コロナ禍の感情マネジメントとは│「怒らない技術」 ベストセラー作家 嶋津良智

「怒らないために必要な感情マネジメントの方法は?」
「パニックにならないための感情マネジメント術とは?」
『怒らない技術』『だから、部下がついてこない!』など150万部を超えるベストセラー作家で経営者としても活躍する嶋津良智氏(以下、嶋津氏)と、ラーニングエッジの代表清水康一朗が、対談をおこないました。
『コロナ禍の感情マネジメント』をテーマに、怒り、イライラ、不安との向き合い方や、様々な場面での感情マネジメント術についてご紹介します。
この記事は、セミナーズのYouTubeチャンネル「『コロナ禍の感情マネジメント』「怒らない技術」 ベストセラー作家 嶋津良智」を記事化したものです。さらに詳しい内容を知りたい方は動画をご覧ください。
怒り、イライラ、不安、どうしたらよい?
怒ったり、イライラしたり、不安になったりする感情は、すべての人が生きていく上でとても大切な感情であると言います。
もってはいけない感情はなく、ある意味大切なものでありなくしてはいけない感情です。感情に良い感情も悪い感情もないということです。
感情の扱い方や表出の仕方にはよい悪いがあり、これに気をつけることが重要であると言います。
表出する感情の乱れの8割は、自己満足であると言われています。まず8割の自己満足で表出している怒りは極力無くした方がよいのです。
表出する感情の区別をしっかりつけなければ、仕事を失ったり、人間関係を壊してしまったりということを起こしてしまいます。感情の使い方には十分に気を付けましょう。
感情の乱れはもちろんときには、正しく前に出すことも重要となります。例えば、生命にかかわる場面など、本当に譲れないときには出すべきだということです。
怒りを抑えるには
怒りの感情は「瞬間湯沸かし器」という言葉があるように、コントロールできないと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これは学問的に言うと間違いであると嶋津氏は言い、「人間は感情を物事を選んでいる生き物です。」とも言います。
例えば、自分の子供にはしつけで怒ることがあっても、他人の子供には怒らないでしょう。
自分の子供であれば、怒っていいのだというように自分で許可を与えるから怒っているだけなのです。
人は相手が誰なのかによって、実は放っておいた感情を選んで使い分けているのです。表出する感情も同様に選べるものです。
無意識に怒ってしまう自分を認識するには
自分で感情を選んでいると言っても、実際は無意識に怒りが起こってしまっていることが多いと嶋津氏は言います。
選ぶという意識がないまま、その感情が揺れ動いて、イライラしたり、疲れてしまうこともあるでしょう。大事なことは、選んで使っているということをしっかりと自分の中で認識することであると言います。
学問的に言うと、感情をコントロールするうえで最も大切なことは「間を置く」ことです。そして、それはおおよそ6秒から10秒ほどと言われています。
例えば会社の会議で、悪い箇所を探すという犯人探しになった場合を想定してみましょう。議長が「皆沸騰しているから、一度休憩しよう」と声掛けをしたとします。
もう一度5分後に集まると、皆が冷静になって話せるということはあるでしょう。
大切なことは、怒りの感情がうごめいている自分を認識することです。その状況に陥った際は、その場を一旦離れましょう。自分の中で一度間を置いてみてください。
身近な人とぶつかってしまうときの感情マネジメント

