チームダイナミクスとは、仕事で一緒に働く人たちがどのように協力し、影響し合うかを表現した言葉です。
優れたチームダイナミクスを作ることで、生産性を上げ目標達成がしやすくなります。
リーダーの振る舞いや考え方が如実に反映されるため、組織を引っ張るリーダーにとってチームダイナミクスの知識は欠かせません。
今回はチームダイナミクスの考え方や優れたチームダイナミクスを持つ企業の特徴、チームダイナミクスを改善する方法を解説します。
チームダイナミクスとは
チームダイナミクスとは、仕事で一緒に働く人たちがどのように協力し、影響し合うかを表す言葉です。
チームの中で、人々の関係、態度、行動がどのように作用し合っているかを見られます。ドイツの心理学者であるクルト・レヴィン氏により提唱された言葉です。
チームダイナミクスを理解して上手に取り扱うことは、チームが上手に働き、目標を達成するためにとても大切です。リーダーは良いチームダイナミクスを作るよう努力することで、チームの生産性や団結力を高められます。
チームダイナミクスの考え方
チームダイナミクスには、メンバー同士の結びつきや一体感が含まれます。これが強ければ強いほどグループはより効率的にそして長期にわたって活動できるようになるのです。
しかし、グループの力が強すぎると時には個人の意見が抑えられてしまいます。個々人が自分の考えを自由に表現するのが難しくなり、多様性や創造性が失われるのです。
例えば、学校、会社、家族など、私たちは日常生活で様々なグループと関わりをもっています。そのグループの文化や価値観は、無意識のうちに私たちの行動や考え方に影響を与えているのです。
一方で、個人が持つアイデアや行動もグループに新たな風を吹き込むことがあります。
このようにグループ内での思考や行動は個々のメンバーの貢献によって形成され、それぞれが相互に影響し合っています。
チームダイナミクスでは、リーダーの振る舞いやグループの雰囲気がチームの方向性や成果に大きく影響します。
優れたチームダイナミクスを持つチームの特徴5選
次に、優れたチームダイナミクスを持つチームの特徴を紹介します。
共通したビジョンを持っている
優れたチームダイナミクスを持つ組織は、共通したビジョンを持っています。共通のビジョンを共有することでチームメンバーは同じ方向を向き、連携して働けるのです。
各メンバーが一つのビジョンに合わせて行動することでチームは目標達成に向けて効率よく協力できます。
あるプロジェクトチームが「環境に優しい製品を作る」という共通のビジョンを持っていたとします。
このビジョンを受けて、エンジニアは省エネ設計に、マーケティングチームはエコフレンドリーなイメージの広告に力を入れました。共通のビジョンを持つと、こうして異なる部門が同じ目標に向かって努力できます。
ビジョンを明確に持つことは、チームが協力し合いより高い成果を達成するために重要です。
目指す成果をチームで共有している
チームメンバー全員が目指す成果を理解していることは、優れたチームダイナミクスを持つ組織の特徴です。
成果をあらかじめ共有することで、メンバーがそれぞれの技術や知識を最大限に活かすために行動できます。
四半期ごとの売上目標を共有しているセールスチームを例にします。
リーダーが目標を明確に伝え、各メンバーがどのように貢献できるかを議論することで、各々が自分の得意な分野で目標達成に向けた行動を起こせるのです。
互いに高め合う風土がある
優れたチームの特徴として、メンバーたちは互いの達成を認め、お互いの成長を支え合う文化を大切にしています。
メンバーが相手の長所を見つけてお互いを励ますことで、チーム全体が力を合わせられるのです。建設的な意見交換は、個人のスキル向上につながりチーム全体の生産性を上げます。
例えば、営業チームが月末に成績を振り返る会議を開くとしましょう。そこで、メンバー同士が互いの成功を祝い、失敗から得た教訓を共有します。
このような行動はチームメンバーが次の目標に自信を持ち、能力を伸ばす手助けになるのです。
役割と責任範囲がはっきりしている
役割と責任範囲が明らかな組織は、優れたチームダイナミクスを持っています。
