
新人営業パーソンの苦手なことの1つにヒアリングが挙げられます。
ヒアリングは顧客の課題やニーズを理解し、顧客が本当に必要としている商品やサービスを提供するためにあるので、ヒアリングができないと営業成績は上がりません。
ヒアリングで何を聞けば良いかわからない人や、練習してきた内容を緊張して忘れてしまう人もいるでしょう。
ヒアリングが苦手な人でも、顧客の情報を聞き忘れることがないようにするにはヒアリングシートの活用が有効です。
この記事では、ヒアリングシートを作るメリットと、ヒアリングシートに必要な項目とフレームワークについて説明します。
ヒアリングシートを作るメリット

ヒアリングシートは、同じ業界の会社が顧客であれば、大きな変更なく再利用することが可能です。
ヒアリングシートを使うことで、ヒアリングのクオリティを上げていくことができるということです。
営業パーソンに必須なヒアリングシートですが、多くのメリットがあるので解説します。
ヒアリングの抜け漏れがなくなる
ヒアリングシートを作成することで、ヒアリングしなければいけない項目を事前に網羅できるので、ヒアリング漏れを防ぐことができます。
商談の機会は限られていますので、都度チャンスをつかみ取るためにも事前準備は欠かせません。
少ないヒアリングの機会で、顧客が本当に求めていることを理解するためには、ヒアリングをテンプレート化したヒアリングシートを活用することが有効です。
的確な提案ができる
商談を成功させるには、顧客の要望に沿った提案をすることが重要です。
ヒアリングシートに書かれていることをすべてヒアリングすると、事前に立てた仮説の答え合わせができ、顧客の潜在的なニーズまで確認することができます。
そのため、必要な提案を的確にすることが可能になるのです。
新人でもヒアリングがしやすくなる
まだ商談に慣れていない新人営業パーソンは、経験の少なさや緊張から聞くべきことを聞けずに商談を終えてしまうことがあります。
ヒアリングシートを使い、すべての項目を埋める運用を教育すれば、何を質問する必要があるのかがわかり、安心して商談に臨めます。
当然、ヒアリングシートを使ったシミュレーションで練習をする必要があります。
実践することで会話を組み立てる順番なども身に付きやすくなるでしょう。
情報共有がしやすい
ヒアリングシートに書き込みながら商談を進めると、商談終了時には顧客の情報でいっぱいになっています。
それを社内でデータ化しておき、営業部内で共有すれば引継ぎをする際にも便利です。
営業担当者がいない間に顧客から連絡があっても、そのデータがあれば、ある程度の対応は担当者以外でも可能になります。
BtoB向け営業ヒアリングシートで必要な項目

ヒアリングシートに必要な項目には、どのようなものがあるのでしょうか。
商談ではすべての項目を網羅しておく必要があります。業界や商品・サービスの違いで細かい内容は変わりますが、必要な項目も多いので説明します。
顧客情報
顧客情報とは、顧客の事業内容や主な取引先、市場や競合など、顧客のビジネスに関する基本的な情報です。
ホームページなどの外部から見えるところに書かれているものは必ず確認し、ヒアリングシートにあらかじめまとめておきましょう。
商談中に内容を確認しつつ、深掘りしていきます。
ニーズ・課題
顧客のニーズや課題がわからなければ、自社商品やサービスの提案のしようがありません。
顧客は何にどれくらい困っているのか、それを解決するには何が必要と考えているのか事前にリサーチしましょう。そして、最終的に顧客がどうなっていると良いと考えているのかを順番に掘り下げていきましょう。
話を深く聞いていくにつれ、顧客が考えている解決手段よりもっと良い方法が浮かぶかもしれません。
最初は顧客のニーズが抽象的で、何が必要なのかの理解が進んでいないこともあります。
細かくヒアリングをしていくことでニーズが具体的になり、顧客が想像していなかったニーズが浮き彫りになることもあります。
顧客が利用・検討している競合サービス
多くの場合、自社1社だけが商談をしているわけではなく、複数の競合他社も商談をしていると考えられます。
競合の商品・サービスに対する顧客の印象などを聞くことができれば、自社商品・サービスを提案する際の糸口にすることができます。
すでに顧客が競合の商品・サービスを利用しており、乗り換えを検討していることもあります。
その場合は使い勝手や改善点などの感想を教えてもらい、自社商品を使うことでどんなメリットを享受できるかをアピールましょう。
