- 「従業員のメンタル不調が増えてきた...」
- 「企業側は、どこまで対策を行えばいいのか...」
- 「そもそも従業員のメンタル不調の要因がわからない」
このように思われている方は、メンタルヘルスケアをしっかりと行えていない可能性があります。
企業はメンタルヘルスケアを実施することで、従業員の幸せだけでなく、経営にも貢献できます。
この記事では、企業が実施すべきメンタルヘルスケアやメリット、具体的な取り組みなどを詳しく解説します。
メンタルヘルスケアとは
メンタルヘルスケアとは、精神的な健康を維持し、精神的な問題やストレスに対処するための総合的なアプローチを指します。
具体的には、心理的な健康をサポートするための予防、治療、支援、啓発の活動が含まれます。
メンタルヘルスケアは、個人や組織が心身の健康を維持し、精神的な問題を抱えた場合に適切な対応を行うことを目的としています。
予防的なアプローチも重要
また、メンタルヘルスケアは単なる病気の治療だけでなく、心身のバランスを保つための予防的なアプローチも重視されます。
- ストレスマネジメント
- マインドフルネス
- リラクゼーションテクニック
- 運動や健康的な食事
メンタルヘルスの予防には、上記のようなさまざまなアプローチで、個人と組織全体の健康、幸福の向上につなげていくことができます。
メンタル不調への気づき
では、従業員や自分以外のメンタル不調は、どのように気づくことができるのでしょうか?
組織内で、以下のようなことが増えてきた場合、注意が必要になります。
- 勤怠が不安定:遅刻、欠勤が増えた
- 業務の効率が著しく低下:ミス、判断が遅くなった
- 会話量の減少:周りとのあまり話さなくなった
- 表情:笑顔が急に無くなった、顔色が悪い
- 身体の症状:頭痛、倦怠感など
上記のようなサインは気付きづらいものもありますが、周囲の人が気づける努力をすることも大切です。
メンタル不調の要因|2つの側面
メンタル不調の要因は、外因性と内因性の2つの側面に分けることができます。
- 外因性:外部の要素によって引き起こされる不調
- 内因性:個人の内部に原因がある不調
ここからは、上記の2つについて詳しく解説していきます。
外因性の要因
まず1つ目は、外因性の要因です。
概要 | 例 | |
---|---|---|
環境的ストレス | 経済的な不安、職場の競争環境、社会的圧力など、外部からのストレスがメンタル不調の原因になることがあります。 | グローバルな景気後退による経済的プレッシャーや、組織内の競争による職場ストレス。 |
人間関係の問題 | 対人関係のトラブルや孤立感が心の不調を招くことがあります。 | 職場でのコミュニケーションの難しさや、家庭内の対立や孤立感。 |
トラウマや災害 | 去った出来事によるトラウマや災害経験が、心の健康に影響を与えることがあります。 | 自然災害の被災体験、戦争などのトラウマ |
心の健康を保つためには、上記の要因に対して適切に対処することが重要です。
内因性の要因
2つ目は、内因性の要因です。
概要 | 例 | |
---|---|---|
遺伝的要因 | 遺伝的な素因がうつ病などの精神障害を引き起こす可能性があります。 | 家族にうつ病の症状が多く見られる場合、遺伝的な要因が考えられる。 |
性格や個性 | 個人の性格や個性が、ストレスへの対応やメンタルヘルスに影響を与えることがあります。 | 細かいことにこだわる傾向がある場合、ストレスを大きく抱えることがある。 |
生活習慣や自己評価 | 健康的な生活習慣や適切な自己評価ができていない可能性があります。 | 睡眠不足や過度の自己批判によって、心のバランスを崩すことがある。 |
企業は、外因性と内因性を理解し、メンタルヘルスケアに適切な対応を行うことで、心の健康をサポートしていきましょう。
一般的に「五月病」「六月病」は、環境の急激な変化による外因性の要因、新しい仕事に慣れないといった内因性の要因、両方ともに絡み合っています。
そして一人暮らしによる不安なども複雑に絡み合っていると考えられます。
メンタルヘルス不調者が増加している現状
上記の画像は、厚生労働省が仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる労働者の割合のデータです。
