ビジネスにおいて、業務を円滑に進めていくうえで役割分担は欠かせません。
役割分担が適切に行われていないと、個々で明確に何を行うべきか理解できなかったり、責任の所在が曖昧になってしまったりするデメリットがあります。
実際に、次のような悩みを持っている方も多いことでしょう。
- 仕事の役割分担を決める効果は?
- 仕事の役割分担を決める方法が知りたい
- 役割分担がうまくいかないときはどうする?
この記事では、役割分担の重要性や効果、役割分担を決めるための具体的なステップを解説します。
ぜひ参考にしていただき、チームワークや自社の生産性向上につなげていきましょう。
仕事で役割分担をする理由
仕事における役割分担とは、メンバー個々の能力や業務量などを把握しながら、業務やポジションといった役割を割り振ることをいいます。
役割分担で分業すると個々でやるべきことが明確になり、責任感を持って業務に取り組むことができます。
とくにチームやプロジェクトの人数が多くなるほど、役割分担が大きな意味を持ちます。
チームやプロジェクトで業務の全体像や業務フロー、スケジュールや担当者が不明確になると、できていない業務があったり、人任せにしてしまったりするリスクが高まります。
そのため、チームリーダーは意識的に役割分担を行うのがおすすめです。
ただし、複数人で取り組む必要がある業務など役割分担が難しい場合や、役割分担をすることによって効率が下がってしまう場合は、必ずしも役割分担を実施する必要はありません。
役割分担で解決できる課題
役割分担によって解決が目指せる課題は、おもに次のとおりです。
- 業務の属人化
- 業務内容や役割の認識齟齬
業務の属人化
多くの企業では、業務が属人化し、担当者が不在の状態になると、その業務の詳細ややり方がわからず、交代できる担当者がいないという問題が発生しています。
しかし、役割分担は業務ごとに担当者を固定するのではなく常に適任の担当者を配置することで、業務の経験者が増え、業務の属人化を防ぐことができます。
一定期間やプロジェクトごとに役割分担をスムーズに行うなら、業務のマニュアル化や研修制度の導入が効果的です。
また、ジョブローテーションを実施し、従業員にさまざまな業務を経験してもらうのも一つの方法といえます。
業務内容や役割の認識齟齬
役割分担が明確になっていないと、業務範囲や業務の方向性、目的といった部分で齟齬が生まれる可能性があります。
少しのズレがリーダーへの不信感やモチベーションの低下につながるケースも少なくありません。
そのため、リーダーはメンバーと密にコミュニケーションを取りながら、適切な役割分担を実施する必要があります。
リーダーが独断で役割を決定するのではなく、チームメンバーと話し合って意見を取り入れたり、1on1ミーティングを実施してメンバーのスキルや希望を役割分担に反映させたりすると不満が生まれにくく、業務効率化が見込めます。
役割分担による効果
役割分担を適切に行うことで、個人でやるべきことが明確になり、業務効率化が見込めます。
また、役割分担は従業員のモチベーションアップにもつながり、結果的に自社の生産性アップが目指せるので、役割分担を行うことによる大きなメリットが見込めるでしょう。
生産性の向上により企業規模の拡大が見込める
メンバーがそれぞれ納得して自分の役割を認識することで、業務のスケジュールやタスク管理がしやすくなります。
やるべきことや期日が明確になれば、業務のムダが減るため、個々のパフォーマンスアップにつながるでしょう。
個人の業務効率が上がれば、業務時間が減り、新たなプロジェクトにまわせるリソースを確保できたり、新たな人材を確保したりなど、自社の生産性アップや業務拡大が見込めます。
モチベーションが保ちやすくなる
メンバーがそれぞれ役割を把握することで、責任感が生まれます。
また、自分のスキルやリソースを考慮し、納得して役割を受け入れることで、業務に対するモチベーションの向上が見込めるでしょう。
メンバーのモチベーションは、業務効率や業務の質を左右するだけでなく、離職率にも大きく影響しています。
リクルートマネジメントソリューションズの「2023年 新人・若手の早期離職に関する実態調査」によると、社会人1〜3年目の新人・若手社員の離職理由として、「仕事にやりがい・意義を感じない」と回答した人の割合は、13.2%にのぼっています。
また、「自分のやりたい仕事ができない」「仕事で自分の持ち味や能力を発揮できない」など、モチベーションに関わる退職理由が多く見受けられます。
早期退職を防止し、定着率を高めるためにも、役割分担は大きな効果を発揮すると考えられます。
チーム体制の強化につながる
チーム内でメンバーの役割が明確になれば、それぞれが責任を持ち、円滑にプロジェクトや業務を進めていけるでしょう。
また、各メンバーの業務量やスケジュール、タスクが可視化できるため、それぞれがサポートし合える環境を作ることができます。
また、役割分担をベースに考える習慣がつけば、業務の遅れや想定外のトラブルが発生したときも必要な役割を分担し、協力して課題解決に取り組んでいけるでしょう。
チーム体制が強化されることによって、意見や悩みを言いやすい環境が作れます。
チームビルディングを強化する方法が知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
役割分担を決める方法4ステップ
役割分担を決めるための4ステップは次のとおりです。
- 個人の業務をそれぞれが棚卸しする
- 棚卸しした業務を精査する
- スキル・工数・優先度に応じて人員を配置する
- 役割分担表を作成する
1.個人の業務をそれぞれが棚卸しする
適切な業務量で役割分担するためにも、まずは、メンバーそれぞれが自分の業務を棚卸しする必要があります。
自分の業務を棚卸しする方法は次のとおりです。
- 自分が対応している業務をリストアップする(タスクレベルまで落とし込む)
- 業務のレベルを分けてグルーピングする
