
介護・福祉業界で、人材採用に関する次のような悩みを抱えている事業者の方はいませんか?
- 人手不足解消のために求人を出しているものの、なかなか応募者が集まらない
- 若手のスタッフを採用したいが、効果的な採用手法が見つからない
- 採用後のミスマッチや早期離職を防ぐための対処法を知りたい
今回は、介護・福祉業界における採用活動の現状と、採用活動が苦戦している際にチェックすべきポイントについて解説します。
採用活動を効果的に進めるために取り入れたい手法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
介護・福祉業界における採用活動の現状

はじめに、介護・福祉業界における採用活動の現状を整理しておきましょう。
求職者がなぜ介護・福祉業界を就職・転職先として選ぶのか、具体的な動機をデータから読み解いておくことが大切です。
介護・福祉業界が今後直面する可能性の高い問題と併せて、業界全体の採用動向について解説します。
介護・福祉業界の有効求人倍率
令和4年8月時点における介護・福祉業界(介護サービス)の有効求人倍率は3.72倍(※1)です。
全職種の有効求人倍率が1.18倍だったことを踏まえると、求職者1人あたりの求人数が3倍以上にのぼることが分かります。
介護・福祉業界は他業種と比べて人材採用の難易度が高いことから、採用活動に苦戦していても決して不自然ではありません。
有効求人倍率を見る限り、介護・福祉業界での就業を希望する求職者は就業先を「選ぶ側」に立っているのです。
業界全体の動向として、求職者から「選ばれる」企業になる必要があることを押さえておきましょう。
※1)厚生労働省「一般職業紹介状況(令和4年8月分)」より
求職者に選ばれる職場の特徴
現状、介護・福祉業界で就業している方々はどのような理由で今の職場を選んだのでしょうか。
介護労働安定センターの調査(※2)によれば、労働者が現在の職場に就職した理由のうち上位を占めていたのは次の項目です。
- 資格・技能が活かせるから(38.3%)
- 通勤が便利だから(37.7%)
- やりたい職種・仕事内容だから(36.4%)
- 働きがいのある仕事だと思ったから(35.1%)
仕事のやりがいなど、労働者自身が働きがいを感じられる職場が就業先として選ばれていることが確認できます。
求職者は「自分自身がどのように働いていくのか」を基準に介護・福祉業界の仕事を選ぶ傾向があるといえるでしょう。
反対に、現在の職場に就職した理由として割合が低く、有力な理由とはいえないのは次の項目です。
- 賃金等の水準が適当だから(9.9%)
- 法人の方針や理念に共感したから(7.3%)
- 経営が健全で将来的に安定しているから(6.7%)
- 福利厚生が充実しているから(6.0%)
- 子育て支援が充実しているから(3.8%)
- 教育研修等が充実しているから(2.1%)
職場の方針・理念や福利厚生などの「職場が何を与えてくれるのか」といった点は、あまり検討材料になっていないと分かります。
求職者にとって魅力的な職場にしていくために経営理念や福利厚生、教育研修制度などに注力しても効果が薄いと予測できるのです。
人材を募集する際には、求職者のニーズに合ったポイントを訴求していく必要があります。
現状、介護・福祉業界で就業している方々の声は、採用活動を進める際にも十分に考慮する必要があるでしょう。
※2)介護労働安定センター「令和2年度 介護労働実態調査の結果」より
介護・福祉業界「2025年問題」とは
介護・福祉業界の採用戦略を考える上で必ず踏まえておくべき事柄の1つとして「2025年問題」が挙げられます。
2025年問題とは、団塊の世代が2025年頃までに後期高齢者(75歳以上)となることを表す言葉です。
後期高齢者人口が約2,200万人にまで増え、国民の4人に1人が75歳以上の超高齢化社会へと突入します。
一方、2022年時点で介護・福祉業界で就業する労働者の平均年齢は49.4歳(※3)です。
現状すでに60歳以上の介護労働者が全体の23.8%を占めており、労働者の高年齢化が年々進んでいます。
人材の確保には若手の採用だけでなく、中高年層も視野に入れた採用戦略が求められていくでしょう。
※3)介護労働安定センター「令和2年度 介護労働実態調査の結果」
採用活動が苦戦している際にチェックすべきポイント

介護・福祉関連事業で採用活動が難航している場合、どのような点を見直していくべきなのでしょうか。
とくに重要なチェックポイントを紹介します。
求人情報で仕事のやりがいや魅力を発信できているか?
