メルカリのリファラル採用が最強と言われる理由をご存じですか。
令和時代に知っておきたいと言える「リファラル採用」。
メルカリはリファラル採用をいち早く取り入れ、採用に成功されている企業です。
今回は、メルカリのリファラル採用が最強と言われる理由について詳しくご紹介しましょう。
この記事を読めば、メルカリがリファラル採用を導入している理由や、成功するためのポイントについて詳しくわかります。
そして、会社でリファラル採用を取り入れてみたいと考えている方に有益な情報が得られるでしょう。
急成長するフリマアプリ「メルカリ」とは?
2013年7月のサービス開始以来「メルカリ」は、以下のミッションで経営を行ってきました。
「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」
個人が簡単であんしん・あんぜんにモノの売買ができるマーケットプレイスを提供しています。 (2019年の月間利用者数は約1,450万人、累計出品数は11億品超え)
新たな価値を生み出すために、さまざまな施策を精力的に行っていることで知られるメルカリ。
例えば出品を簡単にするために、バーコードを読み取るだけで商品名や説明、おすすめ価格などが入力される「バーコード出品」。
2019年はバーコード出品機能を本・DVD・ゲーム以外のカテゴリーにも増やすなどより利便性の高いサービスを提供しました。
新たな価値を生み出し続ける株式会社メルカリは、「リファラル採用」をいち早く推し進め成功を収めた企業として知られています。
リファラル採用とは
リファラル採用とは、社員に友人や知人、家族を紹介してもらう採用手法のことです。
リファラル採用では、採用コスト削減と離職率減少を叶えられるでしょう。
『エン 人事のミカタ』調査(2017年10月17日)によると、日本国内でリファラル採用の導入経験がある企業は 60%以上にのぼるとのこと。
リファラル採用が広がった背景には2つの要素があります。
1.人口減少による人材不足 | 2.適性や思いの不一致 |
内閣府の調査によると今後も生産年齢人口は減少していく予測。 人材の確保はますます困難になっていくと考えられる。 | 求人広告で多額の金額を使って採用しても、以下2つの問題が発生する。 ・ミスマッチによる早期退職 ・生産性低下 |
時代で変化する採用に関する企業と個人の関係
令和の時代において、企業と個人の関係が変化してきています。
昭和の時代の採用は、以下の3つのキーワードで成り立っていました。
- 年功序列
- 終身雇用
- 新卒一括採用
昭和時代は、3つの雇用の仕方で「画一化」「規格化」に成功します。
しかし、 一度企業に入ると閉ざされて、 外から中の様子を見ることができないクローズなシステムでした。
平成時代は昭和に出来上がった制度が崩れつつある中で、次に構築すべき仕組みを模索していた時代と言えるでしょう。
令和時代の採用基準は、以下のような要素に焦点を絞っていきます。
領域 | 社会 | 職場 | 働き手 |
項目 | ・労働力人口の確保 ・地域活性化 ・環境負荷の軽減 | ・生産性の向上 ・優秀な人材の確保・離職防止 ・コストの削減(ペーパーレス) ・事業継続性の確保(BCP) | ・多様で柔軟な働き方の確保 ・仕事と育児・介護・治療の両立 ・通勤時間の削減 |
令和時代の雇用は、人と企業とのミスマッチを減らし、採用コストを下げることが最優先事項になりました。
メルカリがリファラル採用を選ぶ理由
「メルカリでは社員が自分の仕事を外部で話すことを推奨している。」
リファラル採用が自然に起こる理由について株式会社メルカリ取締役会長を務める小泉文明氏はこのように述べています。
メルカリでは、以下の3つのルートから働きたい人との接点を持っています。
応募者の9割が、これらのルートから問い合わせがあるとのこと。
- リファラル採用
- ホームページ経由
- 自社発信型のメディア経由(Linkedinなど)
リファラル採用を選んだ具体的なエピソード1(メルカリで働く人の姿を発信する『mercan』)
リファラル採用を選び、ホームページを立ち上げた理由を、株式会社メルカリ取締役会長の小泉文明氏は下記のように述べています。
スタートアップや多くの中小企業はそれができません。
冷静に考えれば、10人採用するなら、10人に声をかけたい。
その方法を突きつめると、やはりリファラル採用に行きつくように思います。
だから、僕たちなりに必要な人材を定義した上で、その定義に合う魅力的な人材に声をかけ、メルカリ内で働く人々の様子を掲載するオウンドメディア『mercan(メルカン)』を立ち上げ ました。
『mercan』を通して情報発信を重ねながら、別に今、就職活動をしていない人であっても、メルカリに振り向かせるための努力を続けてきたんです」
リファラル採用を選んだ具体的なエピソード2(「体力のなさ」を活かし、戦わない道を選ぶ)
会社の認知度向上を目的に2016年に開始された、オウンドメディア『mercan』。
メルカリのリファラル採用の入り口になっている『mercan』について、人事の石黒卓弥さんはこのように語ります。
