
- 「バリューチェーン分析ってなんだろう?」
- 「そもそもマーケティング活動で役立てることはできる?」
- 「意味はわかるけど、実際に分析する時のステップを知りたい!」
このように思われていませんか?
バリューチェーン分析は、自社の利点や欠点を洗い出し把握することができます。
そのため、競合優位性を高めることが可能になり、マーケティング活動で役立てることができます。
今回は、バリューチェーン分析について解説し、メリットや分析をするための4つのステップもご紹介していきます。
バリューチェーン分析とは?

バリューチェーン分析とは、直訳すると「価値の連鎖」という意味になります。
事業が資材の調達、商品やサービスが消費者に届くまでの一連のプロセスのなかで「どこに価値(Value)があり利益を生み出すには、どこに目を付けるべきか」を分析するフレームワークのことです。
例えば、
■ その意図や過程を経て、どれくらいコストがかかり、どれくらいの顧客に商品の価値提供ができ、貢献ができているのか。
■ どの活動に付加価値を見い出すことで、現在よりも利益が最大化するのか。
このように、事業活動を細分化する(主活動と支援活動に分ける)ことで、事業の利点・欠点を洗い出し把握することができます。
事業の利点を把握することは、差別化戦略の構築を簡単にすることができるため、マーケティング活動で役立てていきましょう。
「主活動」と「支援活動」とは?
バリューチェーン分析を行なっていく際に、事業を「主活動」と「支援活動」に分類します。
- 主活動:商品が消費者に提供するまでの一連の流れに直接関係する活動のこと。
- 購買の物流 ➡︎ 製造 ➡︎ 出荷の物流 ➡︎ 販売・マーケティング ➡︎ サービス
- 支援活動:主に主活動を支える活動のこと。
- 調達の活動 ➡︎ 技術の開発 ➡︎ 人事・労務管理 ➡︎ 会計(消費者に直接関わらない活動)
※ 事業内容によって「主活動」「支援活動」の内容は変わってきます。
“主活動”と“支援活動”に分けることで、自社の活動を見える化することが可能になり、視覚的に整理することができます。
視覚的に整理することで「どこで消費者に価値提供ができているのか」「どこでどういった活動が利益を生み出しているのか」といった“どこで・なにを”を明確にすることができます。
バリューチェーン分析のメリット

そもそもバリューチェーン分析の目的は、
- 自社だけではなくライバル店がどのような活動しているか予測する
- 優先順位が高い「課題の抽出」
- 差別化戦略の構築の手助けをし、競合優位性を高めること
このような、さまざまな目的があります。
ここからは、バリューチェーン分析を実施することで得られる長所についてご紹介していきます。
またもしも、バリューチェーン分析における別の視点に興味ある方は、こちらの記事もおすすめです。
自社の利点や欠点の洗い出しができる
バリューチェーン分析のメリット1つ目は、自社の利点や欠点の洗い出しができることです。
自社活動の一連のプロセスのなかで、自社の利点や欠点を洗い出し見える化することで、得意なことで勝負することができるとともに、利益の最大化につなげることができます。
また、自社の欠点を見える化し、それを補うために何ができるのかを考察していくことで、競合優位性を高めることができます。
ライバル店の戦略情報を得ることができる
バリューチェーン分析のメリット2つ目は、ライバル店の戦略情報を得ることができます。
事業を展開するにあたり、市場全体の変化予測だけではなく、ライバル店の戦略を予測し対策を練っていくこともとても重要になります。
よって、バリューチェーン分析を行うことは、ライバル店や競合店も対象にすることで、将来どのような戦略を展開していくのかといった情報を入手し予測することができます。
バリューチェーン分析を行う場合に競合やライバル店を含み分析することで、その結果から「自社のどこのプロセスに注力していけば、さらに付加価値を高めることができるのか」の見極めが簡単になります!
費用対効果を高めることが可能になる
バリューチェーン分析のメリット3つ目は、費用対効果を高めることが可能になることです。
バリューチェーン分析は、自社活動の一連のプロセスを見える化し細やかなところまで認知することができるため、経営に必要となるコストの分配が効率的に行えます。
つまり、無駄を省くことが優位になり「コストカット」作業の能率を向上させることができるということです。
さらに、バリューチェーン分析によって付加価値を定かにすれば、“先にやるべきプロセス”と“後にやるべきプロセス”を見定めることができます。
それにより、過剰に費やしていた経営資金などを見直すことができるため、費用対効果を高めることが可能になります。
バリューチェーン分析4つのステップ

