
「孫子の兵法」をご存じでしょうか?
日本を代表する武将の一人「武田信玄」も、「孫子の兵法」を参考にしていたのは有名な話です。
また大河ドラマで注目を集めた、豊臣秀吉の軍師「黒田官兵衛」も「孫子の兵法」を学び、戦いに応用していたと言われています。
現代日本でもビジネスという戦いの場で、多くの経営者が「孫子の兵法」を学び、仕事に活用しています。
とはいえ、次のような価値観がある人もいることでしょう。
「孫子の兵法ってなんだか難しそう」
「難易度が高そうだけどみんな勉強しているから気になる」
「孫子の兵法をどうやって組織の成長に活かすか知りたい」
この記事では、孫子の兵法をマネジメントに生かす方法をご紹介します。
孫子の兵法をマネジメントに活用する見方3つ

「孫子の兵法」とは、約2500年前の中国で、軍事戦略家であった孫武によって作成された兵法書です。
兵法書とはどのようなものかというと、
- どのように兵を使うか
- どのような戦略を立てるか
これらのように、戦いで勝利するために必要なことをまとめたものを指します。
しかし、2500年も前に使われていた「勝つための戦略」が、なぜ現代の有名な経営者たちに愛されているのでしょうか。
具体的にマネジメントに応用する見方を3つご紹介します。
①兵法書でありビジネス戦略書
「孫子の兵法」は、2500年前の軍事戦略家「孫武」によって作成された「戰」に勝つための戦略がまとめられたものです。
しかし、この兵法書は現代のビジネスという戰いの場でも活用できる「ビジネス戦略書」でもあります。
ただし、「こうすれば仕事がうまくいく」という答えが書かれているわけではありません。
「孫子の兵法」は、現代の組織でも使える判断基準や組織の動かし方、つまりマネジメント方法のヒントを学べることから、現代のビジネス戦略書として活用ができます。
②組織の見える化
孫子の兵法の中の一説をご紹介します。
「善く兵を用うる者は、道を修めて法を保つ。故によく勝敗の政をなす。」
「戰が上手な人は、うまく政治を行い法を作り、それを守らせる。
「孫氏の兵法」より
これによって軍を統制することが可能となり、
自分の思うままに勝敗を決することができる。」
これは「孫子の兵法」の一節です。一見、全く参考にならなさそうですが、組織を効率的に前進させるために重要な考え方の一つです。
分かりやすく解説すると、「政治を行い法を作る」というのは、現代の組織で言うところ、次のようなものを指します。
- 評価制度
- 評価を得るための明確な基準やルール
- 社内のルール
- 会社としての目標設定
- 目標までの道筋
上記事項を共有することで、社員一人一人が自分で目標達成までに何が必要か、期限までどのように動けば良いかなどを考えることができます。
これが「組織の見える化」です。
③チームを育てる「3非」
善く兵を用うる者は、人の兵を屈するも、戦うに非るなり。
「孫氏の兵法」謀攻編より引用
人の城を抜くも、攻むるに非るなり。
人の国を毀るも、而も久しきに非るなり。
「孫子の兵法」の三篇、謀攻篇にある言葉です。これは、「非戦」「非攻」「非久」と呼ばれ、孫子が戦略を立てる際に基本とした3つの考え方です。
戦いの場だけでなく、現代ビジネスの現場や組織のマネジメント、チーム育成にも非常に有効な考え方です。
争いは避ける
「非戦」つまり「争いは避ける」ことが1つ目のポイントです。
単純に「争いを避ける」という言葉だけでは、勝負から逃げるような印象を受けてしまいがちです。
争いを避けるとは、相手と戦わないで済むように労力を割き、戦いの場を作らず相手から戦意を奪うことで、争いを避け利益を得ることを意味します。
ビジネスで例えるならば、相手が「勝てない」と思う自分だけの得意分野を持つことや相手が同じことをしても勝てない分野を持つことです。
これは、チーム育成の面から考えても同じです。チームとしての強みやそのチームだけの得意分野を作り上げ、争いを避けることは、チームの育成につながります。
相手を攻めない
次に「非攻」つまり「相手を攻めない」が2つ目のポイントです。「相手を攻めない」と言うのは、自分から戦いを挑まないことを意味します。
ビジネスで例えるならば、自分から競合企業をたたきにいくのではなく、自分たちがわざわざ責めなくても勝てる状態を作ることです。
もっと分かりやすく言うならば、相手を攻めることに労力を割くのではなく、自分たちが何もしなくても、相手が勝手に負けている状態になる状態を作ることです。
チームの育成でも、同じことを言うことができます。他の企業やチームを攻めにいくのではなく、チームや個人としての力をつけることに時間や労力を割くことが重要です。
争う時は長引かせない
最後は「非久」です。「非久」を簡単に言うと「争う時は長引かせない」ことを意味します。これが3つ目のポイントです。
「非戦」「非攻」を意識しても。競合他社や別のチームとの争いを避けられない場面もあります。この場合、最も重要なことは、争いを長期化させないことです。
争いが長期化すれば、勝つために必要な予算、時間や労力が、争いを避けていた時に比べて必要となります。その結果、自分も争っている相手も必要以上に疲弊する可能性が高くなります。
争うことが避けられない場合は、争いを長期化させないために自分達が持っている力を一気に使い、短期間で勝敗を決めることが重要です。
また、争いの長期化によるデメリットと相手に勝ちを譲るメリットを天平にかけ、相手に勝ちを譲る方が得だと判断した場合は、負けることも一つの戦略です。
現時点では勝てない場合も、将来勝てるように情報取集や能力の向上を目指すことが得策だと判断することも重要です。
実際、長期間の争いで疲弊し、業務の効率が下がるよりも、短期間で勝敗を決するか、相手に勝ちを譲る方が、チームとしての力をより効率的に使い成長することができます。
組織マネジメントに役立つ風林火山

