
- 医師や看護師、薬剤師の求人を出しても、応募者の集まりが良くない
- 求人広告を出しても費用対効果を感じられない
- 医療機関にとってどのような採用戦略が効果的なのだろう?
上記のような悩みや疑問を抱えていませんか?
今回は、医療業界における効果的な採用戦略と、採用力アップにつながる手法について解説します。
優秀な人材を採用するための戦略を模索している経営者や採用担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
医療業界における採用活動の現状

はじめに、医療業界における採用活動の現状を整理しておきましょう。
直近の有効求人倍率や主な転職理由から、求職者のニーズを把握しておくことが重要です。
医療業界の採用手法の動向と併せて解説します。
医療業界の有効求人倍率
令和4年9月時点における医療業界の有効求人倍率を職種別に見ると、下記の通りの結果となっています。
職種 | 有効求人倍率 |
医師、薬剤師等 | 2.00倍 |
保健師、助産師等 | 2.12倍 |
医療技術者 | 3.05倍 |
医療以外も含めた全職種の有効求人倍率は1.20倍だったことから、いずれの職種も売り手市場であることが分かります。
コロナ禍により感染を危惧する患者が受診を控えるようになったことで、外来患者が減少した病院や診療所も多いことでしょう。
医療従事者の求人が減少傾向にあるとはいえ、他業種と比べて医療業界は売り手市場であることに変わりはありません。
医療機関が人材確保に苦慮するのは、有効求人倍率を踏まえると決して不自然なことはではないのです。
医療業界の主な転職理由
医師転職ドットコムの調査によれば、上位を占めていた医師の転職理由は次の通りです。
・大学病院・医局を辞める・離れる:13.6%
・勤務負荷:10.8%
・職場環境・人間関係:10.2%
(医師転職ドットコム利用者へのアンケート結果より算出)
家庭や生活など個人的な事情で転職した医師が最も多かった一方で、勤務負荷や職場環境を理由に挙げた医師も少なくありません。
現状よりも負荷の低い職場や就業環境の整った職場を求めて転職する医療従事者が一定数存在すると推察されます。
人手不足を解消するために増員を図る場合、一般的に給与や待遇面を改善することで人材確保を狙うケースもあるでしょう。
転職希望者のニーズから、給与・待遇面以上に勤務負荷や職場環境の改善を求める声が多いことが分かります。
人材を募集する際には、転職希望者のニーズを十分に踏まえて採用戦略を練っていくことが大切です。
採用手法の多様化が進む医療業界
近年、多くの業界で採用手法が多様化し、さまざまなルートで人材を確保する企業が増えています。
採用手法の多様化に関しては、医療業界も例外ではありません。
とくに若手の人材を中心に、古くから存在する求人媒体に囚われない新たな採用ルートが築かれつつあるのです。
現状の採用手法に行き詰まりを感じる場面が増えているようなら、新たな採用手法を試す時期が訪れているのかもしれません。
既存の採用手法に固執するのではなく、効果が見込める採用手法を積極的に取り入れましょう。
採用活動が難航している場合にチェックすべきポイント

医療業界で採用活動が難航している場合、どのような点を見直していくべきなのでしょうか。
主に次の点をチェックしてみましょう。
人材ニーズが明確になっているか
人手が足りない時ほど「とにかく看護師を増やしたい」「医師があと〇人必要」といった大まかな方針になりがちです。
人材ニーズが曖昧な状態で募集をかけているとターゲットが定まりにくく、結果として人材が集まらないことにもなりかねません。
採用方針は短期課題と中長期課題の2つに分け、下記の例のようにターゲットを場合分けしておくことをおすすめします。
- 短期課題:現場のオーバーワークを緩和するために医師を1名増員する
- 中長期課題:将来的な世代交代に備えて30代の医師を1名以上採用する
短期課題を解決するには、ターゲットの年齢に幅を持たせる必要があります。
一方の中長期課題を解決していくためには、ターゲットを絞って採用活動に臨む必要があるでしょう。
人材ニーズの明確化は、ターゲットを必要以上に絞り過ぎたり広げ過ぎたりしないためにも重要な視点の1つです。
転職希望者の心をつかむ求人になっているか
求人票を転職希望者の心をつかむ内容にすることも、採用戦略の強化に欠かせない要素といえます。
医療機関が求人への応募者を増やそうと試みる際、給与・待遇面の充実化を図るケースは少なくありません。
給与・待遇面の充実化が医療従事者の転職ニーズに合致しているかどうかを、データにもとづいて判断することが大切です。
前述の通り、医療従事者は勤務負荷や職場環境の改善を求めて転職する人も数多く存在します。
募集する側と応募する側のニーズが一致していないと「求人を出しても人が集まらない」という事態になりかねません。
医療従事者の「心をつかむ」求人になっているか、訴求ポイントを今一度見直しておく必要があるでしょう。
複数の採用ルートを確保しているか
医療業界の採用手法は、近年急速に多様化が進んでいます。
従来は有効だった採用手法が現在も変わらず効果的とは限らないため、別の採用手法にもチャレンジしてみる意義はあるでしょう。
採用ルートが複線化することで、これまでとは異なる層へアプローチできる可能性が高まります。
複数の採用ルートを確保し、人材ニーズや募集時期に応じて注力する媒体を使い分けるなどの工夫が必要です。
後述する6つの採用手法を複数取り入れ、人材採用の間口を広げていきましょう。
医療業界で取り入れたい6つの採用手法

