
「せっかく事務所を開設したのに、お客様が来ない」
「どのように相談者を集めれば良いのかわからない」
「新規顧客をなかなか開拓できずに困っている」
事務所を開設した当初は人脈が少なく、なかなか顧客を獲得するのが難しいかもしれません。
長期的に安定した集客にはマーケティング思考が必要です。
この記事では、士業の現状や、マーケティングを使った集客のポイントと方法について説明します。
士業の現状

士業の登録者数は年々増えていると言われています。
士業は10種類以上ありますが、ここでは主な士業の登録者数を紹介します。
士業名 | 2000年士業総数 | 2022年士業総数 |
弁護士 | 17,126人 | 44,101人 出典:日本弁護士連合会 弁護士数の推移/男女別年齢構成/男女別弁護士数の推移 |
弁理士 | 4,503人 | 11,743人 出典:日本弁理士会 日本弁理士会会員の分布状況 弁理士の人数・志願者・合格者推移 |
司法書士 | 17,034人 | 22,907人 出典:日本司法書士会連合会 会員数他データ数 |
行政書士 | 35,163人 | 51,147人 出典:日本行政書士会連合会 単位会所在地・会員数等 |
税理士 | 64,456人 | 80,467人(2023年1月現在) 出典:日本税理士会連合会 税理士登録者数 |
社会保険労務士 | 25,066人 | 44,203人 出典:中央経済社-社会保険労務士白書 |
公認会計士 | 12,672人 | 34,401人(2023年1月現在) 出典:日本公認会計士協会 2023年1月の会員数(会員数等調) |
※2000年の士業総数の出典:『士業 8 業種の資格試験受験者数・合格者数・士業総数の推移』
士業の登録者数が多いため、国家資格を取ったからと言って、何もしなければお客様はいつまでたっても相談に来ないのが、現在の士業の現状です。
インターネットで検索すれば、多くの事務所が表示され、お客様は比較検討が簡単にできます。
その中から自分の事務所が選ばれるように、努力と工夫が必要なのです。
士業の集客に必要な4つのポイント

お客様に事務所へ相談しに来てもらうには、どうすれば良いのでしょうか。
一般的な企業が集客する場合、マーケティング戦略を立てますが、士業集客でもマーケティングが必須です。
つまり、新規顧客を誘致し、継続的にリピーターになってもらうような仕組みを作るということです。
ここでは、マーケティング戦略を行う上でのポイントを解説します。
1. 市場分析を行う
自身が事務所を構える地域の潜在顧客の特徴や、競合先の数などのマーケット規模を分析します。
- 潜在顧客のニーズ・特徴・属性
- 自分が得意とする専門分野の需要の有無
- 競合先の数・規模・特徴・価格
顧客のニーズなどを確認するには、直接ヒアリングするのが最も生きた情報を得ることができます。
競合先の調査に関しては、ホームページやチラシなどの宣伝媒体をチェックすることで情報を得やすいです。
「3C分析」というフレームワークを活用することで、効率的に市場分析ができます。
3C分析は、「Company(自社)」「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」の3つに分けて分析する方法です。
「Company(自社)」は、自社の強みを洗い出すことです。「Customer(市場・顧客)」は、顧客の悩みやニーズを掴むことで、「Competitor(競合)」では、競合の特徴を把握します。
市場を詳しく分析することで、マーケティング戦略を立てることができます。
3C分析は、他の記事でも詳しく説明しているので参考にしてください。
2. ターゲットを設定する
自分の得意とするサービスを必要とするターゲットを具体的に設定します。
- 性別
- 年齢
- 職業
- 年収
- 居住地
- ライフスタイル
- 悩み
以上のような項目を決め、集客を図りましょう。
もしターゲットを抽象的に設定してしまうと、アプローチしても、自分にはあまり必要ないものと思われてしまい、集客がうまくいきません。
ターゲットを明確にすることで、相手にアプローチしたときに、メッセージを「私に言ってくれている」と感じさせることができます。
3. 他との差別化を図る
市場分析で3C分析を行うと、自社の強みと競合の強みを把握することができます。
自社の強みの中で、競合よりも優位に立てる強みはあるでしょうか。
見込み顧客に自社を選んでもらうためには、強みや得意分野を明確に把握し、顧客へアピールしなければなりません。
競合が取り扱っていない分野を取り扱うことや、良心的な価格、親身なサービスなど、差別化できることはたくさんあります。
