
トップセールスはなぜ多くの受注をとれるのでしょうか。
自分でもトップセールスと同じように営業成績を上げたいと考える人は多いと思います。
お客様と仲良く話すだけで契約に結びつけているように見えるかもしれませんが、トップセールスは営業ヒアリングのスキルが秀でています。
この記事では、セールスパーソンに必須の営業ヒアリングの流れや、成功させるコツを解説します。
「ヒアリングが難しい」「うまくヒアリングができない」と考えている初心者の営業ヒアリングを向上させる方法も説明しているので、ぜひ読み進めてください。
営業ヒアリングとは?

営業ヒアリングは、顧客の悩みや課題を顕在化させ、その解決方法として自社商品やサービスを提案するために行います。
営業の一般的な流れは、8つに区分されます。ヒアリングはその中の1コマです。
- 事前準備(顧客情報収集・業界把握)
- ヒアリング(商談)
- 企画の提案・見積提出
- プレゼンテーション
- クロージング
- 契約締結(受注)
- 納品
- アフターフォロー
この営業の流れの中でヒアリングが特に重要で、受注できるか否かはヒアリングの成否にかかっていると言っても過言ではありません。
次章からは、営業ヒアリングをどのように行っていくのかを説明していきます。
営業ヒアリングの流れ

営業ヒアリングは流れがある程度決まっています。ここでは7段階に分けました。
- 事前準備
- 挨拶・雑談(アイスブレイク)
- 課題や現状のヒアリング
- 情報提供
- 製品・サービスのアピール
- 質疑応答
- 次回訪問の約束
相手の話によって流れが省かれたり前後したりするかもしれませんが、営業ヒアリングの流れを守ることで、相手の課題がわかり、適切な提案が可能となります。
1. 事前リサーチ
ヒアリングの前に、顧客情報や顧客が属する業界などについてリサーチします。
リサーチ内容に基づいて仮説を立てることが、ヒアリングで最も重要です。
顧客の悩みについて仮説を立て、ヒアリングで仮説が正しいかを検証していくことで、適切なヒアリングが可能となります。
リサーチには3C分析が有効です。
- 自社(Company)
- 市場(Customer)
- 競合(Competitor)
ここでいう「自社」とは顧客の会社のこと、「市場」は顧客が属するマーケット、「競合」が顧客のライバル会社になります。
3C分析をすることで、顧客の会社が今置かれている現状や課題の仮説を立てやすくなるでしょう。
2. 挨拶・雑談
雑談はアイスブレイクとも言います。
雑談によって、初対面の人と話すときの緊張をほぐす狙いがあります。
雑談で一般的なものには、天気の話や、今話題になっているものなどの当たり障りのないものがありますが、それだけではアイス(緊張)はなかなか溶けません。
アイスブレイクに効果を発揮するものは、事前準備でリサーチした顧客の業界の話題や、相手が興味関心を持っている話題です。
相手に「この人は業界をよくわかっている」「この人と話したい」と思ってもらうことができれば、以降の話もスムーズに進められます。
3. 課題や現状のヒアリング
アイスブレイクで相手の意識が会話に向いてきたら、課題や悩みをヒアリングします。
ヒアリングをする際に、ヒアリングシートを使用すると無駄な質問などをすることなく、必要な情報を得ることができます。
ただ、ヒアリングシートに書かれている事柄をただ質問していくだけでは尋問のようになってしまい、本音を引き出すことはできません。
相手が回答しやすそうな質問から投げかけてみたり、相手が興味を持つ話題や同業界の他社についての話をしたりして、相手が質問に答えやすい雰囲気を作りましょう。
4. 情報提供
事前リサーチで立てた仮説の検証を行いながら、顧客の真の悩み・課題を突き止めた後は、解決の手助けとなる情報を話します。
この情報提供の段階では、まだ自社商品・サービスのアピールをしません。
相手の反応を観察しつつ、業界の役に立つ情報やデータを提供することが大事です。
5. 自社商品・サービスのアピール
相手から好反応を得られれば、顧客の悩みや課題を解決する手段として、自社商品・サービスを提案します。
