
新入社員研修について、どのような内容を実施すべきかなど、進め方について悩む人事担当者や研修担当者が多いのではないでしょうか。
また、過去の研修内容をほぼ同じまま継続している企業は、時代や会社の状況に合わせて研修内容や形式を見直すことが必要です。
今回は「新入社員研修って何するの?」という方に向けて詳しく解説していきます。
ぜひ最後までお読みください。
新入社員研修とは?

企業が新たに入社した社員を対象に、会社の理念やビジョン、ルールやマナーなど、業務内容や仕事の進め方など指導・育成する研修です。
一般的には入社後に実施されますが、中には3月から実施する企業もあります。また、新卒社員は社会人経験が少ないため、幅広い内容が必要とされます。
新入社員研修は、社員の定着や業務能力の向上、また組織との一体感を築くために重要な役割を果たしています。
新入社員研修の目的
新入社員研修には、以下のような目的があります。
- 入社する企業の理念や事業内容への理解を深める
- 挨拶やコンプライアンス、ビジネスマナーの習得
- 社内におけるコミュニケーションスキルを深める
新入社員研修の主な目的は、これまで学生だった新入社員に対して、社会人としての心構えや自覚、必要な知識を指導することです。
企業の経営方針、理念を理解し、ビジネスマナーや業務上必要なスキルを習得することも目的のひとつです。
新入社員研修は、将来有望な人材を育成するために、企業にとって重要な役割を果たします。
期間はどれくらいなのか?
新入社員研修の期間は、1〜3ヶ月程度です。
(参考:【fabcross for エンジニア】新社会人の研修期間は平均2.9カ月。一般職種の59.0%が1カ月以内で通常業務へ)
一般職の1~3年目の若手社員150名を対象にしたアンケート調査によると、研修期間は以下のような結果が出ています。
- 1ヶ月以内:53.9%
- 3ヶ月以内:75.7%
また、技術系の業種の方が研修期間が少し長くなる傾向があります。
しかし、新卒社員の場合は、入社後3ヶ月で独自で業務を行っていくことは難しく、研修期間が終わっても実質OJT研修が1年ほど続く場合があります。
新入社員研修のメリット

ここからは、新入社員研修のメリットについてご紹介します。
ビジネスマナーの取得ができる
新入社員研修のメリット1つ目は、ビジネスマナーの取得ができることです。
とくに、新卒の場合、社会人としての基本的なビジネスマナーや電話対応、挨拶などのスキルを身につけさせることができます。
また、企業のビジョンを理解し、社会人としての自覚を育成することができます。
事前に新入社員研修を実施することで、社会人マナーや業務の適切な取り組みをスムーズに行うことができるようになります。
事業の専門的な知識が身に付く
新入社員研修のメリット2つ目は、事業の専門的な知識が身に付くことです。
とくに、中途採用の場合は、ビジネスマナーを習得している人が多いですが、即戦力となる知識は基本的に持っていません。
そのため、新入社員研修を行うことで、足りない知識やスキルを習得してもらうことができます。
また、企業理念や職場環境に適する人材になれるよう実践的な研修を行えば、即戦力となる点が研修を実施するメリットといえます。
同期と親交を深めることができる
新入社員研修のメリット3つ目は、同期と親交を深めることができることです。
新入社員研修では、同期と一緒に学ぶことで交流が増え、同期同士で情報共有や意見交換が活発に行われることが期待できます。
このような関係性を築くことで、組織の一体感が生まれ、研修後もスムーズなコミュニケーションが図れるでしょう。
また、新入社員が早期に退職することを防ぐためには、同期との絆が重要となります。
新入社員研修は、社員が環境に慣れるまでのストレスを軽減させることに繋がるため、実施するメリットがあります。
新入社員研修の内容を決める5つのステップ