令和2年(2020年)は 『54.2%』で、ほぼ半数が職場でストレスを抱えている人が多い傾向にあります。
また、不安やストレスがあると回答した人の中から、その内容についてのデータは、仕事の量・質『56.7%』が最も多い結果となっています。
続いて、仕事の失敗、責任の発生等『35.0%』、対人関係(セクハラ・パワハラを含む)『27.0%』となっています。
メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業所の割合
厚生労働省のデータによると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は、年々増加していることがわかります。
しかし、規模別にみると、小規模な事業所ではメンタルヘルス対策に取り組んでいる割合が低いことがわかります。
これは、メンタルヘルス対策にかかるコストや人的負担などの要因が影響しているとも言われています。
事業所の規模に関係なく、メンタルヘルス対策に取り組むことは、従業員の健康や生産性を高めるだけでなく、自社のイメージや競争力を向上させることもできます。
企業におけるメンタルヘルスケアの重要性
企業におけるメンタルヘルスケアの重要性は以下の通りです。
- 従業員の健康を守る
- 生産性の維持・向上
- リスクマネジメント(リスクを回避)
- CSR(企業の社会的責任)を果たす
このように企業におけるメンタルヘルスケアは、従業員だけではなく、企業自体に大きな影響をもたらします。
企業がメンタルヘルスケアを実施するメリット
ここまで、データを基にメンタルヘルス不調者が増加している現状をご紹介してきました。
続いて、企業がメンタルヘルスケアを実施するメリットとしてどんなものがあるかを解説していきます。
休職・離職率の低下
メンタルヘルスケアを実施することで、従業員の満足度やモチベーションを高め、休職・離職率の低下につながります。
従業員は、企業が自分の心の健康を気遣ってもらえると感じると“この会社で長く働きたい”と思う理由になります。
また、メンタルヘルスケアによって共感と帰属感を強め、組織内の結束を高めることもできます。
よって、離職率が低下につながり、採用や教育などのコストを削減することにもつながります。
生産性の向上
メンタルヘルスケアを実施することで、従業員の心身の健康がサポートされ、生産性の向上につながります。
とくに心の病気は、集中力や判断力、創造力などの仕事に必要な能力に影響を与えるため、ケアを行うことで仕事の効率を維持・向上させることができます。
企業がメンタルヘルスケアに取り組めば、組織内全体の生産性が向上し、業績や競争力も高めることでしょう。
重大なミスの防止
メンタルヘルス不調者は、判断力や集中力が低下するため、重大なミスが発生し、事故やトラブルの原因になる可能性が高まります。
しかし、メンタルヘルスケアを実施することで、リスク管理が向上し、これらの問題を予防できます。
メンタルヘルスケアを実施する企業は、顧客や取引先、投資家などの信頼や支持を得やすくなり、優秀な人材を引き寄せることもできます。
企業が実施するメンタルヘルスケアの具体的な取り組み
企業が実施するメンタルヘルスケアの具体的な取り組みは、大きく3つあります。(上記画像参照)
- 一次予防(ストレスチェックや未然に防ぐ対策等)
- 二次予防(早期発見や適切な対応)
- 三次予防(職場復帰支援など)
ここからは、企業が実施するメンタルヘルスケアの具体的な取り組みについて解説していきます。
ストレスチェック制度の導入と活用
まず、1つ目は、ストレスチェック制度の導入と活用です。
これは、厚生労働省が定めた基準に基づき、年に一度、従業員のストレスレベルを測定し、必要に応じて面談や相談を行う制度がります。
対象は50人以上の従業員を抱える企業です。従業員の心理的負担を把握するためにストレスチェックを実施することが義務付けられています。
ストレスチェック制度を活用しながら、ストレスの原因や症状を把握し、早期に対策を行っていきましょう。
詳しくは『労働者の心の健康の保持増進のための指針|厚生労働省』を参考にしてみてください。
マネジメントトレーニング
2つ目は、マネジメントトレーニングです。
従業員のメンタルヘルス不調を早期に発見するためには、上層部である管理職や監督などが広い視野を持って部下を見る必要があります。
