人付き合いが苦手な人には、性格や考え方などに特徴があります。苦手意識を克服する具体的な方法をこの記事では解説します。
仕事やプライベートなど、人間関係を築く上でコミュニケーションは欠かせません。
そこで本記事では、人付き合いが苦手な人の特徴や向き合い方、人付き合いが苦手な人に向いている仕事について解説します。
人付き合いが苦手な人の特徴
人付き合いが苦手な人は、性格や考え方に特徴を持っていることが多いです。
次のような特徴に当てはまる場合、人付き合いに少なからず影響を与えているかもしれません。
内向的な性格
内向的な性格の人は、まわりの人とコミュニケーションを交わすよりも、自分の内面を重視する傾向にあるため、積極的に話しかけることをあまりしません。
また、話すことや言葉も慎重に検討し、「話さない方がいいかもしれない」と、重要でない話はあえて飲み込むケースもあるでしょう。
そのため、必然的に口数が少なく、コミュニケーションが不足してしまうのです。
周りの反応を気にしすぎる
人付き合いが苦手な人は、その場の雰囲気やまわりの反応を気にしすぎる傾向があります。
相手の表情の変化や場の空気を察知しすぎてしまうあまり、「話しかけたら嫌な顔をされた」「この人は自分のことが嫌いかもしれない」と考え、自分からはあえて関わらないようにしたり、避けたりすることもあるでしょう。
また、まわりの反応を気にしすぎる人は精神的に疲れやすいため、人付き合いに苦手意識を持つこともあります。
緊張しやすい
会話を組み立てるのが苦手だったり、自分の立場や発言に自信がなかったりする人は、誰かと話すときに緊張してしまいやすいでしょう。
また、発言すると注目を浴びてしまうため、プレッシャーを感じてより緊張してしまうケースも少なくありません。
自分の意見をうまく相手に伝えられないことから、人付き合いを避けがちになってしまうでしょう。
雑談するのが苦手
目的のない雑談やゴールがない会話が苦手な人は、他人とのコミュニケーションをとる際に、緊張したり不安を抱きやすくなります。相手の話に対してどう反応したら良いのかを慎重に考えるとすぐに言葉が出てこないため、会話が続かなかったり、会話中に沈黙してしまうことがあります。
1人でいる方が楽だと感じる
コミュニケーションが上手に取れなかったり、人付き合いに疲れやすかったりする人は、1人でいる方が楽だと考え、あえて単独行動を好む傾向があります。
とくに人付き合いでストレスを溜めやすい人は、あえて1人の時間を確保することでストレスを発散していることもあります。
また、反対に人付き合いにメリットを感じず、1人でいる方が効率的で充実していると考える人も、人付き合いが苦手な傾向があるでしょう。
ネガティブな考え方
人付き合いが苦手な人の人間関係は必ずしも上手くいっていないとは限りません。
というのも、客観的に見て人間関係にトラブルがなくても、ネガティブ思考の人はトラブルがあると思い込んでしまう可能性があるからです。
たとえば上司がチームメンバーの特性を考慮し、配置替えを行ったとしても「自分は能力がないから移動させられた」「上司に嫌われている」といったように、事実を歪曲して解釈するケースも少なくありません。
ネガティブ思考から被害妄想をするクセがある人は、人付き合いが上手くいかないと感じることが多いでしょう。
人付き合いが苦手な人が感じやすいデメリット
人付き合いが苦手な人が社会で上手くやっていけないかというと、そうではありません。
しかし、人付き合いが苦手なことによって、少なからずデメリットもあります。
損をする前に、人付き合いが苦手なことによるデメリットを理解しておきましょう。
友達がいないと孤独に感じる
人付き合いが苦手な人は、人と深い関係を築くのが苦手です。
というのも、自分のことや意見を相手に話す機会が少ないので、相手と信頼関係を築くのが難しいためです。
いくら1人の時間が好きな人でも、ふと寂しさを感じたり、誰かに悩みを聞いてほしかったりすることもあるでしょう。
そんなとき、気軽に声をかけられる人がいないと、孤独感を感じてしまうかもしれません。
仕事がスムーズに進みにくい
部署やチームで仕事を進めるにあたって、コミュニケーションは業務のスピードや結果に影響を与えます。
人付き合いが苦手でコミュニケーションが希薄になった場合、ほかのメンバーの業務量や業務の進捗状況が共有できなかったり、伝達事項がうまく伝わっていなかったりなど、最悪の場合、トラブルに発展しかねません。
また、自分の仕事が手一杯なときに仕事を任されて断れなかったり、ほかのメンバーが手を貸してくれなかったりする可能性もあるでしょう。
精神的に疲れる
人付き合いに苦手意識を持っていると、人と関わるだけで人一倍ストレスを抱えたり、疲れたりする可能性があります。
精神的な疲れは体にも影響を与えるので注意しましょう。
たとえば、人と話すことで緊張してしまう人は、体に力が入りやすくなるため、緊張性頭痛や肩こりを引き起こす可能性があります。
また、ストレスによって食欲不振や増進、睡眠の質の低下などの症状が現れると、寝ても疲れが取れないという状態に陥るケースもゼロではありません。
心身が疲れるとうつ病をはじめとした精神病にかかる可能性もあるため、手遅れになる前に対処した方がいいでしょう。
人付き合いが苦手な原因は病気?気質?