ここからは、新入社員研修の内容を決める5つのステップをご紹介します。
自社で実施するか、外部に依頼するか
1つ目のステップは「自社で実施するか外部に依頼するかを決めること」です。
自社ですべての研修内容や場所を担当者が選定する場合、費用を抑えられるとともに、自社の方針に特化した内容を実施できることが大きなメリットです。
しかし、準備に時間がかかってしまう、また担当者の業務に大きな負担がかかってしまうことがあります。
一方、外部に依頼すれば費用がかかってしまうが、1から研修内容を作り上げる必要がありません。さらに、準備に費やす時間を省くこともできます。
自社だけではできない箇所を外注するなど「自社+外注」の組み合わせも検討してみましょう。
経営陣や部署別にヒアリングを行う
2つ目のステップは、経営陣や部署別にヒアリングを行うことです。
各部署の責任者にヒアリングを行い、実践的な研修内容を提供することで、新入社員がスムーズに業務を行うことができるようになります。
また、新入社員の「研修内容と現場は、少しイメージが違った」ということもなくなります。
さらに、新入社員にとって「社会人としての心構え」「会社の理念や事業内容」を理解することは非常に重要です。
このような理解が、将来的なモチベーションの向上につながるため、研修内容に組み込むことが必要です。
実施期間を決める
3つ目のステップは、新入社員研修の実施期間を決めることです。
前章でもご紹介したように、研修期間は企業によってさまざまですが、平均的な研修期間は約3か月とされています。
技術職は、業務で使用する技術や専門知識を習得する日数を要するため約3ヶ月ですが、事務職や営業職などは研修期間は約1か月です。
それぞれの職種に必要な期間を設け、適切な期間を決めていきましょう。
新入社員研修の形式を決める
4つ目のステップは、新入社員研修の形式を決めることです。
- OJT
- ロールプレイング
- グループワーク
- 講義
新入社員研修の形式はさまざまな形態がありますが、自社に合った形式を選定しましょう。
また、実践的ではない研修においては、オンラインで行うのか、あらかじめ録画したものを視聴してもらうといった方法もあります。
新入社員研修の資料制作や開催場所を決める
5つ目のステップは、新入社員研修の資料制作や開催場所を決めることです。
研修形態や期間が決まれば、次は実施場所を決めていきましょう。決まった内容や概要は資料にまとめ共有し、当日への準備を進めていきましょう。
また、研修を実施した際にも計画通りに進まないこともあるため、適宜確認して計画を見直しましょう。
新入社員研修の具体的な手法

