
「PDCAがいつも失敗に終わる」
「サイクルを回すだけで疲弊する」
「経営に課題を感じている」
経営者やチームリーダーの方は、このようなお悩みを抱えることが多いのではないでしょうか。
PDCAサイクルは業務を効率化するために活用されるフレームワーク。サイクルがうまく回らないのは、失敗要因が認識できていない可能性があります。
この記事ではPDCAサイクルについておさらいし、各フェーズごとの失敗要因と対策方法を紹介します。課題発見に活用できるPDCAサイクルについても触れています。
ぜひ最後まで読んで、自社ならではのイノベーションを生み出すためのヒントにしてください。
PDCAとは「問題解決につなげるフレームワーク」

まずはPDCAサイクルについて簡単におさらいします。すでにPDCAを取り入れている方も、もう一度確認していきましょう。
PDCAサイクルとは業務を効率化させるためのフレームワーク。計画に基づいて実行し確認と改善を行うモデルです。
PDCAは以下4つの要素から構築され、各フェーズの頭文字を取って呼ばれています。
- Plan(計画):目標・ゴールを設定し仮説を立てる
- Do(実行):施策を実行する
- Check(確認・検証・評価):実行を確認・検証する
- Act(改善):課題を発見し改善する
4番目のAを行ったあとは最初のPに戻り、サイクルを回していきます。
PDCAはビジネスだけでなく、個人の成長にも活用できるフレームワークです。プロジェクトの推進、チームマネジメントに取り入れられています。
しかしPDCAにはメリットだけでなく、問題点もあります。くわしく見ていきましょう。
PDCAを取り入れるメリット
PDCAを取り入れるメリットは、以下の3つです。
- 目標が明確になる
- 業務を効率化・改善できる
- 課題を発見しやすい
目標が明確になる
PDCAでは最初のPlan(計画)の段階で目標、課題を設定します。そのため向かうべき目標を可視化することが可能です。
このプロセスを繰り返すことが、成果につながります。目標を掲げることで、達成するために「足りないものは何か」「現状と目標の差異」を認識しようとするでしょう。具体的な施策が講じやすくなる点もPDCAのメリットです。
業務を効率化・改善できる
PDCAは元来、製造工程における改善手法として用いられたモデルです。正しく活用できれば確実に業務の効率化、改善ができるでしょう。
改善するためにはロジカルに仮説、課題を抽出することが重要です。
論理的な仮説を立てる方法は、以下のものが挙げられます。
- ロジックツリーで深掘りする
- 業務プロセスを細分化する
- 5W3Hを活用する
目標を達成するために「何が原因でうまくいかないのか」を考え、仮説を立て、実行を繰り返すことが改善につながるのです。
課題・問題点を発見しやすい
PDCAの3つ目のメリットは、課題を発見しやすい点です。
Plan(計画)の段階では、数値をもとにした定量的な測定により目標を設定します。その後実行や確認を行うことで失敗したこと、うまくいったことが明らかになるでしょう。
目標と現状の差異が明確になることで、今後の課題・問題点が浮き彫りになるのです。
PDCAの問題点
PDCAにはメリットばかりでなく、以下のような問題点もあります。
- 本来の目的を見失う
- スピードと柔軟性に欠ける
- イノベーションが生まれにくくなる
本来の目的を見失う
PDCAは一定の時間をかけ、サイクルを回すことで改善していくフレームワーク。しかし1つのサイクルに時間をかけているうちに、「回す」という感覚が置き去りになってしまうことがあるのです。
たとえば2回目以降のサイクルで目標、課題を設定せずにPDCAサイクルを回すようなケースが挙げられます。おもに長期的なプロジェクトを進めているときに起こりやすくなるため、注意しましょう。
Plan(計画)だけを行っている場合も同様です。実行した内容が評価、改善されないままでは、いつまで経ってもプロジェクトが刷新されません。
PDCAサイクルは目的ではなく、手段の1つ。PDCAサイクルそのものを目的とせず、本来の目標を忘れないように取り組むことが大切です。
スピードと柔軟性に欠ける
スピードと柔軟性に欠けることが、PDCAサイクルにおける問題点の1つです。
PDCAサイクルは改善すべき要素を加えながら、結果を積み重ねることで目標を達成するためのフレームワーク。しかし現代は先行きが不安定で、将来の見通しが難しいVUCA時代です。
PDCAサイクルは、激しく移り変わる外部環境の変化を想定していません。これが「PDCAサイクルが古い」といわれる理由です。
