
- 自社のファン作りのために始めたTwitterがいまいち伸びない
- 効果的に訴求するにはTwitterをどのように運用すればいいのだろう?
- 伸びている企業アカウントと自社の違いはどこにあるのか?
上記のような悩みや疑問を抱えていませんか?
今回は、認知療法の概念として知られる「ABC理論」をTwitter運用に取り入れる方法を解説します。
自社のTwitterアカウントが伸びない・フォロワーが増えない悩みを抱えている事業者の方にとってヒントになることでしょう。
ぜひ参考にしてください。
ABC理論とは

そもそも、ABC理論とはどのような理論なのでしょうか。
認知療法における本来の概念と、マーケティングにおける活用方法について整理しておきます。
認知療法におけるABC理論
ABC理論は、アメリカの臨床心理学者で論理療法の創始者として知られるアルバート・エリスが1955年に提唱した理論です。
人が物事を認知するとき、目の前で起きた出来事をありのままに認知しているわけではありません。
同じ出来事に接しても人によって捉え方が大きく異なるように、受け取り方・捉え方が解釈に大きな影響を与えています。
・A(Activating events=出来事):実際に起きたこと
・B(Belief=信念・捉え方):どのような受け取り方・捉え方をするか
・C(Consequences=結果):どう感じたか・どのような行動に繋がったか
たとえば、スマートフォンの新機種が発売された時のことをイメージしてください。
ある人は「価格が高すぎる」「カメラ性能ばかり追求していて新鮮味がない」と感じるかもしれません。
一方、別の人から見ると「順調に技術が進歩している」「国際的に見れば価格設定も妥当だ」と感じるでしょう。
出来事が感情を決定するのではなく、出来事の捉え方が感情のあり方を変えるというのがABC理論の基本的な考え方です。
マーケティングにおけるABC理論
マーケティングへのABC理論の活用を提唱したのは、コンサルタントであり講演家でもあるブライアン・トレーシーです。
マーケティングにおいては、ABC理論を次のように捉えています。
・B:自社の商品・サービス(どのような価値を提供できるのか)
・C:購入後のお客様の状態(どのようなベネフィット・未来を得られたか)
現代社会では、顧客が「生活していく上で必要不可欠なモノ」を買い求めるケースは減っています。
顧客がベネフィットを感じるのは、主に感情的価値を満たしてくれる商品・サービスと考えてよいでしょう。
裏を返せば、同じ商品を販売しても顧客の受け取り方・感じ方しだいで売れたり売れなかったりする可能性が高いのです。
ABC理論は、顧客のインサイト(購買意欲の核心)を探る上で重要なフレームワークの1つといえるでしょう。
顧客のBeliefを「創り出す」という視点
ABC理論において重要な考え方として、B(Belief)は「変えられる」という点が挙げられます。
モノの捉え方が変化したことで新たな需要が生み出された好例の1つが「チェキ」です。
インスタントカメラそのものは、チェキがブームとなるずっと以前から存在していました。
Z世代を中心としたインスタントカメラを知らない層が、アナログ体験を味わえる商品として新たな価値を見いだしたといえます。
リアルタイムでインスタントカメラを使っていた世代にとっては、予想だにしなかった現象といえるでしょう。
顧客の認知を「創り出す」ことによって、従来とは異なる売り出し方・訴求方法が見つかる可能性を秘めているのです。
Twitterの特性