前述の通り、働きがいを感じられるかどうかが介護・福祉関連職に就く方々にとって重要な動機となっています。
求職者のニーズに合った求人情報にするには、自社で働くことで感じられるやりがいや働きがいを発信することが大切です。
事業者側としては、事業理念や経営方針といった面をアピールすることで他社との差別化を試みていたかもしれません。
結果として、求職者のニーズと求人情報のアピール内容にミスマッチが生じていた可能性があります。
求人情報では自社で働くスタッフの声や働く様子を伝えることを重視し、やりがいや働きがいを前面に打ち出しましょう。
求職者のニーズから逆算して求人広告を設計することが大切です。
他業種の求人動向を意識しているか?
他業種の求人動向も踏まえた上で、採用方針の方向性を再度点検してみましょう。
求職者は必ずしも介護・福祉業界の求人に特化して就職・転職先を探しているとは限りません。
人材採用に関しては、企業規模の大小を問わずあらゆる業種の企業が競合関係となり得るのです。
とくに求人サイトなど、他業種の企業も求人を出稿している媒体を利用する場合は注意する必要があります。
介護・福祉業界に限らず、求人を出稿予定の媒体は他業種も含めて動向をチェックしておきましょう。
求職者が応募先を検討する際、異業種の企業が候補に挙がった場合を想定して、自社の訴求ポイントを決めていくことが大切です。
「待ち」の採用活動になっていないか?
採用活動が全般的に「待ち」の状態になっていないか、改めて振り返ってみましょう。
「待ち」の採用活動とは、求人を出したきり応募者が集まるのを待つスタイルの採用手法です。
近年、人材採用の手法は多様化が進んでおり、企業側から求職者に働きかける「攻め」の採用も増加しつつあります。
後述するリファラル採用や求人サイトでのスカウト機能など、駆使できる手法は試してみる価値があるでしょう。
採用を「攻め」に転じることで、自社が求める人材に絞ってアプローチしやすくなるというメリットもあります。
採用活動全般のスタンスを見直していくことも、採用を活性化する上で欠かせない視点の1つです。
介護・福祉業界で取り入れたい7つの採用手法

介護・福祉業界で取り入れておきたい採用手法を紹介します。
複数の手法を同時並行で実践することで、媒体間の相乗効果が生まれ採用活動をより活性化することにつながるはずです。
次の7つの手法のうち、自社で取り入れられそうなものは積極的に導入を検討しましょう。
自社サイトの採用ページ設置
自社ホームページの中に採用特設ページを設ける手法です。
後述する求人サイトのような文字数や形式の制約がなく、自社がアピールしたい要素を存分に伝えることができます。
近年はスマートフォンで求人情報をチェックする求職者が増加しているのが特徴です。
求職者が仕事内容や職場環境に対する理解を深め、応募意思を固める際に採用ページは重要な役割を果たします。
画像や動画を掲載してスタッフの様子を伝えるなど、求職者が知りたい情報が確認できる内容にしましょう。
採用ページから直接応募できる仕組みにすることで、広告費をかけることなく通年採用が実施可能となります。
リファラル採用
リファラル採用とは、既存の社員に知人・友人を紹介してもらうスタイルの採用手法です。
社員の知り合いであれば、社員を通じて仕事内容や職場の雰囲気が伝わるため、入社後のミスマッチを低減できます。
事業者側としても、大々的に求人広告を打つことなく人材を採用できるためコストの抑制に効果的です。
注意点として、既存の社員が現状の職場環境や仕事内容に満足していなければ知人・友人を紹介してくれません。