スピードと柔軟性を重視するのであれば、OODA(ウーダ)ループという手法をおすすめします。OODAループは、社員の意志決定に重きを置き、激しい状況変化への対応を可能にするフレームワークです。
PDCAとの違い、OODAに関してはこちらの記事を参考にしてください。
イノベーションが生まれにくくなる
PDCAサイクルは新たな市場への参入、新商品の販売など、未知の領域に踏み込む場合は不向きです。
前述したように、PDCAは製造工程における改善手法の1つ。PDCAサイクルは前例ありきのフレームワークです。おもに適切な数値、アプローチを探る方法として活用されます。
既存商品のアップデートを既存顧客に訴求したり、製造コストを低減したりするような目的であれば、有用といえるでしょう。
しかし前例となるデータがない場合、仮説を立てることが難しくなります。もし新規開拓を目的とした場合は、PDCAサイクルではなくOODAなどのフレームワークを活用するとよいでしょう。
PDCAサイクルの失敗要因・各フェーズの対策ポイント

ここでは、PDCAサイクルの失敗要因を解説します。サイクルがうまく回らないのは、各フェーズのどこかに問題が隠れている可能性が高いでしょう。
- Plan(計画):現時点で最も精度の高い計画を立てる
- Do(実行):データ収集に力を注ぐ
- Check(確認・検証・評価):フォーカスタイムを設ける
- Act(改善):優先順位を決める
これから紹介する対策を取り入れ、目標達成に向けてPDCAサイクルを回していきましょう。
Plan(計画)の失敗要因・対策|現時点で最も精度の高い計画を立てる
PDCAサイクルの失敗に要因には、Plan(計画)の段階から問題が生じている可能性があります。
たとえば、以下のような問題です。
- 慎重に計画を立てるため、Do(実行)まで時間がかかる
- 計画が定まらず、充分に検証できない
「失敗してはいけない」と思い込み、計画だけに時間を費やすと、実行まで時間がかかってしまいます。実行できなければ、後に続く検証、改善のフェーズに進むことができません。
一方で感覚を頼りに行動してしまい、計画が不十分になるケースもあるでしょう。結果的として実行した内容を検証する際に、比較できるデータが揃わず、課題が分析できなくなります。
Plan(計画)では、現時点で最も精度の高い計画を立てることが重要です。
以下の3つを意識し、計画を立ててみましょう。
・目標を達成するための課題は何か
・解決するためには何をどうすればよいのか
計画の立案に時間がかかるのであれば、上記3つをクリアしてから実行するとよいでしょう。計画が定まらない場合は、上記の3つが明確になってから実行することをおすすめします。
Do(実行)の失敗要因・対策|データ収集に力を注ぐ
Do(実行)のフェーズが失敗する原因は、以下の3点が考えられます。
- 計画が実行できる状況に達していない
- 実行の記録が曖昧になっている
- 計画を完璧に進めようとしている
アバウトな計画では、実行に移すことが難しくなります。そもそも曖昧な計画のままでは、実行することができません。この場合は、前段階のPlan(計画)に戻り、見直すとよいでしょう。
実行の記録を残していないことも失敗要因の1つです。プロジェクトの推進に集中するあまりデータの記録を怠ると、次のプロセスであるCheckで問題が生じます。実行した内容は成功、失敗に関わらず、記録しましょう。
計画を完璧に進めようとすることも失敗要因となります。計画はあくまでも仮説。プロジェクトが計画どおりに進まないこともあります。実行してみなければ課題が洗い出せず、目標を達成することができません。
Do(実行)では万が一失敗しても、仮説を改善することが重要。早めに実行し、PDCAサイクルを回すことが目標到達への近道です。
Check(確認・検証・評価)の失敗要因・対策|フォーカスタイムを設ける
Check(確認・検証・評価)の段階で失敗する原因は、以下の2点が挙げられます。
- 検証・評価ができていない
- 明確な基準を設けていない
しっかりと計画を立案しても、検証、評価がないがしろになっているケースが考えられます。
PDCAは4つの要素を回すことを前提としたフレームワークです。計画を実行できたとしても、評価が疎かになると次の段階であるAct(改善)まで進めず、目標達成が遠のいてしまいます。
もし実行した内容に対する評価ができていない場合は、評価の時間を設け、計画に加えるとよいでしょう。
