
事業をより効率的・効果的におこなうにはKPIの設定が重要です。KPIとは「最終目的のための指標」を指します。採用活動の成功においても、KPIを定めることは有効です。
とはいえ、いざ実施しようとすると「KPIの決め方が分からない」と戸惑う経営者もいるのではないでしょうか。
この記事では、採用におけるKPIの目的やメリット、設定手順やポイントなどを解説します。
採用活動を成功させたい経営者や採用担当者は、ぜひ知っておきたい内容です。
採用におけるKPIとは?設定する目的

まずはKPIの背景や目的を解説します。
KPIとは何?
KPIとは日本語で「重要業績評価指標」などと訳します。英語の「Key Performance Indicator」の略語です。
どんなビジネスにも最終的なゴールがありますが、前段階として達成すべき各プロセスが存在します。その各プロセスのゴールを達成できたか否か?の基準となる数値です。
現状や進捗などが客観的に分かり、改善策や施策を立てやすいなどのメリットがあります。
KPIの前に必要なKGIとは
KPIには、先にKGIを決めることが必須です。
KGIとは日本語で「重要目標達成指標」などと訳します。英語の「Key Goal Indicator」の略語です。
最終的なビジネスのゴールを数値化したもので、ゴールを達成できたか否か?の基準となる数値を指します。
例えばビジネスの最終的なゴールが「売上1,000万円」で、逆算して「顧客契約数500人」が必要だとすると、
- KGI=「売上1,000万円」
- KPI=「顧客契約数500人」
にあたります。
事前に最終的なゴール(KGI)を決めることにより、達成のための前段階のゴール(KPI)が設定できるのです。
KPIを設定する目的
KPIを設定する目的は、KGIを確実に達成するための課題を見える化することです。
ゴールを具体的に数値化するため、「何をすれば達成できるか?」が誰でも理解できます。そのため、明確な改善策や施策が立てられるのです。
採用KPIの例

採用活動でのKPIとは、どのような指標なのでしょうか?
企業によって変わりますが、採用KPIの例を参考に紹介します。
【採用KPIの例】
- 企業説明会やイベントの参加人数
- 応募者の人数
- 書類選考を通過した人数
- 面接の設定数
- 面接を通過した人数
- 採用費用
- 内定を承諾した人数
- 内定を辞退した人数
採用KPIを設定する3つのメリット

採用戦略として、KPIの設定によるメリットを3つ紹介します。
1.採用活動を効率良くおこなえる
具体的にやるべき業務のゴールを数値化するため、「何をすべきか?」が一目瞭然になります。
そのため採用担当の部署内はもちろん、部署外での業務の進捗報告やコミュニケーションなどもスムーズになるのです。
すると、ゴール達成のための施策が立てやすくなります。
また、各業務の進捗を数値で見える化できるため、採用コストの費用対効果が確認しやすくなり、コストカットも可能になります。
2.採用活動における課題や改善策が明確になる
KPIが達成できなかった場合は、課題や改善点がわかります。
また、KGIの設定で最終的なゴールも明確にするため、軸をぶらすことなく社内全体で方針や施策、改善策を立てられるのです。
「何をすればよいのか不明」という状態をなくすことができ、無駄なく採用の成功に近づけます。
3.必要としている人材や必要な活動が認識できる
採用活動の成功には、自社がどんな人材を求めているのかを社内で共有しておくことが重要です。
自社にマッチした人物を採用しなければ、いくら内定者数が増えたとしても、内定辞退率や離職率が高まるリスクがあります。
KPIの設定プロセスにて求める人物像がはっきりするため、ミスマッチを防ぐことに繋がります。
採用KPIの設定手順を紹介

