
採用活動の中で「募集をしても応募がない」「内定辞退が続き困っている」などと悩む経営者もいるでしょう。
最近では、こうした問題の解決策となる「採用CX」の考えが着目されています。
採用CXとは「応募者が企業を知り、入社するまでの体験」を指します。採用の現場では、応募者の行動を深く理解した施策が効果的です。
この記事では「採用CX」をテーマに、採用に重要な理由やメリット、改善ポイントを解説します。採用で悩む経営者は、ぜひ知っておきたい内容です。
採用CXとは?現在の採用で重要な理由

まずは、採用CXの概要や重要な理由を見ていきましょう。
企業の採用担当者は必見!採用CXとは
採用CXの「CX」は英語の「Candidate Experience」を表し、意味は「候補者体験」です。
つまり、採用の場における入社候補者の一連の行動や体験を指しています。採用の一連の行動や体験とは「候補者(応募者)が企業を知り、応募、採用試験・面接、内定、入社するまで」です。
候補者の一連の動きに着目し、「入社までの過程で自社に好印象を抱いてもらえることが、採用の成功に効果的」と考えられています。
候補者が好印象を抱くポイントは人によりますが、例えば企業への問い合わせに対する返信の早さや面接時の対応、内定後のフォローなどです。
こうした活動の質を高めることが、応募者の増加や優秀な人材の獲得など企業の発展に繋がると考えられるのです。
採用CXが重要視されている理由
採用CXはなぜ重要なのでしょうか?理由は現在の社会状況にあります。
インターネットやSNSが浸透しているから
現在は、新卒や転職希望者向けの企業紹介サービスサイトやSNSなどが発達しています。検索エンジンやSNSにて企業名を入力すると、企業の評判や口コミ、採用活動の感想などが誰でも見られる状況です。
そのため、良いことも悪いこともリアルタイムでインターネット上に拡散されてしまいます。
例えば、面接時に応募者に対して対応が悪い企業があれば「○○会社の面接時の対応が悪かった」などインターネット上で書かれてしまうリスクがあるのです。
少子高齢化が進み、人材が減っているから
現在は少子高齢化が進み、日本の人口は減少しています。つまり日本では働き手が減っているため、採用の競争率が上がっているのです。
少ない働き手から自社に入社してもらうには、企業が魅力的で候補者に「ぜひ入社したい!」と思われることが重要だといえます。
企業側が一方的に「選ぶ」という従来の時代から、企業側も候補者側も「お互いが選ぶ」時代に変化しています。
採用CXを取り入れる5つのメリット

採用CXをふまえた採用活動は、どんなプラスの影響があるのでしょうか?
ここでは、具体的なメリットを5つ紹介します。
メリット1.応募者の増加が見込める
自社への応募者が増えることが期待できます。
採用CXの質を高めて、応募者に最後まで丁寧な対応をすることで「ぜひ入社したい」「周りにも勧めたい」などと感じてもらえます。
すると、SNSやインターネット上での評価が良いものが拡散されることが予測されます。それを見た候補者やその周りの人が「応募してみたい」「知人に紹介しよう」などと感じてもらえるメリットがあるのです。
結果として、応募者の増加が期待できるでしょう。
メリット2.自社が求める応募者が見込める
自社が求める人物像にピッタリな人の応募が期待できることです。
採用CXをふまえた活動により、企業を深く理解したうえでの応募に繋がります。例えば、面接前の企業説明会や体験会を充実させることで、自社が求めている人物像の理解や入社後がイメージできると考えられます。
すると自社に合わない候補者の応募を防げたり、社風や企業の価値観に合わずに早期退職したりするリスクを避けることができます。
結果としてミスマッチが防げ、自社が求めている候補者の応募が期待できるのです。
メリット3.愛社精神があり、活躍する人材が期待できる
入社後に、自社で活躍する人材の獲得が期待できます。
採用CXを活用した質の良い対応は、自社に対して良好なイメージや信頼感を与えることができます。すると、自社に好感や愛着を抱いた候補者の応募や入社に繋がります。
結果として自然に愛社精神のある人材が増えることにもなるため、入社後に活躍したり進んで成長したりする優秀な人材が期待できます。企業としての飛躍や価値の向上に繋がるでしょう。
メリット4.採用コストの削減が見込める
採用にかかるコスト削減が期待できます。
長期的に事業を営むなら、コストパフォーマンスの良い活動が大切。よって採用の際は「ミスマッチが少ないこと」「効果のない広告費の削減」など、無駄なコストを防ぐことが重要です。
上記で説明したメリットのとおり、採用CXの活用は企業イメージの向上や企業理解に繋がります。すると広告を頻繁に出さずとも応募者数が増えたり、求める人材に合った候補者の応募が期待できたりします。
結果として広告費や人材コストの削減につながり、コストパフォーマンスの高い業務が実現するでしょう。
メリット5.内定辞退者の削減が見込める
採用CXをふまえた質の良い採用活動は、内定辞退者を防ぐことも期待できます。
入社内定者には「入社後の流れは?」「会社についていけるだろうか」など不安や疑問が多くあるもの。よって、内定者へのレスポンスやフォローを手厚くすると「信頼できる」「入社しても大丈夫そう」と思ってもらえ、入社に繋がります。
逆に面接時や内定後の対応に不安や不信感があると、「入社は辞めておこう」と内定辞退のリスクがあると考えられるのです。
採用CXの施策前に確認!入社までの4つのステップ