また明確な評価の基準を設けていない場合も、Checkで失敗しやすいといえます。
Checkのフェーズでは、綿密な評価軸が必要となります。評価軸がなければ、どのような行動が結果につながったのか不明瞭になるからです。
大切なのは「目標が達成できたか、できていないか」という簡易的なものではなく、数字を用いて評価すること。Plan(計画)で設定した定量目標と比較し、目標に近づいたか否かをしっかり見極めましょう。
Act(改善)の失敗要因・対策|優先順位を決める
Act(改善)の失敗要因として挙げられるのは、以下の2点です。
- 改善点が見つからない
- 改善案が適切ではない
何度もPDCAサイクルを繰り返していると、徐々に改善すべきことが何なのかわからなくなることがあります。改善点を見つけ出さなければ、次のPlan(計画)に進めません。
これまで見ていなかった点に着目し、優先すべき課題を明確にすることをおすすめします。目標の設定や課題の方向性、Do(実行)に取り入れなかった内容など、あらゆる観点から着目し、見直しましょう。
優先順位を決め、できる限り多くの案から改善策を導き出すことが重要です。
課題の発見・解決には「PPDACサイクル」がおすすめ

PDCAサイクルがうまく回らず、業務効率化が成功しないのであれば、PPDACサイクルを試してみてはいかがでしょうか。
PPDACサイクルとは課題を発見、解決するために有効なフレームワーク。統計などのデータを利用し、事象を中立、公平にとらえることで、客観的な分析が可能になります。
以下、5つの要素から構築されています。
- Problem(問題・課題の設定)
- Plan(調査・分析の計画)
- Data(データ収集)
- Analysis(情報分析・整理)
- Conclusion(結論)
さっそく見ていきましょう。
1.Problem(問題の明確化)
問題を理解、明確化するフェーズです。ここでは目標を設定し、クリアすべき課題を考えましょう。課題から問題の構造を明確にすることが重要です。
たとえば目標を達成するには次のような課題が上がりがちです。
「何名の来客が必要なのか」
「売上はいくら必要なのか」
このような評価の基準となる数値を決めることが大切です。
2.Plan(調査の計画)
ここでは調査の概要を設定します。目標達成のためには「どのような情報を収集すべきか」「何をどのように実行すべきか」など、必要となるデータを絞りましょう。
PDCAのPとほぼ同じですが、仮説を立てるだけでなく、仮説を検証するための分析計画も同時に立てることがポイントです。
3.Data(データ収集・整理)
Data(データ収集)では、過去のデータや統計資料などをもとに情報を収集します。
ここでのポイントは、データの正確性や信頼性を意識すること。集めたデータをカテゴリ分けし、整理することもこのフェーズで行います。
4.Analysis(分析)
前段階で収集したデータを分析するフェーズです。データの特徴を捉えることを意識して分析しましょう。
ここでも具体的な数値に表すことが重要です。
具体的には次のようなものです。
- 平均値
- 中央値
- 最頻値
これらを分析し、それぞれの違いをまとめます。
代表値だけでは、全体像をとらえることが困難です。それぞれの値のバラつきを分析し、どれほどの散らばりがあるのか把握しましょう。これによりデータの全体像を捉えることが可能になります。
5.Conclusion(結論・新たな課題)
分析結果をもとに、最初に立てた仮説に対して解釈、判断するフェーズです。データを統計表にまとめ、全体像から結論を導き出します。
ここでのポイントは、データの全体像から問題の解決策を見つけ出し、施策、改善策へと落とし込むことです。
PDCAと同様に、PPDACもサイクルを回すことが重要です。一度のサイクルで問題が解決できるとは限りません。最初のProblem(問題の明確化)に戻り、サイクルを回しましょう。
まとめ

PDCAサイクルにはメリットとデメリットがあります。それぞれを把握してサイクルを回すことで、より目標に近づくことが可能です。
PDCAがうまく回らない原因は、4つのフェーズのどこかに問題が隠れている可能性が高いでしょう。問題を見つけ出し、解決するためには、各フェーズの見直しが必要です。
PDCAサイクルと同様に、PPDACもサイクルも見直し、改善を繰り返すことで成果が生じるもの。自社の課題を発見、改善し、イノベーションを生み出しましょう!
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