他社との比較ができると自社の良さをアピールしやすくなるうえ、見込みがあるかどうかの判断もしやすくなります。
予算
顧客の予算を確認することで、おすすめする商品・サービスが変わります。
予算が少ないのに高額商品を提案されると、顧客は営業パーソンの話を聞く気になれず、信頼関係を構築することもできません。
また、予算はすでに確保できているのか、確保の目途は立っているのかも確認しましょう。
商談が進んだところで予算が確保できずにご破算になってしまえば、それまでの苦労が水の泡になってしまいます。
予算の確保がまだの場合は、予算額を決める責任者が誰なのかも確認し、可能であればその責任者と話をするなどの対応が必要です。
納期
顧客の希望納期の確認も重要です。一からシステム構築や商品の制作をしなければならない場合、納期が短すぎると間に合わない可能性もあります。
そのため、契約までのスケジュールも確認が必要です。
顧客が契約までにどのようなプロセスを踏むのかを知っておけば、営業パーソンが適切なタイミングで提案やサポートができ、良い関係を築きやすくなります。
決裁権限者
BtoBの商談シーンでは、お客様の担当者が決裁権限がないということがあります。
その場合どんなことがお客様内で起きているかというと、話を聞いてから持ち帰っていただいた後、決裁権限者に社内プレゼンをしているということです。
つまり、どんなに熱を込めて提案をしても、決裁権限者に良さが伝わらなければ契約に至らないということです。
決裁権限者だけでなく、その判断に影響を及ぼす人や判断軸についても把握しておく必要があります。
決裁権限者なども交えて商談をさせてもらえるか依頼することも考えておきましょう。
選定基準
競合と商品・サービスが似ているときは事前に考えることが多くあります。
顧客が判断に迷ったときに何を基準にして選ぶのか、選択するときに重視することは何かを知っておくことが重要です。
性能や機能なのか、コストパフォーマンスなのか、サポート体制の充実度なのか、ブランドの信頼性なのかなど、選定基準は様々です。
商談担当者や決裁権限者の選定基準だけでなく、実際に使う人々が重きを置く基準までわかれば提案の幅が広がります。
自社商品・サービスの印象・疑問
自社商品・サービスを提案した後に、必ず印象や疑問点を確認してください。
疑問点が解消されないまま商談を進めても、営業パーソンだけでなく、提案すら良い印象を持たれなくなってしまいます。
疑問点を解消しながら商談を進めていくと、顧客も安心して話を聞くことができるはずです。
また、疑問点は自分の話に不足があったということでもあります。
ヒアリングシートに書いておくことで、別の顧客にヒアリングするときに改善することもできるでしょう。
顧客との合意内容
次の商談や契約につなげるために、顧客との合意内容を明確にしておきましょう。
誰が、何を、いつまでに行うのかを顧客と共有することで、商談後に連絡が来ずに契約を逃すことを防げます。
いつまでに行うかまで明確に決めることで、連絡がないときに営業パーソンが確認を取りやすくもなります。
BtoB営業ヒアリングシートのテンプレートに使えるフレームワーク

ヒアリングシートを一から作るのは大変ですので、テンプレートになるフレームワークを紹介します。
フレームワークの項目を網羅することで、皆が使えるヒアリングシートのテンプレートを作成することができるでしょう。
BANT
BANTは、ヒアリングシートを作る際の基本のフレームワークです。
- Budget(予算)
- Authority(決裁権限者)
- Needs(顧客ニーズ)
- Timeframe(スケジュール)
これら4つの言葉を表しています。
Budget (予算) | ・予算はいくらか ・予算は確保できているか(予算は確保できそうか) ・希望価格はいくらか |
Authority (決裁権限者) | ・担当者に決裁権限はあるのか ・誰が最終決裁者か ・決済判断の判断軸は何か |
Needs (顧客ニーズ) | ・なぜ検討しているのか ・どんなニーズがあるのか ・顧客に本当に必要なものなのか |
Timeframe (時期) | ・希望納期、導入時期はいつか ・どのような検討スケジュールか |
どの項目も、しっかりとヒアリングができていないと、顧客の考えていることと差異が生じ、提案が通らなくなってしまいます。
BANTCH