次に、Twitterのメディアとしての特性を改めて確認しておきましょう。
日本国内だけでも5,000万人以上のユーザー数を擁するTwitterは、集客に適したツールといわれています。
Twitterをマーケティングに活用する際は、次の特性を押さえておくことが大切です。
情報の伝達・拡散スピードが速い
情報の伝達・拡散スピードが速く、リアルタイム性に優れているのがTwitterの大きな強みです。
列車の遅延状況などは、鉄道会社が公表する速報よりも列車利用客のツイートを見たほうが現状を即時確認できる場合があります。
リツイート機能により情報を手軽に拡散できるため、爆発的に情報が広がるケースも少なくありません。
多くのユーザーの共感を得られたツイートは、瞬く間に何百・何千万というユーザーに行きわたる可能性を秘めているのです。
論理性よりも感情・直感が占める割合が高い
論理性よりも感情・直感による投稿・シェアが誘引されやすいことも、Twitterならではの特性といえます。
絶え間なく流れていくタイムラインを追うためには、1つ1つのツイートに対してじっくり時間をかけて考えている暇はありません。
必然的に「気になるかどうか」「好きか嫌いか」といった、直感にもとづく判断が働きやすくなります。
感情に訴えかける要素が求められることから、SNSマーケティングにおいてはインパクトが重要とされているのです。
生活者の「本音」が反映されやすい
匿名性が高く、ユーザーが本音を吐露しやすいのもTwitterの特性の1つです。
博報堂生活総合研究所と角川アスキー総合研究所は、ツイートに使用された形容詞の出現回数を共同で研究しています。
研究結果から、30代以上の男性が「うれしい」とツイートする件数が過去数年間で顕著に伸びていることが分かりました。
世界幸福度ランキングが先進諸国で最低順位とされる日本ですが、生活者の本音は決して暗くはなかったのです。
面と向かって言えないこと・素性を明かして発信できないことでも、匿名性の高いTwitterなら本音をさらけ出せるのでしょう。
さまざまな調査結果からは見えてこない、生活者の本音が反映されやすいメディアといえます。
フォロワー数が伸びない・リツイートされないTwitterアカウントの特徴

Twitterを運用してもフォロワー数が伸びない・リツイートされないのはなぜでしょうか。
Twitterの特性を元に、考えられる主な原因をまとめました。
ツイート数が少ない・一貫性がない
Twitterは情報の即時性が高い反面、発信した内容が蓄積されていくタイプのメディアではありません。
ストック型ではなくフロー型のメディアといえるでしょう。
ユーザーから見た場合、ツイート数が少ないアカウントはそもそも存在を知るチャンスが少ないといえます。
一定以上のツイート数を確保していても、発信内容に一貫性がなければ逆効果です。
何について、どのような目的で発信しているのかが見えにくくなり、フォロー・リツイートする理由がなくなってしまうでしょう。
感情に訴える要素が少ない
事実を淡々と伝えることに終始しているような、感情に訴える要素が少ないツイートも伸びにくい傾向があります。
大半のユーザーは「気になるかどうか」を直感的に判断しているため、感情を刺激されなければ目に留まらないからです。
企業アカウントだからといって、オフィシャルな情報を淡々と投稿していてもフォロワーは増えないでしょう。
担当者の人柄や本音が伝わるツイートが見られるからこそ、ユーザーは積極的にフォローしたいと感じるのです。
一方的な宣伝に終始している
Twitterをマーケティングに活用する場合、一方的な宣伝に終始してしまうケースがあります。
そもそもTwitterユーザーは企業の広告を見るためにTwitterをチェックしているのではありません。
実生活ではあまり耳にするチャンスのない、人々の本音が浮かび上がってくるのがTwitterの長所です。
いかにも宣伝という雰囲気を醸し出していては、Twitterユーザーから敬遠されてしまいます。
Twitterをマーケティングに活用することと、直接的な宣伝用ツールとして活用することは明確に分けて考えましょう。
ABC理論を活用したTwitter運用の手順

