顧客体験マーケティングで顧客のロイヤルティを向上させる3ステップ

最終更新日: 2021/12/14 公開日: 2021/12/14

企業では「顧客満足度を上げなければならない」と言われますが、顧客満足度を上げるためには何をすればよいのでしょうか。

商品やサービスの質を向上させる、今のクオリティを維持して価格を下げるなどと考えが浮かびますが、顧客満足度を上げるために最も重要なものは、顧客体験(CX:カスタマー・エクスペリエンス)です。

しかし、顧客体験とは漠然としすぎていて、何をすればよいのかわからないという人もいるでしょう。

そんな人のために、この記事では顧客体験の特徴と種類、顧客体験を向上させるための手順と成功事例を解説します。

顧客体験(カスタマー・エクスペリエンス)とは?

顧客体験とは、英語で「カスタマー・エクスペリエンス」と言い、「CX」と略されます。

顧客が商品やサービスに関わるすべての体験やプロセスのことで、購入体験だけでなく、商品やサービスの検索やアフターフォローなども顧客体験に含まれます。

よって、顧客体験は長期的な顧客目線で戦略を立てる必要があります。

ユーザー・エクスペリエンス(UX)との違い

顧客体験、およびカスタマー・エクスペリエンスに似ている言葉で「ユーザー・エクスペリエンス(UX)」という言葉があります。

ユーザー体験とも言いますが、これは製品やサービスを使用した時の体験という意味です。

ユーザー・エクスペリエンスは短期的な体験ですが、カスタマー・エクスペリエンスは顧客と企業の接点がいくつもあり、商品やサービスに関わる長期的な体験という違いがあります。

商品の価値とは別の価値

顧客体験で提供する価値は商品そのものの価値とは別のものです。

例えば、カフェに入ってコーヒーを注文したとして、店員の接客態度や店の雰囲気、座席の座り心地などが顧客体験の価値となります。

もしそのカフェの店員がだらしなく、コーヒーがなかなか提供されず、店内も薄汚れていて騒々しかったら、どんなにコーヒーが安くておいしくてもその店に行きたいとは思わないですね。

このように商品やサービスにどれだけ価値があっても、顧客体験が悪ければマイナスのイメージがついてしまいます。

顧客体験の5つの価値

顧客体験は5つの価値に分類されます。

この分類方法はアメリカの経済学者、バーンド・H・シュミットが提唱しました。

どのように分類されるのか、それぞれの価値を解説していきます。

①感覚的経験価値(Sense)

感覚的経験価値は、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の五感によって得られる価値です。

カフェで言えば、アンティークが飾られている店内を見ること、心地よい音楽を聞くこと、おいしいコーヒー、おいしそうな匂い、ツルツルのテーブルなどを感じて価値を感じます。

②情緒的経験価値(Feel)

情緒的経験価値は、顧客の感情や心に働きかけることで得られる価値です。

親身な接客や顧客目線でのおもてなしなどに価値を感じます。

例えば、リラックスできる、安心できる、感動、エキサイティング、かわいいなど、顧客の心が動かされる経験が価値となります。

③創造的経験価値(Think)

創造的経験価値は、顧客の知的好奇心や探求心、創造性に働きかける価値です。

顧客が興味を持ったことに対して、知りたいと思う欲求に応えることなどが価値となります。

ブランドのコンセプトや商品・サービスのストーリーなどから、顧客の好奇心をかきたてていきます。

④ライフスタイル的経験価値(Act)

ライフスタイル的経験価値は、顧客が経験したことのないことやライフスタイルに変化を与えるものに感じる価値です。

体験型のワークショップやアクティビティなど、顧客が実際に経験できることや、新しい技術に触れることで得られる経験が価値となります。

⑤社会的経験価値(Relate)

帰属集団・社会的経験価値は、ある特定のグループに参加することで得られる価値です。

例えばファンクラブの入会、イベントの参加、サロンの入会などのように集団に所属して味わえる特別感が価値となります。

顧客体験を向上させるための手法3ステップ

顧客体験を向上させるためには、どのようなことをすれば良いのでしょうか。

消費者の80%以上が、より良い顧客体験を得るためにはより多くの支払いをしても良いと考えています。

企業としてはこれを見逃すわけにはいけませんね。その方法は3つのステップに分けられます。

①現状の顧客体験を整理、把握する

現在、自社が販売している商品やサービスと顧客との接点を細かく洗い出し、時系列に並べます。

そして、カスタマージャーニーマップを作成し、いつどんな接点があるのかを把握します。

カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品を知り、購入に至るまでの行動や思考を細分化し、時系列にまとめるフレームワークです。

②現在の顧客評価から課題を洗い出す

作成したカスタマージャーニーマップをもとに、各接点ごとの顧客からの評価を収集し分析します。

顧客評価を得るには次のような方法があります。

  • 口コミ
  • アンケート
  • ソーシャル・リスニング

顧客に評価をしてもらうだけではなく、課題を見つけるには顧客の行動を分析することも有効です。

自社サイトへのアクセス方法や、利用状況、最もよく見られているコンテンツなどからも顧客の行動を分析できます。

顧客の無意識の行動から課題を見つけることもできるでしょう。

③課題を解決するためにPDCAサイクルを回す

細かく課題を見つけられたら、それを解決するための改善案を練り、実行に移します。

そして、また検証、改善、行動を繰り返します。

これをPDCAサイクルと言います。

「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」を繰り返し行うことで、変化し続ける顧客のニーズに対応でき、より良い顧客体験を提供できるようになります。

