
- マーケティングミックスという言葉を聞くが、どういう意味なのだろう?
- マーケティング施策の中で、どのような役割を果たしているのか知りたい
- 4P・4Cとマーケティングミックスとの間にどのような関わりがあるのか?
上記のような疑問を抱えていませんか?
今回は、マーケティングミックスの意味や役割に加えて、企業の具体的な活用事例を紹介します。
マーケティングミックスを成功させるコツにも触れていますので、マーケティング施策への理解を深める上で役立ててください。
マーケティングミックスとは

はじめに、マーケティングミックスの定義と役割を押さえましょう。
マーケティングミックスを理解するには、マーケティングプロセスの基本を理解しておくことが大切です。
マーケティングプロセスの基本
一般的に、マーケティング戦略は次のプロセスで策定・実行されています。
1.市場調査
2.セグメンテーション
3.ターゲティング
4.ポジショニング
5.マーケティングミックス
6.施策の実行
7.分析
上のプロセスのうち、1〜4は戦略の策定段階、6以降は実行段階でのプロセスといえます。
マーケティング戦略の施策を実行へと移していくにあたって、マーケティングミックスが必要になるのです。
マーケティングミックスの位置付け
マーケティングミックスを理解するには、マーケティングプロセス全体の中での位置付けを理解しておく必要があります。
下表は、マーケティングプロセスを目的別にまとめたものです。
プロセス | 主な目的 |
市場調査 セグメンテーション ターゲティング |
市場のどの顧客に照準を合わせるかを決める |
ポジショニング | 自社商品をどう位置付けて差別化を図るかを決める |
マーケティングミックス | 決定した施策を「売るための仕組み」に落とし込む |
施策の実行 分析 |
実行して効果を検証し、PDCAを回して改善を図る |
セグメンテーションやターゲティング、ポジショニングが的確でも、商品が売れないケースはいくらでもあります。
原因はシンプルで、市場を適切に選定できていても「売るための仕組み」が整っていないからです。
売るための仕組みを構築するには、「仮説・計画」を「施策・行動」レベルに具体化する必要があるでしょう。
マーケティングミックスは、計画を行動レベルに移す上で欠かすことのできない重要なプロセスと捉えてください。
4Pと4C

マーケティングプロセスにはさまざまな手法がありますが、中でも広く知られているのが「4P」と「4C」です。
4P/4Cの要点をつかむことが、マーケティングミックスへの理解を深める近道と考えてください。
4Pと4Cの基本的な考え方と、双方の関わりについて押さえておきましょう。
4Pとは
4Pとは、次の4つの頭文字を取った概念です。
・Product(製品):どのような商品・サービスを提供するか
・Price(価格):商品・サービスをいくらで売るのか
・Promotion(販促):商品・サービスをどうやって売るのか
・Place(流通):商品・サービスをどこで売るのか
たとえば「服」を販売する場合、ファストファッションとハイブランドでは価格設定も販売手法も大きく異なります。
ファストファッションを求めている層にハイブランドの価格帯で服を売っても、売上の伸びは期待できないでしょう。
反対に、ハイブランドを求めている層に安さや手軽さをアピールしてしまうと、ブランドイメージの毀損にもつながりかねません。
4Pは「売り方」を決定する上で不可欠な考え方であり、マーケティング施策を実行する際には慎重に検討すべき概念なのです。
4Cとは
4Pが売り手側の視点であるのに対して、4Cは買い手側の視点で戦略を捉え直す考え方です。
4Pと4Cの関係性は、下表のようにまとめることができます。
要素 | 4P | 4C |
何を売る/買うか | Product(製品) | Customer Value(顧客価値) |
いくらで売る/買うか | Price(価格) | Cost(支出) |
どのように売る/買うか | Promotion(販促) | Communication(意思疎通) |
どこで売る/買うか | Place(流通) | Convenience(利便性) |
4Pは売り手側の論理で構成されているため、ともすると売り手の独りよがりに終始してしまいかねません。
4Pを買い手の視点で捉え直し、ニーズに合致しているか、そもそもニーズがあるかを検証するのが4Cの役割といえるでしょう。
顧客の視点を重視するために、あえて4Cを起点にマーケティング戦略を構築したのち、4Pへと落とし込むこともあります。
マーケティング戦略を机上の空論に終わらせることのないよう、顧客の視点を取り入れる上で4Cは重要な役割を担っているのです。
マーケティングミックスの活用事例5選