BANTCHは次の6つの要素からなるフレームワークです。
- Budget(予算)
- Authority(決裁権限者)
- Needs(顧客ニーズ)
- Timeframe(スケジュール)
- Competitor(競合)
- Human Resources(人員体制)
Budget (予算) | ・予算はいくらか ・予算は確保できているか(予算は確保できそうか) ・希望価格はいくらか |
Authority (決裁権限者) | ・担当者に決裁権限はあるのか ・誰が最終決裁者か ・決済判断の判断軸は何か |
Needs (顧客ニーズ) | ・なぜ検討しているのか ・どんなニーズがあるのか ・顧客に本当に必要なものなのか |
Timeframe (時期) | ・希望納期、導入時期はいつか ・どのような検討スケジュールか |
Competitor (競合) | ・他社の見積もりはいくらか ・他社商品の良い点と悪い点は何か ・自社は本命か、見積もりを取っているだけか |
Human Resources (人的資源) | ・担当者は決裁者に直接提案できる立場か ・商品、サービスを使用する人は誰か |
「Human Resources(人的資源)」とは、商品・サービスを購入、もしくは使用する部署の人員構成や、決裁権限者と担当者との関係性についてヒアリングします。
担当者は納期や費用対効果を重視していても、実際に使用する人は機能や性能、サポート体制を重視しているとわかれば、顧客にとって最適な提案ができるはずです。
MEDDIC
MEDDICの内容は以下6つの要素をまとめたフレームワークです。
- Metrics(測定指標)
- Economic Buyer(決裁者)
- Decision Criteria(意思決定基準)
- Decision Process(意思決定プロセス)
- Identify Pain(課題)
- Champion(擁護者)
それぞれの項目を解説していきます。
Metrics(測定指標)
商品・サービスを導入することで得られる効果のことです。コストの削減率や残業が何時間減ったなど、具体的に顧客の課題や要望を把握することができます。
Economic Buyer(決裁権限者)
他のフレームワークでも含まれていますが、誰に決裁権限があるのかを確認することです。決裁権限のない人に提案しても、決裁権限者が「Yes」と言わなければ無駄になってしまいます。
Decision Criteria(意思決定基準)
商品・サービスを選ぶ際の判断基準です。費用やサポート体制、使いやすさ、機能性など、どれを重視して選ぶのかを知ることで、自社商品・サービスのメリットの説明の仕方が変わります。
Decision Process(意思決定プロセス)
購入までのスケジュールを把握することです。決裁フローを知ることで、必要であれば他の関係者にも商談の場に同席してもらうことを依頼しやすくなります。
Identify Pain(課題)
顧客が抱える課題やニーズを明確にし、自社商品・サービスを導入することで、どのように解決できるかを提示することです。
Champion(擁護者)
顧客の課題を解決することに前向きで、決裁権限者に影響を与える人のことです。
3C分析
3C分析は、ヒアリング前に顧客情報を調べる際に役立つフレームワークです。
- Customer(顧客・市場)
- Company(自社)
- Competitor(競合)
これら3つの要素から構成されています。
基本的に顧客情報はホームページなどから収集することが多いですが、3C分析までできれば、仮説を立てやすくなるでしょう。
3C分析については、別の記事でも解説しているので参考にしてください。
ヒアリングシートでクオリティ高く商談を進めましょう
この記事では、ヒアリングシートを使うメリットと、一般的なヒアリングシートの項目とフレームワークを解説しました。
営業の成果を上げるためには、顧客の課題やニーズをつかみ、必要な提案をすることが大事です。
しかし、課題やニーズを深掘りすることが苦手な人もいると思います。
ヒアリングシートに基づいてヒアリングをしていけば、商談のクオリティを上げることが可能です。
ぜひヒアリングシートを使いこなして、契約を取り結んでください。
年商5億円を超えさらなるスケールアップを目指す経営者必見!
あなたのビジネスをスケールアップさせる集客と組織作り、
さらに、成功事例やここだけのお得な内容をお届け致します。