- 従業員の退職が相次いでおり、戸惑っている
- 何が原因で退職が続くのかがわからない
- どうすれば退職が止まるのか、講じるべき対策を具体的に知りたい
上記のような悩みを抱えていませんか?
今回は、退職が止まらなくなる主な原因と講じるべき対策について解説します。
退職が止まらなくなる典型的なパターンや連鎖退職によって生じる主なデメリットとともに確認していきましょう。
退職が止まらなくなる2つのパターン
従業員が相次いで退職する状況に陥りやすい2つのパターンを紹介します。
自社が現状直面している状況に該当していないか、チェックしてみてください。
ドミノ倒し型
ドミノ倒し型とは、従業員の退職によってほかの従業員の負担が増したことにより、さらなる退職を誘引するパターンのことです。
ぎりぎりの人員で業務を回してきたケースや、力量のある人材が退職したケースにおいて顕著に表れやすい傾向があります。
100の業務を5人のチームで担当していた場合、1人当たりの業務量は単純計算で20になるはずです。
メンバーの1人が退職すれば、従来と同じ100の業務を4人でこなしていかなくてはなりません。
1人当たりの業務量は25となり、従来よりも高い負荷がかかることは明らかです。
業務量が増えても給与が上がらないのであれば、より待遇の良い職場へ転職する従業員が現れる可能性があります。
蟻の一穴型
蟻の一穴型とは、事業部やチームで中心的な役割を担ってきた従業員の退職により、退職が連鎖していくパターンのことです。
業務上のパフォーマンスだけでなく、人柄や人間性の面で慕われていた従業員の退職が引き金となるケースは少なくありません。
「〇〇部長についていきたい」といった考えで就業してきた従業員は、特に影響を受けやすい傾向があります。
管理職や役員に限らず、周囲から慕われていた従業員が退職した際には注意が必要です。
退職が止まらないことで生じる主なデメリット
退職者が相次ぐことによって、組織にどのようなメリットが生じるのでしょうか。
連鎖退職がもたらす主なデメリットは次のとおりです。
残された従業員の負担が増す
従業員の退職に伴い、退職者と同じ部門やチームに所属している従業員の負担が増すことが想定されます。
退職する従業員が担っていた業務を、ほかの従業員がカバーしなくてはならないからです。
現状抱えている業務だけでも手一杯と感じている従業員にとっては、少なからずプレッシャーとなる可能性があります。
業務量が増えても待遇面が従来と変わらないことに対し、不満を抱く従業員が現れる場合もあるでしょう。
特に退職者が現状よりも好待遇の職場へ転職するようなケースでは、残された従業員の心象が悪化しやすくなります。
従業員の退職によって業務負担が増すことは、ほかの従業員が不満やストレスを抱える直接的な原因にもなり得るのです。
人員不足によるパフォーマンスの低下
力量のある従業員が退職した場合、部門やチーム全体のパフォーマンスにも影響を与える可能性があります。
単純にこなせる業務量が減少するだけでなく、業務の質の低下につながる場合もあるでしょう。
結果として業績が低迷したり、顧客や取引先からクレームが相次ぐ原因になったりすることが想定されます。
残された従業員としては「退職した〇〇さんがいてくれたら」といった思いを強めることになるはずです。
人材不足によるパフォーマンスの低下は、従業員のモチベーションの低下にも直結しかねません。
企業イメージの悪化
短期間のうちに退職者が続出しているという事実は、対外的な企業イメージにも影響を与える可能性があります。
従業員が次々と辞めているようであれば「何かおかしいのではないか」「会社として大丈夫だろうか」と思われやすいからです。
退職した従業員の中には、職場に何らかの不満を抱いて辞めていく人も少なからずいるでしょう。
家族や友人など、親しい間柄の人に対して会社の悪評を吹聴する可能性も十分にあります。
複数の従業員が相次いで退職していることは、企業イメージの悪化につながる要因が増え続けていることを意味しているのです。
自社に対するネガティブなイメージは、多方面のステークホルダーに伝播していく可能性があります。
退職が止まらなくなる5つの要因
退職が止まらなくなる背景には、どのような要因が想定されるのでしょうか。
連鎖退職を誘発しかねない5つの主な要因を紹介します。
要因1:職場環境が良くない
職場環境が好ましくないことは、退職者が増加する大きな理由となり得ます。
長時間労働が常態化していたり、ハラスメントが横行していたりするようなら、早急に改善策を講じなければなりません。
退職者は退職する本当の理由を伝えないケースも少なくありません。
退職理由に現状への不満が含まれていなかったとしても、職場環境が原因の一端となった可能性は十分にあります。
現場に問題が潜んでいないか注意深く確認し、必要な改善策を迅速に講じていくことが重要です。
要因2:優秀な従業員の退職による影響
優秀な従業員の退職が、連鎖退職の引き金となることも想定されます。
周囲の従業員が「優秀な人が見切りをつけた職場」と捉える可能性があるからです。
役員や管理職だけでなく、現場でリーダーシップを発揮して活躍していた従業員の退職にも注意する必要があります。
退職者が周囲からどう見られていたかは重要なポイントの1つです。
要因3:上長の退職による影響
直属の上長が退職したことによって、部下が退職を考え始めるパターンは決して少なくありません。
従業員にとって、組織全体に貢献することが働くモチベーションの源泉になっているとは限らないからです。
尊敬する上司のもとで働けることがモチベーションの大部分を占めていた場合、上長の退職は重要な岐路となり得ます。
管理職と部下の信頼関係や絆の強さを日頃からよく観察し、把握しておくことが求められるでしょう。
