
- 経営の年間計画を立てたいが、何から取り組めば良いのだろう?
- 年間計画を立てる手順のセオリーが知りたい
- どうすれば年間計画を実行に移せるのか?
上記のような疑問を抱いていませんか?
今回は、企業経営を軌道に乗せるために重要な役割を果たす「年間計画」を策定する方法について解説します。
年間計画を立てる手順だけでなく、計画を実行に移していく際の注意点にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。
経営計画の種類と目的

経営計画は、対象とする期間によって目的が異なります。
長期・中期・短期の経営計画を立てる際に必要な視点を整理しておきましょう。
長期経営計画
長期経営計画とは、10年単位など比較的長期間にわたる計画のことを指します。
10年後のビジネス環境や市場ニーズを予測するのは困難であることから、経営の方向性を大枠で決めておくことが主な目的です。
詳細な数値目標を詰めるのではなく、将来に向けた見通しを立てておくことが重視されます。
「事業方針」や「経営ビジョン」とほぼ同じ意味を表すケースも少なくありません。
まずは自社が目指すべき方向性を大枠で定めておくことが大切です。
中期経営計画
中期経営計画とは、3〜5年程度の期間にわたる計画のことを指します。
長期経営計画を実現するために必要な数値目標や施策を定め、計画に落とし込むことが主な目的です。
当面の目標が明示されるため、社員や株主に向けた経営計画の説明時には中期経営計画に重きを置くケースが多く見られます。
長期経営計画と比べて具体性が求められることから、実態に即した計画になっていることがポイントとなるでしょう。
現状判断できる範囲で、今後想定されるビジネス環境や市場ニーズの変化を織り込んだ計画を策定することが重要です。
短期経営計画
短期経営計画とは、1年単位など比較的短いスパンで策定する計画のことを指します。
年間計画も短期経営計画の一種と考えてよいでしょう。
中期経営計画を実現するために必要な売上高や販売数、経費から算出した利益の見込みなどを詰めておく必要があります。
短期経営計画を着実に実現していくことが中期経営計画、さらには長期経営計画の実現へとつながっていくのです。
逆の見方をすると、年間計画を策定するには中長期経営計画をしっかりと固めておくことが重要といえるでしょう。
年間計画を立てるメリット

経営において年間計画を立てることは、どのようなメリットをもたらすのでしょうか。
主なメリットとして、次の3点が挙げられます。
自社の現状と課題が整理される
年間計画の土台となるのは中期・長期経営計画です。
自社が向かうべき方向性を定め、目的の達成に向けて計画を策定していく過程で自社の現状と課題が整理されていきます。
年間計画は、自社が解決すべき課題に向けて取り組むべきことを行動レベルで示したものと考えてください。
向こう1年間で実践するべきことが明確に示されているため、あとは年間計画に沿って実行するのみとなるのです。
現場の社員が判断に迷った場合も、年間の流れが見えていれば現状取るべき行動を決定しやすくなります。
自社の課題を着実に解決していく上で、年間計画の策定は非常に重要なプロセスといえるでしょう。
取り組むべきことが明確化する
年間計画は、現場の社員にとってミッションとほぼ同義と言えます。
当面取り組むべきことが明示されていれば、各自が何をするべきなのか、何から取り組むべきなのかが明らかになるからです。
1つ1つの業務に意味があり、それぞれのセクションで挙げた成果が中長期経営計画の実現につながっていると伝える効果があります。
現場の社員が各自に与えられたミッションを着実に遂行しやすくなることは、年間計画を立てるメリットの1つです。
社員が自走する組織の基礎ができる
年間計画はトップダウンで策定するものと思われがちですが、実は社員が自走する組織の土台として位置付けることができます。
年間計画を共有することで、社員は自身が何を目指して業務に取り組めば良いかが分かるようになるからです。
逐一指示を出さなくても社員各自が年間の流れの中でやるべきことを判断し、自発的に行動しやすくなるでしょう。
自ら創意工夫しながら仕事を進める社員を育てたい企業にとって、年間計画の策定は欠かせないプロセスといえます。
年間計画を立てる手順