其の疾きこと風の如く、
「孫氏の兵法」軍争篇より引用
其の徐なること林の如く、
侵掠すること火の如く、
動かざること山の如し。
「孫子の兵法」七篇「軍争篇」の一節です。戦国時代を代表する武将「武田信玄」が、旗指物に記した「風林火山」という言葉は、この一節が元となっています。
「風林火山」という言葉は、大河ドラマのタイトルや小説などでも使われているため、言葉自体は知っていると言う人も多いのではないでしょうか。
この「風林火山」の元となった一節を簡単な言葉に直すと、
「風のように早く、林のように静かに待ち、燃え盛る火のような急激な勢いで攻め、動かずに待つべき時は山のようにどっしりと構えて動かない」という意味になります。
「風林火山」は、組織マネジメントに非常に役立つ考え方です。具体的にマネジメントに活かす方法をご紹介します。
①報連相の速度を上げる
組織を運営する上で非常に重要なことの一つが「報告・連絡・相談」です。
「其の疾きこと風の如く」のように、早い段階での「報告・連絡・相談」が行われることで、上司や経営者に情報が伝わり、計画の修正変更などが素早く行うことができます。
組織内での素早い「報連相」は、組織マネジメントにおいて非常に重要と言えます。
②組織の声を静かに聴く
「組織の声を静かに聴く」ことは、組織の円滑な運営において、非常に重要なことです。ここで指す「組織の声」は、「社員の声」を意味します。
「①報連相の速度を上げる」でご紹介した通り、「報告・連絡・相談」は、組織マネジメントにおいて非常に重要なことです。
同時に「報連相」がしやすい環境を整えることも同じく重要です。
「其の徐なること林の如く」は、部下やチームが声をあげやすい環境を整え、話を遮らずに最後まで聴くこととして当てはめて考えることができます。
自分が話を聞きやすい環境を作れているのか、最後まで話を聴くことができているかを改めて振り返ってみましょう。
③熱量をもって仲間へアピール
「熱量をもって仲間へアピール」することも、組織マネジメントに非常に重要です。
「侵掠すること火の如く」のように、組織には燃え盛る火のような勢いが必要な場面があります。
組織の目標や現在の状況、社員に何を求めているのかなどを共有することで、個人目標や達成するまでの道のりを把握し、トップから期待されていることを自覚させます。
また、組織で求められている自分の役割や期待を把握することで、仕事へのモチベーションをあげ、周囲へ燃え移るかように、チームのモチベーションも上げることができます。
④長期的計画でチームを育成
「動かざること山の如し」も組織マネジメントに生かすことができます。
「動かずに待つべき時は山のようにどっしりと構えて動かない」という意味の「動かざること山の如し」は、長期的な計画でチームを育成する際のヒントとなる考え方です。
チームを育成するためには、チームのメンバー一人一人の成長がかかせません。
そのためには、チームのリーダーが山のようにどっしりと構え、メンバー全員をよく観察し、適切にコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことが重要です。
また、短期的な成長を期待するのではなく、長期的な育成計画を立て、一貫性をもった指導することが重要です。
歴史哲学を活かす三方よし

「孫子の兵法」は歴史哲学の中でも最も有名と言っても過言ではない兵法書です。
ご紹介した通り、「孫子の兵法」は約2500年前の中国で、軍事戦略家の孫武によって「戦いに勝つための戦略」として作られた兵法書です。
しかし、武力による戦いではない「ビジネス」の現場でも、その戦略は生かされています。
その理由は、「孫子の兵法」が単なる戦いだけでなく、戦いと国家の運営についての関係性についても記されていることで、現代でも応用が可能となっているからです。
この「孫子の兵法」をさらに活かすことができる考え方が「三方よし」です。
「三方よし」とは、一般的に「売り手」「買い手」「世間」の三方を指し、この3つが幸せだと思える状態を指します。
世間というと、エコに貢献した活動や社会貢献を意識したものと考える人もいるかもしれません。
しかし、これらよりも重要なことが「従業員」の幸福です。従業員がつらいと感じる状態では、お客様へ幸せを届けることはできません。
社内環境を整え、従業員が幸福を感じる状態で働くことで、組織としてもさらに成長し、利益を生み出し、お客様へ価値のある商品を届けることができます。
これにより「従業員とその家族や関わっている人」「お客様」「自社」の「三方」が幸福になる「三方よし」を実現することができます。
まとめ

「孫子の兵法」を用いた組織マネジメントについてご紹介しました。2500年前に作成された兵法書ですが、現代でも多くの経営者に愛読されています。
しかし、「孫子の兵法」はあくまで2500年前に作成された兵法書です。そのまま現代で活用することはできません。
重要なことは、そのままの内容を暗記するのではなく、応用することやヒントとして活用することです。
また、孫子の兵法をさらに活かす考え方である「三方よし」もご紹介しました。三方よしの考え方は、組織をさらに成長させるためや伸び悩んでいる企業にとってもおすすめの考え方です。
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