世界的な名著「影響力の武器」は、セールスで、思うように売り上げが伸びない、お客さんの心に届くようなセールスができず悩んでいる方にこそ必要な本です。
この記事では、『影響力の武器: なぜ、人は動かされるのか』『影響力の武器[新版]:人を動かす七つの原理』の内容を紹介します。
本書では、心理学を活用した科学的に立証されている人に影響力を与える方法が7つ紹介されており、セールスの売り上げアップにつながる知識を得られます。
これを読めば『影響力の武器』の内容を使って、人間心理を用いて、売り上げを伸ばす方法が分かり、高い成果を出せるようになります。ぜひ、最後までご覧ください。
影響力の武器とは?
「影響力の武器」は、アメリカで有名な社会心理学者であるロバート・B・チャルディーニにより書かれました。
世界中のビジネスパーソンから読まれており、本書は次のシリーズからなります。
- 影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか
- 影響力の武器[新版]:人を動かす七つの原理
- 影響力の武器 実践編[第二版]:「イエス! 」を引き出す60の秘訣
- 影響力の武器 戦略編: 小さな工夫が生み出す大きな効果
人間の心理を使って相手に影響を与える方法が、科学的根拠のある研究結果や、具体的な事例を交えて書かれていて、すぐに実践できる内容です。
どれも300ページを超えている大作ですが、一読する価値はあります。
影響力の武器における第三版と新版の違い
『影響力の武器[新版]:人を動かす七つの原理』は、『影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか』で紹介された人に影響力を与える6つの法則に最新の知見である1つの項目を追加し、計7つの影響力を与える方法を記載した本です。
そのため『影響力の武器[新版]:人を動かす七つの原理』読めば、『影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか』の内容も同時に網羅できます。
影響力の武器のシリーズを読破したい方は、『影響力の武器[新版]:人を動かす七つの原理』、『影響力の武器 実践編[第二版]:「イエス! 」を引き出す60の秘訣』、『影響力の武器 戦略編: 小さな工夫が生み出す大きな効果』の順番で読むのをおすすめします。
今回は、この新版で新たに追加された7つ目の項目も含めて、人に影響力を与える7つの方法を紹介します。
影響力の武器を読んで学べること
影響力の武器を読んで学べることは、以下の項目がありますので、ぜひ参考にしてみてください。
行動心理学をセールスに活用したいと考える方から、消費者側でセールスを受ける際に、相手の行動に惑わされず正しい判断をする際にも役立つでしょう。
■ セールスをする側 ・お客さんに好感を持たれる方法が分かる ・人間の心理を利用して、売り上げを伸ばす方法が分かる ・人間の心理を学び実生活で実際に使用できるものが分かる |
■ セールスを受ける側 ・商品を売る側の心理を知って、賢い選択ができるようになる ・人間の心理を知って、悪徳なセールスから身を守る方法が分かる ・セールスの方法を知ることにより、物を買う際に冷静に判断をし、より良い選択ができるようになる |
この記事を読めば、『影響力の武器』をはじめ、人の心に寄り添うための具体的な方法や考え方がわかりますが、より利益と理念を両立して売上に反映するための方法をまとめた資料をプレゼントしています。
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影響力の武器で紹介される6つの項目について
影響力の武器では、6つの項目が大切であると言います。
- 返報性の法則
- コミットメントと一貫性の原理
- 社会的証明
- 好意
- 権威
- 希少性
6つの法則について、セールスに役立つ情報を例を上げてご紹介しましょう。
1.返報性の法則
返報性の法則とは、相手に何かをしてもらったら、その恩に対して何かを返さないと気が済まなくなるというもの。
アメリカの社会学者であるアルビン・グルドナーは、人間社会のすべてがこの返報性の法則を利用していると語るほどです。それほど、この法則は強力な力があることを示します。
実際にセールスで使える例を上げてみましょう。
試供品を配る方法事例
試供品を配るという行為には、顧客に対して2つの効果があります。
- 製品を使ってもらい消費者に商品の良さを知ってもらう
- 贈り物をもらったら恩を返さなければならないという返報性の法則の効果