年間計画を立てる際には、しかるべき手順を踏んで作成していくことが重要です。
具体的には、次に挙げる6つのステップに沿って年間計画を策定していきましょう。
ステップ1.事業の目的・ゴールを明確にする
はじめに取り組むべきことは、そもそも何を目的とした事業なのかを明確にしておくことです。
ゴール地点が決まっていないマラソン競技が存在しないように、まずは事業のゴール地点を設定することが第一歩となります。
長期経営計画を実現するために中期経営計画があり、さらに中期経営計画を実現するために年間計画があるという位置付けです。
事業の目的やゴールが不明確なまま、年間計画だけを策定することはできないと捉えてください。
事業の根本に立ち返り、何を目指すべきなのかを組織内で共有しておくことが大切です。
ステップ2.市場調査を行う
年間計画には具体的な数値目標を記載し、半期・四半期・月次・週次などの単位で進捗管理をしていくことになります。
裏を返せば、具体的な数値目標が掲げられていなければ年間計画として機能しません。
数値目標は漠然とイメージで決めるのではなく、現状の市場を分析した結果を元に客観的な視点で設定することが大切です。
市場の動向を再認識すると同時に、市場規模や競合他社の売上高といった具体的な数値を把握しておく必要があります。
市場調査の進め方については、次の記事で詳しく解説していますのでぜひ役立ててください。
ステップ3.差別化ポイントを明確にする
市場調査の結果を元に、自社の強みを打ち出せる差別化ポイントを明確にしていきましょう。
1年という期間は、事業を推進していく上で決して十分な期間とはいえません。
取り組みたい施策が複数ある場合は、優先順位を付けて重点的に取り組むべきものを決めておく必要があります。
自社の強みを活かせるポイントを絞り込み、限られた時間を最大限有効に活用することが大切です。
年間計画は、絞り込んだ差別化ポイントに経営資源を集中投下するための指針と位置付けてください。
自社の強みを明確にする際は、以下の記事で紹介している「5フォース分析」が役立つでしょう。
ステップ4.経営資源の現状把握
年間計画は、自社の実態に照らし合わせて実現可能な計画になっていなければなりません。
実現できる可能性がほとんどなければ、せっかく年間計画を立てても「絵に描いた餅」になってしまうからです。
実現可能な計画を立てるには、現状の経営資源を正確に把握しておくことが重要なポイントとなります。
現状確保できる人員・予算・設備・時間を具体的な数値で把握しましょう。
不足している経営資源があれば、補うために人材採用や設備投資を進めるべきか、計画を縮小するべきかを判断する必要があります。
年間計画が机上の空論にならないようにするためにも、経営資源の現状把握を綿密に行っておくことは非常に重要です。
ステップ5.長期・中長期経営計画を策定する
ステップ4までの手順を踏まえて、長期・中期経営計画を固めていきます。
年間計画は中期経営計画を1年単位で切り出したもののため、中期経営計画が定まらない状態で年間計画を策定するのは不可能です。
向こう3〜5年で達成すべき数値目標を決めた上で、直近1年間の達成目標を逆算しましょう。
長期経営計画で大きな方向性を決め、中期経営計画で具体的な数値目標を定めるのがポイントです。
ステップ6.数値目標を年間計画に落とし込む
中期経営計画をさらに年単位に分割し、直近1年間の数値目標を年間計画に落とし込んでいきます。
年間計画は現場が動く際の指針となるため、具体的に記載することが重要です。
5W2Hを明記し、曖昧な点が残らないように留意しましょう。
・Who(誰が):担当者名
・When(いつ):期間・期日
・Where(どこで):担当部署
・What(何を):担当業務
・Why(なぜ):業務の目的・達成目標
・How(どのように):施策・行動計画
・How much(いくらで):予算の割り振り
とくに達成目標に関しては、あらかじめチェックポイントを設けておくことをおすすめします。
目標未達となる兆候を早めに察知し、手を打っていくことで最終的な未達を防ぐことにつながるでしょう。
半期・四半期・月次などのチェックポイントを年間計画に記載し、進捗管理の実施を前提に計画を立てることが大切です。
年間計画を実行に移す際の注意点

年間計画は作成することが目的ではなく、計画に沿って実行することが本来の目的です。
現場で機能する年間計画にするためにも、次の注意点を押さえておきましょう。
現場の管理職・リーダーに意図を丁寧に伝える
年間計画の作成意図や背景を、現場の管理職・リーダー級の人材に対して丁寧に説明する必要があります。
計画の意図が正しく伝わっていなければ、現場で実行に移す必然性を感じてもらえないからです。
長期・中期経営計画にもとづいて年間計画が作成されていることを共有した上で、目標達成の重要性を認識してもらいましょう。
場合によっては、長期・中期経営計画を元に各部署で年間計画を作成してもらうのも有効な方法といえます。
年間計画に対して当事者意識を持ってもらうことで、目標達成に向けた意欲も必然的に高まっていくはずです。
具体的な行動計画に反映させる
年間計画を現場の行動計画に反映させていくことは、非常に重要なポイントの1つです。
重点的に取り組むべき施策への理解度が、業務の優先順位を適切に判断できるかどうかに大きく影響します。
状況によっては、年間計画を着実に実行するために業務フローの整理や業務改善に取り組むことになるでしょう。
たとえば、年間計画の目標達成に向けてアポイントを増やすことが重要であれば、テレアポの時間を確保する必要があります。
現状、テレアポの時間を十分に確保できないようなら、業務時間を削減してテレアポに費やす時間を捻出しなければなりません。
現場の行動計画が年間計画をベースに作られているか、確認しておくことが大切です。
進捗管理を徹底する
年間計画で定めた目標を着実に実行できるかどうかは、進捗管理の精度にかかっていると捉えてください。
年間計画を定めたからといって、全ての部署で計画通りに目標を達成できるとは限りません。
むしろ、計画を立てた当初は想定していなかった事態が生じるのは自然なことと捉えてください。
目標未達となる可能性がある場合は、兆候が見られた時点で手を打っていくことが大切です。
進捗状況を定期的に確認した上で改善策を講じるPDCAを回していく必要があります。
目標に届かない原因を深掘りし、Check(評価)とAction(改善)を繰り返していきましょう。
PDCAを実践するコツについては、次の記事もぜひ参考にしてください。
まとめ
年間計画は文字通り「1年間の計画」ですが、土台となっているのはあくまでも中長期経営計画です。
年間計画だけを単体で作成するのは現実的ではないため、必ず中長期の目標を定めた上で年間計画の策定に取り組みましょう。
成果につながる年間計画を策定するには、実務に携わる現場の社員に当事者意識を持ってもらうことが欠かせません。
今回紹介したポイントを参考に、ぜひ現場と協働で中長期経営計画、さらには年間計画の策定に取り組んでみてください。
年間計画を創り上げていくプロセスそのものが、組織やチームの結束をいっそう強化するきっかけとなるはずです。
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