差別化することで、自身のポジショニングが確立されていきます。
競合よりも優位に立つポジショニングについては、こちらもご覧ください。
4. 信頼感を与える
一般的に、士業というと偉い人で取っつきにくいと思っている人が多いです。
士業の事務所に行って相談するのは、一般の人にとって敷居が高く、身近でないため、顧客と信頼関係を構築し、この先生に相談したいと思ってもらうことが重要です。
信頼関係を築くには、「自分のことを知ってもらうこと」と「専門知識を持っているとアピールすること」の2つの方法があります。
自分のことを知ってもらうこと
士業の事務所のホームページには、よく笑顔の写真が掲載されています。
自分の顔写真を載せることと、それが笑顔であることで、見る人に親近感を与えているのです。
また、経歴にプラスして、士業を志したきっかけや思いも述べると共感を得やすくなります。
士業の先生は国家資格を持っているという権威性があるため、お堅いイメージを持っている人が多いですが、それを払しょくするために話しやすい雰囲気を作りましょう。
専門知識を持っているとアピールすること
士業の先生に相談する人は、自分の陥っている状況や悩みを解決してもらいたいと思っています。
そのため、「この先生なら解決できる術を持っていそう」と思ってもらう必要があります。
定期的にブログやSNSで事例紹介や「こんなときどうする」といったアドバイスを発信することで、得意分野に秀でていることをアピールするのが良い方法です。
ただし、一般の人にもわかりやすい平易な言葉で発信しましょう。
専門用語を使いすぎると、逆に顧客が理解できず、離れて行ってしまいます。
集客の方法11選

士業の集客には、ターゲットに合った集客方法を選ぶ必要があります。
オンライン集客とオフライン集客がありますので、それぞれ詳しく説明します。
オンライン集客 | 1. ホームページの作成 2. ポータルサイト・クラウドソーシングサイトの利用 3. MEO対策の実施 4. Web広告の掲載 5. SNSでの発信 6. メールマガジンの配信 7. 動画配信 |
オフライン集客 | 8. 紹介・口コミ 9. セミナー登壇・交流会の参加 10. 無料相談の実施 11. 看板の設置・チラシの配布 |
1. ホームページの作成
ホームページは、自社の情報を網羅し、興味を持ってもらうことで相談につながります。
自社で一から作成することも可能ですが、SEOの知識とWebデザインのスキルなどが必要になるため、外注する方が効果のあるホームページを作成ができるでしょう。
また、作成しただけでは誰にも見てもらえないため、コンテンツを充実させたり、ブログ記事を増やしたりして、検索順位を上げる必要があります。
ホームページを作成してから結果が出るまで時間がかかってしまいますが、集客の窓口として開設させておくことをお勧めします。
2. ポータルサイト・クラウドソーシングサイトの利用
主なポータルサイト | 士業ねっと! 士業ポータル まほろばプロ 弁護士ドットコム 税理士ドットコム 社労士サーチ.com |
主なクラウドソーシングサイト | クラウドワークス ランサーズ SAMURISE Dspace ココナラ法律相談 Bizer |
士業専門のポータルサイトには、多くの士業が掲載されています。
ユーザーは悩みを持って、ポータルサイトを訪問しているので、ユーザーの目に留まれば、問い合わせに繋がる可能性が高いです。
ただ、ポータルサイトはライバルが多く競争が激しいメディアなので、差別化して目立たなければなりません。
自社の得意分野や、他との差別化ポイントを明確に表示しましょう。
クラウドソーシングサイトは、クライアントに対して提案を行い、契約を取るサイトです。
Webメディアに掲載されている記事の監修などを行い、自分のプロフィールが掲載されることで、潜在的な顧客にアプローチすることができます。
3. MEO対策の実施
MEOとは、Map Engine Optimization(マップ検索エンジン最適化)の略で、Google Mapでの検索順位を上げるために最適化を行うことです。
Googleビジネスプロフィールに登録し、正しい情報に更新したり、多くの口コミをもらったりすることで、Google Mapで上位表示されやすくなります。
Google検索でも「東京 税理士」のように「地名+士業名」で検索すると、Google Mapと共に事務所のビジネスプロフィールが検索結果に表示されます。
地域密着型でビジネスをしている場合は、MEO対策を必ずしておきましょう。
4. Web広告の掲載
Web広告には、リスティング広告やディスプレイ広告があります。