ここでは自社商品・サービスの内容よりも、導入した後の未来やベネフィットに重きを置いて話すことが重要です。
なぜなら、顧客は自社商品・サービスを購入すれば、本当に課題や悩みが解決できるのかを知りたいからです。
画像や動画、客観的なデータを用いて、顧客に自社商品・サービス導入のイメージを持ってもらえるように話しましょう。
既に導入している顧客の事例や口コミ・感想があると、より説得力が増します。
6. 質疑応答
こちらの提案内容にわかりづらいところはなかったか、気になる点はないかを確認します。
相手が自社商品・サービスについてどう思っているかを聞ける絶好のチャンスです。
気になる点がたくさん出るようであれば、前向きに検討している証拠だろうと考えられます。
質問には丁寧に回答し、答えられない質問があれば持ち帰り、いつまでに回答すると期限を区切りましょう。
7. 次回訪問の約束
商談は一度で終わることはありません。
時間をおいて出てくる質問の回答や見積もりの提出などのために、次回の商談の約束を取り付けます。
相手の状況にもよりますが、1ヶ月以内には次の訪問をするようにしましょう。
競合が顧客にアプローチするかもしれませんし、自分の良い印象を忘れてしまわれないうちに、相手と再度話をすることで印象を強めることができます。
営業ヒアリングを成功させるコツ

営業ヒアリングの基本は相手の話を聞くことです。自分が話すことに重きを置いてはいけません。
自分が話すのは、相手に話してもらうためだと意識しましょう。
そのうえで、相手が話しやすい状況をつくるためのコツを説明します。
- ヒアリングシートを活用する
- 「現在→過去→未来」の順でヒアリングする
- 相槌を打つ
- 質問を使い分ける
- 相手の会話のペースに合わせる
- 相手を主語にして話す
ポイントの2つ目から6つ目は、日ごろの会話から気を付けることで、営業ヒアリングでも自然にできるようになります。
1. ヒアリングシートを活用する
ヒアリングシートとは、商談で顧客から聞き出したいことをまとめている書類のことです。
ヒアリングシートがあれば、緊張して聞きたいことを聞き忘れたり、相手の話に合わせすぎて必要なことを聞けなかったりするような事態を防ぐことができます。
ヒアリングシートは、顧客に合わせて作るものではありますが、一般的な確認事項を紹介します。
- 顧客の現状(悩み・課題・要望)
- 顧客が現在使っている競合の製品・サービス
- 予算
- 納期
- 決済までの流れ・決済者
- 製品・サービスを選ぶ基準・必要度合い
- 他社から話を聞いているか
- 自社商品・サービスの感想
- 自社商品・サービスに対する心配ごと
これらの事項にプラスして、顧客に合わせた質問を入れておきます。
2. 「現在→過去→未来」の順でヒアリングする
ヒアリングは、相手の話しやすい話題から始めることで、ヒアリングシートの内容を答えてもらいやすくなります。
最も話しやすい話題は現在のこと、次に過去のこと、そして最も話しづらいのが不確定要素の多い未来の話題です。
営業担当者が最も聞きたいのは、「自社商品・サービスを購入してくれるのか」という点ですが、顧客にとっては未来の話は決まっていないことも多く、答えづらいものです。
最初に軽い質問や現在の課題や悩みを話してもらうことで、自分も提案の糸口がつかめ、自社の商品・サービスが課題解決に役立つポイントをアピールすることができます。
3. 相槌を打つ
相槌には、相手に話しやすい雰囲気を作り出し、会話を盛り上げる役割があります。
聞き手は相槌をすることで、自分は話を理解している、話に興味があると話し手に態度で知らせることができます。
「相槌上手は聞き上手」と言いますが、相手から聞き出したいことがあれば、話しやすい雰囲気を作らなければなりません。
大げさすぎる相槌は逆効果ですが、適度にうなずいたり、言葉を挟んだりすることで、相手の話を引き出していきましょう。
4. 質問を使い分ける
質問にはオープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョンの2種類があります。