そのため、まずは上司やリーダー職の人に対して、従業員のメンタルヘルスをサポートするためのトレーニングを提供し、適切なサポートが行えるように育成します。
それぞれ以下の3つをおこなっていきましょう。
- 管理監督者向け:部下の不調に早く気づくトレーニングする。
- 従業員向け:自分の不調に早く気づくための機会や視点を提供する。
- 相談先の窓口:不調に気づいた場合、連絡や相談先を周知する。
経営層や管理職だけではなく、上記の取り組みによりメンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な措置を取ることができます。
ストレス軽減施策
3つ目は、ストレス軽減施策です。
企業としてマネジメントトレーニングも重要になりますが、従業員一人一人がストレス解消や対策を行う環境を提供することも大切です。
- オフィス内のリラクゼーションスペース
- 適度の休憩時間
- ストレス軽減イベントの開催
- 匿名で相談ができるホットライン
とくに適度な休憩時間は必須です。また「昼食時間無し」「片手でご飯を食べながら作業」など、心が休まらない休憩はやめましょう。
このようなストレス軽減施策が組織全体で当たり前のように浸透すれば、従業員の健康と幸福度を向上させることが期待できます。
フレックスタイムやリモートワークの導入
4つ目は、フレックスタイムやリモートワークの導入です。
フレックスタイムとは、従業員がある程度自由な時間帯で勤務できる働き方の形態です。
- 主婦(主夫)
- 子供持ちで共働き
- 親の介護
上記のように人それぞれの家庭事情があるため、フレックスタイムやリモートワークを導入すれば通勤時間の削減や家庭との両立がしやすくなります。
特に、個々の生産性やメンタルヘルスの状態に応じた柔軟な働き方を提供することで、従業員の満足度やモチベーションの向上に繋がります。
職場復帰における支援
5つ目は、職場復帰における支援です。
企業は、メンタル不調や病気療養などで一時的に離れた従業員が職場に復帰するようにサポートする取り組みも大切です。
メンタル不調や病気療養だけではなく、育児休暇なども復帰後のスムーズな適応と働きやすい環境を整えておきましょう。
- リターンシッププログラムの導入
- 再トレーニングやリフレッシュコースを提供
- 情報提供とコミュニケーション
- 職場の変化やプロジェクトの進捗状況などの伝達
- フレキシブルな働き方の提供
- 家庭や子育てとの両立をサポート
- サポート体制の整備(相談窓口)
- 職場復帰をサポートするための専任の担当者を配置
このような対策をすることで、従業員の生産性と満足度を向上させ、メンタルヘルス不調者がゆっくりと仕事感覚を取り戻すことが期待できます。
メンタルヘルス不調者発生時の対応は?
どんなに対策を行ってもメンタルヘルス不調者が出てしまうことはあります。
もしも、メンタルヘルス不調者が職場に出た場合の対応は、以下の4つのポイントを参考にしてみましょう。
本人との面談 | 従業員と個別に面談を行い、具体的な悩みや問題を共有し状況を理解することで、適切なサポート策を立てましょう。 |
医療機関受診の推奨 | メンタルヘルス不調の場合、専門的なアドバイスや治療が必要な場合があります。 |
休業~復職へのフォロー | 必要に応じて休業をサポートし、復職に向けて支援プランを策定します。適切な休職期間の設定や業務の引き継ぎ、復職後のサポート計画などを考慮します。 |
柔軟なサポートとコミュニケーション | 休職中の労働者に対しては、柔軟なサポートとコミュニケーションを心掛けます。頻度や方法を変えた連絡を取り、復職に向けての不安を軽減します。 |
上記の対応を通じて、従業員のメンタルヘルスを尊重し、職場復帰に向けた適切なサポートを行っていきましょう。
まとめ|メンタルヘルスケアは企業の競争力に直結する戦略的な投資
メンタルヘルス不調は誰にでも起こりうる問題です。
従業員が安心して働ける環境づくりを目指すためにはと、経営層や管理職、人事の役割が重要となります。
もしもメンタルヘルスケアを怠ってしまい放置してしまうと、休職や退職につながります。
企業は、未然に防ぐ対策が最も重要になるため、今回の記事を参考にメンタルヘルスケアに力を入れていきましょう。
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