リスティング広告は、Google検索のキーワードに沿って、検索結果の上部もしくは下部に表示される広告です。
ディスプレイ広告は、Webサイトの広告枠に表示されるバナー広告のことです。
どちらも広告費用がかかりますが、認知を広めるのに役立ちます。
5. SNSでの発信
SNSで発信し、他のユーザーと交流することで、見込み客へのアプローチや信頼関係の構築ができます。
Facebookは実名登録制という特性上、信頼関係を築きやすいのが利点です。
Twitterは気軽にフォローして繋がることができるため、フォロワーの悩みを解決していく発信をすることで、集客に役立てられます。
Instagramは、ターゲットがよく悩む事例をQ&Aの画像にして発信するなどの工夫で活用することが可能です。
ターゲットの属性や訴求方法により、発信するSNSを決めましょう。
SNS名 | 主なユーザー | 特徴 |
30~40代男性 | 実名登録制 | |
20~40代男女 | 拡散性に優れている | |
10~20代女性 | 画像訴求が主 | |
YouTube | 幅広い年代 | 動画での訴求 |
TikTok | 10~20代男女 | ショートムービーでの訴求 |
LINE公式アカウント | 幅広い年代 | セグメント配信が可能 |
6. メールマガジンの配信
メールアドレスを登録してもらうことで、メールマガジンを定期的に配信し、接点を増やすことが可能です。
メールマガジンでターゲットの悩みを解決するコラムを配信すれば、「この先生は悩みを解決してくれそう」とユーザーに印象付けられます。
メールマガジンは、迷惑メールフォルダに入ってしまうこともあるので、ドメイン登録をしてもらうように声掛けをする必要があります。
メールマガジンと同じような配信ができるのが、LINE公式アカウントです。
LINE公式アカウントでは1対1のチャットもできるので、配信と個別サポートの両方を兼ねることができます。
7. 動画配信
YouTubeやTikTokを使った動画配信は、伝えられる情報が多く、専門的な内容をかみ砕いて説明することができます。
動画を利用することで、先生の人となりを知ることができるので、親近感がわくとともに、説明がわかりやすければ安心感も生まれます。
YouTubeでは長めの動画を配信できますが、TikTokはショートムービーの配信となるため、動画の尺に注意してください。
8. 紹介・口コミ
既存顧客からの紹介や、口コミは強力な集客効果を生みます。
紹介や口コミを獲得するには、既存顧客に紹介や口コミをしてもらうように依頼することや、サービスを充実させ、顧客の満足度を上げることなどがポイントです。
また、事務所を開設した際には、近隣の士業事務所や同業者へ挨拶に行き、良い関係を築いておくと、顧客を紹介してもらえる可能性があります。
9. セミナー登壇・交流会の参加
セミナーに登壇したり、交流会に参加したりすることも新規顧客に会える方法です。
特に、他の士業や異業種の経営者との共同開催のセミナーを行うと、人脈が広がります。
売上に直結することは少ないですが、見込み顧客のリストを作ることができるので、将来的に役立つでしょう。
10. 無料相談の実施
無料相談は、30分程度のお試しで相談を受け付けるというサービスです。
相談するとお金がかかると思い込んでいる人もいるので、相談のハードルを低めて、ターゲットに行動を起こさせることができます。
一度相談して悩みを解決できると、次も同じ先生に相談したいと思うので、継続的に相談してもらいやすくなります。
11. 看板や広告の設置・チラシの配布
地域密着型の事務所の場合、看板や広告を設置したり、チラシを配布したりすることで認知を図ることも可能です。
ホームページに誘導するため、QRコードやURL、検索キーワードを掲載しておきましょう。
費用がかかるので、エリアを限定するなどの工夫をするのがポイントです。
集客に悩んでいる人はマーケティング思考を身につけましょう
この記事では、士業の現状、集客方法とポイントについて説明しました。
士業は登録者数も増えており、事務所を開いて待っているだけでは顧客が来てくれなくなりました。
相談に来てもらうためには、マーケティングの知識を持ち、集客をしなければなりません。
今、集客にうまくいっていないと考えている方は、ぜひ市場分析やターゲットの設定、他社との差別化、そして信頼関係の構築ができているか振り返ってみましょう。
年商5億円を超えさらなるスケールアップを目指す経営者必見!
あなたのビジネスをスケールアップさせる集客と組織作り、
さらに、成功事例やここだけのお得な内容をお届け致します。