
人材不足が深刻化している昨今、優秀な人材を採用するための採用戦略が注目を浴びています。
採用戦略を立てずに人材を採用すると、医院と採用者の双方にとって大きなデメリットをもたらす可能性が…。
そこで今回は採用戦略で失敗した事例を6つ紹介します。
採用戦略の重要性についても解説しているので、失敗しない採用戦略を立てるための参考にしてみてください!
医療業界における採用戦略とは?

「採用戦略」とは、優れた人材を採用するために立てる戦略です。
日本では少子高齢化が進んだことや、新型コロナウイルスによる業務過多で医療スタッフが離職するなど、人材不足が加速しています。
そのため優秀な人材採用の競争率が高まり、採用戦略を立てて採用活動を行うことが必須となっているのです。
採用戦略が重要な3つの理由

医療業界において採用戦略が重要と言われる理由を3つ紹介します。
失敗しないためにも、正しい採用戦略を立てて採用活動を行いましょう。
応募がない状況を防ぐ
採用活動で応募者を集めるためには、病院を知ってもらう必要があります。
応募者が多すぎると面接時間のロスなどの問題が出てきますが、そもそも応募者が少ないと理想の人材を選ぶのが困難になるでしょう。
採用戦略を立て、希望する人物像を定めたら、対象となる人材の目に留まるようなPR活動を行うのも一つの方法です。
ホームページやブログへの掲載はもちろん、SNSなどを活用すれば若手スタッフの採用に役立つでしょう。
内定の辞退を防ぐ
優れた人材は複数の病院に内定が決まることもあります。
万が一、魅力で他院に負けてしまうと、内定を辞退される可能性も。
内定を辞退された場合、ふたたび採用活動を行う必要があるため、労力も時間もかかるでしょう。
綿密な採用戦略を練って医院の魅力を採用者に理解してもらえば、内定辞退のリスクを避けることができます。
入社後の認識のズレを防ぐ
きちんと採用戦略を整えていないと、「採用した人物が求めていた人物と違った」というケースがあります。
反対に「思っていた業務内容や環境と違った」と入職した採用者が、早期退社してしまう可能性もあるでしょう。
内定後の辞退はもちろんですが、入職者の早期退社はコストが大きくなってしまいます。
採用活動を行う際は、求める人物像やスキルを考慮した戦略を立てましょう。
また採用予定の部署のスタッフに面談に同席してもらい、業務に関する細かい質問をすることができれば、入社後の認識のズレを軽減できます。
医療業界の採用戦略失敗事例6選

