
デモグラフィックは、マーケティングにおいて欠かすことのできない指標の1つです。
世の中には多くの人がいますが、デモグラフィックの指標で分けてみると、性別や年齢、職業、学歴、所得、家族構成など、違いは明らかです。
多くの人がいても、その社会的属性は異なるため、まったく同じマーケティング戦略では効果がない人も出てきます。
効果がない人にまで広告を配信するのは、費用対効果が悪く、マーケティング戦略として良いものではありません。
顧客のニーズも様々になっている昨今、ニーズに合わせた戦略が強く求められています。
しかし、ニーズをどのようにくみ取れば良いのかわからないと悩んでいる人もいるでしょう。
この記事では、デモグラフィックの要素や特徴、収集と活用方法などについて説明します。
デモグラフィックとは

デモグラフィックとは、年齢、性別、職業、居住地域、家族構成などの人口統計学の属性のことです。
それぞれの属性が違うと、必要な商品・サービス、興味をひく言葉や見せ方が異なるため、デモグラフィックを分析することで、見込み客のニーズを把握することができます。
デモグラフィックはマーケティング戦略を立てるうえで、重要な指標の1つとなります。
ではいったい、それぞれ異なる属性でどのような興味関心に違いがあるのでしょうか。一般的に考えられる違いを紹介します。
性別
男性と女性では、商品・サービスの購入に至るまでの、興味の持ち方や行動が異なります。
一般的に男性は論理的で目標を達成することを重視し、女性は感情的で誰かと共感し合いたいと考えます。
男性をターゲットとするなら、ニュースや統計などの客観的な情報から興味をひき、目標を達成するにはこの商品・サービスが有効であると説明するのが効果的です。
対して、女性がターゲットならトレンドや流行から興味をひき、悩みに共感して解決に導く売り方が最適です。
年齢
年齢は、10~19歳、20~29歳、30~39歳などと、10歳刻みでグループ分けして分析されていることが多いです。
少子化が進んでいるというような報道や、将来の年金を支える人口が少なくなるといった統計は、年齢のデモグラフィックデータで分析したものです。
マーケティングの面でも年代別の増減は重要な指標です。10代が少なくなれば、教育に関する商品・サービスは売れづらくなりますし、60代以上が増えれば介護サービスが充実するというように、年代に合わせてビジネスが変化していきます。
職業
職業によって収入や自由になる時間などが大きく異なります。
例えば、学生と会社員では、学生は収入が少なく、自由になる時間が多いと言われていますが、会社員はその逆です。
経営者と従業員、会社員とフリーランスでも、異なるポイントは多いでしょう。
職業は細分化する必要はあまりありませんが、大きな属性で分けると、マインドや購買行動を理解しやすくなります。
家族構成・世帯人数
家族構成は子供の有無や子供の年齢、一人暮らしや実家暮らしなどの属性があります。
子供のいる家族であれば、当然ながら子供のための出費が増えますし、一人暮らしや実家暮らしであれば、自分の趣味やファッション、美容などへの興味関心が高まるでしょう。
一人暮らしが多ければ、スーパーの惣菜が小分けされているものの方がよく売れる傾向が高くなります。
鍋料理の出汁が1人鍋用としてのパッケージが増えてきているのも、一人暮らしや核家族を狙った商品といえます。
デモグラフィックデータの特徴