マーケティングミックスが効果を発揮した事例を紹介します。
それぞれの商品・サービスで4Pをどのように設計されているのか検証していきましょう。
スターバックスコーヒー|スターバックスコーヒージャパン株式会社
- Product(製品):コーヒー+スタイリッシュな空間
- Price(価格):400〜700円台・カフェとしてはやや高い
- Promotion(販促):SNS・口コミによる認知拡大
- Place(流通):大都市圏を中心に直営店を展開
スターバックスのマーケティング戦略の大きな特徴として、コーヒーの付加価値を前面に打ち出している点が挙げられます。
従来、カフェのセールスポイントは提供するコーヒー自体のおいしさやこだわりにあると考えられてきました。
スターバックスでは店舗の内装に徹底的にこだわり、スタイリッシュな空間でコーヒーを楽しむという新たな価値を提供しています。
結果として、広告宣伝を行わなくてもSNSや口コミで話題になり、高価格帯にも関わらず人気店となっているのです。
「スタバでコーヒー」というブランドイメージの確立に成功した好例といえるでしょう。
ハズキルーペ|HazukiCompany株式会社
- Product(製品):拡大鏡のイメージを覆すデザイン
- Price(価格):1万円台で気軽に購入できる価格帯
- Promotion(販促):著名なタレントをモデルに起用
- Place(流通):メガネ店、家電量販店、書店などに試着品を陳列
小さな文字が見づらい時に使用する拡大鏡は、一般的に高齢者向けの商品と捉えられてきました。
ハズキルーペは著名なタレントをモデルに起用することで、高齢者向け商品という拡大鏡のイメージを払拭しています。
従来、拡大鏡を購入するにはメガネ専門店に足を運ぶ必要があることから、身近な製品とは言い難い面があったのです。
家電量販店や書店に試着品を陳列することで、拡大鏡を必要とする層が気軽に手にしやすい製品へとイメージの転換を図りました。
製品につきまとうイメージを覆し、潜在層にアプローチすることに成功した事例といえるでしょう。
RIZAP|RIZAPグループ株式会社
- Product(製品):トレーニングの「成果」をセールスポイントに
- Price(価格):トレーニングジムと比べて高価格
- Promotion(販促):著名人を起用したCM・利用前後の比較画像を強調
- Place(流通):全国各地に多店舗展開
「結果にコミットする」のキャッチコピーで知られるRIZAP。
従来のトレーニングジムは「場所」の提供が中心だったのに対して、「成果」をセールスポイントにしている点が大きな特徴です。
希望の体型になるための徹底したトレーニング・食事プログラムを提供し、短期間で成果を挙げられることを強みとしています。
トレーニング終了後のリバウンドを防ぐ知識・ノウハウを併せて提供し、顧客の不安を解消しているのも差別化ポイントの1つです。
「成果を手にしたい」という顧客の潜在的なニーズに徹底的に応えることで、優れた成果を収めた事例といえるでしょう。
freee会計|株式会社freee
- Product(製品):小中規模の事業者が求める経理処理の簡素化を実現
- Price(価格):サブスクリプション型(月額1,980円〜)
- Promotion(販促):デジタルマーケティングを中心に訴求
- Place(流通):契約・支払いがオンラインで完結
freee会計は小中規模の法人や個人事業主向けのクラウド会計ソフトです。
簿記の専門知識を持たないユーザーでも、直感的に使いやすいUI・UXが強みとなっています。
従来の会計ソフトはインストール型の買い切りモデルが中心だったため、初期費用が一定のハードルとなっていました。
freee会計はサブスクリプションモデルに特化することにより、アプリやWebサービスと親和性の高い層から支持を得たのです。
専門知識がなくても経理処理ができる仕組みが欲しいという顧客ニーズを、サービス設計に反映させた好例といえます。
ライフネット生命|ライフネット生命保険株式会社
- Product(製品):若い子育て世代に向けた生命保険
- Price(価格):シンプルな商品設計で低価格から加入できる
- Promotion(販促):Web広告やSNSを中心に訴求
- Place(流通):オンラインでの販売に特化
ライフネット生命は、戦後初の独立系生命保険会社として大きな話題を呼びました。
従来は対面販売が中心だった生命保険をインターネットのみで販売することで、サービス維持コストを極限まで削減しています。
保険商品の設計をシンプルにし、掛け捨ての安価な死亡保障や入院保障に特化しているのが特徴です。
生命保険の必要性を感じながらも、必要最小限の保障を求めている層にターゲットを絞ることで他社との差別化を図っています。
インターネットでは売れないとされる商品であっても、マーケティングミックスを駆使することで売れる可能性を秘めているのです。
マーケティングミックスを成功させるコツ

マーケティングミックスを成功させる上で、とくに押さえておきたいポイントを紹介します。
4P/4Cの要素を検討する際は、次の2点を意識しましょう。
4P/4Cの整合性に留意する
4P/4Cの要素を決定していく際には、各要素の整合性が取れているかどうかを注意深く確認することが大切です。
一例として、次のケースを考えてみましょう。
品質・コスト面については実現可能であっても、そもそもステータスを求めている百貨店の顧客に販売するのは適していません。
安価な商品が百貨店の棚に陳列されていることで、売場全体のイメージを損ねることにもなりかねないのです。
「製品・価格」と「販促・流通」の整合性が取れておらず、要素同士が矛盾している状態といえます。
4P/4Cの各要素は適切であっても、全体を俯瞰した際に整合性を欠いていないかを検討しておく必要があるでしょう。
4P/4Cの相乗効果を意識する
前章の活用事例で紹介した商品・サービスの中には、あえて高価格帯に設定しているケースが見られます。
類似品との差別化に成功する公算があれば、むしろ価格を低く抑えないほうが消費者の信頼獲得につながる場合もあるのです。
製品と価格の相乗効果が「効果が期待できそうだ」「良いサービスに違いない」というイメージを醸成している状態といえます。
同様に、意図的に販売店舗を限定する戦略も4P/4Cの相乗効果を狙った施策といえるでしょう。
販促と流通を絞り込むことで、かえって限定性や希少性がもたらされることもあり得ます。
4P/4Cを決定する際には、要素間の相乗効果を意識してより高い効果を目指すことが大切です。
まとめ
マーケティングミックスは、マーケティング戦略の「計画」と「実行」をつなぐ重要な役割を果たしています。
ターゲティングやポジションニングといった仮説を行動レベルに移していくには、4P/4Cの検証が欠かせません。
マーケティング戦略を「絵に描いた餅」にしないためにも、4P/4Cを十分に検証しておく必要があるでしょう。
今回解説してきたポイントを参考に、商品企画や販促戦略を考案する際にはぜひマーケティングミックスを実践してみてください。
マーケティングミックスの取り組みが、従来は思いつかなかった売り方や訴求方法の糸口を見出すきっかけとなるはずです。
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