心理学のグループワークのメリットとは?デメリットを防ぐ方法も

最終更新日: 2022/11/04 公開日: 2022/11/04

「グループワークを効果的におこなうためには、心理学的にどのようなことに気を付ければよい?」

「グループワークの心理学的メリット・デメリットは?」

グループワークと言えば、研修や人事教育の際に使われる複数人の課題への取り組みのことを思い浮かべる方が多いと思います。

しかし、グループ単位で通常業務をおこなうこともグループワークと呼ばれるのをご存じでしょうか。

成果が出るグループワークには一定の特徴があります。

それは、共同作業時に起きやすい心理学的なデメリットを理解し、あらかじめ対処すること。

グループワークで起きる心理的な変化を知っておくことは、グループ全体の生産性や業務効率を上げることに役立ちます。

グループの中で、一人一人の力を最大限に活かすことが可能となるでしょう。

この記事では、次の内容について解説していきます。

  • グループワークとは何か
  • グループディスカッションとの意味の違い
  • グループワークの心理的メリット・デメリット
  • デメリットに対する具体的な改善アプローチの仕方
  • グループワークを効果的に進めるために参考にしたいおすすめ本

グループワークとは

複数人で仕事や作業などに取り組むことをグループワークと言います。

プロジェクトの遂行スケジュールや、具体的な目標を決めるのもグループワークの一つです。

また、通常業務の中で複数人で一つの作業を進めるのもグループワークといえます。

ビジネスは、グループワークの実施なしには成り立たず、業務の遂行はグループワークの積み重ねです。

また、グループワークとよく併用して使われる用語にグループディスカッションという言葉もあります。

併せてグループディスカッションの意味を確認しておきましょう。

グループディスカッションとの違い

グループディスカッションは、ある議題に対して活発的に議論をおこなうことをさします。

一方、グループワークは集団で作業や仕事をおこなうことです。

グループワークを実行するプロセスで、業務の方向性やより良くするための施策を考えるための意見交換をすることもあるでしょう。

グループディスカッションとは、グループワークの枠組みの中の一つであると言えます。

心理学的に見たグループワークのメリット

グループワークのメリットを確認しておきましょう。

グループディスカッション 心理学から考える活性化の方法』(著者:西口 利文、 植村 善太郎、伊藤 崇達)によると、メリットは

  • 情報量の増加
  • 社会的促進
  • 結果への満足感および行動変化への影響
  • 認識の揺れおよび深化

この4つであるとのことです。

この本では、ディスカッションについて述べていますが、広い意味ではグループワークに包括されるとしてご紹介します。

情報量の増加

考え方や価値観の異なる複数人が集まると、その事項に関する情報量が増加します。

そうすると、個人で結論を導き出す場合と比べて正確性が増すことがあります。


一方、コミュニケーションが多様性に富み過ぎている場合は、コミュニケーションを取ること自体に難しさを感じてしまいます。

よって、チーム全体の働きが低下することもあるとのことです。

社会的促進

一人で取り組むより複数人で取り組むことで、業務や課題に対しての遂行量が増える、社会的促進が見られます。

グループワークは、一つの課題や仕事に対して、複数人で解決・遂行していくことが求められます。

ほかの人の目があることで課題に取り組む姿勢が主体的になったり、解決のための発言が増えたりするなどが見られるでしょう。

また、社会的促進は、難しすぎる課題や業務に対しては現れないそう。

そのグループにとって、丁度よい能力の作業を与えることが大切です。

結果への満足感と行動変化

個人が一人で物事を決定するよりも、グループ単位で物事を決定した方が、決定事項の順守率が高くなります。

よって、グループワークで取り決められた目標や業務課題は、個々で達成に近づくために努力すると考えられるでしょう。

住宅地におけるゴミ捨て場の設置場所を決定する場面を仮想的に構成した実験研究(柴田 2014)でも得られています。

設置のための話し合いを行った実験参加者の多くは、結果とプロセスの両方に満足している人が多く、プロセスに満足している理由に、全員が意見を述べて話し合いができたことをあげていました。