デモグラフィックは、顧客の社会的な属性をもとにグループ分けするオーソドックスな方法です。
デモグラフィックデータの特徴は以下の3点です。
- 基本的な個人情報を分析する
- デモグラフィックデータを入手しやすい
- 理由の分析はできない
それぞれ詳しく説明します。
基本的な個人情報を分析する
デモグラフィックデータは、その人を表す基本的な個人情報です。
デモグラフィックで扱う情報は、性別のような基本的に変わらない個人情報や、年齢や家族構成などの変化が想定しやすい個人情報となります。
デモグラフィックデータを入手しやすい
年齢や性別、職業などの基本的な個人情報は、表面的な情報であるため、回答者にとって答えやすい質問です。
そのため、どのアンケートの設問にも含まれており、比較的入手しやすいデータであるといえます。
また、政府や自治体、リサーチ会社が調査した統計データがたくさん公表されているため、マーケティングに必要なデモグラフィックデータはたいてい入手できるでしょう。
理由の分析はできない
デモグラフィックデータは表面的な個人情報であるため、なぜそのような行動をしたのかという理由まではわかりません。
理由を知るには、価値観や考え方などのサイコグラフィックデータを分析する必要があります。
マーケティングでは、デモグラフィックデータだけでなく、様々な視点から分析するようにしましょう。
STP分析のセグメントを分ける4つの軸

STP分析とは、マーケティング戦略を立案するためのフレームワークです。
- Segmentation(セグメンテーション)
- Targeting(ターゲティング)
- Positioning(ポジショニング)
3つの頭文字をとって名付けられました。
セグメンテーションとは、似たような属性の顧客をグループ分けして、共通の悩みやニーズをつかむこと、ターゲティングは狙う市場を絞ること、ポジショニングは立ち位置を決めることです。
デモグラフィックは、STP分析のセグメンテーションにおける4つの軸の1つです。そのほかの3つの軸とは次のものになります。
- ジオグラフィック
- サイコグラフィック
- ビヘイビアル(行動変数)
セグメンテーションの4つの軸は、それぞれの軸のみでグループ分けしたときに生まれる欠点をほかの3つの軸が補ってくれるため、包括的に顧客をグループ分けすることができます。
市場細分化とも言いますが、4つの軸はグループ分けの基準となります。
デモグラフィックについては前述したので、ここではそれ以外の3つの軸について解説します。
ジオグラフィック
ジオグラフィックとは、国籍や居住地域、最寄り駅などの地理学的な統計データのことです。
デモグラフィックは人口統計学なので、居住地域も分析対象ですが、ジオグラフィックは地理学的な要素が強く、その地域の気象や人口密度、文化なども分析の対象となります。
たとえば関西と関東では味の好みが違うため、同じ商品でも関西風の味付けと関東風の味付けを作り、販売する場所によって味を分けているお菓子を見たことがあるでしょう。
猛暑になる予報があれば、ビールの売り上げが増えると見越して、ビールの生産や発注を増やすことも、ジオグラフィックの統計データを使用しています。
サイコグラフィック
サイコグラフィックとは、ライフスタイルや趣味、性格、価値観、好みなどの心理的な要素の統計データのことです。
デモグラフィックでは誰が買うのかという側面が強調されますが、サイコグラフィックではなぜ買うのかという理由に着目します。購入者像の深堀りができるのが、サイコグラフィックです。
痩せたいのにダイエットが続かないと悩んでいる人に対しては、コーチが自分に合ったダイエット方法を教えてくれるプライベートジムの広告を作成することを検討できるでしょう。
いつも健康に気を付けている人は高価なオーガニック食材と経済的な食材のどちらを好むのかなどもサイコグラフィックの統計データから導き出せます。
ビヘイビアル(行動変数)
ビヘイビアル(行動変数)は、消費者の行動に関する要素のことです。商品の購入頻度や購買経験の有無、重視するベネフィット、購買パターンなどに注目するデータです。
消費者の購入頻度がわかれば、広告を打つ頻度を合わせると消費者にとってタイミングの良いアピールとなり、来店してもらいやすくなります。
企業向けの商品・サービスであれば、購入の意思決定は誰がするのかが大きくかかわってきます。
企業によっては、社員に購入権限を与えているところもあれば、社長や管理者の決済が必要なところもあるため、それを見極めてアプローチしなければなりません。
デモグラフィックデータの収集方法