医療業界の採用戦略の失敗事例を6つ紹介します。
失敗から脱却した事例もあるので、ぜひ採用戦略を立てる際の参考にしてみてください。
オープニングスタッフのほとんどが退職の申し出
開業してわずか半年で、オープニングスタッフ7人のうち6人が退職したいと申し出たクリニックの事例です。
コンサルタントが調査したところ、院長が企画した「患者向け医療セミナー」への参加をスタッフに呼びかけたところ、反発してきた1人のスタッフに注意をしたとのこと。
すると注意を受けたスタッフがほかのスタッフに不満を伝え、大量退職につながりました。
どんなに仕事に役立つセミナーだとしても、参加を強要するのはおすすめできません。
また面談を行う際は、適切な人材であるかどうかをきちんと見極めた上で採用することも大切です。
看護師が一斉退職して入院機能の維持が困難に
山口県下関市に位置する医療法人豊愛会「豊北病院」で看護師が一斉退職し、入院機能が維持できなくなったことが大々的に報じられました。
一斉退職した看護師たちは、院長への不信感と経済的な不安を抱えていたようです。
ボーナス支給当日に予告がないまま金額が半分になったことがあり、不信感が募っていきました。
「院長が退くなら退職を取りやめる」という看護師もいたため、院長とスタッフの信頼関係の破綻が及ぼした大量退職と言えるでしょう。
よっぽどの不満がない限り、いきなり退職するスタッフはいません。
安定した報酬はもちろん、信頼関係を築くことも医療経営をしていく上では大切です。
スタッフへの厳しい対応が原因で全員が退職
開業の際に目標のスタッフ数を確保できたものの、開業数ヶ月というスピードでスタッフ全員が退職してしまった事例です。
来院数を増やせずに焦っていた院長は、その苛立ちからスタッフへ暴言を吐くようになりました。
「お前たちの対応が悪いから患者さんが集まらないんだ」「指示されなくても自分で考えて動けよ」など、あからさまな八つ当たりに耐えきれなくなったスタッフは3カ月ほどで全員が一斉に退職。
経営やマネジメントの知識が少ないまま開業してしまい、マーケティングでつまずいてしまう開業医も少なくありません。
医療技術やサービスはもちろん、安定した経営を行うための知識を身につけておくと、トラブルにも柔軟に対応できるでしょう。
スタッフ間の確執を経て分かった環境づくりの大切さ
下町にある歯科医院は、先代である一代目から順調に経営をつなぎ、二代目院長が経営していました。
地域密着型の医院として通院する患者も多かった同院ですが、チーフの歯科衛生士(20代)とパートの歯科衛生士(40代)の意見が噛み合わず、頻繁に揉め事が発生。
院長の仲裁も虚しく、問題はどんどん複雑化し、最終的に4人の歯科衛生士が退職する結果となりました。
しかしこの出来事を経て院長は「スタッフがやりがいを持って、楽しく働ける環境をつくる」ことの重要性に気づいたのだそう。
ビジョンやミッションを共有し、院長を含めたスタッフ間の考え方のギャップを早期発見。
溝が深まらないうちに軌道修正を繰り返したことが功を奏し、見事に経営を持ち直しました。
独断で進めた人事改革により看護師が大量離職
長野県に位置する相澤病院は10数億円の赤字を抱え、倒産の危機に瀕していました。
経営を持ち直すための改革として院長は3つの改革を進行。
「各施策は病院として理念を判断基準にする」「院長と改革の戦略を検討する場をつくる」「医師も含め年功序列から能力給へ移行する」などの改革を独断で進めました。
当然スタッフからの反発が起こりましたが、スタッフの意見を取り入れないまま改革を続行した院長に不信感を抱いた看護師が一斉に退職。
しかし、その出来事を機に「スタッフがいきいきと働ける環境づくり」を決心した院長は、方針を大きく転換。
今や全国から医師や看護師が集まる病院にまで成長しました。
2020年には、相澤病院の実話をベースにしたTVドラマが放送されるなど、相澤病院の逆転劇は大きく注目されています。
ワンマン経営の院長に危機感を覚えて事務スタッフが退職
病院の経営が悪化しているにも関わらず、対策を講じない経営層に危機感を覚え、事務スタッフが退職した事例です。
事務スタッフの方は入職後、仕事が評価され経営層が集まる会議のメンバーに抜擢されました。
会議に参加したりデータを見たりした結果、病院の経営が傾きつつあることに気づきます。
その後、事務長補佐に昇進したスタッフは、会議で改善点を指摘しました。
しかし、ワンマン経営でスタッフの意見に耳を傾けない院長は提案を受け入れず、経営はさらに悪化。
そんな状況に危機感を覚えた事務スタッフの方は、退職を決意したのです。
病院は院長一人のために運営されているわけではありません。
いくら会議を重ねても、まったく意見が反映されないだけでなく、状況も悪化しているとあっては、退職という道を選ぶほかないでしょう。
優秀な人材を失わないためにも、医院のトップである院長は、どんな意見でも一考してみる必要があると言えます。
まとめ

新型コロナウイルス感染症や少子高齢化の影響から、医療業界の人材は不足傾向にあります。
即戦力になる人材、優れた人材を採用するためにも、採用戦略の策定はもっとも重要と言えるでしょう。
また採用戦略をきちんと立てておけば、内定の辞退や早期退社防止にもつながります。
採用戦略の失敗事例を参考に、コストや人材を無駄にしない経営を目指していきましょう!
セミナーズメディアでは、集患にお悩みの病院・クリニックの経営者の方に向けて、
「医療経営・マーケティング事例集20選」(PDF資料、全25ページ)をお配りしています。
- 自費治療などにもっと集患したい
- スタッフを雇ってもすぐに辞めていく、離職率が高い
- 地域に根差した喜ばれるクリニックにしたい
- 他院の取り組み事例が知りたい..
といった方は必見の内容となっております。
資料をダウンロードしていただいた方限定で、
ここだけでさらに、より実践的な成功事例や具体的な成功事例をお届けいたします。
今すぐご登録ください!