グループディスカッション 心理学から考える活性化の方法(著者:西口 利文、 植村 善太郎、伊藤 崇達)p67より引用

認識の揺れおよび深化

考えに及ばない価値観や反対の意見も聞くことがあるので、各々の認識に揺れが生じるということです。

自分が当然だと思っている認識が大きく揺れるので、多様性を受け入れることにつながり、柔軟な考えを受容する力がつきます。

また、一つの課題の解決方法について話し合っていると、意見が活発化した後、ある話題について話が深化することがあるでしょう。そこから、深みのある結論に至ることも多いです。

深化した結論は、そこにいきつくまでのプロセスに説得力があります。

心理学的に見たグループワークのデメリット

グループワークのデメリットを確認しておきましょう。

グループディスカッション 心理学から考える活性化の方法』(著者:西口 利文、 植村 善太郎、伊藤 崇達)によると、デメリットには、

  • モチベーションの低下
  • 決定の質の低下

このような現象が起きると言います。

それぞれについて詳しく解説しましょう。

モチベーションの低下

グループワークを人数の多い環境でおこなっていると、社会的手抜きという現象が起こります。

社会的手抜きとは、大人数で一つ作業を行っていると、個人の力は微々たるものであると感じ多くの人が手抜きをしてしまうことです。

つまりは、結果全体のパフォーマンスが下がります。大勢で力を合わせる、綱引きは良い例です。

社会的手抜きの具体的な外的要因を突き止めることができれば、グループワークを効果的に進める対策が打てるでしょう。

社会的手抜きの発生要因は3つに整理されています。

釘原(2013)は、社会手抜きの発生要因を、環境的な外的条件と心理的・生理的な内的条件に整理しています。

外的条件としては、「評価可能性」「努力の不要性」「手抜きの同調」があげられています。

「評価可能性」とは、自分個人の努力や貢献が評価される程度を意味します。
「努力の不要性」は、まわりが優秀であったり、稼働している人の数が非常に多かったりすることで、自分の努力が全体の結果に大きくは影響しないと感じる程度です。
「手抜きの同調」とは、集団内のほかの人が、まじめにやっていないときに、それに同調して、自分も作業量を減らしてしまうといったことを意味しています。

グループディスカッション 心理学から考える活性化の方法(著者:西口 利文、 植村 善太郎、伊藤 崇達)p71より引用

決定の質の低下

個人より集団になると、最終的に導き出される決定の質や完成品の質が低下する現象が起こることがあります。

例えば、議論の際に途中まで多くの意見が飛び交っていても、結論で間違った方向に行ってしまったという経験はないでしょうか。

しかし、各々が心の中では違うと感じていても、誰も口を出さずにその結論に至ってしまうことも少なくありません。

こうした現象は、集団全体に集団浅慮が働いていると考えられます。

集団浅慮とは、集団で一致した結論を得ようとすることで、メンバー自身が異論を自ら押さえ込んだり、集団の考えにとって不都合な逸脱した意見の影響を低減するような役割を演じる人が出てきたりして、個人で考えるよりも決定の質が低下する現象を意味します(Janis,1971)。