怒りの感情や、感情の乱れは当たり前に起こるものです。そのため、身近な人へ起こす感情の乱れは、接触回数が多ければ多いほど確率論としては増えてしまいます。
例えばあるアンケートでは、怒りを感じる対象者に一番が子供、旦那、自分を上げていたそうです。
接触回数が多いため、そのような感情をもちやすくなってしまうことは仕方ないと言います。
身近な人とぶつかることを避けるための対策としては、以下の二つが有効です。
- 気にしないという選択肢をもつ
- 親しき中にも礼儀ありを大事にする
気にしない選択肢をもつ
身近な人とぶつからないために大事なことの一つ目は、「気にしないという選択肢をもつ」ということです。
例えば子供が学校に行って何かをしている時は、親は子供の姿が見えないために、この言動が気にかかることもないでしょう。
しかし、近くにいて見ているところで、子供が何かをすると、それに対してイライラしたり、悩んだりすることが発生します。
そのため、「見なかったことにしよう、気にしない」という選択肢を自分の中に一つもつことにより気持ちが楽になるのです。
親しき中にも礼儀ありを大切にする
身近な人とぶつからないために大事なことの二つ目は、「親しき仲にも礼儀ありを徹底すること」です。
感情はよいものも悪いものも伝染していくものです。
例えばイライラの感情や感情の乱れは、周りに伝染していきます。そのような意味では、親しき仲にも礼儀ありを徹底することが大事です。
相手に礼を尽くすという気持ちをもちながら接すると、関係性も変化するでしょう。
何かをしてもらったときに、「ありがとう、助かるよ」という言葉を言えることは大切です。
良い部分と悪い部分は6対4
嶋津氏の感覚値では、人は良い部分と悪い部分が、6対4の割合であると言います。
そして、なぜ人を嫌ったり、むかついてしまったりするかに関しては、良い部分の6ではなく、嫌な部分の4の部分にフォーカスをしてしまうからであるそうです。
目の前に起きる何か一つに対して、悪い部分があることは当たり前です。
この事実を踏まえたうえで、6の良い部分に目を向けて接するだけで、自分の心の持ち様が変わってくるのではないかと言います。
よく心理学の世界で、「他人は変えられない。でも自分は変えられる。」という言葉があるように、 相手は変えられないわけです。
自分自身をどう変えていくかを考えよう
相手は変えられないために、自分自身をどう変えていくかを理解することは、相手とコミュニケーションをうまくとるコツです。
例えば、セミナーに参加したあるお母さんは、旦那さんが脱いだ衣類をそのまま部屋に置いておくことに怒っていました。
この状況ならどう改善していくでしょうか。旦那さんは変えられないけれど、自分自身は変えられます。
そのためには、ブレイクパターンで変化を起こすことです。
自分に何ができるのかという発想の中、そのパターンを壊すことができないか考えてみましょうと、嶋津氏はその方に提案しました。
そうすると、ソファーの周りに衣類を脱ぎ捨てているというパターンが分かったそうです。
この傾向を踏まえて、ソファーの横に洗濯籠を置くことをその方に提案しました。そして、実際に実行すると、旦那さんが洗濯籠に衣類をいれてくれるようになり、パターンの変化が起こったそうです。
自分に何ができるのかということを考えることで、少しの工夫で状況が変わることもあります。
最初に意思を伝えることは大事
相手が変わらないから、自分を変えることの前提として、本当にどうして欲しいのかを相手に伝えることは重要です。
自分の行動を変える前に、願いとして伝えるべきことは伝えなければなりません。
例えば、旦那さんには「いつもここに置いてある服をカゴに入れてくれたら嬉しいな」と声掛けができるでしょう。
伝え方に注意しながら、親しき中にも礼儀ありを大事にして自分の要望を伝えるということができます。
経営者・リーダーにとって大切な感情マネジメント

例えば会社のメンバー、上司・部下、もしくは親族も含めて、周りも不安やイライラだらけな環境にいる方もいらっしゃると思います。
周りも大変なときに、特に経営者やリーダーとして周りに影響が大きい方はどのようにしたらよいのでしょうか。嶋津氏にヒントを伺いました。
大切なことは、コントロールできることとコントロールできないことをしっかりと分けることであると言います。
どうでもいいことやコントロールができないことに対して、心がもっていかれると、結局は自分の心を痛めることになります。
そのため、しっかりとコントロールできることを把握しましょう。今自分ができることに集中して、何ができるのかという発想で取り組んでいくことが重要です。
心をもっていかれてしまうと、自分の心がどんどんと傷んでしまいます。
どうにもならないことに心をもっていかれるのではなく、自分が今この状況で何ができるのかを考えてみてください。
自分にできることをまずは一つひとつアクションしていくことが大切です。
「心だけもっていかれる」ことを避けよう
一番よくないことは、心だけをもっていかれて立ち止まってしまうことです。
立ち止まっていたらつまずく心配もありません。しかし、どこかにたどり着く可能性もないのです。
一歩踏み出した瞬間から、つまずく心配もあるでしょう。しかし、どこかに辿り着く可能性も生まれてくるわけです。そのため、動き出すことはとても大切です。
感情マネジメントをしていく中で、大事なことは立ち止まらないということです。解決に向けて動き出しましょう。
ビジネスパーソンのQ&A

