける機会を増やして、評価や意見されることに慣れておくのも一つの方法です。
フィードバックを受ける回数が増えると、フィードバックの効率的な受け止め方や自分の心の守り方がわかってきます。
しかし、フィードバックに慣れていないと、まるでノーガードなところにストレートパンチをくらったような衝撃を受けてしまうことも少なくありません。
フィードバックは受け止め方にもコツがあると覚えておきましょう。
質問をして具体的な内容や改善方法を確認する
フィードバックは一方的に受け止めるのではなく、「対話」と考えるのがおすすめです。
たとえばメールやチャットでフィードバックを受ける場合、評価を勘違いして受け取ったり、深読みしてネガティブに考えてしまうことも少なくないでしょう。
そのため、フィードバックをもらったら、気になる点を質問したり、改善点を確認したりしてフィードバックする側との対話を心がけてください。
フィードバックの意図や本質を正しく理解することで、必要以上にネガティブに考えるのを避けられるほか、改善点や次のアクションが見つかりやすいので効率的です。
落ち込むことに時間制限を設ける
フィードバックを受けて落ち込んだり、自分を責めてしまったりするのは何も悪いことではありません。
もしフィードバックに落ち込んでしまったら、思いきり落ち込む時間を設けるのも一つの方法です。
「落ち込んではダメだ」と思うと余計にネガティブな思考に陥ったり、心がモヤモヤした状態が続くことも少なくありません。
たとえば「15分間はとことん落ち込む」と決めて、ネガティブな感情や思考を制限時間内に出し切ってみてください。
長時間落ち込み続けるのは疲れてしまうので、落ち込むのに飽きたとき、改めてフィードバックを見直してみましょう。
生産性が高まるフィードバックをする方法
フィードバックに落ち込んだり、苦手意識を感じたりすることがあるなら、自分がフィードバックをする立場になったときに相手に苦手意識を持たせないように工夫するのがおすすめです。
今回は生産性が高まるフィードバックをする方法を3つ紹介します。
人材育成のコツが知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
できるだけ顔を合わせた状態で行う
フィードバックは対面でもオンラインでも、できるだけ顔が見える状態で行うのがおすすめです。
チャットやメールでフィードバックを行うと一方通行になりやすく、文章では意図が正確に伝わらないこともあります。
顔を合わせてフィードバックを行うことによって相手の感情の変化が読み取りやすくなり、フィードバックを受ける側のフォローがしやすくなるでしょう。
自分や上層部にもフィードバックをもらう
フィードバックを受ける側にとっては、一方的に評価を受けることに不満を抱くことも少なくありません。
お互いにフィードバックをする側であり、受ける側であれば、不平等感が生まれにくいでしょう。
また、フィードバックを受ける側にも意見を言える場を用意することによって、フィードバックを受け入れやすくなる効果も期待できます。
お互いに意見を言い合えば、信頼感も生まれやすくなるでしょう。
納得できるまで話し合う
フィードバックは単なる評価ではなく、より良いパフォーマンスにつなげるため、課題を改善するためのものです。
正しく受け止めて自分のなかにしっかり落とし込むためにも、納得できるまで双方で話し合うのがおすすめです。
フィードバックをする側も「きちんと伝わっているのか」「嫌な気分になっていないか」など、受け手がどのような印象を持ったのか気になるものです。
フィードバックを受けたときに不明点があったり、腑に落ちない部分があったりするときは遠慮せずに質問してみましょう。
まとめ
フィードバックに対して苦手意識を持つ人は意外と多いでしょう。
しかし、本来フィードバックは業務効率化や生産性アップにつながる有益なものでなければいけません。
フィードバックをする側も受ける側もフィードバックを有意義なものにする工夫をして、フィードバックの質を高めていきましょう。
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