ここまで読み「採用KPIを設定したい」と感じられた経営者や採用担当者の方も多いのではないでしょうか。
以下では、設定の6つのステップを紹介します。
①現状や課題・目的を把握
まずは、採用活動の課題や目的を把握しましょう。
採用の最終ゴールの設定にあたり、
- 現在の採用活動でどんな課題があるのか?
- どんな人が応募して欲しいのか?
- より効率化できる作業がないか?
などを各採用担当者で話し合い、社内で言語化しておくとスムーズです。
②KGIを設定
最終的なゴールとなる、採用KGIを設定します。
採用KGIの設定にあたり、
- 応募者の人数(量)
- 応募者の質
のうち、自社がどちらを重視するのか?をふまえて設定するとスムーズです。
③過去の採用データを分析
自社の過去の採用データを分析しましょう。
分析するときは、求人票、採用サイトなど各採用手段に「歩留まり率」を算出するとKPI設定時に役立ちます。歩留まり率とは、各採用過程に対する採用候補者の割合です。
【採用の歩留まり率の例】
- 書類選考通過率=書類選考通過者数÷応募者数×100
- 面接通過率=面接通過者数÷書類選考通過者数×100
- 内定率=内定者数÷面接通過者数×100
採用手段の特徴をふまえて、各採用KPIを設定するとよいでしょう。
④KGIをふまえて採用KPIを設定
手順②で設定した採用KGIを基準に、採用KPIを決めます。
自社の採用活動で「応募者の人数」を増やすこと重視したい場合は、
- 面接設定率
- 面接者数に対しての入社率
をメインのKPIにするとよいでしょう。
「面接設定率」は応募者との面接の機会を計る指標です。「面接者数に対しての入社率」は応募者に入社してもらえるような活動(面接)だったか?の指標になると考えられます。
「応募者の質」が良いことを重視したい場合は、
- 面接設定率
- 内定承諾率
をメインのKPIにするとよいでしょう。
質を重視する場合、「面接設定率」=選定された応募者と出会う機会です。そのため、面接設定率の割合を高めることが1つの指標だと考えられます。
「内定承諾率」も同様に「選定された応募者をいかに自社への内定を承諾させるか?」が重要になるのです。
⑤KPIツリーを作成し、採用手段別にKPIを設定
メインのKPIを設定後、各採用業務にKPIを決めましょう。手順③で算出した、採用業務ごとの歩留まり率を参考に設定します。
また、設定時にはKPIツリーを作成すると便利です。
KPIツリーとは、採用KGIを基点にし、採用KPIとの関係をツリー形式にまとめた図を指します。マインドマップなどを利用するのもよいでしょう。
図で表すことで、各業務のゴールや関連性がわかりやすく、社内での共有がしやすいというメリットがあります。
失敗しない!採用KPIの設定ポイント

KPIの設定にはコツがあります。以下のポイントを知っておかなければ、効果の出ない活動になってしまうリスクも。
失敗を防ぐポイントを解説します。
達成できるKPIと期限を設定する
実際に達成できるKPIと期限を決めましょう。
「目標や理想は高い方がよい」と思うかもしれませんが、実現不可能なKPIだと、設定の意味がなくなります。また、採用担当者のやる気を削いでしまうことにも繋がりかねません。
実現可能であるように、KGIから逆算して期限を設けるのもよいでしょう。
誰でも理解しやすく、計測できるKPIを設定する
誰もが理解・計測可能なKPIにしましょう。
あいまいな表現、計測の難しいKPIだと担当者以外が見るとわかりにくいことも。すると課題や改善策の発見ができず、KPIを活かせないリスクがあります。
KPIは誰でも理解できる、具体的な数値であることを意識しましょう。
採用の成功に必須!採用KPIの設定後にすべきこと

採用の成功には、KPIの設定後の活動が重要です。
KPIの設定後にすべき活動を紹介します。
KPIを達成できなかった原因を探り、改善策を考える
採用KPIを達成できなかった原因を探り、改善策を考えましょう。
KPIは設定したら終わりではありません。必ず振り返り、達成できたか否かをチェックしましょう。振り返りの期限を設けるのもよいです。
また達成できなかった原因をもとに改善策を考えるときは、競合他社の採用活動を分析するとよいでしょう。同じような採用業務をおこない、上手くいっているならば改善のヒントになるかもしれません。
採用データをエクセルや採用管理システムにて管理
採用活動で発生したデータは、エクセルや採用管理システムを用いて適切に管理しましょう。
採用活動では、応募者のデータや面接のスケジュール、内定通知の送付など多数の業務やデータが発生します。適切な手段でスムーズに管理できなければ、応募者に迅速な対応ができなかったり非効率な業務になったりするリスクがあります。
すると、採用活動に悪影響を及ぼすことが考えられるのです。
社内で円滑なデータ管理ができているかを振り返り、必要に応じて採用管理システム(ATS)の導入も検討しましょう。
採用KPIの数値はリアルタイムで確認・改善する
設定したKPIは、都度チェック・改善しましょう。
設定後、リアルタイムに数値を振り返ることで、現状や課題の把握や改善が早くなります。
数値は定期的に更新・修正して社内で共有し、効果的な活動をしましょう。
まとめ

採用のKPIとは、採用の最終目的達成のための指標です。
KPIの設定で、より効率的・効果的な採用活動が可能になり、課題や解決策がわかるといったメリットがあります。
今回のKPIの設定手順やポイントを参考に、採用を成功させましょう!
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