キャズム理論とは?超えるための3つの方法と超えた後の行動

最終更新日: 2022/02/15 公開日: 2022/02/18

「新しい製品やサービスが売れない!」
「自信のある製品を開発したが思うように売り上げが伸びない!」

新製品の売り上げが伸びず困っている経営者の方も多いのではないでしょうか。

それは、間違ったアプローチをしているのが原因かもしれません。

キャズム理論の概念を知れば、顧客にどのようにアプローチするべきか具体的な施策が分かります。

この記事を読めば、顧客の購買心理が理解でき、的確な売り出し方ができるようになります。

実際に、メルカリやLINEなど多くの会社がキャズム理論の概念を取り入れ、製品の売り上げアップを達成しています。

キャズム理論について知り、新製品の売り上げアップを実現してください。

キャズム理論の提唱者とは?

キャズム理論の提唱者は、アメリカのマーケティングコンサルタントである、ジェフリー・ムーアです。

キャズム理論は、1991年出版の書籍「クロッシング・ザ・キャズム」がきっかけで世間に広がりました。

日本語版では、「キャズム」という題名で知られています。

1990年代の本ではありますが、現代社会のマーケティングを進めるうえで読んでおきたい一冊です。

キャズムとは?

キャズムの単語の意味や、マーケティングでのキャズムが表す意味について見ていきましょう。

キャズムの意味とは?

キャズムは、英語で「深い裂け目」を意味します。

ジェフリー・ムーアによると、新しい製品の普及段階は「初期市場」と「主流市場」の2つに分けられるとのこと。

マーケティングでは、初期市場と主流市場の「深い裂け目」のことをキャズムと言い表します。

多くの新製品は、初期市場で売り出すことには成功するものの、主流市場で普及させるのは難しいでしょう。

新製品の売り上げを伸ばすには、初期市場と主流市場の深い溝「キャズム」を飛び越えることが成功のコツです。

用途英単語としてのキャズムマーケティングでのキャズム
意味深い裂け目初期市場と主流市場の間の深い裂け目
キャズムの意味

テクノロジー導入サイクルの段階とは?

キャズムが起こる初期市場と主流市場とはどのようなものなのでしょうか。

初期市場と主流市場の構成するサイクルをテクノロジー導入ライフサイクルと言います。

テクノロジー導入ライフサイクルとは、客層によって新製品が世に浸透する流れのこと。

テクノロジー導入サイクルは、5つの段階にわかれます。

  1. イノベーター
  2. 初期採用者
  3. 初期多数派
  4. 後期多数派
  5. ラガード
段階初期段階初期段階主流市場主流市場主流市場
名称イノベーター初期採用者初期多数派後期多数派ラガード
割合2.5%13.5%34%34%16%
テクノロジー導入サイクル

「イノベーター」「初期採用者」が、初期市場にあたります。
「初期多数派」「後期多数派」「ラガード」は、主流市場にあたります。


5つの段階の意味を解説していきましょう。

1:イノベーター

イノベーターは、新しいことに敏感で、革新者カリスマとも言い換えられます。初期市場の最初の段階です。

新製品を売り出す際には、イノベーターの心をつかむような施策を考えるとよいでしょう。

イノベーターには、下記の性格特性があります。

・専門知識が豊富である。
・新しいものをすぐに手に入れたい性質がある。
・専門的な知識を習得し応用することが目的ではなく、知識の習得自体を好む傾向がある。

2:初期採用者

初期採用者は、ビジョナリー理想主義者とも言い換えられます。

ビジョナリーの心をつかんだら、初期市場は完成します。

・専門的知識が豊富である。
・新規製品が社会にどのように作用するのかまで考えている。
・ビジョナリーが新製品を好むと、活用方法を世間に普及させる役割も持つ。

3.初期多数派

初期多数派は、実利主義者実績重視とも言い換えられ、主流市場の最初の段階です。

主流市場の人を取り込むうえで注意すべきなのは、初期市場と主流市場の人では考え方が根本的に異なること。

初期市場の人は、製品の未来に対しての可能性を考える一方、主流段階になると、実際に利益が出せるのかに注目します。

・製品を導入することで、生活や仕事で具体的なメリットがあるのかを大変重視する。
・周囲と足並みをそろえようとする。あの人が使っているからなどということで、製品を取り入れる傾向もある。