バリューチェーン分析は、事業や会社に対して最大限に利益を生み出すために必要となる重要なフレームワークです。
それを正しく活用するためにはバリューチェーン分析を構成している4つのステップを適切に踏んでいくことが必要です
ここからは、バリューチェーン分析の4つのステップを解説していきます。
ステップ1|バリューチェーンを図で書き出しする

バリューチェーン分析1ステップは、バリューチェーンを図で書き出しすることです。
見出し「主活動と支援活動とは?」で解説したように、主活動と支援活動を画像のように項目を見える化し、自社活動の実際のプロセスに合わせて項目を並べていきましょう。
上記のように図で書き出しすることで、自社の活動を全体を視覚的に整理することができます。
ステップ2|各項目ごとに経費を把握する
バリューチェーン分析2ステップは、各項目ごとに経費を把握することです。
ステップ1でバリューチェーンを図で書き出したら、『項目の名称(活動内容)』、『担当部署名』、『年間コスト(月間コスト)』を1つの図にまとめましょう。
この作業を行うことで、全体の経費を把握するだけでなく、社内で社員等に情報の共有が効率的に行えます。
さらに、1つの部署が多数の項目に関わっている場合は、部署ごとの売上比率や項目の活動の比率なども洗い出すことで、按分(あんぶん)処理をする際にも役立てることができます。
ステップ3|各項目ごとの利点・欠点を分析する
バリューチェーン分析3ステップは、各項目ごとの利点・欠点を分析することです。
分析していく際に、ライバル店の利点・欠点も分析しておくことで、次のステップを踏みやすくなります。
また、バリューチェーンを実施する人だけが独断で利点・欠点を抽出するのではなく、できる限り多くの人に話を聞くことで、情報を正確にまとめることが可能になります。
項目 | 評価の例 |
---|---|
購買の物流 | ・いいタイミングで適切な数量の原材料や資源を確保できているのか ・原材料などの品質を確保できているか ・部品メーカーに対しての交渉力の有無 |
生産・製造 | ・受注から納品までにかかる時間が適切か ・不良品率を下げることができないか ・国内・海外生産拠点の数と生産規模の見直し ・独自の技術やスキルを有効活用してるか ・生産技術力や量産技術力の見直し |
出荷の物流 | ・商品の品質を下げずに消費者に届けることができているか ・商品完成から発送までの時間の長さの見直し ・独自の物流の有無 ・アウトソーシングが活用されているか |
販売・マーケティング | ・営業マンが自社商品の魅力をしっかりと理解できているのか ・営業マンが自社商品の価値を認めているか ・広告宣伝の費用対効果はどれくらいか ・最適な販売経路(チャネル)を持っているか ・成約率やリピート率を最大化できているか ・コピーライティング力 ・営業マニュアルや販売促進ツールの制作・見直し |
サービス | ・コールセンターの有る無し(混雑状況の把握・改善) ・オペレーターの対応力 ・チャットbotや問い合わせフォーム(電話対応以外)の有る無し ・サポートに対する消費者満足度はどれくらい? ・応対マニュアルやクレーム対応マニュアルの見直し ・修理料金、出張料金等の価格設定の見直し |
ステップ4|VRIO分析(ブリオ分析)
バリューチェーン分析4ステップは、VRIO分析(ブリオ分析)をすることです。
➡︎ 経営目標の達成に有効な価値か?
【 Roreness (希少価値)】
➡︎ 滅多にない価値のあるものか?
【 Imitability (模倣可能性)】
➡︎ 競合に真似をされない工夫や技術があるか?
【 Organization (社会体制)】
➡︎ 組織全体が希少価値に賛同し、最大限に活かせる体制が整っているのか?
VRIO分析とは、欧米の経営学教授のジェイ・B・バーニー(Jay B. Barney)が提唱し、経営戦略の決断を行う場合に使用するフレームワークのことです。
VRIO分析は、各項目の利点を洗い出し、さらに項目の利点の「質」を見極めるために行なっていきます。
VRIO分析の結果に基づき、「事業戦略」や「経営戦略」を構築するときに、競合他社のバリューチェーン分析の結果も同時に分析してみましょう。
そうすることで、先見性のあるマーケティンング戦略を組むことができます。
VRIO分析(例)|ファッション業界
バリューチェーン | 自社の経営資源の特徴 | V | R | I | O | 競争状態 |
---|---|---|---|---|---|---|
製品企画 | 有名ブランドのコラボで自社だけの特別な製品企画 | ◎ | ◎ | ◎ | ◯ | 持続的な競争優位 |
原材料調達 | 多数のメーカーから材料調達が可能 | ◎ | ▲ | 競争均衡 | ||
製造 | 自社の工場で製造 | ◎ | ▲ | 競争均衡 | ||
マーケティング・営業 | LP広告などオンライン広告とSNS広告を連動させCV率を向上 | ◎ | ✖️ | 一時的な競争優位 | ||
カスタマーサポート | アフターサービスを充実させ、リピート率を高めることに成功 | ◎ | ◯ | ◯ | ◯ | 継続的な競争優位性 |
自社が生み出す価値を最大化するためには、VRIOの4つの要素が全て「◎」状態が理想とされています。
上記のように、各記号に点数を設けて合計点を出すことによって、項目の持つ強みを可視化することができます。
例:『◎(3点)○(2点)、▲(1点)、✖️(0点)』
「✖️」「▲」が付いた要素は、なにが不足しているかを分析し、それを補っていくために事業の価値を高めていきましょう。
また、バリューチェーン分析と合わせて、こちらの分析方法もおすすめです。
バリューチェーン分析の成功事例

