
ブランドや商品の魅力を伝えるには、ストーリー性を持たせることが重要と聞いたことがある人は多いでしょう。
共感を得られるストーリーにする上で「神話の法則」が役立つことも知識としては知っている人もいるはず。
一方で、次のように感じたことはありませんか?
- 具体的にどうやって神話の法則を活用すればいい?
- マーケティングに神話の法則を活用するイメージが湧かない
- 神話の法則を活用する実践的を知りたい
今回は、神話の法則をマーケティングで活用する実践的な方法を紹介します。
この記事を読めば、神話の法則をマーケティングで活用する具体的なイメージが湧くでしょう。
ぜひ参考にしてください。
神話の法則をマーケティングに活用するメリットとは?

まずは、神話の法則をマーケティングに活用するメリットについて解説します。
主なメリットは次の3点です。
顧客の「感情」を動かすことができる
神話の法則は、ヒット作となった映画作品やマンガなどでも活用されています。
多くの人が感情を動かされ作品に強く惹かれるのは、古来から受け継がれてきた黄金則をベースに物語が構築されているからです。
ストーリーの真髄である神話の法則をマーケティングに活用することで、顧客の感情を動かすことができます。
人は感情の生き物といわれるように、感情を動かすストーリーには人を動かす力があるのです。
どれほど巧みに商品の長所やブランドの価値を伝えても、感情に響かなければ顧客に印象づけることはできません。
顧客の感情を動かすことができることが、神話の法則をマーケティングに取り入れるメリットといえます。
自分事としてイメージしやすくなる
感情に響くストーリーに触れた顧客は、ストーリーに感情移入し自分事として捉えるようになります。
企業が発信する広告や宣伝の域を超え、「自分にとって重要なテーマ」「自分の人生において必要なこと」と捉えてもらえるのです。
一般的に、人は自分自身のことを第一に考えます。
自分事としてイメージしやすいストーリーにすることで、興味関心を持続的に抱き続けてもらうことにつながるのです。
ブランドメッセージや商品紹介を自分事としてイメージしやすくなることが、神話の法則を活用するメリットといえるでしょう。
企業としての理念や世界観を伝えられる
ブランドメッセージを伝える場合はもちろんのこと、商品紹介においても企業としての理念や世界観を伝えることは非常に重要です。
たとえば、次の商品Aと商品Bが同じ価格帯・機能を備えているとしたら、どちらを購入し続けたいと考えるでしょうか?
- 商品A:良い商品だとは思うものの、どんな企業が販売しているのかよく知らない
- 商品B:フェアトレードを広めたいという創業者の思いが詰まった商品と知っている
顧客にとって商品Bを選ぶことは、フェアトレードを支持することを意味します。
単に商品が安くて使いやすいというだけではなく、社会貢献につながるという購入の動機が商品Bにはあるのです。
企業としての理念や世界観を伝えることで、強力なメッセージを届けられることが神話の法則を活用するメリットといえるでしょう。
神話の法則をマーケティングに活用する実践的な方法

神話の法則をマーケティングに活用するには、ストーリーを構成する各パートに自社を当てはめる必要があります。
各パートで語るべき要素のポイントを挙げましたので、次の項目に従ってストーリーを構築していきましょう。
1.日常生活
どこにでもあるような、ありふれた日常を描くパートです。
多くの人が経験してきたことや共感できる悩みや感情が盛り込まれていると、ストーリーをいっそう身近に感じるでしょう。
大勢の人が抱えている課題や悩みを象徴的に描くのも1つの方法です。
顧客は自分自身の悩みを言い当てられたように感じ、ストーリーに引き込まれていきます。
創業者のストーリーとして伝える場合には、どこにでもいる平凡な人物として描くことが大切です。
特別な人ではないと伝わることによって顧客は「自分と同じだ」と感じ、親近感を覚えるでしょう。
・商品を知る前の顧客の状態を提示する
・多くの人が抱えている課題や悩みを描く
・創業者が事業に携わる以前に何をしていたか伝える
2.はじまり
平凡な日常に変化が訪れ、何かが起きることを予期させるパートです。
登場人物が商品の存在を知り、興味を持ち始めるシーンをイメージするとよいでしょう。
より一般的に、課題解決につながるヒントを登場させるパターンもあります。
顧客は「次に何が起きるのだろう?」と期待を込めてストーリーにいっそうの注意を向けるはずです。