メンバーが自分の仕事を正確に知っていれば、不明確さや分かりにくさがなくなります。これによって皆が自信を持って任された仕事に集中できるのです。
あるプロジェクトチームが新しいキャンペーンを始めることになりました。リーダーは誰が市場調査を担当し、誰が広告デザインを作るのかを明確にします。
それぞれのメンバーは自分の役割を理解することで、チームの目標に向かって協力して仕事を進められるのです。
新しい考えややり方に寛容である
優れたチームダイナミクスを持つチームは、変化に適応する力があります。
新しい考え方ややり方に柔軟に対応できるチームは、プランを素早く調整しどのような状況でも成果を出し続けられるのです。
ある営業チームが市場の変化により、営業成績が落ちてしまったとしましょう。ここで、チームは変化を受け入れ新しい流れに合わせて営業戦略を更新できれば、競争が激化する中でも成果を出せます。
変化を前向きに受け入れ適応することは、チャンスを活かし挑戦を乗り越えるための強みになるのです。
劣ったチームダイナミクスを持つチームの特徴
次に、効果的でないチームダイナミクスを持つチームの特徴を紹介します。
リーダーシップ力がない
リーダーが適切なリーダーシップを取れないチームは、チームがうまく機能しません。
特に、自分の考えをチームに押し付けるタイプのリーダーは、他のメンバーの創造性や意見を抑制します。
結果として、チームでイノベーションが生まれません。異なる視点や新しいアイデアの交換が不足すると、チームは本来の力を出せなくなるのです。
リーダーが自分のアイデアを強く主張することで、他のメンバーが自由に意見を出しづらくなります。
結果として、チームはリーダーの限られた考え方に縛られ、より良い解決策を見つけ出すチャンスがなくなるのです。
リーダーの大切な仕事は、チームがどの方向へ進むべきかをしっかりと示し、メンバー一人ひとりを適切にサポートすることです。
もしもこのようなサポートが足りなければ、プロジェクトは簡単に軌道を逸れ、失敗に終わってしまいます。
仕事に受動的なメンバーがいる
メンバーが仕事を均等に分担せず一部の人に依存することは、チームの効率を下げる原因です。これを「社会的手抜き」と呼び、チームワークを悪くする原因となります。
社会的手抜きは、個人が自分の負担を避けて他人がカバーしてくれると期待することです。これは他のメンバーが不公平に感じ、やる気をなくすことがあります。
残りのメンバーは、他の人がやってくれるだろうと考えてなかなか手を出しません。その結果、積極的に働くメンバーは過重労働になりチームとしての一体感が失われます。
メンバー同士のコミュニケーションの取り方が悪い
悪いチームダイナミクスは、メンバー間のコミュニケーションが不十分です。
特に攻撃的な態度や否定的な反応を示すメンバーは、チームの協力関係を崩し仕事の質を下げる原因です。
このようなメンバーは、他の人が自由に意見を言える環境をなくしてしまいます。
ミーティングで他のメンバーのアイデアに対して攻撃的な言葉を使ったり、提案をすぐに否定したりする人が出てきてしまいがちです。
これにより、他のメンバーは自分の意見を言いにくくなり、結果的にチームとしての良いアイデアを出すチャンスが失われます。
自主性が強すぎたり弱すぎたりする
リーダーとメンバーの間で自主性のバランスが取れないと、チームダイナミクスが損なわれます。
リーダーがチームの自由を尊重しすぎると、方向性を失い生産性が落ちることがあるのです。一方で、リーダーが厳しすぎるとメンバーの創造性や自主性がなくなります。
開発チームが新しいアプリを作成しているとしましょう。
リーダーが全てにおいて自主性を尊重しすぎると、期限が守られなかったりプロジェクトの目的がぼやけたりすることがあります。逆にリーダーが細かい指示を出しすぎると、メンバーは自分のアイデアを出しにくくなりイノベーションが生まれません。
放任しすぎたり逆に指示をしすぎたりすることは、チームの働きに悪影響を与えます。
組織がサイロ化している
チームダイナミクスが失われている職場は、組織内でサイロが生まれていることがあります。