では、新入社員研修で、企業は一体何を新入社員に伝えればいいのでしょうか。
基本的には「社会的なマナー」「コミュケーションの重要度」などですが、以下のような要点も伝えていきます。
- 企業理念やビジョン
- ビジネスマナー(報告、連絡、相談)
- PCスキル
- コミュケーションスキル
- 実践的なスキルの習得
各業種ごとに必要なスキルや知識は、厚生労働省の「職業能力評価基準の策定業種一覧」から確認できます。
ここからは、上記の要点を伝えるために具体的な手法をご紹介していきます。
OJT(On the Job Training)
OJT(On the Job Training)とは、上司や先輩が実際の業務を行いながら、新人に必要な知識や技術を指導する実践的な研修方法です。
実際の現場での経験を通じて、新入社員はより実践的な能力を身につけることができます。
また、OJTでは理論的な研修よりも実践的なトレーニングを行うため、新入社員が実際の業務に慣れるまでの時間を短縮することができます。
OFF-JT(Off the Job Training)
OFF-JT(Off the Job Training)とは、現場以外で実施される研修のことです。
- セミナー
- ワークショップ
- オンライン学習
具体的には、職場や現場から離れた場所で行われる上記のような研修が該当します。
企業によってはビジネススキルに加えて、人事担当者や経営者が経営ビジョンや理念、社員に求める精神など、細かいことまで紹介してくれることもあります。
OFF-JTは、職場や現場で行うOJT (On the Job Training)と併せて、効果的なトレーニングカリキュラムを実施していきましょう。
ロールプレイング
ロールプレイングとは、特定の役割や役割を演じることによって実際のシーンを再現し実践的なトレーニングを行う方法です。
とくに、営業職やカスタマーサポート担当者の研修に用いられ、顧客対応やセールスプレゼンテーションなどのシーンを演じることで、コミュニケーション能力や問題解決力を養成することを目的としています。
座学とは違って繰り返し実践的に練習することができるため、スキルアップに有効な方法とされています。
講師が先に見本をみせてその場で疑似体験させることは、コミュニケーション能力や問題解決力の向上に効果的です。
グループワーク
グループワークとは、与えられたテーマについて協力し合い、討論し、最終的にまとめを発表する研修形式です。
チームメンバー同士がコミュニケーションを図りながら問題解決に取り組み、リーダーシップやフォローアップの役割を担い、お互いの強みを活かせる場となります。
このように、協力しながら問題解決を行うことで個人の能力だけでなく、チームとしての能力も向上することが期待できます。
ケーススタディ
企業や組織、個人など実際に起こった問題事例を取り上げ、どのような行動や判断をすべきかといった能力を磨くための研修をケーススタディといいます。
実際にあった具体的な事例に触れることで、同様の状況に遭遇した時に的確に対処する力を身につけることができます。
ロールプレイングやケーススタディと組み合わせることで、より実践的な知識やスキルを身につけることができます。
レクリエーション
レクリエーションとは、研修中の緊張から解放され気分をリフレッシュし、楽しみを体験するための活動のことを指します。
新入社員にとって、研修中には緊張感があり適度な休憩が必要です。
- スポーツ(フットサル、バスケ)
- ゲーム(ボードゲーム、カードゲーム)
- アウトドア(BBQ、ハイキング)
- 映画鑑賞や読書
このようなレクリエーションは新入社員の緊張を解きほぐすだけでなく、チームワークややる気を高めるたることもできます。
また、研修の合間に適度に取り入れることで、ブレイクタイムとしても有効に活用されます。
新入社員研修のポイント

ここからは、新入社員研修のポイントをご紹介していきます。
多様な教育方法を取り入れる
ポイント1つ目は、多様な教育方法を取り入れることです。
新人研修では、企業理念やビジョンを伝えるために座学を行う機会が多いでしょう。しかし、座学で習得した内容はアウトプットする機会がない限り、実践研修と比べ定着しづらいです。
そのため、座学だけではなく、多様な教育方法を取り入れることが大切です。
実践的な研修内容と組み合わせ、座学だけで終わらせないことが重要ポイントです。
目標を現実的かつ達成可能なものに設定する
ポイント2つ目は、目標を現実的かつ達成可能なものに設定することです。
新入社員に自ら目標を設定させることが多い新人研修においては、過度に高い目標を設定すると、失敗や挫折に繋がることがあります。
そのため、現実的で達成可能な目標を設定することが重要です。
企業にとって、研修にコストや時間をかけたにも関わらず、すぐに退職されては本末転倒です。
そのためには、人事部で実現可能な目標の例を示したり、目標設定の指導を行うことが有効です。
ミスの原因を探り、改善策を一緒に考える
ポイント3つ目は、ミスの原因を探って改善策を一緒に考えることです。
新人研修の振り返りは失敗や課題を見つけるだけでなく、新入社員の良い点や成長したところも共有し、今後の成長につなげることが大切です。
ネガティブな指摘だけでなく、ポジティブなフィードバックを与えつつ、新入社員のモチベーションを維持し、自己成長を促す振り返りを行うことが必要です。
以下の記事では、社員のモチベーション低下の理由から向上させる方法まで詳しく解説しているので、ぜひお読みください。
まとめ|新入社員研修はビジネスマナーから業務知識まで学ぶ
新入社員研修は、何をするのかというと、ビジネスマナーから業務知識まで幅広く学びます。
- 企業理念やビジョン
- ビジネスマナー
- コミュニケーション能力
- 基本的なPCスキル
- チームワーク
もちろん業種ごとに必要となる知識やスキルは異なりますが、OJTやロールプレイングなどを取り入れ、自社に合った手法で実施していきましょう。

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