ABC理論をTwitterに活用するには、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。
顧客のBeliefを「創り出す」ためにTwitterを運用する手順を具体的な事例と併せて見ていきましょう。
1.ユーザーの現状(A)をイメージする
ターゲットユーザーをイメージした時、自社が持っている情報のうちターゲットユーザーにとって未知の情報があるはずです。
公表していない情報に限らず、たとえ公開済みであっても届いていない・知られていないメッセージは決して少なくないでしょう。
ライフウェアを掲げる「ユニクロ」のTwitterアカウントでは、以下のような「問いかけ」から始まる発信を続けています。
・Q. セットアップするなら?(+3種のセットアップコレクション画像)
・Q. 取り入れたいBLUEアイテムは?(+トップス、小物など4種のアイテム画像)
同社の商品を持っている・見たことがあるユーザーでも、上記のような切り口で捉えたことはない人もいるはずです。
意外性のある問いを投げかけられたユーザーは、「私ならこのコーデが好み」のように自分事として受け止めてくれるでしょう。
2.自社が発信した情報を知った状態(C)ではどうなるか
ユニクロのツイートには2つの仕掛けがあります。
1つは、問いに対する答えを「リプライで教えて」と呼びかけ、拡散へと繋げるための仕掛けです。
もう1つは、参考コーディネートが見られる外部リンク。
後者はユニクロECサイトへの導線となっています。
発信した情報をユーザーが知った瞬間、ユーザーの心理状態は次のように変化しているでしょう。
・趣味が合う人と共感し合いたい
・他のバリエーションのコーデも見てみたい
・春物ならどんなアイテム/カラーがあるのだろう?
発信内容がユーザーの興味を引きつけ、行動を促していることが分かります。
3.A→Cに至るまでに必要な施策を検討する(B)
A(出来事)とC(結果)が想定できたら、AからCへと導くための道筋を用意します。
ユニクロのアカウントに関しては、「拡散」と「外部リンク」という2通りの道筋を提供している点が秀逸です。
ユーザーは「次はどんな質問が来るだろう?」と、ツイートを楽しみにして待っていることでしょう。
2009年11月から運用されている同社の公式アカウントは、2023年2月時点でフォロワー数143万人に達しています。
商品を売り込むのではなく「見る角度を変えてもらう」ことで、Beliefを新たに創出している好例です。
Twitter運用にABC理論を活用する際の注意点

Twitter運用にABC理論を活用するにあたって、注意しておくべきポイントがあります。
中長期的にアカウントを育てていく上で重要な視点のため、必ず押さえておきましょう。
「伸びる」ツイートには複合的な要因が考えられる
企業アカウントを継続的に運用していると、まれに発信者の意図を超えて伸びるツイートが現れます。
リツイートや表示回数が多いのは歓迎すべきことですが、伸びるツイートには複合的な要因が考えられる点に注意してください。
ツイートの内容や紹介した商品がユーザーに支持されているとは限らないのです。
・偶然にも伸びているハッシュタグが含まれていた
・画像や動画クリエイティブにインパクトがあった
・他のアカウントでバズったツイートに類似点があった
・インフルエンサーの目に留まりリツイートされた
想定外に伸びたツイートが出てきたからといって、同じパターンのツイートを繰り返せばアカウントが育つとは言い切れません。
ツイートが伸びた要因は、あくまでも複合的に捉える必要があるのです。
ツイート単体ではなく全体的な傾向を捉える
Twitterにはさまざまな分析ツールが提供されていますが、ツイートごとの分析に終始しないことが重要です。
前述の通り、Twitter上には絶え間なくタイムラインが流れていくため、論理性よりも感情が勝りやすいメディアといえます。
特定のツイートを多くのユーザーがシェアした理由を、大半のユーザー自身が明確に説明できないかもしれません。
定量的なデータだけでなく、どのような傾向のツイートがユーザーに好まれているか定性的な面も見ていく必要があるでしょう。
ツイート単体に固執せず、全体的な傾向を捉えることは「伸びるアカウント」を育てる上で欠かせない視点です。
まとめ
ABC理論をマーケティングに活用する際は、A→C→Bの順に考えることが大切です。
Twitter運用においても同様で、以下のようにまとめることができます。
- A:発信する情報に対して未知の状態のユーザー
- C:発信した情報を知った後のユーザーの状態
- B:A→Cに至るまでに必要な施策
今回解説したポイントを参考に、ぜひTwitter運用にABC理論を活用してください。
多くのファンから愛されるアカウントに育ち、かけがえのない新たな顧客との出会いをもたらしてくれるはずです。
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