人付き合いが苦手な人は性格や意識、考え方に起因しているケースがほとんどです。
しかし、もともと生まれ持った気質や病気が原因で、人付き合いに苦手意識が生まれたり、ストレスが蓄積したりすることもあるので、慎重に見極めましょう。
アスペルガー症候群
アスペルガー症候群は発達障害の一つで、周囲とコミュニケーションを取るのが苦手という特徴があります。
アスペルガー症候群の人は脳機能や言語能力が正常であるため、自分も周囲も病気だと気付きにくく、人間関係に亀裂が入ってしまうケースも少なくありません。
というのも、アスペルガー症候群の人は、特定の物事に強く執着したり、共感能力が低かったりすることから、次のような傾向が現れやすいといわれています。
- 人の気持ちを読み取るのが苦手で相手を傷つけてしまう
- 空気が読めない言動をとる
- 表情や仕草などの曖昧な表現が理解できない
- 他人にあまり興味がなく1人で過ごすのが好き
- 予想外のトラブルや急な予定変更に対処できない
アスペルガー症候群は、遺伝要因が強い障害といわれていましたが、近年では環境要因が大きな割合を占めるといわれています。
HSP
「HSP(Highly Sensitive Person)」とは、もともと生まれ持った繊細な気質のことです。
日本人の5人に1人はHSPであるといわれており、共感性が高く、1つの情報から何通りもの情報を読み取るほど洞察力が鋭いのが特徴です。
しかし、相手の表情や場の空気を読み取りすぎてしまうため、傷つきやすく考えすぎる傾向があります。
また、共感性が高いため、他人が傷ついたり怒られたりしている様子を見て、人一倍心を痛めてしまうこともあります。
そのため、HSPの人は疲れやすく、ストレスが溜まりやすいといわれているのです。
人付き合いへの苦手意識を克服する方法
上手く人と付き合っていくためには、もちろんコミュニケーションスキルも重要ですが、自分の意識や態度も大きな影響を与えます。
急に変えようとするとストレスが溜まるので、できることから少しずつ意識してみてください。
人付き合いが苦手な自分を否定しない
人付き合いが得意な人を見ると、つい人付き合いが苦手な自分と比較して落ち込んでしまう人もいるでしょう。
しかし、自分とまったく違う性格の人になろうとするのは難しく、理想を追い求めすぎると自己嫌悪に陥ることもあります。
そのため、まずは自分は人付き合いが苦手であることを受け入れてあげるのが大切です。
受け入れることで、自分の性格を考慮した対処法が見つかるかもしれません。
たとえば、話をまとめるのが苦手なら文章にまとめてから話したり、雑談が苦手なら雑談のレパートリーを作っておいたりなど、苦手を理解することで対処しやすくなるのです。
相手に興味を持ってみる
相手の話や相手について興味がないと、会話を膨らませるのが難しくなってしまいます。
たとえば「昨日、買い物に行きました」という話一つとっても「どこに?」「何を買った?」「どうだった?」など、いくつか質問を思いつくことができます。
また、相手と自分の共通点を探すと話が盛り上がるでしょう。
話題がなかなかない場合は、相手のいいところを見つけて褒めるのも一つの方法です。
相手のいいところを見つける習慣をつけておくと、嫌いな人や苦手な人の見方も変わります。
自分に自信を持つ
自分に自信が持てない人は「つまらないと思われたらどうしよう」「嫌われているかもしれない」と人との関わりを避ける傾向があります。
そのため、自信を持つことで人間関係が円滑に進む場合もあるでしょう。
上手に会話ができなくても、自信を持つ方法はたくさんあります。
たとえば、コミュニケーションやビジネスマナーについて知識を身につけるだけでも、自信につながる可能性があります。