アメリカのあるスーパーの経営者は、一日のうち数時間のみ、試供品のチーズを顧客に提供することにしました。試供品として、顧客に自分でチーズをスライスして食べてもらい、実際に一日で450キロのチーズを売り上げた記録があるそうです。
2.コミットメントと一貫性の原理
コミットメントと一貫性の原理とは、自分の考えや、信念を一貫させようとするものです。
コミットメントと一貫性の原理は下記の3つの原理から成り立ちます。
- 一貫性を保つことにより、社会的に良い評価を受けられる。
- 日常生活にとって有益なものである。
- 選択権の多い複雑な現代社会を生活するのに役立つ。
コールセンターで働くセールストレーナーの事例
ある保険の販売会社では、実際に売り上げが伸びず困っていました。特に、悩まされていたことは、電話予約をして、営業所に来ないお客さんが多かったことです。
対策として、お客が保険の予約を取った際に、電話の最後に以下の言葉を付け加えるように指示しました。「最後にお尋ねをしたいのですが、当社の保険をお選びになった理由をお聞かせいただけませんか?」
結果として、最後に言葉を付け加えた人は、言っていない人より2割近く売り上げを伸ばしたのです。
顧客に自分が選択している理由を答えさせ、よりコミットメントの力を促し、一貫性の法則を働かせることにつながっていきました。
3.社会的証明
社会的証明とは、他の人が正しいと感じている方向を基準に、自分自身が物事の判断をするというもの。ある特定の状況で、行動を行う人が多いほど人々はそれを正しいものであると思います。
社会的証明がより発揮されやすい状況は以下の2つの状況です。
- 自分の行動が正しいと確認できない不確かな状況であること(不確かであること)
- 自分と異なる人よりも、相手が自分と似ていると感じる人の行動を見ている時に影響されやすいこと(類似性の法則)
聖書の訪問販売の事例
聖書の訪問販売での出来事です。対策として、訪問販売をして商品紹介をする際に、すでに本を購入している人の名前を出すようにしました。
例えば以下のように言います。
「○○さんが、この本を購入したいと思ったのは、○○さんの子供に読んであげたいと感じたからだ」という具合に。
結果として、上記の言葉を言うことで62パーセント売り上げが増加しました。
4.好意
好意の法則とは、自分が相手に好意を持っていると、イエスと言いやすくなるというもの。
好意に関連する法則に下記の3つが上げられます。
- 身体的魅力を持つ人は、ハロー効果(望ましい特徴を1つ持っているだけで、その人に対する影響が良いものになること)で要求や、他人の要求を承諾することや、態度を変化させる力が強くなる(身体的魅力)
- 自分と似た人に好意を感じやすくなる(例えば、意見、性格特性、経歴、ライフスタイルなど様々な領域で効果がある)(類似性の法則)
- 過剰でないお世辞は、好意を引き出しやすくする(お世辞)
郵送に関する調査の事例
ある郵送に関する調査の例では、依頼文書の文面を変更し、調査に応じる人の割合を増やすことにつながりました。
それは、調査を依頼する人の名前と、調査に応じる人の名前を類似させることです。
例えば、
- シンシア・ヨハソンから、シンディ・ジョンストンに依頼する。
- ロバート・グレアーから、ボブ・グレガーに依頼する。
といった具合にです。
結果として、調査に応じる人の割合は、類似性を活用する前と比べて2倍になったとのことです。
5.権威
権威ある人への要求は、従ってしまう傾向にあること。
権威ある人への服従は、時として、実際のその人自身ではなく、権威のある実体となることがあるそう。
研究で実際に権威の効果が認められている物は下記の3つです。
- 肩書き
- 服装
- 自動車
この他に権威性のあるものを持っていなかったとしても、上記のうち、どれか1つを持っていれば、より多くの相手に言うことを聞いてもらえるとのことです。
また実際に相手の言うことを聞き入れた人たちは、その人の影響力を過小に評価していました。(=無自覚に影響力に従っている)
医者の服装に表れる権威性の事例
あるフロリダ州の医者が、服装の持つ権威性に気付いた例をご紹介します。
最初は、白衣をして仕事をするのが嫌で仕方がなかったそうです。しかし、仕事をするうちに、服装の権威性についてを知るようになりました。
そこで出勤先の病院が変わる際に、出勤初日から必ず白衣を着るようにしたとのこと。その一つだけで、物事が順調に進むのを感じているそうです。
6.希少性