4.後期多数派

後期多数派の傾向は、別名懐疑派とも呼ばれます。

後期多数派の特徴は、保守的な傾向がみられること。

後期多数派の性格特性は下記です。

・既成概念にとらわやすい。
・従来の規則や物にとらわれる傾向がある。

5.ラガート

ラガードは、別名遅延者因習派とも言い表せます。

ラガードに該当する人は、製品の確かな効果をみてから購入を決めます。

キャズムを超えるためのポイント

キャズムを超える(初期市場と主流市場の深い溝「キャズム」を飛び越える)ためのポイントについて、ご紹介します。

キャズムを通過するポイントは、初期市場と主流市場の購買心理の違いをよく理解すること。

ジェフリー・ムーアの「キャズム」がわかる本(p62、63参照)によると、3つのポイントをおさえると良いとのことです。

信頼を得るための実績

主流市場の人は、商品を買うか決めるときに、実績を重視する面があります。

具体的なメリットの実績や、あの人も使っているといった信頼性が大切。

例えば下記の状況で、購買意欲がそそられます。

  • 良い口コミ
  • インフルエンサーが商品を使っている

具体的で実際にメリットのある分かりやすい効果

初期多数派は、新しいものやサービスに興味があるというよりかは、購入することへのメリットを重要視します。

下記のように、使った後の分かりやすい効果がみられると効果的です。

  • 新製品を買ったら、ある作業が○○分で終わった。
  • 新製品を使うと、ある作業が手を使わずに行える。

簡単に使えるユーザーによりそったインターフェース

イノベーターや、ビジョナリーの人たちは新製品に不便があれば、自身で創意工夫をして使いやすくします。

一方、初期多数派の人たちは、新製品に創意工夫をすることに興味がないことがほとんど。

そのため、簡単に使用できること、かつ便利なユーザーによりそった製品を提供することが大切です。

キャズムを包括するカテゴリー成熟化サイクルとは

ジェフリー・ムーアが考え出した理論に、カテゴリー成熟化サイクルというものもあります。

カテゴリー成熟化サイクルとは、商品の販売から衰退までの流れを示したもの。

カテゴリー成熟化サイクルの最初の段階には、テクノロジー導入サイクルが含まれます。

テクノロジー導入サイクルの位置づけを確認するためにも、カテゴリー成熟化サイクルについて確認しておきましょう。

カテゴリー成熟化サイクルは、5つの段階に分かれます。

  1. テクノロジー導入ライフサイクル(前章で紹介したサイクルです)
  2. 成長市場
  3. 成熟市場
  4. 衰退市場
  5. ライフサイクルの終了


また、カテゴリー成熟化サイクルは、製品ライフサイクルという考え方を元にしたもの。

カテゴリー成熟化サイクルを知るためには、製品ライフサイクルについて知ることが重要です。

製品ライフサイクルの考え方を見ていきましょう。

製品ライフサイクルとは?

製品ライフサイクルは、フィリップ・コトラーが考えだした理論です。

サイクルは4つに分けられます。

それぞれの詳細について、確認しましょう。

1. 導入期

製品が導入される時期です。費用対効果が非常に低いのが特徴。

初期投資にかける資金が多くても、導入期で得られる利益は低くなります。

2. 成長期

製品が市場へと浸透し、受け入れられる時期。

大きな上向きの曲線を描くように、加速度的に市場が発達します。

費用対効果を大きく感じられるでしょう。

3. 成熟期

製品が、顧客に対して一回りまわった時期。

この時期になると、売り上げが急激に伸びることはありませんが、利益が安定します。

安定する代わりに、他社との競合が多くなることが特徴。

4. 衰退期

成熟を終え、収益や利益ともに徐々に低下していきます。

この段階になるまえに、企業はほかの事業にも手を付ける必要があります。

キャズムを超えた後におこなうべきこと

キャズムを超えた後のマーケティングの方向性をご紹介しましょう。

製品ライフサイクルにはやがて成熟期や衰退期が待ち構えています。

次にくる困難にどのように備えればよいのでしょうか。

キャズムを通過した後には、以下の2つの戦略を進めましょう。

  • ボーリング・ピン戦略
  • アプリケーション・イノベーションの実践

ボーリング・ピン戦略

ボーリング・ピン戦略では、現在の市場が成熟したら、その市場に類似するニッチ市場を見つけていきます。

そして、ボーリング・ピンが連鎖するように、今度は、連鎖的にそのニッチ市場を攻略していく戦略です。

ボーリング・ピン戦略の攻略方法は、実績を武器にすること。

市場で獲得した実績を利用して、周りの類似ニッチ市場へ利益を広げましょう。

主流市場の最初の段階である、初期多数派の人に有効です。

なぜなら、初期多数派の人は具体的なメリットや実績を重視するため。

すでに気づき上げた実績があるので、周辺のニッチ市場に手を広げても信頼性が高いからです。

アプリケーション・イノベーションの実践

アプリケーション・イノベーションの実践とは、すでに成功した製品をつかって、新たな応用分野を発見することです。

大切なことは、製品の異なる位置づけを発見すること。

売る地域によって製品の位置づけが異なる冷蔵庫の例をご紹介します。

通常なら、冷蔵庫は、食品を腐らせない道具として使用するでしょう。

しかし、エスキモーの人々ならどうなるでしょうか。

冷蔵庫を凍らせない道具として、使用するでしょう。

このように製品の異なる位置づけを発見できると、新たな市場を発見できます。

キャズム理論を理解するための書籍

キャズム理論をさらに深く理解するための書籍をご紹介しましょう。

ジェフリー・ムーアの「キャズム」がわかる本(著者:中野 明)

キャズム理論について知識がない方でも、キャズム理論がよく理解できるでしょう。

この記事を書く際にも大変参考にさせていただきました。

この本は以下の方におすすめです。

  • キャズム理論の知識がゼロな人
  • キャズム理論を実際にビジネスで生かす方法を知りたい人

キャズム(著者:ジェフリー・ムーア 翻訳:川又 政治)

1991年に「クロッシング・ザ・キャズム」として、出版された日本語版です。

新製品や新しいテクノロジーが生まれている現代社会にこそ、キャズム理論を応用できます。

この本は以下の方におすすめです。

  • 基礎から応用までを学びたい人
  • じっくりとかみ砕いてキャズム理論を知りたい人

まとめ

キャズムとは、初期市場と主流市場に起こる深いひずみのこと。

深いひずみを超えるために、以下の3点を行いましょう。

  • 信頼を得るための実績
  • 具体的で実際にメリットのある分かりやすい効果
  • 簡単に使えるユーザーによりそったインターフェース

キャズム通過した後は、2つの戦略でさらに事業を拡大しましょう。

  • ボーリング・ピン戦略
  • アプリケーション・イノベーションの実践

キャズム理論について知り、顧客の特性にあった、商品やサービスのマーケティングを行いましょう。

参考書籍:ジェフリー・ムーアの「キャズム」がわかる本(著者:中野 明)

最終更新日: 2022/02/15 公開日: 2022/02/18
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