また、楽な服装を好んで着用しているなら、男性の場合はスーツなどのジャケットスタイル、女性の場合はワンピースやスカートといった華やかなスタイルに変えるだけで、気持ちが切り替わることがあるので、試してみてください。
話しかけやすい雰囲気を心がける
話しかけるのが苦手なら、話しかけやすい雰囲気を心がけるのがおすすめです。
たとえば、いつも口角を上げてやわらかい雰囲気を作ったり、服装や髪型、メイクなどに気を使ったりなど、見た目や雰囲気を変えるだけで好印象を持たれることもあります。
また、会話に参加するときは、無理して自分の話をするのではなく、聞き役に徹するだけでも会話を盛り上げることができます。
相手の話に丁寧に相槌を打ったり、相手の話をおうむ返ししたりすると、相手が気分良く話をできるため、積極的に話しかけてくれるようになるかもしれません。
人に期待しすぎない
人に期待しすぎると裏切られた気持ちになることがあります。
たとえば、自分が仕事を手伝った人が自分の仕事を手伝ってくれずにイライラしたり、優しいと思っていた人に厳しいことを言われて落ち込んだりなど、期待を持ちすぎるとその通りにいかなかったときにストレスが溜まってしまいます。
起こったことのみを受け入れ、あまり人に期待しすぎないようにすると、嫌な気分にならないでしょう。
人付き合いが苦手な人に向いている仕事
人付き合いが苦手な人は、無理して積極的に人付き合いをしてストレスを溜めるよりも、自分に向いている仕事や業務を探すのも一つの方法かもしれません。
仕事の環境や業種を見直して、快適に仕事に取り組む方法を見つけてみてください。
在宅勤務ができる仕事
在宅でのテレワークをはじめ、リモートワークができる仕事は、距離感を持って職場の人と関わることができます。
チャットやオンラインミーティングでのやり取りがメインとなるため、あらかじめ考えをまとめてテキストで送信したり、画面をオフにして顔の見えない状態で会議をしたりできるのが特徴です。
在宅勤務というとSE(システムエンジニア)やデザイナーといったような技術職を思い浮かべるかもしれませんが、事務や経理、秘書といったバックオフィス業務をリモートで行う企業も増えています。
企業によっては完全テレワークではなく、週1日など一部テレワークを導入しているケースもあるので、在宅勤務が可能な職種は増加傾向にあります。
1人で集中して取り組める仕事
人付き合いが苦手な人は人間関係の構築に意識や時間を奪われることが多く、それによって業務効率が下がってしまうケースも少なくありません。
そのため、事務職やライン工(工場作業員)など、自分の業務が自分でほぼ完結するような1人で集中して取り組める仕事を選ぶのも一つの方法です。
また、事務職やライン工(工場作業員)といった職種は、仕事がルーチン化しているケースが多いため、変化や突発的な出来事が苦手な人にも向いています。
人と接する機会が少ない仕事
人と接する機会が少ない仕事は、人間関係のストレスを最小限に留めることができます。SE(システムエンジニア)やWEBデザイナー、WEBライターといったリモートワークができる職種はもちろん、警備員や清掃員、長距離ドライバーなどの職種もおすすめです。
また、警備員や清掃員、長距離ドライバーは、ほとんどの業務を1人で行うため、人と会話するのが苦手な人や自分のペースで仕事を進めたい人には最適といえます。
まとめ
人付き合いが苦手な人は、人間関係でつまずいたり、人間関係を構築するのが上手い人を羨んだりするかもしれません。
しかし、人付き合いが苦手な人は、物事を深く考えたり、洞察力に優れていたりなど、ほかの人にはない個性を持っていることがあります。
意識や考え方を変え、自分の強みを活かすことで自信を持って人とコミュニケーションが取れるようになるかもしれません。
まずは自己分析し、できることからチャレンジしてみてください。