要因4:帰属意識が低下している
終身雇用が崩壊した現代において、自社の帰属意識が低下する可能性は十分にあります。
待遇面や仕事内容で比較した上で現状よりも望ましい職場環境が見つかれば、従業員が転職を検討するきっかけとなるでしょう。
自社の理念やビジョンが十分に共有されているか、自社が目指す方向性が浸透しているか、注意深く見ていく必要があります。
帰属意識は経時的に変化することも想定されるため「辞めそうにない従業員」といった先入観を抱かないことが大切です。
要因5:退職が続くことによって悪循環に陥る
退職が相次ぐこと自体が、退職が止まらなくなる原因の1つとなり得ます。
短期間のうちに退職者が次々と現れれば、周囲の従業員は少なからず動揺するでしょう。
辞めていく従業員の分をカバーする必要があるため、1人当たりの業務の負担が増しがちです。
自社の将来性に対して疑念を抱いたり、辞めていく人を慕っていた従業員のモチベーションが下がったりすることが懸念されます。
従来は退職を考えていなかった従業員が、辞めていく従業員に触発されて転職を検討するケースもあるでしょう。
退職の連鎖がさらなる退職を誘発し、悪循環に陥る可能性があります。
退職が止まらない場合に講じるべき対策
退職が止まらない状況に陥った場合、どのような対策を講じる必要があるのでしょうか。
具体的な5つの対応策を紹介します。
対策1:職場環境の改善を図る
退職者が現状の職場環境に何らかの不満を抱いていた場合、同様の不満を抱えている従業員がほかにも存在する可能性があります。
社員面談やアンケート調査などを通じて、不満に感じている点、気になっている点をヒアリングしておくことが重要です。
退職者が不満の核心部分を伝えずに辞めていくケースが少なくないのと同様、従業員も本音が言いづらいと感じるかもしれません。
アンケートを非記名式とするなど、考えていること・感じていることを率直に回答しやすいよう配慮しましょう。
従業員から挙がってきた声はたとえ少数意見であっても尊重し、早急に改善策を講じていく必要があります。
対策2:在籍者の業務負担を考慮する
退職者の担当業務を引き継ぐ際には、残された従業員の業務負担を十分に考慮することが大切です。
同僚や上司が退職すること自体は既存の従業員にとって不可抗力であるため、業務量が急に増えれば不満の温床になりかねません。
やむを得ず業務を割り振る際には、一人ひとりに丁寧に説明する時間を設け、納得してもらう必要があります。
機械的に業務を割り振ってしまうなど、従業員の心証面への配慮に欠けた対応をしないよう注意してください。
対策3:社内コミュニケーションの充実化を図る
社内コミュニケーションの不足は、さまざまな誤解や行き違いの原因となります。
社内コミュニケーションが充実するよう、仕組みの面からサポートしていくことが重要です。
具体的な取り組みの例として、下記のものが挙げられます。
- ビジネスチャットや社内SNSの導入(従業員間コミュニケーションの充実化)
- 定期的な1on1の実施(上司と部下のコミュニケーションの充実化)
- 目安箱の設置(経営層と従業員間のコミュニケーションの充実化)
ほかにも、打ち合わせや休憩に利用できるカフェスペースやファミレス席を設けることもコミュニケーションの充実化に寄与します。
従業員が息苦しさを感じないよう、オープンにコミュニケーションを図れる仕組みを整備していきましょう。
対策4:企業理念やビジョンの共有を強化する
企業理念やビジョンを改めて共有し、意思統一を図っていくことも重要なポイントです。
目標管理など個々の従業員のキャリア形成に役立つ仕組みを取り入れるだけでは、十分な退職防止策とはいえません。
自身の成長が会社全体の目標達成へとつながり、自身のキャリアアップにも寄与することを実感してもらうことが大切です。
自社の理念やビジョンを周知する場を設けるとともに、必要に応じて従業員と経営陣が議論できる場も用意しましょう。
組織として目指す方向性が個々人のキャリア形成と一致することによって、仕事のやりがいや成長を実感しやすくなるはずです。
対策5:経営層や管理職の意識改革に取り組む
経営層や管理職がリーダーシップのあり方について理解を深めていくことも大切です。
リーダーシップ論は時代の流れとともに変化しており、過去に習得した知識が古くなっている可能性も十分にあります。
一例として、下記に挙げるような多彩なリーダーシップが存在しており、リーダーシップのあり方は一様ではありません。
- サーバントリーダーシップ:メンバーを支援し、奉仕することに徹する
- 参加型リーダーシップ:意思決定を下す際に部下に意見を求める
- コーチ型リーダーシップ:メンバーの考えや仕事の進め方を尊重し、行動を支援する
- 関係重視型リーダーシップ:メンバー間の関係性を重視する
- シェアドリーダーシップ:チームメンバー各自がリーダーシップを発揮する
経営層や管理職がリーダーシップをどのように捉え、実践するかによって組織のあり方は大きく変わる可能性があります。
必要に応じて管理職研修を実施するなどして、経営層とともに自らの意識改革に取り組んでみてはいかがでしょうか。
まとめ
退職が止まらない職場には、何らかの根本的な原因が潜んでいる確率が高いといえます。
表層的な対策に留まらず、根本的な原因を突き止めた上で適切な対策を講じていくことが重要です。
退職者が続出する職場において、悩んでいるのは経営者だけではありません。
従業員もまた、現在の職場で働き続けていくべきか、日々悩みながら就業しているはずです。
今回紹介したポイントを参考に、従業員にとって働きやすく、貢献し続けたいと感じられる職場づくりを目指してください。
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