2015年ごろのフリマアプリ「メルカリ」のダウンロード数は1,000万。
コンテンツの知名度が上がり始めたばかりで、会社自体の認知度が高いわけではありませんでした。
当時の社員数は60人程度。
急成長中で採用活動ばかりにパワーをかけられない。
「そんな状態では、大学を50校も100校も回れないじゃないですか。だからこそ、どうやって皆さんのアテンションを集めるか。知恵の使いどころでしょうか。」
リファラル採用の導入成功のポイント
1. 自然と会社に人を紹介したくなる空気をつくる
リファラル採用を実施する上で、「◯人紹介してほしい」ということは言わないそうです。
やることは「自然と人を紹介したくなる空気をつくること」 。
例えば、以下のようなステップをふみ、リファラル採用を社員に浸透させていきます。
STEP1 | STEP2 | STEP3 | |
行うこと | 経営陣自らが率先してリファラル採用をする。 (前職の部下、カウンターパート、その他の人脈などから) | 一般社員が巻き込まれて動き始める | 採用にボリュームが生まれていく |
思い | ・「こういう風に会社に人を紹介して良いんだ」という理解を社内に浸透させる。 ・「こんな人と一緒に働きたい」と思わせるような社員を育てる。 | ・「大学の同期や仲間に声をかけてみよう」という意欲が社員間で働くようになる。 | ・社員の意欲がさらに高まる。 |
2. 未来を切り開くために、とにかく打席に立つ
リファラル採用の先駆者として着目されているメルカリですが、次々と新しい採用手法に挑戦し続けてきました。
例えば以下のようなものです。
- 選考参加希望者との交流会「Meetup」
- 一律初任給の廃止、内定者インターンや大学での研究で成果を出すと初任給が上がる可能性がある人事制度「Mergrads」
- アメリカ50州に学生100人を送る「BOLD Internship」
社外のツール活用も同様で、国内外の人材紹介のサービスもいくつもフラットに試した上で、必要なサービスに落ち着くといいます。
もちろん、当初は目標の応募者数に満たない施策も数多くあったとのこと。
人事の石黒卓弥さんは採用の心構えについて以下のように語ります。
「何とかやってダメだったら変えようみたいな感じで、プライドを持たずにやるというのは大事にしています。」
3. 書類選考と面接のポイントを決める
書類選考と面接を行ううえでメルカリは、以下のような点をかかげています。会社と応募者の価値観のマッチをとても重要に考えているのがわかるでしょう。
メルカリの採用ホームページを見ると、採用に関する考え方がよくわかります。書類選考と面接の考え方を引用しているのでご覧ください。
・提出書類のフォーマットは特にありません。これまでのご経歴を簡潔におまとめください。(履歴書と職務経歴書を分ける必要はありません)
メルカリホームページ|書類選考
・提出書類の内容については、特に必須項目などはありません。ただし、どのようなビジネス・プロジェクトに、どのような役割で関わり、どのくらいの成果・実績を出したのか、 メルカリで成し遂げたい目標やビジョンなどが明記されていると、弊社との期待値が擦り合わされ、より理解が深められる のではないかと考えています。
・書類は日本語あるいは英語での記載をお願いします。ただし、職種によって業務上必要な言語が特定される場合がありますので、その場合はいずれかの言語を指定させていただきます。
・デザイナーをはじめ一部の職種については、過去作品のポートフォリオのご提出をお願いする場合があります。
・メルカリの面接は、「ミッションへの共感」「バリューの体現」「カルチャーフィット」の3点を判断するために行います。 メルカリとメルペイのミッションに共感し、そのミッションを達成するためにバリューを体現できるかが、これからメルカリで活躍していただくうえで大切だと考えているからです。そのため、これまでのご経験やスキルの再現性などを問う質問をさせていただきます。
メルカリホームページ|面接
・「これまでのご経験がメルカリに活かせる点」と「ご自身にとって新たなチャレンジになる点」の両方についてご説明していただけると、該当ポジションへの適性に関する相互理解が深まると考えています。面接ではこの点について積極的に質問を行ってください。
・メルカリでは、過去の行動を掘り下げる面接手法として 「STAR」を推奨しています。みなさんの、これまでのバックグラウンドや環境、課題、役割、行動、そして結果。これらに関わる質問によって、候補者のみなさんのご経験やスキルをより正しく理解したいと考えています。
リファラル採用を実施する際に陥りがちなワナ
リファラル採用を実施するうえで大切なことは、 制度について社員に理解してもらうことです。
また、リファラル採用は、徐々に普及させていくことが大切。
メルカリでは、フェーズ1として「経営陣からリファラル採用を始める」という選択をしました。
経営陣から、リファラルで採用された人たちは、誘われた自分の経験をもとに、自然にうごきだします。これがフェーズ2です。
フェーズ1 | フェーズ2 |