グループディスカッション 心理学から考える活性化の方法(著者:西口 利文、 植村 善太郎、伊藤 崇達)p73より引用

集団浅慮が起こる原因は、以下が考えられるとのことです。

  • ある特定の方向に進めようとするリーダーシップ
  • 業務遂行の完了までの手続きが不明瞭である

グループワークのデメリットを防ぐ方法

グループワークのメリットを最大限に活かしながら、デメリットはできるだけ小さくしたいものです。

デメリットである「モチベーションの低下」「決定の質の低下」を防ぐ具体的アプローチをご紹介します。

定期的にメンバーを変える

グループワークでは、メンバーにとっての社会的手抜きをなくすために、定期的にメンバーを変えるとよいとのこと。

だらけてくると、社会手抜きをおこなった人に、同調する人が発生する(手抜きの同調)危険性もあります。

また、なれ合いが出てくると、公平でなく一方的なリーダーシップをとることもあるでしょう。

通常業務でも定期的に部署内のメンバーを変更することで、新たな気持ちで緊張感をもって仕事に取り組めます。

あらかじめメンバーを選定する

社会的手抜きの発生要因とされる「努力の不要性」に着目します。

能力差があまりにも大きいメンバーが混合されている場合、能力の低い人に社会的手抜きが起こる場合があるとのことです。

メンバー構成に迷った際は、以下に注意して選択をおこないましょう。

  • 能力に差が少ないグループを設定する
  • 能力差が大きくあるメンバー構成でも、中立的なリーダーシップをとりマネジメント能力が高い人を配置する

自己コントロール感を促進させる

自己コントロール感とは、自分で物事をコントロールしている感覚のことを言います。

一人一人が主体となって、ワークを進めている感覚を感じることが大切です。

反対に、意見が受け入れられない、物事がうまく進まないと思い込みふさぎ込んでしまう状態を学習性無力感と言います。

グループのリーダーは、得意な分野のタスクを割り振って活躍の場を作ったり、主体的な取り組みを促して挑戦させたりしましょう。

グループワークでは、一人一人が尊重される姿勢をもつための心理的安全性も大切です。

個々の意見を尊重する姿勢や、自分が発言してもメンバーに受け入れてもらえるという安心感を生み出しましょう。

心理的安全性の確保に留意する

一人一人が安定的に力を発揮するためには、心理的安全性の確保が大切です。

心理的安全性とは、どんな言動をしてもそれを受け入れてもらえると、心理的に安全を感じること。

心理的安全性が確保されていないと、それぞれが思っていることを発言できないために、「決定の質の低下」を引き起こします。

心理的安全性を確保するには、具体的にどのような取り組みができるでしょうか。

それには、相手との心のつながりであるラポールを形成することが大切です。

例えば次のようなものです。

  • 相手の意見をしっかりと聞いて尊重する気持ちを持つこと
  • 意見を真っ向から否定せず、まずは受け入れてから自分の意見を話すこと

相手を受容する姿勢を大事にしましょう。

ビジネスシーンで生かせる心理学のラポールの形成方法について、知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

心理的安全性に関連した対人心理学や、アドラー心理学について知りたい方はこちたの記事もご覧ください。

おすすめ書籍のご紹介

心理学の観点からグループワークを進めるうえで、参考にしていただきたい本をご紹介します。

グループディスカッション 心理学から考える活性化の方法

出典元:Amazon

この記事を書く際に参考にさせていただいた書籍で、グループディスカッションの特徴や、効果、課題を多く取りまとめた書籍です。

心理学的にグループディスカッションがうまくいかないときには人にどのような心理が働いているのかがよく分かります。

また、活性化させるためには、どのようなおこないに気を付ければよいかが具体的に書かれていて実践的に役立つでしょう。

この書籍は、以下の方におすすめします。

  • 心理学を用いて、グループワークや部署内の業務効率や生産性を高めたい人
  • 心理学を用いて、部署内のメンバー構成やリーダーシップの取り方次第でチームのパフォーマンスが変わることを知りたい人

世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法

出典元:Amazon

グループ内における心理的安全性の大切さについて書かれた書籍です。

心理的安全性の概要から、チームの会話やおこないで生産性が上がること、チームで成果を上げる方法について記載されています。

この書籍は、以下の方におすすめします。

  • チーム全体の生産性を上げたい方
  • マネジメント能力を向上させたい方
  • 心理学的安全性の観点からグループワークを効果的に進めたい方

まとめ

グループワークを効果的におこなうために、心理学的に起こるメリット・デメリットを把握しましょう。

また、デメリットを防ぐアプローチ方法を知り、よりパフォーマンスの向上を目指していただけましたら幸いです。

セミナーズ通信

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最終更新日: 2022/11/04 公開日: 2022/11/04
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