ここからは、バリューチェーン分析の成功事例をご紹介していきます。
ユニクロ(株式会社ファーストリテイリング)

ユニクロの価値提供は、「人々がどんな服でもコーディネートしやすいベーシック・カジュアル衣料を高品質かつ低コスパで提供すること」です。
その価値を提供するために、各活動を一貫して自社でコントロールする垂直統合(製造小売業)の仕組みを採用しています。
工場や海外の取引先と協業が安定していることで、長期的に価値を提供するビジネスモデルの成功例といえるでしょう。
一過性のトレンドだけにとどまらず、顧客の潜在意識にあるニーズに届く商品開発を徹底。
■ 商品の製造
自社の製造工場を持たず、縫製をパートナー工場に委託。(人件費削減)
■ インバウンド物流
海外工場で生産。製品自体は、日本の倉庫で管理されている。
■ マーケティング・販売
新商品は、率先してテレビコマーシャルを活用。
■ 人事管理
セクションごとにポジショニングを設ける成果報酬モデルを起用している。
■ 全般管理
無駄なコストの削減を徹底。全従業員が経営を実践する「全員経営」を理念としている。
Apple

MacBookやiPhoneを提供している「Apple」。
Appleは、自社だけで全てのバリューチェーンの管理をしながら、顧客ロイヤリティを高めています。
- 自社で製品開発
- 自社が選定した工場でのみ製造
- 各国のキャリアと個別で契約
- キャリアや販売会社から販売する
- 独自のアプリをストアで販売する
- アフターサービスを徹底
このように、製品のクオリティだけではなく、販売元や独自のアプリ開発などを行い付加価値を高めながら、顧客に製品を提供しています。
まとめ
バリューチェーン分析とは、事業活動の一連のプロセスの流れを「価値連鎖」として捉え、その価値を提供できているか分析していくことです。
バリューチェーン分析を行うことで、成功事例の「ユニクロ」「Apple」のように付加価値を見い出し、顧客に商品やサービスの価値(value)を、より効果的に提供することができます。
バリューチェーン分析を通じて、今後の事業展開や新しい価値創出につなげていきましょう。
そして、さらに深く分析方法を身に付けたい方や、マーケティング戦略を学ばれたい方は、こちらのセミナーがおすすめです。
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