オープン・クエスチョンとは「5W1H」の質問で、答える側は自由に回答ができます。
例えば、「いつ回答をいただけますか?」「どなたが決済されるのでしょうか?」というような質問です。
クローズド・クエスチョンは、二者択一の質問です。
「弊社の商品を気に入っていただけましたか?」「明日14時にお会いできませんか?」など、「はい」もしくは「いいえ」で答えられます。
どちらかだけでは話が盛り上がらず、回答する方はあまり良い思いをしません。
適宜組み合わせて相手に質問をしていきましょう。
5. 相手の会話のペースに合わせる
ヒアリングに慣れていないと、つい自分のペースで話してしまいがちですが、人にはそれぞれ話すペースがあります。
話を引き出したいならば、相手の会話のスピードに合わせましょう。
人は、自分と同じペースで話す相手に好感を抱きやすくなるため、ヒアリングもスムーズに進みます。
どうしてもペースを合わせられない場合は、声の大きさやトーン、相槌のタイミングを合わせるだけでも、相手からの好感を得やすいです。
6. 相手を主語にして話す
人は自分に関係のないことにはあまり興味が向きません。
自社商品・サービスを売りたいばかりに、自分・自社ばかりを主語にしてしまいがちです。
これでは、目の前の相手に意識が向かず、相手も興味を持ってもらえません。
相手を主語にすることで、相手は自分の話をしてくれていると感じ、本音を聞きやすくなります。
営業ヒアリングがうまくなるために実施すべきこと

営業部に配属されたばかりの人や、営業経験のない人にとって、ヒアリングは大きな壁になります。
話をするだけではなく、自社商品・サービスを売らなければならないと考えると委縮してしまい力が発揮できない人もいるでしょう。
この章では、営業ヒアリングのスキルを上げるために実施すべきことを3つ説明します。
トップセールスに同行する
営業成績がトップクラスのセールスパーソンは、営業ヒアリングがうまく、顧客との信頼関係を築いています。
このような営業ヒアリングのスキルを持つ上司や先輩の商談に同行させてもらい、話の聞き方、話し方を学ぶことが大切です。
学ぶとは「真似ぶ」と言いますが、営業ヒアリングの上手な先輩の一挙手一投足を真似て、自分のものにすることから始めると、スキルが早く身に付きます。
商談の後に先輩と振り返りの時間を設けて、アウトプットをするとヒアリング力が身に付くのも早くなります。
もし、可能であれば、上手な人の営業ヒアリングを動画撮影してもらい、繰り返し見て勉強できると、なお良いでしょう。
ロールプレイングを実施する
営業ヒアリングを学んでも、実際の顧客を前にして商談をするのは緊張してうまく話せなくなるものです。
そこで、ロールプレイングで何度も練習するのがおすすめです。
先輩や上司に顧客役をしてもらい、実際の商談と同じ設定でヒアリングを行い、ヒアリングが終わった後すぐに、顧客役をした先輩や上司からフィードバックをもらうことで、スキルアップができます。
ロールプレイングで様々な顧客を演じてもらうことにより、実際の商談で苦しい場面があっても切り抜けやすくなります。
ロールプレイングの様子を動画に撮影して、自分のヒアリングの様子を客観的に見ることで、自分のクセに気づくこともできるでしょう。
営業の本を読む
本屋に行くと、多くの営業に関する書籍が並んでいます。
気に入ったものを1冊読むだけでも、インプットに効果的です。
実践的なスキルは商談の同行やロールプレイングで身につけ、一般的な知識などは書籍から学ぶことができます。
営業ヒアリングのコツを掴んで、営業成績を向上させましょう!
営業ヒアリングの流れと成功させるコツ、営業ヒアリングの学び方について説明しました。
これから営業活動を行う人には、経験を重ねることが営業ヒアリングのスキルを伸ばす最短の道です。
積極的に先輩や上司の商談に同行し、ロールプレイングを繰り返すことで、自然にヒアリングができるようになるはずです。
1人で努力するのではなく、社内もしくは部署内全体で協力し合い、各個人のヒアリングのスキルアップを目指しましょう。
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