デモグラフィックデータは公式な統計情報やアンケート、アナリティクスなどから収集することが可能です。
人の内面を要素とするサイコグラフィックデータよりも、デモグラフィックデータは容易に収集できます。
それぞれ説明します。
政府などが公開している公式な統計情報
政府や自治体、官公庁、リサーチ会社などは、独自で分析したデモグラフィックデータを公開しています。
統計情報を探すのは少し大変ですが、ウェブサイトに掲載されているので、ぜひ見てみてください。
統計情報を使うと、自社で情報収集をする手間が省けますが、自社の顧客に限ったデモグラフィックデータを知りたいときなどは、自社で収集しなければなりません。
まだ顧客がいない段階、例えば新商品をリリースする際に、政府などが出しているデモグラフィックデータから宣伝方法を考えることなどができます。
アンケート
自社でデモグラフィックデータを収拾する場合、アンケートを実施すれば比較的簡単に収集することができます。
最近は、ポイントがもらえるオンラインアンケートを見かけることが多いですが、アンケートの最初か最後に必ず、性別、年齢、居住地、職業、収入などの質問があります。
自社の商品・サービスに興味があるのはどんな人物像なのか、アンケートを活用し、分析してみましょう。
アナリティクス
自社サイトを訪れたユーザーのデモグラフィックデータを得られるのがGoogle Analyticsです。
FacebookインサイトやYouTube Studioのアナリティクス、LINE公式アカウントの分析など、各SNSにもアナリティクスがあり、フォロワーや投稿を見た人、投稿に反応した人などのデモグラフィックデータを確認することができます。
アナリティクスを活用することにより、自社サイトや各SNSの投稿の改善、ターゲットの修正などに役立てられます。
デモグラフィックデータの活用事例

デモグラフィックデータを収集すると、属性によってグループ分けができます。
属性の違いに合わせたマーケティング手法は以下の2つです。
- デモグラフィックターゲティング広告
- ダイレクトマーケティング
顧客に合わせたマーケティング戦略をとることで、自社商品・サービスに興味を持ってもらい、販売にもつながりやすくなるでしょう。
デモグラフィックターゲティング広告
デモグラフィックターゲティング広告とは、デモグラフィックの属性ごとにわけたユーザーをターゲットにした広告のことです。
属性ごとに興味があると思われる広告を表示させるため、費用対効果を高められるという利点があります。
FacebookやTwitter、LINEなどのSNSに表示される広告は、アカウント作成時に登録した個人情報(デモグラフィックデータ)により、ターゲティングされているため、ユーザーによって表示される広告が異なります。
ダイレクトマーケティング
ダイレクトマーケティングとは、顧客と直接コミュニケーションをとるマーケティング手法です。
具体的には、ダイレクトメールやチャット、メールマガジンやLINE公式アカウントのメッセージ配信などがダイレクトマーケティングの手法です。
メールやメッセージを送るには、メールアドレスの登録や、LINE公式アカウントなどへのアカウント登録が必要となります。
しかしながら、登録と同時に簡単なアンケートを実施し、自身について回答してもらえれば、属性に合わせた配信ができるようになります。
デモグラフィックデータはセグメンテーションの4つの軸の1つとして活用しましょう
この記事では、デモグラフィックの特徴や分析する指標、セグメンテーションの4つの軸について説明しました。
デモグラフィックデータは、アンケートを取ったり、統計データを調べたりすれば、簡単に手に入る情報です。
しかし、デモグラフィックデータは基本的な個人情報となるため、それだけでは、顧客像はわかりません。
現在は顧客のニーズが多様化しているため、デモグラフィックだけではなく、ジオグラフィック、サイコグラフィック、ビヘイビアルの3軸と合わせて、セグメンテーションすることで、より深く顧客のニーズを把握することができます。
これら、セグメンテーションの4つの軸があることで、顧客を包括的に分析することができるので、最適なマーケティング戦略を立てることができるでしょう。
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