リファラル採用を目指すのであれば、従業員の満足度を向上させるための施策を講じていく必要があるでしょう。
求人サイトの活用
求人サイトに求人広告を出稿する採用手法です。
求職者の多くが求人サイトを利用することから、幅広い層に求人を見てもらえる可能性のある手法といえます。
一方で、求人サイトには多種多様な企業の求人が掲載されているため、自社の求人が埋もれてしまいがちです。
求人サイトによっては条件を満たす求職者に対してスカウトを送信できる機能を備えたものもあります。
一定数のスカウトを送り続けることで、求職者の目に留まる確率を高めることができるのです。
中には介護・福祉分野に特化した求人サービスもあるため、必要に応じて業界特化型サービスの活用も検討しましょう。
ハローワークへの求人出稿
ハローワークへの求人出稿はオーソドックスな採用手法ですが、介護・福祉業界においては合理的な採用戦略といえます。
介護・福祉業界で働く方々の中には、自宅から通勤しやすいことを就業先を選んだ理由として挙げる人が少なくありません。
地域の求人を扱うハローワークだからこそ、地元で働きたいという求職者のニーズに応えられるのです。
実際、自宅から通いやすい範囲で就職・転職先を探す人の多くは、ハローワークを活用する傾向があります。
ハローワークへの求人出稿は無料のため、要件さえ満たせば求人を常時出しておくことも可能です。
地域情報紙や新聞求人欄の活用
地域情報紙や新聞求人欄への出稿は古くから知られている採用手法ですが、とくに中高年層への訴求には有効な場合もあります。
介護・福祉業界の採用動向を見る限り、若手の人材だけでなく50代以上の世代にもターゲットを広げていくことが重要です。
地域情報紙や地元新聞であれば、施設等の近隣に在住の住人に絞って求人情報を届けられるというメリットもあります。
発行部数や掲載面積によって掲載費用は異なりますが、媒体によっては費用対効果が見込める採用手法といえるでしょう。
求人フリーペーパーの活用
地域情報紙や新聞求人欄と併せて、求人フリーペーパーへの求人掲載も検討しましょう。
近年は紙媒体と連動してWebサイトにも求人が掲載されるタイプの媒体も増えています。
エリアを絞って訴求しやすい上に幅広い年齢層にリーチする可能性があることから、検討する意義のある媒体といえるでしょう。
とくに中高年層の比率が高い地域では、求人フリーペーパーへの出稿は高い広告効果が期待できる場合もあります。
ポスティングの実施
求人チラシのポスティングも、地域を絞った採用活動に取り入れたい手法の1つです。
介護・福祉業界で就業する方々の中には、通勤の利便性を重視して職場を選ぶ人も少なくありません。
施設等の近隣にターゲットを絞って集中的にポスティングを実施することで、応募者を獲得できる可能性があります。
時期によっては季節商戦に伴って求人を強化する業界もあるため、ポスティングを実施するタイミングには注意が必要です。
一定期間は定期的にポスティングを実施することで、介護・福祉業界での就業を検討している層にも訴求できるでしょう。
まとめ
介護・福祉業界における採用手法を検討する際には、採用の動向を十分に踏まえて戦略を立てていくことが大切です。
今回紹介した通り、効果が見込める採用手法は複数存在します。
一方で、訴求したい層によって有効な採用手法が異なるのも事実です。
ぜひ自社に適した採用手法を取り入れて、人材の獲得へとつなげてください。
年商5億円を超えさらなるスケールアップを目指す経営者必見!
あなたのビジネスをスケールアップさせる集客と組織作り、
さらに、成功事例やここだけのお得な内容をお届け致します。