
- マネーリテラシーとはどういう意味だろう?
- マネーリテラシーを身に付けるメリットは?
- なぜ経営者にマネーリテラシーが必要なのか?
上記のような疑問を抱えていませんか?
今回は、経営者にとって不可欠な教養の1つであるマネーリテラシーについて解説します。
言葉自体は聞いたことがあっても、具体的にどのような意味なのか、なぜ重要なのか明確に説明できない人もいるでしょう。
マネーリテラシーへの理解を深めて、経営者としていっそうのレベルアップを図ってください。
マネーリテラシーとは

はじめに、マネーリテラシーの定義や主な分野、身に付ける目的について整理します。
マネーリテラシーの基本的な考え方への理解を深めましょう。
マネーリテラシーの定義
マネーリテラシーとは「お金に関する知識や判断力」のことです。
私たちが社会生活を送る上で、お金は重要なツールといえます。
会社経営はもちろんのこと、プライベートでも住宅ローンや確定申告など、さまざまな場面でお金の知識が問われるからです。
たとえば、経営者ご自身が被保険者の生命保険に加入していることが多いです。
契約中の生命保険が終身保険・養老保険・定期保険のどのタイプに当たるのか把握しているでしょうか?
もし今すぐに解約した場合、解約返戻金が支払われるのか記憶が曖昧になっている方もいるかもしれません。
お金に関する適切な知識を身に付け、必要な判断を正しく下せるようにすることがマネーリテラシーの趣旨といえます。
マネーリテラシーの主な分野
金融庁では、マネーリテラシーを次の4分野に分類しています。
- 家計分野
- 生活設計
- 金融知識および金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択
- 外部の知見の適切な活用
経営者にとって、上記の4分野には「プライベートでのお金の話」と「経営上のお金の話」という2つの側面があります。
プライベート・会社経営を問わず活用できる知見であることが大きなポイントです。
たとえば、金融商品への理解を深めることで分散投資や長期運用にメリットがあることがより深く理解できるようになります。
個人の資産を形成する上でも、自社の資産を管理していく上でも、マネーリテラシーは重要な判断軸となるのです。
マネーリテラシーを身に付ける目的
マネーリテラシーを身に付ける主な目的は、お金のリスクとメリットの両面をバランスよく理解することにあります。
メリットの面ばかりに注目していると、重大なリスクを見落とすことにもなりかねません。
顕著な例が「無借金経営」です。
金融機関から借り入れることなく、自己資金のみで経営が成り立っている組織は一見すると健全な状態のように思えます。
別の見方をすると、無借金経営はリスクの高い状態ともいえるのです。
業績が低迷し、資金繰りのために借入をしたいと思っても、金融機関との間に取引実績がなければ融資を受けられないでしょう。
マネーリテラシーを身に付けることは、お金にまつわるリスクとメリットを両面から学ぶことに繋がるのです。
なぜ日本人はマネーリテラシーが低いといわれる?

世界的に見た場合、先進諸国と比べて日本人はマネーリテラシーが低いと指摘されることがあります。
なぜ日本人はマネーリテラシーが低いといわれるのか、主な理由を探ってみましょう。
お金や金融に関する知識を学ぶ機会が少ない
日本人のマネーリテラシーが低い大きな要因の1つに教育が挙げられます。
皆さんは小中学校や高校時代、お金や金融に関する知識を授業で習った記憶があるでしょうか?
おそらく、大半の人は「学校でお金について習った覚えはない」「金融についての授業はなかった」と感じるはずです。
現状、日本の義務教育制度ではお金や金融に関する内容は必修科目ではありません。
一方、アメリカではクレジットカードを使用する際の注意点や信用情報の重要性などを扱う金融教育が行われています。
日本の学校ではお金や金融について扱っていないために、知識を得る機会そのものが少なくなっているのです。
お金の話をすることがタブー視されてきた
日本では、長らく「人前でお金の話をすること」がタブー視されてきたという側面もあります。
お金について直接的に話題にするのは卑しいこと・意地汚いこととされ、敬遠されてきた向きがあるのです。
たとえば、お祝いなどでお金を渡す際には、必ず「包んで渡す」のがマナーとされています。
お金を人前で見せない・直接話題にしないほうが好ましいと考えられている証拠といえるでしょう。
お金について話題にすること自体がタブー視されてきたために、マネーリテラシーを身に付ける機会も少なくなっているのです。
投資よりも貯蓄が重んじられてきた
日本人にはリスクのある投資を敬遠し、貯蓄(貯金)を好む人が多いといわれています。
日本の各家庭に眠っているタンス預金は総額50兆円にものぼるという試算もあるほどです。
株式や金融商品で資産を形成するのではなく、現金を「貯め込む」人が多い傾向が窺えます。
皆さんは子どもの頃、「貯金しなさい」「無駄遣いをしないように」といわれた記憶はないでしょうか?
成人してからも、リスクのある投資よりもお金を手元に「残す」ことを重視する人は少なくありません。
近年では少額から投資を始める人も増えつつありますが、自分は投資とは縁遠いと感じている人も依然として多いのが実情なのです。
経営者が身に付けたい基礎的なマネーリテラシー

