
- 士業の求人を出しても大手事務所に人材を取られてしまう
- 採用コストをかけても効果を感じられない
- 士業を採用するにはどのような戦略が有効なのだろうか?
上記のような悩みや疑問を抱えていませんか?
今回は、士業の採用戦略と人材獲得の効果的な手法について解説します。
優秀な人材を採用するための戦略を模索している士業事務所の方は、ぜひ参考にしてください。
士業の採用動向

はじめに、士業全体の採用動向について確認しておきましょう。
士業は他の業種とは採用動向が異なる点が多いため、特有の事情を踏まえた採用戦略を立てていくことが大切です。
士業事務所ごとの採用動向と併せて、まずは現状の整理に役立ててください。
リーマンショック以降も求人数は堅調な伸び
士業の求人に特有の傾向として、景気の影響を受けにくいことが挙げられます。
他業種との違いが顕著に表れたのが、リーマンショック後の求人数です。
2008年のリーマンショック後、全業種の求人数は前年比で約30%減少しました。
一方、下図の通り士業の新規求人数はリーマンショック後も堅調に伸び続けています。

直近の数年間はコロナ禍の影響等で求人数がやや減少したものの、士業が依然として売り手市場であることに変わりはありません。
過去15年間で士業全体の求人数が増加したことを踏まえると、かつて有効だった採用手法が通用しなくなるのは必然ともいえます。
コロナ不況が士業にもたらした影響は限定的であり、今後も人材獲得の難化傾向は続く可能性が高いと捉えるべきでしょう。
法律事務所の採用動向
コロナ禍を経て、倒産案件や債権回収を扱う弁護士のニーズが高まることが予想されます。
実質GDPと離婚率には相関関係があるといわれていることから、一般民事の案件が今後増加する可能性も否定できません。
弁護士の売り手市場は今後も続くでしょう。
優秀な人材を獲得するには、求職者のニーズを捉えた戦略を練っていく必要があります。
会計事務所の採用動向
会計事務所は規模に関わらず、景気の影響を受けにくいのが特徴です。
税務申告業務は景気の良し悪しに関わらず発生するため、クライアント企業の事業が存続する限り案件が途絶えることはありません。
コロナ禍においては助成金活用支援や事業再生など、不況下に特有の案件も増える傾向があります。
反対に好景気の時期にはIPOやM&Aなどの案件が増加するため、景気の動向に関わらず求人数は安定しているのです。
監査法人の採用動向
監査法人はコロナ禍においても安定的に案件を受注しているケースが多く見られます。
クライアントは主に大手企業のため、コロナ禍による影響は限定的だったことが背景にあると考えてよいでしょう。
長期的にキャリアを形成しやすい業態として公認会計士から人気があるため、今後も人材獲得競争は激化していくと考えられます。
社労士事務所の採用動向
コロナ禍にはテレワークや時差出勤など、労務管理の新たな課題に直面した企業は少なくありません。
休業補償への対応を求められるケースもあることから、社労士は以前にも増して必要とされています。
とくに雇用調整助成金の申請手続きに関する相談が急増したことから、人手が足りない事務所は増えているでしょう。
今後も社労士の人材ニーズは衰えないと考えられることから、効果的に人材を獲得する手法を開拓していく必要に迫られるはずです。
採用活動が難航している場合のチェックポイント

士業の採用活動が思うように進んでいない場合、応募者が集まらない何らかの原因があると考えられます。
次のチェックポイントを参考に、現状の採用活動に潜んでいる問題点を探っていきましょう。
求める人材の層に求人が届いているか
そもそもターゲット層に自社の求人情報がリーチしているかどうか、きちんと検証しておく必要があります。
士業の採用手法は多様化が進んでいるため、以前は有効だった採用手法が現在も通用するとは限りません。
求める人材と実際の応募者が乖離しているようなら、活用する媒体や訴求方法が適切ではない可能性が高いでしょう。
自社の求人がターゲット層の目に留まっていないとすれば、応募者数が伸びないのは必然です。
後述する採用手法を参考に、複数の手法を同時並行で試しながら効果を検証していくことをおすすめします。
応募条件を絞り過ぎていないか
応募条件を複数設定している場合、全ての条件を満たす人材そのものが少ない可能性があります。
経験分野を限定し過ぎていたり、経験年数を長く設定し過ぎていたりすると、該当する人材が限られてしまいがちです。
求職者から見ると、求人情報に記載されている応募要件は「100%満たす必要のある条件」と映ることが少なくありません。
応募しても採用される可能性が低いと判断すれば、応募を見合わせて別の求人を探すでしょう。
応募条件を全て満たしている人材であっても、自社の求める人材像に完全に一致しているとは限らないのが実情です。
応募条件を設定する際には優先順位の高いものを記載し、条件を多く挙げすぎないように注意してください。
応募者への情報提供は十分か
応募を検討中の求職者にとって、十分な情報量が提供されているかどうかも重要な視点の1つです。
知りたい情報が十分に記載されていない場合、面接の場で質問する以外に情報を得る手段がありません。
事前に得られる情報が少ない求人は求職者から敬遠されがちです。
同等の条件の求人であっても、より詳細な情報が提供されている事務所や企業に応募するのは自然な心境といえるでしょう。
応募を検討中の求職者の立場を想像して、自社の求人情報を客観的に見直してみてください。
他社の求人情報とも比較しながら、情報を提供し切れていないポイントを探っていくことが重要です。
士業の採用活動に取り入れたい5つの手法