サイロとは、チームや個人が自分たちのことだけに集中し他の人たちと情報やアイデアを共有しない状況のことです。これにより、チーム間や個人同士の協力が生まれず組織全体として効率的に動けなくなります。
営業部門と製品開発部門がそれぞれ別々に動いている会社を想像してみてください。営業部門が顧客のフィードバックを製品開発部門と共有しないため、顧客が本当に求めている改善が製品に反映されません。
結果的に売り上げが伸び悩むことになります。
チームダイナミクスを改善する方法
最後に、チームダイナミクスを改善する方法を紹介します。
メンバーの作業やコミュニケーションスタイルを把握する
チームの協力と成果を高めるためには、メンバーそれぞれの働き方とコミュニケーションの特徴を理解し上手に活用しましょう。
仕事の進め方や話し方の違いを知り相互理解を深めることで、お互いの良いところを引き出し助け合えます。それぞれの得意分野に合わせて役割を分担することで、チーム全体がスムーズに動くようになるのです。
チームダイナミクスをよくするためには、メンバーの特性をよく理解しそれを活かして行動することが大事です。リーダーがメンバーの意見を聞き、それぞれが得意なことを活かせるような環境を作りましょう。
また、社内イベントなどのチームビルディング活動を行うことで信頼関係を深め、チームワークを強化することも有効です。
受動的なメンバーは原因を探り対処する
チームダイナミクスを改善するためには、仕事に協力的でない受動的なメンバーの原因を探り、適切に対処しましょう。
メンバーが受動的になる原因は、情報不足やモチベーションの低さにあることが多いです。
メンバーが自分の役割や、その役割がチームの成果にどう影響しているかを理解することで、仕事に対する熱意を高められます。
業務中は進捗状況や結果を皆で共有し、フィードバックを行い全員が参加していることを感じられるようにしましょう。
他にもメンバーへの業務負担を均等にして公正に評価することで、意欲を高められるのです。
社員に適度な自主性を持たせる
チームがうまく機能するためには、リーダーが指示を出すこととメンバーに自主性を促すことの間の良いバランスが必要です。
チームメンバーが自分のアイデアを実現できる自由を持つことで、創造性とモチベーションが高まります。
リーダーはチームの意見に耳を傾け適切なアドバイスをすることで、メンバーは目標に向かって正しい方向に進めるのです。メンバーに過度な介入をせず、自分たちの判断で仕事を進める機会を与えましょう。
例えばリーダーは明確な目標を設定し、必要な場合にのみ指示を出します。またメンバーが自分の仕事に責任を持てるよう信頼を持って任せましょう。
リーダーはメンバーが自分たちの考えを形にする自由を持たせながら、必要なときにはサポートすることで一人ひとりの力を引き出してください。
サイロをなくす
チームダイナミクスを改善するためには、組織内のサイロをなくし部門間の連携を強化することが必要です。
部門間での意見交換が活発になれば、新しいアイデアが生まれます。また、異なる部門が同じ目標に取り組むときに協力しやすくなるのです。
具体的には、異なる部門が共通のプロジェクトで協力する機会を作りましょう。また、部門間で定期的なミーティングや研修の機会を作ることで、部門間でコミュニケーションを取る場を作ってください。
また、コミュニケーションを活性化するための情報共有ツールを導入することも効果的です。
優れたチームダイナミクスを作ろう
今回は、チームダイナミクスについての考え方や優れたチームダイナミクスを持つ組織の特徴を紹介しました。また、悪いチームダイナミクスの特徴も紹介し、改善する方法を解説しています。
優れたチームダイナミクスを作るには、チームの作業やコミュニケーションスタイル、受動的なメンバーがいないかを確認し、適切に対処しましょう。
自身のリーダーシップやサイロをなくすことも大切にしながら、優れたチームダイナミクスを実現してチームを成長させてください。
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