ここまで読み「採用CXをふまえて採用活動をしよう」と感じた経営者もいるのではないでしょうか?
とはいえ、どんな手順で施策を考えたらいいのか戸惑うものです。
そこで以下では、候補者の一般的な採用までの流れを解説します。まずは候補者の4つのステップを知り、施策のヒントにしましょう。
①応募したい企業を認知
候補者は企業のホームページや就職情報サイト、SNSや人材紹介会社などでさまざまな企業を知ります。その中で、「応募したい!」「気になる企業だ」などと魅力的に感じてもらえるような施策がポイントです。
企業を認知する例として、以下の活動があります。
- 自社ホームページ
- TwitterやYouTubeなどSNSでの発信
- プレスリリース
- 求人情報サイトでの求人紹介記事やインタビュー記事
- 自社がおこなうインターンシップ
- 企業と候補者の出会いやマッチングを目的とした合同説明会
- 自社がおこなう候補者との交流会やイベント
②希望の企業に応募
候補者は、気になった複数の企業に応募します。企業と連絡が取れ次第選考へと進むため、企業側はスピーディーな対応が重要です。選考への日時が早く決まることはもちろん、候補者も安心し好印象を抱きます。
応募の段階では、以下のような場面で候補者と接点があります。スムーズに応募してもらえることが大切です。
- 自社ホームページでの応募フォーム
- 人材紹介会社からの紹介
- 求人票や求人情報誌からの応募
- カジュアル面談
- リファラル採用
③入社のための選考
応募があり、企業側も候補者に会ってみたいと感じたなら選考をします。
選考では直接候補者と対面するケースが多いため、企業側の対応や印象は重要です。この段階で、企業担当者が不親切な対応をしたり愛想が悪かったりすると「入社したくない」と思われてしまうリスクも。
よって丁寧な対応や、候補者の心理や立場を考えた施策がポイントです。
選考で候補者と接点があるのは、以下のようなシーンです。
- 受付窓口担当者による対応
- 社員のあいさつ
- 業務中の雰囲気
- 選考時の試験官や面接官の対応
- 社員による職場案内
- オンライン面談
④入社の内定を得る
候補者は選考に合格すれば、内定を得ます。
候補者は複数の企業の入社試験を受験していることが多いため、複数の内定を得ることが多いと考えられます。自社を選んでもらうには、内定時の対応やその後のフォローを充実させることが施策として有効です。
内定時に候補者と接点がある場面は、以下のようなシーンです。「この会社に入りたい」と思ってもらえる対応や活動をするとよいでしょう。
- 内定の連絡
- 内定通知書の送付
- 内定後の入社の連絡
- 入社前の研修やイベント
採用CXの活用事例を紹介!株式会社メルカリのケース