創業者のストーリーを伝える場合は、事業に携わることになった動機を描くのも1つの方法です。
商品が生まれる背景が分かり、顧客が商品に愛着を抱くきっかけを与えることにもなるでしょう。
・商品について情報を得たきっかけを提示する
・課題解決につながるヒントを登場させる
・創業者が事業に携わることになった動機を伝える
3.理解の土台
ストーリーを構成する上で重要なポイントとして、顧客と歩幅を合わせることが挙げられます。
商品がなぜ課題解決に役立つのか、課題解決につながるとなぜ判断したのか、根拠や証拠を見せることが大切です。
顧客が「なぜ登場人物は課題解決に役立つと考えたのだろう?」と疑問を抱いてしまうと、ストーリーに集中できません。
実際に商品を利用して効果を実感した友人がいるなど、具体的な根拠や証拠を提示しましょう。
ただし、商品の効能や機能を直接的に語るべきではありません。
あくまでも「登場人物が見聞きしたこと・経験したこと」の1つとして、さりげなく提示することが大切です。
・商品がなぜ課題解決に役立つのかを簡潔に提示する
・「ダイエットに成功した友人がいる」など課題解決につながる証拠を示す
・創業者が事業を始めるにあたって何から着手したのかを伝える
4.混乱
神話の法則が多くの人を引き込む理由の1つに「リアリティ」が挙げられます。
たとえば、冒険に出ることをためらい、恐怖に打ち克つまでに時間を要したシーンを盛り込む手法が典型例でしょう。
マーケティングに神話の法則を活用する場合も同様で、躊躇や不安を盛り込むことでストーリーが現実味を帯びるのです。
たとえば、商品を使い始めるまでは半信半疑だった素振りを見せることで、顧客が感じた疑義を表現することができます。
創業者のストーリーであれば、事業を始めるにあたって障壁となった要素を伝えましょう。
順風満帆ではなかったことがストーリーのリアリティを強化し、見る人を引き込んでいくのです。
・商品を使い始めるまで半信半疑だった登場人物の様子を見せる
・友人にはできても自分には無理だと感じたなど、気持ちの揺らぎを表現する
・創業者が事業を始めるにあたって障壁となった要素を伝える
5.気づき・発見・変化
人を引き込むストーリーには「起伏」が必要です。
ストーリーが大きく展開していくきっかけとなる気づきや発見、変化を盛り込みましょう。
登場人物が無理だと感じていたのとは裏腹に、商品を活用するのが非常に手軽だったエピソードを伝えるのは効果的な方法です。
あるいは、自分よりもはるかに過酷な状況から課題を解決した人の存在を知り、登場人物の心境に変化がもたらされます。
創業者のストーリーであれば、事業に関する重要な示唆を与えるキーパーソンが登場する場面です。
・登場人物が想像するよりも商品の扱いが手軽だったことを伝える
・かつての友人も自分と同じか、より過酷な状況だったと知る
・創業者に事業のヒントを与えるキーパーソンが登場する
6.現実の課題
ストーリーが印象深いものになるかどうかを決定づける重要なフェーズです。
登場人物が自身の課題に対して本気で向き合い始めるなど、ライフスタイルや価値観に変化がもたらされていきます。
神話の法則では1人の人物にスポットライトを当てるため、登場人物の心境を深く描くことが重要なポイントです。
商品やビジネスとの出会いという副次的な事柄を離れ、登場人物は自分自身の課題の本質に気づき始めます。
ストーリーに触れた人々が理想とするライフスタイルや価値観が表現されることで、ストーリーが普遍性を帯びるのです。
・商品との出会いをきっかけに美容や健康に対して前向きになっていく登場人物の姿を表現する
・友人の存在とは関係なく、自分自身の課題に向き合い始める
・事業が成長していくに従って、人とのつながりや社会貢献に喜びを見いだし始める
7.行動への確信・未来への希望
登場人物は一連のストーリーを通して、「この商品と出会えて良かった」「この事業が自分の天職だ」と感じます。
自身の選択・行動が間違っていなかったことを確信し、より良い未来を描くことにつながっていくのです。
ストーリーに触れた人々にとって、登場人物に訪れた変化は商品やブランドを超えた「体験」となります。
登場人物の身に起きたことを追体験することで、「自分も同じようになりたい」「応援したい」と感じるでしょう。
提示された未来への希望は、顧客自身が「近い将来体験すること」として予言されるのです。
・商品を使い続けたことで効果を実感した様子を描く
・商品を紹介してくれた友人から効果の大きさを驚かれる
・事業に愛着を感じ始め、より良い世の中を作るなどの大義を抱く