経営陣からリファラル採用を始める | 誘われた自分の経験を元に社員が採用を行う |
経営陣が、前職の部下だったりカウンターパートだったり、近くにいた人の中で優秀な人を誘います。 こうした活動を行う過程で、社員の中にリファラルで採用された人たちが増えはじめます。 | リファラルで採用された人たちが誘われた自分の経験を元に、どうやって相手を誘っていいかがわかる。 そして、今度は社員が動き出す。 たとえば、「新卒の同期だった人が最近新しいことにチャレンジしたいと言っていたから誘ってみよう」というイメージです。 |
最初からフェーズ2を行うと、社員が採用の仕方が身についていないためにうまくいかないでしょう。
またさまざまな部署の人が勉強会に出る、オウンドメディアをつくるなど、社員が候補者を誘いやすくなる材料をつくっています。
リファラル採用の導入事例
メルカリの3つのリファラル採用の採用事例をご紹介します。
さまざまな業種の会社にも参考になる事例が多くありますので、ご覧ください。
1. ミッションと3つのバリューを全員が理解する
メルカリではミッションやバリューを創ることだけに満足しません。
メルカリでは3つのバリューに関連する9項目で、メルカリに必要な人なのかどうかを定性的、定量的にチェック。
また、入社してから3カ月に1回はバリューに対して評価をします。
そして、運用してなじませ、全員が理解できるように工夫しているのも特徴で、以下のような細かなことも行っています。
- ミッションやバリューを会議室の名前にする
- お客さんにお渡しするペットボトルに記載する
- Tシャツに印字する
「そのぐらいやらないと、経営陣の判断軸もぶれるし、社員も何が正しいのかがわからなくなってくるので、バリューに関連づけてすべてを設計することを大事にしている」とのこと。
ミッションとバリューを社員がきっちり理解していれば、採用したい人物像も明確に見えるでしょう。
だから、バックグラウンドが多様性に富んだ人を採用してもブレることがありません。
2. 勉強会やミートアップを開催する
人事部が主体となってセッティングすることもある「メルカリの勉強会」。
会を開くことによる利点は、主に3つあります。
- 知的好奇心が強い人にアプローチすること
- 社員が自らの業務を見つめ直すきっかけをつくる
- 社員の自社に対する誇りを呼び起こすこと
3については、勉強会やミートアップはメディアに取り上げられることも多いため、社内外にプライドが形成されるとのことです。
外部に触れさせることで、社員一人ひとりの「メルカリへの帰属意識」を高める効果的な手法と言えるでしょう。
でも、そういう人たちは知的好奇心が非常に旺盛なので、たとえば、『メルカリってどういう戦略でやっているんだろう?』といったことがわかる勉強会なら来てくれる 。
そういう機会に初めて、メルカリは中途採用もやっているんだ、といったことも知ってもらえる。こういう出会いのきっかけをたくさんつくっていくのが大事だと思います。」
小泉文明 ─ 株式会社メルカリ取締役会長
3. 採用会食のハードルを下げる
採用したい人との会食をする際、毎回食事代を立替えて、後から経費精算することは社員にとって手間がかかります。
そこでメルカリの働く環境づくりを改善するチームは、アイデアを思いつきました。
それは、メルカリ社員の会食費をまとめて請求できるような仕組みをつくること。
メルカリ本社の近隣にある飲食店を中心に、アプリの導入をお願いして、月に1度でまとめて請求できる仕組みを整えました。
飲食店も利用数が増えて嬉しい、社員も毎回自分たちのポケットマネーで立替をしなくていいため負担が軽減されます。
双方のとってwin-winの仕組みをつくりました。
メルカリ社員は、スマホ一つで気軽に採用会食に行けるようになり、リファラル採用につながるケースも一気に増えたとのことです。
まとめ
リファラル採用をいち早く導入したといわれるメルカリのリファラル採用のポイントについてご紹介しました。
リファラル採用は、コスト削減と離職率を下げる令和時代に適した採用方法であるでしょう。
リファラル採用を成功させるポイントは以下の3つでした。
- 自然と会社に人を紹介したくなる空気をつくる
- 未来を切り開くために、とにかく打席に立つ
- 書類選考と面接のポイントを決める
また、リファラル採用は、段階的に行っていくことが大切です。
いきなり、導入してもうまく進めることが難しいでしょう。
まずは、経営陣の方が行動し徐々に普及させていくとよいです。
リファラル採用の成功のポイントを知っていただき、取り入れていただけたら幸いです。
- 採用の募集をかけたが自社に合う人が見つからない
- 優秀な人材をヘッドハンティングして事業を拡大していきたい
- ヘッドハンティングをしたいけれど、やり方が分からない
この資料では、ヘッドハンティングを成功させるポイントを実例をあげてわかりやすく解説。
実際に自分で考えて例文に当てはめ、ヘッドハンティングのオファーに最適な言葉を完成させることも可能です。
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#メルカリ #リファラル採用