顧客体験向上で得られる5つのメリット

顧客体験を向上させることで多くのメリットを得られます。

ここではメリットを5つのポイントにわけて解説します。

①顧客満足度が向上する

顧客体験を向上させることは、顧客満足度を向上させることに繋がります。

同じ商品を買ったとしても顧客体験が良ければ大きな満足に繋がりますし、顧客体験が悪ければ商品そのものにネガティブなイメージを付けてしまうかもしれません。

体験したことはその人だけのものです。

自分のためにスタッフが親切に対応してくれたというような顧客体験は顧客満足度の向上に結び付きます。

②リピーターを獲得できる

顧客体験を向上させると、顧客は再度同じサービスを受けたいと考え、リピーターになってくれる可能性があります。

企業にとって1人の顧客から多くの商品やサービスを購入してもらうことは、マーケティングの視点からも重要です。

新しい商品を販売する時には、リピーター向けの宣伝は新規顧客向けの宣伝よりも予算が少なく済みます。

また、新規顧客を獲得する労力は、リピーターを獲得する労力の5倍と言われており、既存顧客を大切にする顧客体験施策は重要と言えます。

③顧客離れを減らせる

顧客体験を向上させ、リピーターが増えた結果、顧客離れを防ぐことができます。

新しい顧客を獲得するためには、市場調査、ライバル分析、消費者のニーズや動向の調査などを行わなければなりません。

既存顧客であれば、すでに自社に顧客情報がありますが、新規顧客は顧客の情報が得ていない段階から始まります。

時間も費用も大幅に必要で、効率の良いマーケティング施策とは言えません。

顧客体験を向上させ、顧客との信頼関係を築くことが、顧客離れを防ぐためには重要です。

④良い口コミが増える

最近は良い体験をした時に、SNSに投稿して大勢にその体験を共有する人が増えています。

口コミは企業が発信する情報よりも信頼できると認識されているため、良い口コミが増えれば増えるほど、それを見たユーザーへ興味関心を惹き、購買に繋げる可能性が高くなります。

また、顧客が書いてくれる口コミには広告費がかかりません。

予算をかけずに、質の良い宣伝を拡散できるのは企業にとってありがたいことです。

⑤ブランドイメージが向上する

顧客に自社だけの特別な体験をさせることで、競合他社との差別化ができます。

商品やサービスが他社と似ていても、顧客体験を向上させることで、顧客に自社を選んでもらえます。

顧客体験の付加価値があることで、顧客は総合的に商品やサービスの価値が高いと感じ、料金が他社より高くても自社商品を購入します。

自社だけで得られる価値で顧客のロイヤルティを得て、良い口コミを書いてもらえれば、ブランドイメージも向上していきます。

顧客体験マーケティングの成功事例

顧客体験を向上させた成功事例を紹介します。

様々な企業が顧客体験施策に成功しているため、自社でも参考になる事例があるでしょう。

ナイキ

ナイキはス二-カーやスポーツウェアなどのスポーツ用品を取り扱う企業です。

ナイキの「Nike House of Innovation」という店舗は、顧客体験を重要視した戦略をとっています。

例えば、店内のインスタントチェックアウトでは、アプリにバーコードを読み込ませるだけで決済ができるので、会計をするためにレジに並ぶ必要がなくなります。

店舗で試着したスニーカーなどを店舗で購入せず、オンラインで在庫を確認し、そのまま購入することも可能です。

また、オンラインで試着の予約をすれば、ロッカーに商品が用意されており、店員を介さずに試着してオンラインで決済するサービスもあります。

ナイキは店舗とアプリの役割を明確にわけることで、顧客が面倒に感じることを徹底的に削減し、顧客体験の向上に成功しました。

東京ヤクルトスワローズ

東京ヤクルトスワローズはファンに対する顧客体験の向上に成功しています。

ファンの声を収集した結果、入会特典と選手と触れ合える機会が特に求められており、地方のファンはあまり顧客体験を受けられていないことがわかりました。

そこで、入会特典の選択肢と選手と写真撮影ができる機会を増やし、地方限定のグッズを販売しました。

その結果、ファンクラブの会員数を増やすことに成功しました。

顧客体験マーケティングで顧客視点に立ったビジネスを展開しよう

顧客体験マーケティングで最も重要なことは、顧客視点に立つことです。

顧客が困っていることは何か、それを解決するにはどうすれば良いか、顧客により良いサービスを提供するために何ができるかを考え、実行していくことで顧客満足度を向上させることができます。

より良い顧客体験が自社のファンが増え、新規顧客にもアプローチがしやすくなります。

ぜひ自社の顧客体験は何か、カスタマージャーニーマップを作成するところから始めてみてください。

最終更新日: 2021/12/14 公開日: 2021/12/14
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