8.次への成長ステップ
神話においては、宝を持って帰還したり仲間が復活を果たしたりするシーンです。
マーケティングで活用する場合、商品やブランドがもたらした効果が一時的なものではないことを示す必要があります。
たとえば、登場人物が商品との出会いをきっかけに人生そのものを好転させていくことを予期させるシーンを描くとよいでしょう。
創業者のストーリーであれば、今後いっそう世の中の課題を解決していくであろう頼もしいメッセージを込めることが大切です。
ストーリーは完結するのではなく顧客の手に委ねられ、続きを顧客自身が作っていくことになります。
・商品との出会いをきっかけに外交的になり、仕事もプライベートも好転した様子を描く
・商品を紹介してくれた友人へ感謝の思いを伝え、信頼関係がいっそう厚いものとなっていく
・事業を通じて明るい未来を作っていく道に終わりはないと語られる
神話の法則を創業ストーリーに活用した例

神話の法則を実際に活用した例を紹介します。
オーディオメーカーのBOSEが企業Webサイトに掲載している創業ストーリーの事例です。
神話の法則を活用してストーリーを構成するイメージを強化してください。
日常生活
家族には新品のおもちゃの電車を買う余裕がなかったので、壊れたものを買って自分で修理しました。
これが、モノを修理することへの興味につながったのです。
(「BOSEの歴史」より)
ボーズ博士がどこにでもいる機械好きの少年だったことが語られています。
生家が裕福ではなかったエピソードに、親近感を覚える人は少なくないでしょう。
はじまり
(「BOSEの歴史」より)
少年時代から父親の経営する金物屋の一角を借りて修理サービスを始めたボーズ博士。
BOSE社の原点ともいえるエピソードが紹介され、ボーズ少年の日常に変化が訪れることを予期させます。
理解の土台
(「BOSEの歴史」より)
ボーズ少年がのちにMITの研究者となったことが明かされ、BOSE社の技術がなぜ優れているのかがエピソードから伝わります。
BOSE社がそもそも音響技術の専門家集団であることが示されたことで、理解の土台となっているのです。
混乱
‘会社ってどの会社ですか?一体何の話をしているのですか?’と尋ねると、‘まだ会社はないが始めようと思っている’と言われました。
(「BOSEの歴史」より)
会社の黎明期、事業が急ピッチで作られていったことを象徴するエピソードです。
現在は世界的に知られるオーディオメーカーとなったBOSE社が、最初から順風満帆ではなかったことを伝えています。
気付き・発見・変化
それは他社のスピーカーは音の聞こえ方でなく、音の作り方だけを測定していたことです。
(「BOSEの歴史」より)
BOSE社がなぜ世界的なオーディオメーカーとなり得たのかが示されます。
他社がまだ気付いていなかった盲点を発見し、事業が大きく発展していくきっかけをつかんだのです。
現実の課題
それはボーズがオーディオ製品を製作するためのまさに基礎であり、その歴史は会社の創立にまで遡ります。
(「BOSEの歴史」より)
BOSE社はあくまでも音響に関する技術者集団であり、試行錯誤を重ねてスピーカーシステムを開発してきたことが語られます。
苦労の末に製品が生み出されてきたことを明かし、同社の価値観や世界観を伝えているのです。
行動への確信・未来への希望
(「BOSEの歴史」より)
現在のBOSE社の源流となる製品の開発に成功し、努力が結実したことが語られます。
積み重ねてきた努力が成果となって具現化したことに、多くの人は感銘を受けることでしょう。
次への成長ステップ
しかし私たちの本当の情熱はより優れた新しいソリューションを発見することです。
私たちは「常により良いものを夢に描き、それを実現する方法を考え続ける」会社です。
(「BOSEの歴史」より)
BOSE社の挑戦には終わりがないことが示されます。
同社が今後ますます成長し、優れた製品を提供していく未来を予感させるのです。
まとめ
神話の法則をマーケティングに活用する具体的な方法について解説しました。
神話の法則は魅力的なストーリーの土台として多くの企業が活用し、成功を収めています。
ただし、マーケティングに活用する際にはストーリーの構成に込められた意味を理解し、十分に効果を引き出すことが大切です。
ぜひ今回の記事を参考に、神話の法則をマーケティングに活用してみてください。

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