士業の採用活動に取り入れたい5つの手法を紹介します。
未導入の手法があれば、積極的に取り入れて採用活動を活性化させていきましょう。
採用ページの設置
自社のWebサイト内に採用専用のページを設ける方法です。
求人サイトと比べて文字数や形式の制約がないため、求職者に伝えたい情報を自由に載せることができます。
応募フォームも併せて設置することで、求人媒体への掲載料を投じることなく長期的に人材募集を継続可能です。
近年は応募前に事務所や企業のWebサイトをチェックする求職者が少なくありません。
他媒体の求人を見た求職者にとって、採用ページの存在は応募を決断する要因の1つとなり得ます。
初期投資が必要な施策ではあるものの、一度作っておけば長年にわたって活用し続けられる手法としておすすめです。
・掲載できる情報の自由度が高い
・掲載期間の制限がなく、求人を長期間にわたって掲載し続けられる
【デメリット】
・採用ページの構築にコストがかかる
・運用には一定の知識が求められる
ダイレクトリクルーティング
士業の人材に対して企業から直接アプローチをする採用手法です。
SNSやLinkedIn、ビズリーチといったサービスを通じて士業の有資格者を探し、コンタクトを試みます。
求める条件に合致する人材に絞ってアプローチできるため、採用に至れば高確率で即戦力として活躍してもらえるでしょう。
注意点として、アプローチした人材が現状転職を考えているとは限りません。
有資格者を効果的に発掘するための手段と併せて、採用ノウハウを確立していく必要があります。
・求める人材の条件に合致する相手に直接アプローチできる
・応募条件に合わない求職者が集まるのを防げる
【デメリット】
・アプローチした相手が転職を考えていない可能性がある
・有資格者の発掘方法など、採用ノウハウを確立していく必要がある
リファラル採用
リファラル採用とは、既存のスタッフからの紹介によって人材を獲得する採用手法のことです。
士業は同職種や隣接職種と横のつながりを築いているケースが多いことから、リファラル採用との相性が良いと考えられます。
弁護士であれば、法科大学院の同期生や養成事務所の元同僚などがターゲットとなるでしょう。
現在の職場への満足度が一定水準に達しているスタッフほど協力的になる傾向があるため、信頼関係を築きやすい点がメリットです。
裏を返せば、現在の職場に不満があるスタッフに働きかけてもリラファル採用には至りません。
急な人材ニーズには対応しづらい面もあることを考慮して取り入れるべき手法といえるでしょう。
・自社との相性の良い人材を採用できる可能性が高い
・求人広告の掲載料や転職サービスに支払う紹介料を削減できる
【デメリット】
・人材を紹介してもらうには現在の職場に満足していることが前提となる
・急な人材ニーズには対応しにくい
士業専門転職エージェントの活用
士業の求人を専門に扱う転職エージェントを活用するのも1つの方法です。
所定の条件を満たす人材に絞って候補者を挙げてもらえるため、採用業務の工数を削減できます。
入社が確定するまで報酬が発生しないことから、採用コストを抑えられることもメリットです。
注意点として、外部エージェントへの依存度が高くなるほど自社に採用ノウハウが蓄積されない状況に陥りやすくなります。
他の採用手法と組み合わせて、自社独自の採用ノウハウも確立しつつ転職エージェントを活用していくことが大切です。
・人材の選定や応募者への概要説明、面接日程の調整など採用フローの一部を外注化できる
・入社が確定するまで報酬が発生しないため、採用コストを抑えられる
【デメリット】
・入職決定時には初年度年収の20〜30%程度の報酬を支払う必要がある
・採用に関するノウハウが自社に蓄積されにくい
ハイクラス人材特化型採用支援サービスの活用
doda XやJACリクルートメントといった、ハイクラス人材を対象とした採用支援サービスの活用も視野に入れておきましょう。
企業法務など一般企業への転職も含めて検討している求職者の場合、士業特化型転職エージェントだけを活用するとは限りません。
登録ヘッドハンターによるスカウトのほか、企業・事務所による直接スカウトに対応しているサービスもあります。
前述のダイレクトリクルーティングと組み合わせて活用するには適した採用手法といえるでしょう。
・一般企業への転職も含めて検討している有資格者が見つかる可能性がある
・ダイレクトリクルーティングと併用しやすい採用手法
【デメリット】
・入職決定時には初年度年収の20〜30%程度の報酬を支払う必要がある
・一般の転職希望者が多く、士業の転職希望者が見つかるとは限らない
まとめ
士業は全般的に売り手市場であり、採用動向が景気に左右されにくい傾向があります。
とくに中小の事務所においては、大手事務所とは異なる採用戦略を講じていく必要があるでしょう。
今回紹介した採用手法のうち、取り入れられそうなものはぜひ積極的に実践してください。
複数の採用手法を試していく中で、新たな採用課題の発見や解決に向けたヒントが見つかるはずです。
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