医療業界で導入しておきたい6つの採用手法を紹介します。
複数の手法を実践することによって、媒体間の相乗効果が生まれ採用活動をより活性化することにもつながるはずです。
次の6つの手法のうち、取り入れられそうなものはぜひ積極的に導入してください。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、転職希望者に対して直接アプローチする採用手法です。
SNSやLinkedIn、ビズリーチといったサービスを通じて医療従事者を探し、コンタクトを試みた上で入職を打診します。
求める条件に合致する人材に直接アプローチできるため、ミスマッチを回避しやすい点がメリットです。
反対にアプローチした人材に現状は転職意思がないことも十分に想定されるため、一定数の人材に声をかける必要があります。
従来の「待ち」の採用手法とは大きく異なる「攻め」の手法のため、採用プロセスの見直しも必要になるでしょう。
・求める人材の条件に合致する相手に直接アプローチできる
・ターゲット外の応募者を選考する時間や労力を削減できる
【デメリット】
・アプローチした相手が現在転職を考えていない可能性も十分にある
・ターゲットを見つける手段など、新たな課題を解決していく必要がある
リファラル採用
リファラル採用とは、既存の従業員からの紹介によって人材を確保する採用手法です。
医療従事者は養成施設や以前の勤務先などで同職種と人間関係を築いているケースが多いため、相性の良い採用手法といえます。
現在の職場への満足度が一定水準に達している従業員が人材を紹介する傾向があるため、信頼関係を築きやすいのが特徴です。
一方で、紹介する側の従業員にも責任が伴うことから、積極的に協力的なスタッフが一部に限られることも少なくありません。
急な人材ニーズには対応しにくいといった特性も考慮し、他の採用手法と組み合わせて活用していくことが大切です。
・自社との親和性が高い人材を採用できる可能性が高い
・求人広告の掲載料や転職サービスに支払う紹介料を削減できる
【デメリット】
・紹介する側の従業員が責任を感じる可能性があるため配慮が必要
・急な人材ニーズには対応しにくい
求人サイトの活用
医療業界に限らず、幅広い業種・職種の求人が掲載されている求人サイトを活用するのも1つの方法です。
求人サイト上で求人を探す場合だけでなく、検索エンジンで関連キーワードを検索した際に求人が表示される場合もあります。
潜在的に転職を検討している層にもアプローチできる可能性があるため、人材採用の間口を広げるには有効な手法です。
求人サイトによって掲載料やクリック料など費用体系が異なることから、費用対効果が見込めるか検討しておく必要があります。
近年は医療特化型の求人サイト以外も広く活用される傾向があるため、試してみる意義のある採用手法といえるでしょう。
・求人が多くの人の目に留まるチャンスを広げられる
・媒体によっては求人を無料で掲載できる場合もある
【デメリット】
・求人数の多い地域では自社の求人が埋もれてしまう恐れがある
・ターゲット外の人材からの応募が増える可能性がある
医療特化型転職エージェントの活用
業種・職種特化型の転職エージェントを活用する方法もあります。
医療業界に特化した転職エージェントであれば、選考フローの一部の外注化が可能です。
適任と思われる人材の選定や、応募者に対する職場説明はエージェントに代行してもらえるため、工数を削減できます。
採用・入職が確定するまで報酬は発生しないことから、採用コストを抑えられる点もメリットです。
採用に関するノウハウが自社に蓄積されず、エージェントを頼り続ける状態になりやすい点に注意してください。
・人材の選定や応募者への概要説明、面接日程の調整など採用フローの一部を外注化できる
・入職者が決定するまで報酬が発生しないため、採用コストを抑えられる
【デメリット】
・採用に関するノウハウが自社に蓄積されにくい
・入職決定時には初年度年収の20〜30%程度の報酬を支払う必要がある
自社サイトへの採用ページ設置
自社サイトに採用ページを設置し、求人情報の閲覧や応募が可能な仕組みを提供する方法です。
自社サイト経由での応募者は、病院名や施設名で検索して採用ページを訪問しています。
求人サイト等で求人を偶然見かけたわけではないため、入社意欲の高い人材が集まりやすいのが特徴です。
採用ページを一度設定すれば長く活用できることから、将来的な採用活動を見据えて導入しておくことをおすすめします。
・入社意欲の高い人材からの応募が期待できる
・掲載期間の制限がなく、求人を長期間にわたって掲載し続けられる
【デメリット】
・採用ページの構築にコストがかかる
・運用には一定の知識が求められる
主婦・主夫採用
主婦・主夫をメインターゲットに定めて採用活動を進めるのも効果的な方法です。
社会人経験があり、就業意欲も高いものの育児などの都合で主婦・主夫に専念している方は少なくありません。
医療関連職の資格や業務経験を持つ人材が見つかれば、即戦力として迎えられます。
在宅時間が長いターゲット層に対しては、ポスティングなどによる地道な告知が欠かせません。
採用時には勤務時間などの条件に制約がある確率も高い点に注意しましょう。
・経験者や有資格者が見つかれば即戦力として採用できる
・就業意欲が高い人材を獲得できる可能性がある
【デメリット】
・在宅時間が長いため求人媒体に工夫が求められる
・勤務時間などの条件が制約される場合が多い
またもしも、より深く採用戦略を学ばれたい方はこちらの記事もおすすめです。
まとめ
医療業界の採用活動においては、求職者のニーズや近年の採用動向を踏まえた戦略を立てていくことが求められます。
今回紹介した通り、効果が見込める採用手法は複数存在することから、採用難を打破することは決して不可能ではありません。
一方で、求職者・求人企業の双方にとって選択肢が多様化したことでマッチングの難度が高まっているのは間違いないでしょう。
ぜひ複数の採用手法を取り入れて、求める人材の獲得を実現させてください。
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