- それぞれの業務にかかるおおよその時間を記載する
業務を書き出すときは現在抱えている業務だけでなく、定期的に発生する業務や年間を通して発生する業務など、期間を設定して業務の棚卸しを行います。
2.棚卸しした業務を精査する
メンバーそれぞれの業務の棚卸しが完了したら、業務フローやタスクに「ムリ」や「ムダ」、「ムラ」といったカットできる部分や改善できる部分がないか精査します。
棚卸しで書き出した業務を精査するためには、次のような項目で判断してみてください。
- その業務(タスク)は必要か
- 不足している業務、追加した方がいい業務はないか
- 重複している業務や細分化しすぎている業務を集約できないか
- 業務の属人化や業務量の偏りが発生していないか
- 業務の担当者は適任か(スキル不足またはスキルを持て余していないか)
- 業務は最適化されているか(すぐに引き継ぎや交代ができる状態になっているか)
3.スキル・工数・優先度に応じて人員を配置する
業務の精査が完了したら、メンバーのスキルや業務ごとの工数、優先度を考慮しながら担当者を配置します。
担当者を配置するときは、適切な評価をもとにするのはもちろん、1on1ミーティングなどを実施してメンバーの希望やキャリアプランなどをヒアリングしながら検討するのがおすすめです。
能力面や業務量とのバランスを取りながら、不満が生まれにくいように業務の分担を進めていきましょう。
4.役割分担表を作成する
担当者を配置したら、役割分担表を作成するのがおすすめです。
役割分担表を作成することで業務が可視化できるため、スケジュールやタスク管理がしやすくなります。
また、チームで役割分担表を共有すれば、メンバー同士で役割を把握し合うことができるため責任感が生まれるほか、コミュニケーションの円滑化にもつながります。
作成した役割分担表は担当者の業務状況や部署移動などによって変動する可能性があるので、業務やタスクごとに移動できるようにするなど、編集しやすい状態にしておくのがおすすめです。
役割分担表の作成後は、PDCAサイクルを回しながら評価と改善を実施するようにしましょう。
役割分担がうまくいかない理由と解決策
役割分担がうまくいかない、または役割分担の効果が実感できない場合は、役割分担のやり方が適切ではない可能性があります。
役割分担はメリットが多いものの同時に課題も存在しているため、課題を解決しないまま放っておくと逆効果になってしまう可能性もゼロではありません。
思い当たる部分がある場合は、早めに対処して役割分担の効果を最大化してみてください。
組織マネジメントについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
コミュニケーション不足
適切な役割分担を実現するためには、主体となって役割分担を行うリーダーがメンバーの能力や性格をしっかりと把握している必要があります。
普段からコミュニケーションが不足していると、メンバーを正しく評価できないほか、不適切な役割分担で反感を買ってしまう可能性も少なくありません。
また、コミュニケーションが希薄な状態にあると、役割分担をしても業務の幅ややり方といった細かい部分で齟齬が生まれる可能性があります。
チーム内でコミュニケーションが取れていれば、業務の認識について齟齬があっても、初期段階で修正していけます。
メンバーの仕事量を把握していない
役割分担は業務の種類だけでなく、業務量が偏りすぎないよう、うまく調整する必要があります。
メンバーが抱えている業務量を加味せずに役割分担を実施してしまうと、オーバーワークになったり、反対に業務時間が余ったりするメンバーが出てくる可能性があります。
また、均等に業務量を分担しても、能力によって業務量の差が生まれてしまうケースもあるため、業務態度やスピードを把握したうえで役割分担を実施することも重要です。
ただし、業務スピードが遅いメンバーの役割を減らし、業務スピードが早いメンバーの役割を増やしてしまうと不満が生まれやすいので、やはりメンバーとの密なコミュニケーションが大切といえます。
個別化しやすくなる
役割分担はメンバーが自分の業務を認識し、集中して業務に取り組めるというメリットがあるものの、ほかのメンバーの役割について無関心になりやすいというデメリットがあります。
他者に無関心な状態が続くと、コミュニケーションが希薄になりやすいほか、業務の属人化や部署間の連携ミスといった問題に発展しかねません。
そのため、役割分担の効果を最大化するためには、チーム内はもちろん、部署間で業務フローや業務量、スケジュールを共有することをおすすめします。
また、ランチミーティングやチームビルディング研修など、コミュニケーションを強化する対策を並行して行うのも一つの方法です。
業務範囲の重複や漏れがある
業務の棚卸しや精査が適切に行われていないと、業務が重複して複数の担当者が同じ業務に取り組んでしまったり、必要な業務が漏れて誰も対応していなかったりすることがあります。
このような業務の重複や漏れは業務効率の低下につながるほか、スケジュールがズレて営業や取引に影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
業務の重複や漏れは役割分担表とスケジュール、タスクなどをメンバー間で共有することで防止できます。
また、メンバー間でコミュニケーションを取りながら業務を進めることで、認識のズレや伝達ミスを防げるでしょう。
まとめ
役割分担を実施することでメンバーそれぞれが自分の業務やほかのメンバーの業務を把握し、責任感を持って業務に取り組むことができます。
メンバーのモチベーションや業務効率が上がれば、自社の生産性アップにつながるため、リーダーは適切な役割分担を実施するのがおすすめです。
役割分担のステップや注意点を参考に、業務の見直しと最適化を行っていきましょう。
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