「どんな施策が効果的なのだろう?」と疑問に感じる方もいるでしょう。
ここでは採用CXをふまえた採用活動をおこなっている、株式会社メルカリの事例を紹介します。
メルカリでは社員の人数が倍以上増えたことをきっかけに、2019年の1月から採用の仕組みを改善しました。施策として、以下の取り組みを実施しています。
- 会社のミッションや価値観の定義や事例を言語化し、社員で共通認識をもった
- ミッションや価値観をふまえ選考時に確認する段階別の項目を決め、選考プロセスを整えた
- 面接時に応募者に自社の様子や文化を正しく伝えるようにした
- 面接のロールプレイを社内で実施し、面接官のトレーニングをおこなった
- 実際に面接を受けた候補者にアンケートを実施し、施策の改善に活かした
結果として、候補者目線に立てるのはもちろん、社内での価値観共有や社員の紹介による採用(リファラル)にも有効だったとのこと。企業にも候補者にもプラスになる施策事例だといえます。
採用CXをふまえた採用活動の改善ポイント

「募集しても採用まで至らない」「入社しても早期離職してしまう」と悩む経営者もいるでしょう。実は採用する過程に問題があり、改善点があるかもしれません。
採用CXをふまえた改善ポイントを解説します。
応募者像の見直し・設定をする
自社の応募者像の見直しと再設定をしてみましょう。
採用活動の成功には、まずは企業側が応募者を理解することが大切です。そのためには、応募者像を明確にすることが重要。
年齢や性別、価値観や経歴などにより「どんな言葉が響くのか?どんなフォローが効果的なのか?」は差があります。応募者像がブレてしまっていると、効果が見込めない施策になるかもしれません。
まずは自社が採用したい応募者像を具体的にしたり再設定したりして、応募者目線の施策をおこないましょう。
採用における応募者像の設定に関しては、以下の記事をご覧ください。
選考過程の効率性を見直す
選考の過程で非効率な工程がないか、見直してみましょう。
企業側のスピーディーな対応は、採用の成功には重要です。候補者の安心感や信頼感に繋がるからです。逆にレスポンスが遅いと、不信感から入社意欲の低下に繋がることも。
手間のかかる業務がある場合、採用管理システム(ATS)の導入を検討するなど業務を効率的にする手段を視野に入れるとよいでしょう。
面接時の質を上げる施策を考える
面接の質を上げる施策をおこなってみましょう。
面接は候補者と企業が直接対面する場面です。このときに、候補者に好印象や信頼感を与えられるかどうかは重要です。
施策例として、
- 社員で面接のロールプレイングをおこなう
- 面接官のマニュアルを作成する
- 緊張を解くために、面接前にアイスブレイクをおこなう
- 受付担当者の対応を改善する
- 面接後のアンケートの実施
- 会社への理解を深めてもらうため、事前に会社案内の資料を配る
などがあります。自社でおこなうべき改善方法を考えてみましょう。
内定後のフォローを見直す
内定後のフォローを見直してみましょう。
先述したように、候補者は複数の内定を得ていることが多いです。そのため内定辞退率を下げるには、内定後の対応や動きも重要。
改善例として、
- 内定後のレスポンスを迅速におこなう
- 内定から入社までの流れや共有事項を、わかりやすく案内する
- 内定者に入社を歓迎している雰囲気を出す(内定後の対応や入社前イベントの開催など)
などがあります。
企業側も入社まで気を抜かず、内定者に信頼感や安心感を与えましょう。
まとめ

採用CXとは、応募者が企業を知り入社するまでの一連の過程を指します。また、採用の有無にかかわらず、応募者に「この会社に応募してよかった」と思ってもらえることが大切だという概念です。
現在はSNSやインターネットにて、即座に企業情報が出回ります。よって採用CXに着目し応募者の視点に立った活動が、企業イメージを良好にしたり自社にプラスな人材の獲得に繋がったりするといえます。
自社の採用活動を成功させたい、入社後のミスマッチを減らして質の高い人材が欲しい場合は、見直すとよいでしょう。
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