日本人は全体としてマネーリテラシーが高いとはいえず、お金の話題に疎い傾向があります。
経営者として企業を率いていくにあたり、必ず身に付けておきたい基礎的な知識を見ていきましょう。
すでに知っている・十分理解しているものについても、確認の意味で読み進めてください。
単利と複利
経営者が必ず理解しておくべきマネーリテラシーの1つが「複利効果」です。
お金の借り手が貸し手に返済する際に支払う利息の割合を金利と呼びます。
金利には「単利」と「複利」があり、とくに複利について理解しておくことが重要な意味を持っているのです。
- 単利:元本にのみ利息がつく(例:元本100万円・金利7%なら利息は永続的に7万円)
- 複利:残金に対して利息がつく(例:元本100万円・金利7%なら10年後の利息は約96.71万円)
上記の例では複利の場合、10年間で元本+利息の合計額が元本の2倍近くになっていることが分かります。
複利効果は期間が長くなるほど大きくなるため、借入金の場合はリスクが増し、投資の場合はメリットが大きくなるのです。
長期投資が功を奏するケースが多いとされるのも、複利効果に起因する面が大きいといえます。
インフレとデフレ
インフレ(物価上昇)とデフレ(物価下落)に関しても、経営者としては十分に理解しておきたい概念といえます。
経営者にとってとくに重要度が高いのは、インフレ・デフレが金利や為替、投資に与える影響です。
金利は貸し手と借り手の需給関係によって変動するため、下記の影響が生じやすくなります。
- インフレ:物価上昇によりお金を借りる人が増えるため、金利が上がりやすい
- デフレ:物が売れなくなりお金を借りる人も減るため、金利が下がりやすい
為替に関しては二国間での取引となるため一概にはいえない面がありますが、一般的には下記の傾向が見られます。
- インフレ:円の価値が下がるため円安になりやすい
- デフレ:円の価値が上がるため円高になりやすい
投資に関しては、インフレ・デフレと消費者の購買意欲の関係が株価や債券の価格に影響をもたらします。
- インフレ:購買意欲が高まり企業の業績が向上しやすく、株価も上がりやすくなる
- デフレ:購買意欲が低下し業績が下がりやすいため、債券が上がりやすくなる(買戻が活発化する)
インフレ・デフレは景気全体を表す概念ですが、企業活動にも直接的かつ多大な影響を与える指標となるのです。
リスクとリターン
リスクとリターンの関係を押さえておくことも、経営者として重要な視点の1つです。
一般的にリスクは「危険性」という意味で捉えられますが、金融や経営においては「不確実性」という意味で用いられます。
たとえば、投資した金融商品のリスクを考える場合、連想されやすいのは元本割れリスクでしょう。
不確実性という意味で捉えた場合、金融商品を保有するリスクとは「価格変動リスク」全般を指しているのです。
価格が下落すれば損をする可能性がある一方で、上昇すればリターンを得ることもできます。
別の見方をすると、リターンを得るにはリスクを取る選択を迫られることになるのです。
リスクとリターンは常に表裏一体と捉える必要があります。
経営者がマネーリテラシーを高めるメリット

経営者がマネーリテラシーを高めることで、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。
想定されるメリットは多数ありますが、中でも重要度の高いものを4点紹介します。
お金との上手な付き合い方が判断しやすくなる
経営者にとって、お金は諸刃の剣です。
上手に活用すれば大きな効果を得ることができる反面、付き合い方を誤ると足元をすくわれかねません。
オン・オフを問わず、お金との上手な付き合い方を判断していくことは非常に重要なポイントといえるでしょう。
マネーリテラシーを高めることで、お金とどのように付き合っていくべきか、自分の中での判断軸を定めやすくなります。
事業資金を適切に動かしていくには、プライベートも含めた自身のマネーリテラシーを高めていくことが大切です。
金融商品を適切に選択しやすくなる
会社を経営していく過程で、金融商品との関わりは避けて通れない道の1つです。
たとえば生命保険への理解を深めれば、役員の死亡リスクに備えつつ役員退職慰労金への対策に活用することもできるのです。
反対に金融商品に対する理解が浅いと、本来は不要な金融商品を購入・契約してしまう事態を招きかねません。
経営者をターゲットとした金融商品も多数存在するため、現状必要な商品かどうかを判断する知識が求められます。
マネーリテラシーを高めることで金融商品を見る「目」を養い、不要な契約を交わさないことが大切です。
経済の大きな流れを把握しやすくなる
経営者にとって、先を見据えて組織を運営していくことは非常に重要なポイントの1つです。
現状の経済情勢がどうなっているのか、自社がどのような影響を受ける可能性があるのかを判断する必要があります。
たとえば、円安が長期化した場合に事業が受ける影響の大きさを予測し、影響を最小限に留めるための対策を講じているでしょうか?
経営者として必要な知見を身に付け、重要な経営判断を見誤らないためにも、マネーリテラシーが求められているのです。
マネーリテラシーを高めることは、経済の大きな流れを把握する上でも役立つでしょう。
人材を確保する上で必要な知見を得られる
経営者にとってマネーリテラシーは、人材の確保においても必要とされる知見といえます。
従業員がライフプランを実現できる給与体系になっているか、自社の人事制度を客観視するための手掛かりにもなるからです。
従業員のライフステージの変化に応じて、無理なく生活できる給与水準に到達できなければ魅力的な職場とはいえません。
働いていても生活が苦しい・将来の生活設計が見通せないといった状態では、優秀な人材を確保するのは難しいでしょう。
企業や経営者自身の暮らしを守るためだけでなく、従業員の暮らしを守るためにもマネーリテラシーは必要とされているのです。
まとめ
マネーリテラシーは近年になって重要性が増したのではなく、本来身に付けるべき知見が見直されていると捉えたほうが正確です。
経営者として、自社のみならず世の中全体を「お金の動き」という切り口で分析するためにもマネーリテラシーは重要といえます。
今回解説してきたポイントを参考に、ぜひマネーリテラシーを高めるために学びの時間を設けてみてください。
事業でお金を動かす機会も多い経営者だからこそ、自身のマネーリテラシーを継続的に高めていきましょう。
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