希少性とは、人は機会を失うと分かると、その物事に価値を見出すようになるというもの。
希少性がセールスに優位に働く理由には主に以下の2つの理由があります。
- 手に入れることが難しい商品は、市場で手に入りにくい貴重なものであることが多いから。
- 商品や経験を入手するのが難しいことがその物自体の価値を判定する基準になりやすいから。
また、希少性がより効果的になる具体的な場面があります。それは以下の通りです。
- 新たに商品が品薄になった場合。(すでに品薄が続いている商品よりも、新らしく、品薄になった商品に人は価値を見出しやすいから。)
- 他人と品物を手に入れるために競い合っている場合。
病院で定期健診を受けさせる方法事例
ある程度の年齢になると、さまざまな定期健診を受けることをすすめられます。しかし、定期的には行っていないという方もいるでしょう。
定期検診をより多くの人に受けてもらうには、何を得るかよりも何を失うかに焦点をあてて説明をすると良いとのこと。
例えば、若い女性へ乳がんの検診検査を勧めるパンフレットには、病気によって失うものを記載したほうが検診を受ける確率が上がるとのことです。
7.一体性
一体性とは、家族や国籍、所属しているグループなど同じアイデンティティを持つ他者との間に感じる一体感のことです。
私たちは自分が身内だと考える相手にイエスと言いやすくなるといいます。
つまり相手との一体性をより多く感じることで、イエスを引き出しやすくなるのです。
一体性を生む要因には、相手と同じものに帰属しているという感覚があること(住んでいる地域や場所が近い、血縁的な共通点が多いなど)があります。
また。相手と協力しながら一緒に活動すること(共同制作やお返しのやり取り、苦しみを共にすること)もその一つです。
一体感を増した相手に対して行動が変化した例
ある研究では、参加者を2つのグループに分けて実験を行いました。
一つのグループには、参加者に録音された音を聞きながらそのリズムに合わせて机を叩いてもらいます。
パートナーにも同じ音楽を聞かせて机を叩いてもらい、同調していることを認識させました。
また、もう一つのグループには、参加者にパートナーとは違う音楽を聞かせて同様のことを行い、パートナーと机を叩くリズムが一致しないことを認識させました。
その後、2つのグループの参加者に次のように指示したのです。
それは「あなたはこれで終了ですが、一緒に音を聞いた人は残って大量の課題を解かなくてはなりません。このまま残り一部を引き受けることもできます」という趣旨の話です。
その結果、パートナーと合うリズムを刻んだ人が手伝った確率は18%、一緒のリズムを刻んだ人が手伝った確率は49%となりました。
ここから一体性を感じた相手を助けてあげたくなる、同調しやすくなるということが判明しています。
まとめ
人の行動を変えることができる心理学的な事柄について書かれている「影響力の武器」がセールスの場面でどのように作用するかについてご紹介しました。
影響力の武器に書かれている7つの作用は以下の通りです。
- 返報性の法則
- コミットメントと一貫性の原理
- 社会的証明
- 好意
- 権威
- 希少性
- 一体性
7つの概要について簡単にまとめましたので、下記をご覧ください。
- 返報性の法則…相手に何かをしてもらったら、その恩に対して何かを返さないと気が済まなくなる法則
- コミットメントと一貫性の原理…自分の考えや、信念を一貫させようとする原理
- 社会的証明…他の人が正しいと感じている方向を基準に、自分自身が物事の判断をする法則
- 好意…自分が相手に好意を持っていると、イエスと言いやすくなるという法則
- 権威…権威ある人への要求は、従ってしまうこと
- 希少性の法則…人は機会を失うと分かると、その物事に価値を見出すようになるというもの
- 一体性…自分が身内だと考える相手にイエスと言いやすくなる法則
影響力の武器には、セールスに参考になる心理学的法則が事例を交えて多く書かれています。ここで、ご紹介した事例は一部にすぎません。
本には、実例や各事柄についての詳細が多く書かれているため、とても参考になるでしょう。ぜひ、読んでみてください。
・影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか(著者:ロバート・B・チャルディーニ 訳:社会行動研究会)
・影響力の武器[新版]:人を動かす七つの原理(著者:ロバート・B・チャルディーニ 訳:社会行動研究会)
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