最後に動画内で視聴者から嶋津氏のもとに集められた、質問のQ&Aをご紹介します。
「もし叱ってしまったとしても、フォローはした方がいいのでしょうか?」
嶋津氏は、フォローがいるときと、あえてフォローしないときが必要であると思っているとのことです。
フォローはもちろん大切ですが、相手に反省を促す意味でフォローしてしまうことで、効果が半減することもあります。
例えば、子供を怒鳴りつけたとします。
その後にハグをして、次回から気を付けなさいねとやることが良いパターンと、あえて2、3日そのままにして、相手により深い反省を促していくという手もあるのです。
フォローは大切ですが、あくまでも 絶対ではないということです。
大切なのは人とコトを分ける
大切なことは「人」と「コト」を分けることです。あなたが悪いのではなく、あなたのおこなったことが悪いという考えをもつことです。
例えば、嶋津氏は、子供に怒るときにはとても気を付けていると言います。
「あなたのことが大好きであるけれど、今やったことはとてもじゃないけれど、受け入れられない」というように伝えます。
人として大好きであることは伝えたうえで、コトに対してフォーカスしています。
人とコトを分けてしっかり伝えることは意識するべきであり、日常で人と出来事を一緒にしてしまっている人は多いです。
本田宗一郎も、業務のことでは、従業員をよく怒鳴りつけていたそうです。
しかし、怒った後は、人が変わったように、普段通りに社員に接していたと言い、社員は驚いたそうです。
完全に、人とコトを分けていたことが分かります。このような点から、出来事と人を分けながら、人間同士としては爽やかに付き合うとよいでしょう。
ときには受け流すことも大切
どうしてもここだけは認められないということ以外は、すべて目をつぶってしまっていいのではないかと言います。これは、気にしない、スルーする力です。
会社の経営や子育てでも、どうしても譲らなければならない、守らなければいけないことはあると思います。
しかし、今教えておかないといけないということ以外は、ほとんど受け流せることではないでしょうか。
気にしないという技術を鍛えるのも感情マネジメントの一種です。
暇になると気になることが増えることも
嶋津氏も自分を振り返ると、イライラしていたときや怒りっぽかった時期は、結果から言うと暇でもあったと言います。
暇であるために、いろいろなことに自分の気を回す余裕があることもあるでしょう。
そうすると、物事の様々なことが気になってイライラすることが増えていきます。
本当に忙しい時は、良くも悪くも出来事に気が回らなくなっていきます。様々なことを気にしてもきりがなくなるのです。
そして、よい意味で本来気にしなくてもよい事柄に対して、受け流せるようになっていったこともあります。
「内面にあるその感情を選ぶ基準をどのように知ることができますか?」
嶋津氏は、迷った際に指針となる、自分自身の人生の中での理念や、考え方を作っておくとよいと言います。
「鳥には空気が見えない。魚には水が見えない。人間には自分が見えない。」という言葉があります。
人は思っている以上に、自分のことを理解していないのです。
例えば嶋津氏は「人生一回桜咲く」というのを理念にしているそうです。
「たった一回の人生で、どれだけ楽しいという花をたくさん人生の中に咲かしていくか」ということを一つの基準に置いていると言います。
そして、この基準に沿って何かあった時に判断をしているそうです。
例えば、会社で言うと、経営理念などの軸をしっかり設けて、その考えにそって判断をしていくとよいでしょう。
どのような基準で選んだらよいのかは、一言でその人の考え方になっていきます。
しっかりと軸をもちたいのであれば、自分自身でじっくりと考えて言葉にすることが大切であるということです。
まとめ
ベストセラー作家である嶋津良智氏と清水康一朗氏の対談によるコロナ禍の感情マネジメントについてご紹介しました。
自分の中に湧きあがる感情を受け止めたうえで、感情を選んで使っているということをしっかりと自分の中で認識していきましょう。
動画では、事例を多く交えて詳細に学べるため、気になった方は動画もぜひご覧ください。

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